眠くてたまらない時?リラックスしたい時?それとも食後の1杯に・・・?
そもそも私たちはどうしてコーヒーが飲みたくなるのでしょう。なぜコーヒーなのでしょう。
今回は、少し根幹的なテーマについて考えてみました。
日本人とコーヒー飲用
日本人が比較的頻繁にコーヒーを飲み始めるようになったのは、戦後の高度成長期以降とされ、人々の食生活が欧米化をたどる時期と重なります。
その後、時代の変化と共にコーヒーを飲む機会は増え続け、今日、日本人の一人あたりの年間コーヒー飲用杯数はおよそ370杯(ICO統計 2019年7月のデータより/コーヒー1杯あたり生豆10g換算)にも及びます。
推測ではありますが、そもそも日本人がどうしてコーヒーを飲むようになったのか、その背景を考えてみました。
日本人の食生活の変化
かつての日本人は、野菜つまり「カリウム」を中心とした食生活を営んでいました。人間は、体内のさまざまな機能のはたらきによって生命を維持している訳ですが、そのなかのひとつとして、カリウムとナトリウムが互いにバランスを保つことで、代謝をはじめとする体内細胞の浸透圧調整を行うといった重要なはたらきがあります。
身体は、カリウムを含む野菜を食べる時には、ナトリウムを必要とします。季節の野菜を食べていた頃の日本人は、味噌・醤油・塩で味付けすることで自然にナトリウムを摂取してきました。ところが戦後の高度成長期の中で、日本人の食生活は、それまでの習慣を大きく変え、欧米の食スタイルを受け入れたことによって、動物性タンパク質や脂質と併せてナトリウムを多く摂取する食生活に変わっていったのです。
コーヒーは「カリウム」
ここで注目したい点は、我らがコーヒーにはカリウムが多く含まれているという事実。
例えば、ナトリウムを多く含むステーキのような動物性高タンパク質の食事をした後でコーヒーが飲みたくなるのは、カリウムとナトリウムのバランスを整えようとする人間の生理的機能による、ごく自然な行動です。
食生活の欧米化でナトリウムを多く摂取するようになった身体にとって、1杯のコーヒーがカリウムを手軽に摂取できる都合のよい飲み物だったことは、私たち日本人が頻繁にコーヒーを飲むようになった理由のひとつと言えるかもしれません。
エチオピアの「塩コーヒー」
話は少しそれますが、「それなら、カリウムを含んだコーヒーに、ナトリウムである〝塩〟を入れて飲めばいいのでは…」なんて思った方はいませんか?
実はコーヒーの原産国でもあるエチオピアは、コーヒーに砂糖ではなく塩を入れて飲むことを習慣にしています。エチオピアを訪ねた人の話によると、彼らに砂糖入りのコーヒーを勧めてみても「小さい頃から、飲み慣れている塩の方がいい」という返事が返ってきたとか。
興味のある方は、エチオピア風塩入りコーヒーを一度試してみては?
あなたは「苦み」を欲していますか?
現代社会には、ストレスを引き起こす要因も多く、そのことは、人の味覚や嗜好にも大きな影響を与えていると言われています。
とりわけ、ストレスを感じると「苦いもの」を好んで口にする傾向があるとされ、人は、苦みをもつコーヒーを飲むことで、無意識のうちにストレスを解消しようとしているといった研究報告もあります。
もしも、「最近は、苦みの強い深炒りのコーヒーが好きだなぁ」なんて嗜好が変わってきていたら、もしかするとストレスが影響しているのかもしれません。
また、コーヒーは、時間や場所をあまり選ばず気軽に飲むことができるのも利点。加えて、様々な関連機器が登場して、淹れ方や飲み方も多岐に渡るようにななったり、コーヒーブームの中でカフェや焙煎店が増加したりするなど、気軽に飲める機会が増えたことも、私たち日本人とコーヒーの仲をより親密にしてくれたのだと思います。
コーヒーは現代人の良きパートナー
無意識にコーヒーカップへと手を伸ばしていたその背景には、「身体的バランス」や「精神的バランス」につながる、コーヒーの意外な力が存在しているのかもしれません。
コーヒーといった嗜好品は、生命維持に深くかかわっているわけではありません。しかし、私たちの精神衛生上、そして身体のバランスを整える上においても大事な役割を果たしてくれていることも、私たちコーヒーをよく飲むようになった理由ではないかと思います。
現代人のこころとからだを癒してくれるコーヒー。これからも、良き友、良きパートナーして、長--くお付き合いしていきたいものですね。