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コーヒーの2050年問題
サステナビリティ推進室の関根理恵は、「SDGs(持続可能な開発目標)」という言葉が広まる前の、2000年代初頭からUCCの環境への取り組みを牽引してきた第一人者。そんな関根が考える、人と地球とコーヒーの“より良い未来”とは―。
コーヒーは世界中で飲まれているグローバルな飲み物です。私も、ひとりの消費者として毎日飲んでいますが、30年後にはいつでもどこでも容易に飲めなくなってしまうかも…と言われています。
いわゆる「コーヒーの2050年問題」です。
「コーヒーの2050年問題」を簡単に説明すると、「コーヒーを代表する種であるアラビカ種のコーヒー栽培に適した土地が、地球の温暖化などによって 2050年までに半減してしまうだろう」という予測のこと。
世界全体の生産量のうち、およそ6割程度がアラビカ種と言われていますから、このコーヒーの生産量が半減するということは、消費者にとっても大きな関心事ですし、コーヒー生産者にとっては生活に直結する大問題でもあります。
コーヒーをサステナブルに楽しむために
この問題をなんとか解決しなくては、とUCCは真剣に考えています。
私は、もともとは総務部の配属だったのですが、ある時、UCCに環境を担当する部署がないことに気づきました。「企業としてせっかくいろいろな努力や工夫をしているのにもったいないなあ」との思いで提案をしたら、その翌年から、言い出しっぺが環境問題を担当することになりまして(笑)、2002年から環境問題に携わっています。
今、コーヒー産業が抱える大きな課題解決に向けてチャレンジできるということは、身が引き締まる想いです。
そもそも、私たちが日本でおいしいコーヒーを飲めるのは、良質なコーヒー豆の栽培にいそしむ生産国の方々がいるお陰です (コーヒー豆のほとんどが、赤道を中心とした“コーヒーベルト”と呼ばれる地域で栽培されています)。
つまり、生産地域の気候変動や、経済的な理由などで生産農家の方々がコーヒー栽培を持続できなくなってしまったら、世界中でいつでもどこでもコーヒーを楽しむ習慣や文化そのものが無くなる可能性もあると思っています。
「コーヒーの力で、世界にポジティブな変化を」
UCCは、コーヒー産業全体の未来を見据え、昨年2021年に会社のパーパス(存在意義)などを一新しました。同時に、私たちサステナビリティ推進室が中心となってUCCグループのサステナビリティビジョンの見直しを行い、「コーヒーの力で、世界にポジティブな変化を」というビジョンを掲げました。
この明確で力強いビジョンのおかげで、私たちの将来に向けての目標を明確に示すこともできたと思っています。
こうした取り組みは、UCCグループの、そしてコーヒー産業のサステナビリティを守るため、あらゆる活動を実直に行なっていくという宣言に他なりません。
UCCがこれまで取り組んできたこと
振り返ると、私は2002年からUCCの環境問題に携わっていますが、担当になったばかりの頃は知識もまったくなく、先進的な活動をされている企業をリサーチしては担当者に直接話を聞かせてもらったり、UCCの各工場を訪問し、廃棄物に関する取り組みを一から教わったりというようなことからスタートしました。
現在、海洋プラスチックが問題視されていますが、製品のパッケージにバイオマスプラスチックを採用したのもUCCが業界初の試み(2006年)でした。
また、UCC群馬工場から排出されるコーヒー抽出かすの一部を肥料化して、それを活用して栽培された農作物を群馬県の野菜直売所で販売するという流れは、「食品リサイクルループ」として、農林水産大臣、環境大臣に認定(2017年)されましたが、これは国内コーヒー製造業界初の取り組みでした。
関根が「このほかにも、地域の環境美化のお手伝いなどを含め、ご紹介したい取り組みはまだまだたくさんある!」と言うほど、UCCは環境に関する取り組みを多岐にわたって実現してきました。
UCCは、次世代教育にも力を入れています
あるとき、栽培から一杯のコーヒーに至る私たちの様々なサステナブルな取り組みが、子どもたちの教育に活用できるのではとの思いに至りました。
1年以上の検討を要しましたが、コーヒーを通じてサステナブルな取り組みについて考える中学・高校の先生向けにご提供する教材を作りました。これは今でもご希望の方にご提供をしています。
また、コーヒーは、SDGs全般に関わる身近なものなので、小学生から大学生に向けたオンラインセミナーも開始しました。いずれも好評で、とても嬉しく思っています。そして、彼らの学びは年々深化していて、若い世代がとても積極的なので背中を押される気持ちです。
「サステナブルな取り組みは大切だけど何をしたら良いか分からない」という方がいらっしゃいます。確かに考えると難しいのですが、大人の方はすでにさまざまな経験の中で、知っていることがたくさんありますから、その知っていることや興味のあることを軸に深掘りする、一歩踏み出すと、新しいサステナブルな世界が見えてくると思っています。余り迷いすぎず、一歩を踏み出してみて欲しいと思っています。
「あらゆる手を尽くして目標達成する覚悟です」
未来に向けての取り組みは、次世代に向けた教育以外にも多々あります。それは、「2050年問題」を見据えたいくつかの目標設定です。
そのひとつが、「 2030年までに自社ブランドを 100%サステナブルなコーヒー調達に」です。
決して簡単な目標ではありませんが、単なる努力目標で終わらせず、着実に取り組んでいきます。
もうひとつは、気候変動に関わる目標 「2040年までにカーボンニュートラルの実現をする」です。
UCCは、2024年に稼働予定の新工場「UCC山梨焙煎所」が積極的に再生可能エネルギーを活用することを発表しましたが、カーボンニュートラルの目標を達成するには、コーヒーの生産、物流、販売に関わるすべてのサプライヤーと協力する必要があり、こちらもかなりチャレンジングな取り組みです。
私の所属するサステナビリティ推進室は、直接的なアクションができるわけではありませんが、あらゆる手を尽くし、知恵と工夫を凝らし、生産国と共に、UCCグループの皆さんと共に、目標を達成する覚悟です。これからの私たちの取り組みにどうぞ期待をしてください。
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UCCのサステナビリティ
これはわたしがいつも愛用しているマグカップです
コーヒーは、とても不思議な存在と思っています。単に喉を潤すだけの飲み物ではなく、やる気にさせてくれたり、ホッとしたり、喜びや楽しさ、時には悲しさや寂しさにも寄り添える飲み物だと考えています。写真のマグカップは、日頃私が使っているものです。高価なものではありませんが、私の日々の気持ちを理解してくれている器だと思っています。
あなたの心に残る、最高のコーヒーは?
タイの「ドイ・チャン・アマレロ」。このコーヒーは、創業80周年の時に、UCCコーヒーアドバイザーが世界中から80種類のコーヒーをお届けするという企画があり、私がご紹介したのがこのコーヒーでした。当時は製品開発の一端を担うことができたのがとても嬉しく、沢山購入し配ったことを思い出します。
ドイは「山」、チャンは「象」の意味を持つこのコーヒーは、コーヒーの実が美しい黄色に熟すアマレロという珍しい品種。初めて飲んだ時の穏やかな酸味と上品な甘味が印象的でした。
サステナビリティ推進室 課長 関根 理恵(せきね りえ) 1989年、UCC上島珈琲株式会社に入社。環境担当、CSR担当を経て、2020年1月からUCCホールディングス株式会社 サステナビリティ推進室に着任。UCCコーヒーアドバイザー。 (部署名・役職は取材当時の情報です)
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