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生産国としての基本情報
ロタは、南国リゾートとして有名なサイパン島とグアム島のほぼ中間、米国領の北マリアナ諸島に位置する島です。北マリアナ諸島は14の島から形成され、人が住む島はサイパン島、テニアン島、ロタ島の3つとなっています。
緯度はフィリピンのマニラとほぼ同じですが、日本との時差は1時間ほど北マリアナ諸島の方が早くなります。日本からの交通は、サイパンまで飛行機で3時間半、さらにそこからロタ島へはセスナ機で30分のフライトとなります。
人口約3,000人、面積は約85k㎡で、千葉県の船橋市程度の大きさです。
第二次世界大戦中まで日本の統治下にありましたが、戦後は米国に統治権が移り、後に自治領となりました。通貨は米ドル。公用語は英語、チャモロ語(先住民語)、カロリン語(カロリン諸島からの移住民語)。
「ロタブルー」が人々を魅了する観光の島
自然豊かで風光明媚な観光地として知られ、特に海は「ダイバーの聖地」として有名です。サンゴが隆起して形成されたロタ島に降り注ぐ雨は、カルシウムを多く含んで海に流れ出し、周辺の海は深い青色に見えます。この海の色は「ロタブルー」と呼ばれ、人気のダイビングスポット「ロタホール」とともに、世界のダイバーを魅了しています。
真っ白な遠浅の砂浜であるテテトビーチは、「ロタブルー」と相俟って、ロタ島でも随一の美しさを誇ります。
日本人の観光客も多く、日本語が通じるホテルなども多く見受けられます。
恵まれた観光資源の一方で、島には観光以外の産業が無く、2018年には日本からの直行便も廃止されて、観光業も衰退を辿っています。さらに近年の新型コロナウィルスの感染拡大が、逼迫した状況に追い討ちをかけることになりました。
コーヒーの歴史など
1930年頃に日本人がハワイ・コナからコーヒーを持ち込み栽培を試みましたが、第二次世界大戦末期の1944年には栽培が放棄され、コーヒーの木は長らくジャングルの中で野生化していました。
70余年を経て、ジャングルの中で発見されたコーヒー
ロタ島はサイパン、テニアンとは異なり、地上戦による戦火を免れたことから、原生林が昔の姿のまま残っていました。
2017年現地でトライアスロン大会を主催していた日本のKFCトライアスロンクラブは、ロタの産業振興を念頭に、原生林の中にかつてのコーヒーの木が生き延びているのではないかと考え、ロタ市とともに探索を開始。翌2018年6月、70年以上の時を経て、ジャングルの中のコーヒーの木が発見されました。
UCCの調査で分かったロタのコーヒーの有望性
発見されたコーヒーの木は、調査分析のためにUCC農事調査室に持ち込まれました。そこで、ロタがコーヒー栽培にとって最適な環境であり、採れるコーヒーが味覚面でも優れたものであること、また、原生林のコーヒー生態系がエコツーリズムなどの観光資源となり得ることなどが、明らかになりました。
これを受けて、コーヒーをロタの新たな産業とするべく、ロタ市を中心に商業化に向け本格的にコーヒー栽培への取り組みが始まりました。
以来、UCCも営農支援に参加し、2022年には少ないながらも最初の収穫を迎えました。
採れるコーヒーの特徴
発見されたコーヒーの品種は、DNA鑑定を経てアラビカのティピカ種と判明。原種に近い品種でとても繊細で、フルーティ、甘味のあることもわかりました。
島の自然が特徴的な味わいを育む「ロタブルーコーヒー」
ロタ島はサンゴ礁が隆起して形成された島であり、他に類を見ない栽培環境です。
熱帯性海洋気候に属し、年間平均気温は27度と1年を通して温暖。乾季は11~5月、雨季は6~10月になります。
栽培エリアの標高は、島内で最も高いところで約500mとそれほど高い方ではありませんが、赤道から一定程度離れているため、十分冷涼な地域になります。昼夜の寒暖差はさほどではないものの、森林エリアはかなり涼しく、コーヒーの果実が樹上でゆっくりと熟成されるために特徴的な風味が期待できます。
収穫は3ヵ月くらい遅くなりますが、付加価値の高い味わいを持つ製品になる可能性を持っていることがわかりました。
このコーヒーはロタの海にちなんで「ロタブルーコーヒー」と名付けられ、現在2025年の製品化とブランド化に向けて、生産規模拡大のための努力が続けられています。
味わい・等級
スイートオレンジのような風味と、クリーミーでブラウンシュガーのような甘い余韻が心地よい、良質なコーヒーの味わいを持っています。
現状は、選別が上手くできていないために荒さがあるものの、技術の向上とともに洗練されていくことが予想される、ポテンシャルの高い味わいです。
まだ収穫量が少なく、現時点では等級の設定はありません。今後、十分な量が確保できるようになれば、ハワイのような欠点混入率とスクリーンサイズによる等級分けが行われる予定です。
農事調査室から「森林保全と産業育成の両立という、サステナビリティに配慮した支援を行っています」
2018年ロタの深いジャングルの中で奇跡的に発見されたコーヒーの木について、UCC農事調査室で科学的調査や現地調査を実施したところ、ロタ産のコーヒーの可能性を見出すことができました。
そこで、『サンゴの森に眠るコーヒー』として、ジャングルに自生するコーヒーを観光名所兼自然のシードバンク(苗床)として活用。同時に、放棄された農地を再利用したコーヒー農園の立上げと改善のための技術的サポートを開始しました。島民をUCCが保有するUCCハワイコナコーヒー農園に招待しての研修なども、実施しています。
2022年には、ロタ市と正式に継続的な技術支援協力を行う事を目的としたアドバイザリー契約を締結しました。
ロタの魅力がさらに増え、たくさんの観光客が訪れるよう、現地のみなさまと協力して、「ロタブルーコーヒー」を大切に育てていきます!
UCC サステナビリティチャレンジ No.24
【ロタ島】コーヒー栽培の技術指導に関するアドバイザリー契約を締結
UCC 農事調査室 主要原産地に出向き、コーヒーの栽培状況などを調査・研究しています。 担当 日比 真仁、中平 尚己、井上 隆裕
生産地ごとのコーヒーを味わってみたくなった方へ
「UCCカフェメルカード」のご紹介
「UCCカフェメルカード」は、全国で22店舗(2023年1月現在)を展開しているUCCのコーヒー専門店です。お店のテーマは「MEET YOUR BEANS 私好みのコーヒーに出会う場所」。
UCC直営農園産のコーヒーや、コンテスト入賞ロット、産地・農園指定のコーヒー、UCCの知恵と技術を駆使して創作するブレンドコーヒーなど、良質で個性豊かなコーヒーを幅広く取り揃えています。
年間通して、世界各国のコーヒーをお求めいただける店舗ですので、こちらの記事を読んで産地ごとの違いを味わってみたくなった方は、ぜひ店頭にも足を運んでみてください。コーヒー選びに迷っても、知識豊富なスタッフが丁寧にアドバイスしますよ!
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