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生産国としての基本情報
ベトナムは、東南アジアのインドシナ半島の東側に位置する、東シナ海に面した国で、日本からは直行便で約6時間の距離にあります。国土は南北に縦長で、面積は日本の約88%、ちょうど九州と四国の半分を引いたくらいの大きさです。
一方で人口は1億人を超えており、さらに上昇が続くと見込まれています。
19世紀にはフランスの植民地となりましたが、20世紀において二度の戦争を経験し、社会主義国という形で独立し、現在に至ります。
日本とも関わりの深い親日の国
日本とは歴史的にも貿易的にも深い関わりがあり、親日国家として知られています。
バイク社会であるベトナムでは、「ホンダ」や「ヤマハ」といった名前の認知度が高く、「日本製=高品質」のイメージも定着しており、日本企業も多数進出しています。
日本の輸入額においてベトナムは第9位で、衣料品や食品(主に水産物)、木製家具、機械・工具類などが主な輸入品となっています。
近年のベトナム人の外国語教育でも、英語に次いで人気なのが日本語なのだそうです。
植民地時代を経て花開いた独自のコーヒー文化
フランスの植民地の期間が長かったため、さまざまな面でフランス文化の影響を受けています。
コーヒーにおいても、ベトナムコーヒーを作るときに使用する独特の抽出器具「カフェ・フィン」の形状は、当時フランスで使われていたパーコレーターをアレンジして作られたものとされます。
20世紀初頭には、上流階級の間で専門店でコーヒーを楽しむカフェ文化が浸透しました。
ベトナムの人々のコーヒー好きはよく知られていますが、伝統的なレシピとして有名なベトナムコーヒー(加糖練乳を加えたもの)の他にも、ヨーグルトコーヒー(ヨーグルト、砂糖、加糖練乳を加えたもの)、エッグコーヒー(卵黄、砂糖、加糖練乳を加えたもの)などがあります。
国の政策によりコーヒー生産量が大幅に伸びると、ロブスタ種コーヒーが庶民にも安価に入手できるようになり、コーヒーを楽しむ習慣が爆発的に広まっていったと言われます。
コーヒーの歴史など
諸説ありますが、ベトナムで初めてコーヒー栽培がはじまったのは18世紀ごろ、キリスト教の宣教師が持ち込んだものが始まりだと言われています。
1862年以降、ベトナム南部の一部がフランスの植民地になると、フランスがそこでコーヒー栽培を開始。フランス向けのアラビカの少量生産を行うようになりました。
1883から1885年にかけて、ベトナム北部のトンキンでの中国(当時の清国)とフランス軍の衝突を発端としたトンキン戦争および清仏戦争の結果、フランスが北ベトナムを占領し、北部でもコーヒー栽培を開始するようになりました。
20世紀になり、ベトナム戦争が終結し南北ベトナム統一を経て、1986年にはドイモイ政策(※)により重工業依存から農業分野の強化へと政策が転換されました。コーヒー産業に可能性を感じた政府が主導してロブスタ種の新植を大幅に増やし、生産量は著しく伸びていくことになりました。
現在ではブラジルに次ぐ世界第二位のコーヒー生産国となっています。
※ドイモイ政策 「刷新」を意味するベトナム共産党のスローガンで、社会主義体制を維持しつつ、市場経済を導入して経済成長を促す政策
採れるコーヒーの特徴
南北に長く、かつ海に面する土地柄、地域によって気候は大きく異なります。
北部にある首都ハノイはやや冷涼で四季がありますが、南部の都市ホーチミンは気候が安定していて、一年を通して蒸し暑い熱帯モンスーン気候となっています。
コーヒーの産地は、中部の高原および高山地帯に集中しています。
ロブスタ種が生産量の90%以上。アラビカ種は育てやすいカティモールが中心
中部の高原および高山地帯は標高が250m〜2,500mで、標高の低いエリアでは、ロブスタ種の生産が盛んです。産地としてはバンメトートが知られています。
一方、ベトナムアラビカ種の一大産地がダラットです。標高が1,500m前後で、年間平均気温が17℃と低く、アラビカ種の栽培に適しています。冷涼な気候からフランス植民地時代には避暑地として開発され、今もベトナム人の新婚旅行先として人気の高原リゾート地です。
ベトナムで栽培されるコーヒーの多くはロブスタ種で、アラビカ種の生産量は全体の5%にも満たないとされ、そのほとんどはカティモールです。カティモールにはロブスタ種の遺伝子が一部混ざっているため、病虫害への耐性を持っていて育てやすいと言われています。
アラビカ種、ロブスタ種ともに収穫期は近く、毎年11月ごろから収穫が始まり、3月までに収穫が終わるというサイクルになっています。
味わい・等級
まだ割合は少ないものの、近年注目され始めているベトナム産アラビカ種コーヒー。丸みを帯びた中程度の大きさの豆で、シロップのような甘くまろやかな口当たりとベトナム特有の大地を想起させる香りが特徴です。カカオやオレンジの風味が感じられます。
等級について
ベトナム産コーヒー豆の輸出規格は、ふるいにかけてコーヒー豆の大きさを決める「スクリーンサイズ」と虫食いや傷のある豆「欠点豆」の混入率によって、G1、G2、G3とグレードが分けられます。
農事調査室から「品質コンテストを通じて、ベトナムコーヒーのさらなる品質向上とブランドの創出に貢献しています」
UCCはベトナムアラビカの主要産地であるダラットにおいて、2015年から品質コンテストを開催しています。良い品質のコーヒーが正当に評価され、プレミア価格で売ることができるという経験を通して、生産者はさらに良いものを作ろうという意識を持つようになります。多くの生産者にそういった意識が根付くことで、地域全体の品質が安定・向上し、地域ブランドの創出にもつながります。
実際、国内消費も多いベトナムでは、ダラット産のアラビカコーヒーの人気が高まってきており、年々価格も上がってきています。UCCが品質コンテストを通して、このトレンドの一端を担えたことをうれしく思います。
これからも、新しいエッセンスを加えながらコンテストを継続し、生産者のモチベーションがもっと高まるように支援していきたいと思います!
ベトナムでの取り組みについて、詳しくは「UCCのサステナビリティ」でもご紹介しています。
UCC 農事調査室 主要原産地に出向き、コーヒーの栽培状況などを調査・研究しています。 担当 日比 真仁、中平 尚己、井上 隆裕
生産地ごとのコーヒーを味わってみたくなった方へ
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「UCCカフェメルカード」は、全国で22店舗(2023年1月現在)を展開しているUCCのコーヒー専門店です。お店のテーマは「MEET YOUR BEANS 私好みのコーヒーに出会う場所」。
UCC直営農園産のコーヒーや、コンテスト入賞ロット、産地・農園指定のコーヒー、UCCの知恵と技術を駆使して創作するブレンドコーヒーなど、良質で個性豊かなコーヒーを幅広く取り揃えています。
年間通して、世界各国のコーヒーをお求めいただける店舗ですので、こちらの記事を読んで産地ごとの違いを味わってみたくなった方は、ぜひ店頭にも足を運んでみてください。コーヒー選びに迷っても、知識豊富なスタッフが丁寧にアドバイスしますよ!
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