手馴染みのいい萩焼で、コーヒーを。–和の器を楽しむ– | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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手馴染みのいい萩焼で、コーヒーを。
–和の器を楽しむ–

昔からの喫茶店の中にはたくさんの器を並べているお店もちらほら。器にこだわるのは、コーヒーの楽しみ方のひとつです。今回は日本の焼き物の中から茶陶で知られる「萩焼」をご紹介します。手に馴染みのいい萩焼で味わうコーヒーもまた、格別です!

お気に入りの焼き物をひとつ、暮らしの中に

みなさんの家には、コーヒーカップはいくつありますか?
普段使いのマグカップから、お客さま用のとっておきなど、きっと、いくつかのカップがあるのではないでしょうか。コーヒーは味わいとともに、その時間を楽しむ嗜好品。豆を選び、丁寧に1杯を抽出するところから「コーヒータイム」を楽しむ方法もありますが、一番手近なところでのコーヒーのこだわりは、コーヒーを飲む「器選び」と言ってもいいかもしれません。
例えば今日は、昨日と違うカップを。例えば朝と夜とでカップを変えてみたり。などなど。同じコーヒーでも飲む器によって気分が変わるから不思議です。

一楽二萩三唐津(いちらく にはぎ さんからつ)

陶磁器は日本全国に焼き物の産地が60以上もあると言われていますが、 さて、みなさん、「一楽二萩三唐津」と言う言葉を聞いたことがありますか?
これは茶の湯において茶人に深く愛された茶陶を称した表現で、それぞれ、楽焼、萩焼、唐津焼のこと。

今回はその中から「萩焼」をご紹介しましょう。
萩焼は、陶土と言われる粘土を成形して高温で長時間焼き上げてつくる「陶器」で、独特の色合いと手に持ったときのほっこりとした温かみから、茶陶だけでなく日用雑器としても古くから親しまれてきました。

萩の歴史と萩焼

萩焼の産地である萩は、山口県の北西部、日本海に面したところに位置しています。

1600年(慶長5年)の関ヶ原の戦いに敗れた毛利輝元が、安芸の広島から長州の萩へ移り萩城を築城。萩はその後、明治維新まで約260年間、防長二州の中心として栄えます。
毛利輝元は茶の湯に親しみのある大名で、朝鮮から陶工を招き、江戸時代に毛利藩の御用窯として「萩焼」が発展しました。
萩焼の歴史は実に400年以上にもなります。

萩の町は今も昔の趣を残していて、今も城下町であった当時の地図がそのまま使えるのだとか。

使い込むほどに変化する風合い「萩の七化け」

萩焼は、独特の柔らかな風合いが特徴です。
そして、使い込むほどに釉調が変化し、時を経るうちに、なんとも言えない侘びた味わいを醸し出すようになります。これは「萩の七化け」と呼ばれ、萩焼の大きな魅力となっているもの。
登り窯でゆっくりと焼いていく萩焼は、焼締めがやわらかく、釉薬との伸縮率によって表面に細かいヒビ(貫入)が入ります。このヒビからお茶などの色素が染み込んで定着し、器の色合いがだんだん味わい深く変化するのだとか。

松林庵 玉村信一作

萩焼は、水漏れをする!?

器に入れた液体が、器の外に滲み出てくる。これこそが萩焼の特徴と聞くと驚いてしまいますね。実際「不良品じゃありませんか」というお問い合わせもあるようです。
素材の性質を活かして作られる、独特の風合いのある萩焼。最初のうちは表面のヒビより水分が滲み出るように思えた器も、繰り返し使っているうちに茶渋などで詰まって漏れなくなってきます。
どうしても気になる場合は、少量の濃茶かご飯に10倍前後の水を入れて煮た「おもゆ」を萩焼に入れ、半日から1日程度浸透させて水洗い後、乾燥させる。これを1〜2回繰り返すと漏れは少なくなるとのこと。
最近では漏れ止めをして売られているものも多いので、購入の際には確認してみるのがいいかもしれません。

釉薬の違いで生み出されるさまざまな色合い

萩焼は絵付けのない素朴なものが多く、土の配合や釉薬、刷毛目、焼くことで生まれる偶然の風合いなどを生かしてつくられます。その色は、土の色を肌色や枇杷色、褐色、灰青色、白色などが代表的です。釉薬の違いで、美しい青い色が編み出されることもあります。上質な「窯変(ようへん)」と呼ばれる薄ピンクの色合いは、登り窯の偶然によってしか出ないそうです。

萩焼きのコーヒーカップをご紹介します! 

