将来性に期待が集まる「ニカラグア」−コーヒーベルト・コレクション− | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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将来性に期待が集まる「ニカラグア」−コーヒーベルト・コレクション−

コーヒーの木は、赤道をはさんで北緯25度・南緯25度の間の「コーヒーベルト」と呼ばれる地帯で栽培され、生産国は60カ国以上に上ります。生産地ごとに異なるさまざまなブランドや、その特徴や味わいについてご紹介します。

生産国としての基本情報

ニカラグア共和国は中米に位置し、北西はホンジュラス、南はコスタリカと国境を接し、東のカリブ海と南西の太平洋の2つの海に挟まれています。面積は130,370km2(北海道と九州を合わせた広さ)で、中米の中ではもっとも広い国土を持っています。(ニカラグアより面積の大きなメキシコは、一般的には中米とされることが多いですが、地理的分類では北米)

7つの活火山と中米最大のニカラグア湖、美しいビーチなど、雄大な自然環境はよく知られています。

首都はマナグアで、人口約660万人、 うちマナグア都市圏の人口は約140万人 。1821年までスペインの植民地支配下にあったため、公用語はスペイン語となっています。 

16世紀にコスタリカとニカラグアに侵攻したスペイン人、ギル・ゴンザレス・ダビラが現在のニカラグアのリバス県付近を統治していた先住民族の長をニカラオと呼んだことから、その後、この周辺は「ニカラオの土地」を意味するニカラグアと呼ばれるようになったとされています。 

主な輸出産品は、コーヒーの他に、金、衣類、巻きたばこなどがあります。

内戦や政治の混乱をいくたびも経験

20世紀初頭のアメリカの軍事的・政治的介入によって、政情が不安定化。反発する勢力が内戦を起こしました。その後、ソモサ政権による独裁体制が敷かれますが、政治腐敗により1979年には再び内戦が勃発、長く内戦状態が続きました。

長い混乱の時期を経て、今も国内は経済的に困窮し、2018年以降だけでも10万人以上がニカラグアから離れ、そのほとんどが隣国コスタリカへ難民として移住しています。

ニカラグア人が愛するミルクと砂糖たっぷりのコーヒー

ニカラグアの食卓によく上がるのは、他の中米各国と同様で、豆や米、バナナなど。

また、ニカラグア産の牛肉はよく知られており、国内消費だけでなく近隣の中米諸国や、アメリカにも輸出されています。現地を訪れると、よく、ビーフステーキがふるまわれます。 

人々のコーヒーの飲み方は、深炒りコーヒーにミルクと砂糖をたっぷり入れて楽しむのが一般的なスタイル。デザートに限らず、豆ごはんやパンのお供として、欠かせない存在となっています。

コーヒーの歴史など

1850年代には、大規模なコーヒーの生産が開始されました。

その後、ニカラグア政府が主導して、プランテーションの建設を推進。補助金を出すなどして大いに奨励したこともあって、まもなくコーヒーは主要農産品となり、現在でもニカラグアでもっとも広く栽培されている農作物の地位を占めています。 

こうした経緯で、他の中米諸国と異なり、大規模プランテーションの比率が高くなっています。

採れるコーヒーの特徴

ニカラグアはその火山性土壌に加え、国の中央北部を中心に標高が1,000m以上のエリアも多く、コーヒー栽培に適した自然環境を備えています。2022年の生産量は約17万トンで、世界第13位となっています。

主要な産地は、ヒノテガ、マタガルパ、ヌエバ・セゴビア。収穫時期は、主に10月から2月です。

流通量の少なさや、主にブレンド使用で欧米に輸出されてきたために、特に代表ブランドはありませんが、「ジャバニカ」はニカラグア特有の品種として知られています。

その他、栽培される品種は、他国でも広く栽培されるブルボンのほか、カトゥーラ、カトゥアイ、マラゴジッペ、パカス、パカマラ、カティモールなどがあります。

世界的に評価の高まるスペシャルティコーヒー

ニカラグアでは、コマーシャルコーヒーだけではなく、スペシャルティコーヒー(※)の扱いが豊富で、味にも幅広いバリエーションがあります。近年は国際的な賞も受賞するなど、その品質への評価が世界で高まっています。

※スペシャルティコーヒーについては、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。

注目される生産地としてのポテンシャル

ニカラグアは、中米の中でも土地が肥沃で農業に優れた環境と言われており、世界中のコーヒーバイヤーがそのポテンシャルの高さに再注目している生産地です。

世界的に進む気候変動や病害虫対策に適した品種開発の場として、研究所やコーヒー専門商社がニカラグアで実験栽培を長らく進めており、既にいくつかの新品種が中米各地で栽培され始めています。 

味わい・等級

主要な栽培品種はカトゥーラで、温暖な気候で栽培されるため、マイルドな口当たり、ナッツ系のフレーバー、柔らかい柑橘類を思わせる酸味などの、バランスがとれた味わいが感じられます。 

スペシャルティコーヒーの生産農家では、パカマラ、マラゴジッペ、ジャバニカ等の品種が栽培され、重厚感のあるフルーティーさや透明感のあるフローラルさが、目立つ味わいとなっています。

等級について

等級は、標高によって以下の4つに分類されています。

・SHG(ストリクトリー・ハイ・グロウン)
・HG(ハイ・グロウン)
・MG(ミディアム・グロウン)
・LG(ロー・グロウン)

農事調査室から「品質向上に情熱を注ぐ生産者たちとの交流を通して、ニカラグアコーヒーの発展に協力していきます」

農事調査室とニカラグアの関わりは2009年、農事調査室スタッフがCUP OF EXELLENCEの品評会の審査員としてボリビアを訪れた際、審査会をサポートしていたニカラグアの農園主エルウィン・ミエリッヒさんと出会った事がきっかけでした。

翌年訪れたマタガルパの彼の農園は、様々な野心的な実験が行われており、一般にはグアテマラコスタリカに比べ劣ると言われていたニカラグアコーヒーのイメージが、完全に覆されました。現在では、国全体のクオリティーも年々底上げされて来ています。

その後も定期的に訪問し、UCC社員が出場する抽出競技会向けに特徴的なコーヒーを作っていただくなど、協力関係を継続しています。


UCC 農事調査室
主要原産地に出向き、コーヒーの栽培状況などを調査・研究しています。
担当
日比 真仁、中平 尚己、井上 隆裕 

生産地ごとのコーヒーを味わってみたくなった方へ
「UCCカフェメルカード」のご紹介

「UCCカフェメルカード」は、全国で22店舗(2023年1月現在)を展開しているUCCのコーヒー専門店です。お店のテーマは「MEET YOUR BEANS 私好みのコーヒーに出会う場所」

UCC直営農園産のコーヒーや、コンテスト入賞ロット、産地・農園指定のコーヒー、UCCの知恵と技術を駆使して創作するブレンドコーヒーなど、良質で個性豊かなコーヒーを幅広く取り揃えています。

年間通して、世界各国のコーヒーをお求めいただける店舗ですので、こちらの記事を読んで産地ごとの違いを味わってみたくなった方は、ぜひ店頭にも足を運んでみてください。コーヒー選びに迷っても、知識豊富なスタッフが丁寧にアドバイスしますよ!

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