「コーヒー豆の名前ってどう付けられているの?」教えて、コーヒーアカデミー! | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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「コーヒー豆の名前ってどう付けられているの?」
教えて、コーヒーアカデミー!

店頭に並ぶコーヒーの名前って、聞き馴染みのない単語がたくさん並んでいて戸惑ってしまう、という方も多いのではないでしょうか? 
たくさんのカタカナで読みにくかったり、お店によって違ったり、無限にあるように思えてしまうコーヒーの名前。実は、名付け方に明確なルールはありません。よく使われるのは国名や港名、山の名前など。またいわゆる「スペシャルティコーヒー」の場合、詳しい出自がわかるように命名されているものも。あなたが飲んでいるコーヒーはどんな名前でしょうか。
まずはよく目にするものから、その由来をご紹介します。

港、山、産地。世界を感じるコーヒーの名前

港の名前から

港の名前を使っているコーヒーの代表的なものが「モカ」です。エチオピア産とイエメン産の一部のコーヒーが「モカ」と呼ばれるのですが、「モカ」はもともとイエメンにある港の名前。モカ港まで運ばれて輸出されていくことから、港の名前がコーヒーの名前に使われるようになりました。

「サントス」もまた港の名前です。「サントス」はブラジルの中でも最大の貿易港で、コーヒーの80%近くがそこに集められ輸出されていき、そのコーヒーに「サントス」という名称がつけられています。

山の名前から

山の名前を使っているコーヒーの代表的な例は「キリマンジャロ」です。厳密にはタンザニアのキリマンジャロ連峰で採れる豆のことですが、それがもう少し広い範囲に使われるようになり、今は、タンザニア産のアラビカ種のコーヒーを「キリマンジァロ」と呼んでいます。

日本で愛されているコーヒー「ブルーマウンテンコーヒー」も、ジャマイカにある山脈の名前ですね。ブルーマウンテン山脈の内側にある標高およそ800〜1200mのエリア。ここで栽培される豆の中でさらに上質なコーヒーだけが「ブルーマウンテン」と呼ばれます。

産地の名前から

「コロンビア」「グアテマラ」「コスタリカ」などは、生産国名がそのまま使われている例ですが、もう一段詳しく、産地の名前が使われていることもあります。
例えばグアテマラは大きく分けて8つの生産地域があるのですが、「ウエウエテナンゴ」などは、そのエリア名です。つい口にしたくなるような面白い語感ですよね。

国ごとに表記の違う「コーヒーグレード」も名前に

コーヒー豆のグレードが、名前に組み込まれていることもあります。たとえば、「コロンビア スプレモ ナリーニョ」という名前のコーヒー豆。これは「国名(コロンビア)、グレード(スプレモ)、エリア名(ナリーニョ)」を表しています。

何を基準としてどうグレードづけをするか、ついたグレードをどう呼ぶかは、国によって違います。最上級を示す表記に、タンザニアは「AA」、グァテマラは「SHB」(ストリクトリー・ハード・ビーン)などのアルファベット、コロンビアは「最高」を意味する「スプレモ」という言葉を使います。ブラジルでは「No.2」、「No.3」などの数字です。
ちなみにブラジルには「No.1」がありません。これは「欠点豆がゼロというのは非現実的」という観点からなのだとか!

スペシャリティコーヒーの名前からは、いろいろなことが見えてくる

「スペシャルティコーヒー」とは、際立った風味をもち、トレーサビリティが明確なコーヒーのこと。これらのコーヒーの名前には、品種や農園、精製方法などが使われることがあり、そこから豆の特徴を推測することができます。お米に例えると、「新潟産コシヒカリ ●●農園◯年度産」というように、名前にいろいろな情報が入っているのと似ていますね。

品種の名前から

たとえば品種の名前。最近では「ブルボンポワントゥ」や「ゲイシャ」などが知られるようになってきました。もともとコーヒーは、コーヒー属アカネ科の植物で、栽培種としては100種類以上ありますが、そのうち飲用されているのは、数種類ほどしかありません。そのうちの2つが、2大品種と言われることもあるアラビカ種とカネフォラ種です。その中でまた枝分かれして、「ブルボン」や「ゲイシャ」は、いずれもアラビカ種の中の1つということになります。

ちなみに「ゲイシャ」は、日本に関係ある豆ではなく、エチオピアにある「ゲシャ」という地名からついた名前です。ゲシャビレッジ(村)にある原生林のような場所に残っていた豆だったので、現地の人たちは気にも留めていなかったそう。でもそれをたまたまパナマに持ち込んだところ、気候との相性がよく、とてもフルーティーなコーヒーが生まれました。それが数年前にパナマで当時過去最高額で落札され、「すごくおいしいコーヒーだ!」と世界中に知れ渡ったのです。

農園・標高・精製方法も

スペシャルティコーヒーには、農園の名前や、標高の具体的な高さ、精製方法が入ることもあります。
精製方法とは、収穫したコーヒーの実からタネを取り出し、乾燥させ、生豆という状態にするまでの工程のことです。そのまま天日干しにして、乾燥させてから外の果肉を取る「ナチュラル」、水で洗って果肉を取りのぞき、タネだけ乾燥させる「ウォッシュド」、果肉のついた状態で樽に入れ、空気に触れさせずに発酵させる「アナエアロビック」や、果肉除去後に1次乾燥、脱穀、2次乾燥させる「ハニープロセス」などの…などの方法があります。

名前を見ながら、コーヒー選びを楽しんで!

知れば知るほど奥深い、コーヒー豆の名前。歴史やエピソードなど、ちょっと調べてみるだけで発見がいっぱいです。山や農園の風景、港のざわめきなどを想像しながら、旅するような気持ちでコーヒーを選んでみるのも楽しいですね!


今回おしえてくれたのは・・・

 川口 雅也 Masaya Kawaguchi
 UCCコーヒーアカデミー講師。下記資格を保有し、東京校にてコーヒーの啓蒙に努めている。
 ・UCCコーヒーアドバイザー
 ・UCCコーヒー抽出士
 ・UCCコーヒー鑑定士
 ・(ブラジル)コーヒー鑑定士
 ・(アメリカ)CQI認定Qアラビカグレーダー 
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