茶器として古から親しまれている萩焼ですが、最近はいろいろなデザインの器がつくられています。コーヒーカップもそのうちのひとつです。手に持ったときの温かな雰囲気と優しい手触りは萩焼ならでは。昔ながらの蹴ろくろで丁寧に作り、登り窯でしっかり焼き上げている作品なので、温かな風合いが感じられます。

萩粉引きコーヒーカップ 
粉引きとは、表層に白い化粧土をコーティングする技法で、こうすることでやさしい雰囲気の中に奥深さのあるベージュ色に仕上げたコーヒーカップです。

粉引きマグカップ 
萩焼らしいやさしい雰囲気と奥深さのあるベージュ色で、ワンポイントでへこみを施した使い勝手の良いマグカップ。大きさもたっぷりとしているので、普段遣いのカップとしても使いやすそうですね。

青萩マグカップ 
透き通るような優しい色合い、ブルーグレーのとても爽やかなマグカップです。還元焼成(酸素を遮断した焼成方法)により釉薬を自然な淡青色に変化させ、萩焼らしい品のある青さを際立たせました。

白萩コーヒーカップ 
伝統的な白い藁灰釉で上品な雰囲気に仕上げたコーヒーカップです。アクセントで釉薬の濃淡でグラデーションをかけています。やや厚みのある仕上がりが重厚感を感じさせます。

掛分けマグカップ 
やや青みがかったグレーの色に、化粧土を掛け分けて模様を施し、素朴な土味の中に色の変化を持たせたマグカップです。

(器協力)萩焼窯元 泉流山(せんりゅうざん) 
文政9年(1826年)藩の商業用陶磁器の窯として築かれ、以来萩の名窯として登り窯焼成・蹴り轆轤[ロクロ]など伝統を重んじ「本当の萩焼らしさ」を大切にしている。
先々代当主・吉賀大眉(よしかたいび)は萩焼の芸術性を追求し、「芸術品としての萩焼」を確立。窯元だけでなく、美術館・吉賀大眉記念館を併設している。  

泉流山 吉賀 暁(よしかあきら)さん
伝統的な萩焼らしさを継承しつつも、現代のライフスタイルに融け込むような意匠を意識して制作されています。

例えば、萩焼のカップを求める旅に

萩は四方を山と海に囲まれた風光明媚な地。
また「明治維新胎動の地」でもある萩は、現在でも街中から歴史を感じることができ、城下町、武家屋敷街、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」など、観光名所がたくさんあります。

例えば上の写真は「平安古鍵曲」という鍵手型に曲がった珍しい土塀の道。侵入した敵を迷わせ、追い詰めるために工夫した曲がり角です。また萩の武家屋敷にはたくさんの夏みかんが植えられていますが、これは明治政府樹立後の武士の給禄奉還で困窮した士族を救済するために、屋敷内に夏みかん(夏橙・ナツダイダイ)を植栽して士族の生活を支え、それから栽培がさかんとなったからだとか。

観光地として一年中通して楽しめる萩ですが、武家屋敷に植えられている夏みかんの白い花が咲き乱れる5月、また秋から次の夏までの長い期間で黄色い実をつけている景色が楽しめます。
萩焼は、色や感触の柔らかさなど、その風合いがどこか人の肌を思わせると言われています。そして使うほどに味わいが増していく萩焼は、使い手によって完成される焼き物。ぜひ、自分と一緒に年を重ねてくれる「萩焼のコーヒーカップ」を探しに、萩へ訪れてみてください。
コーヒーカップへのこだわりは、コーヒーを愛するからこそ。
ふらっと気軽に、歴史を感じながらの「器選び」はきっと豊かな時間を感じさせてくれます。今年はぜひ、手馴染みのいい萩焼のカップでコーヒーを!

 (協力)萩市商工観光部商工振興課

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