ハワイからコーヒーの魅力を伝えたい [COFFEE CREATOR’S FILE 07 小林司] | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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ハワイからコーヒーの魅力を伝えたい [COFFEE CREATOR’S FILE 07 小林司]

「一杯のコーヒーができるまで」…そこにはUCCのコーヒークリエイターたちの「おいしい事実」があります。

直営農園で育てるコナコーヒー

ハワイ諸島の中でもっとも大きなハワイ島(通称ビッグアイランド)の西部、コナ地域にはUCCの直営農園があります。そこでゼネラルマネージャーとして活躍しているのが小林司。直営農園や焙煎工場の管理だけでなく、併設する店舗の運営、周辺農園からの豆の買い付け、さらには新製品の開発まで、さまざまなアプローチでコーヒーに向き合う小林が語る農園運営の奥深さとは―

いま私が働いているUCCハワイの事業所では、約40エーカー(東京ドーム約3.5個分)の畑に約2万本のコーヒーの木が植えられています。世界の一般的なコーヒー農園と比べると小さいほうですが、コナ地域では中規模以上で、年間の平均収量は100袋(約4.5トン)ほど。

収量は決して多くありませんが、ここ「UCCハワイ コナコーヒー・エステート」は、すこしユニークな農園です。というのも、UCCの直営農園として、最新の試験的取り組みを行ってコーヒーの育成に関するさまざまなデータを蓄積するだけでなく、一般の方に向けては「農園見学ツアー」を行うなど(多い年では年間2万3000人以上が来園)、いくつもの“顔”を持った農園なのです。

農園があるコナ地域は、ハワイ島の西側、なだらかなフアラライ山の裾野に広がるエリア。ここで「ハワイコナコーヒー」が育てられています。

私が言うと手前味噌ですが、本当にきれいに管理されている農園で、着任して初めて来たときは感動しました。農園の向こうにはコナの街が一望にできて、その向こうにはハワイの青い海。とくに、たわわに実ったコーヒーチェリーが真っ赤に色づく9月頃から数ヶ月の間は絶景です。

開園は1989年。UCCではジャマイカの農園(UCCブルーマウンテンコーヒー・クレイトンエステート)に次ぐ2番目の直営農園です。実は私も1989年生まれなので、農園には私と同じ年の木がたくさん植えられています。

ゼネラルマネージャーとして

私がUCCハワイのゼネラルマネージャーとして着任したのは2019年。仕事内容は多岐にわたります。多くのお客さまにUCCのコーヒー作りを実際に見ていただける農園として、美しい景観を保つための努力は欠かせませんし、UCCの広告塔として、コーヒーの栽培から工場での精製・焙煎に至るまでさまざまなこだわりを情報発信していきたいと考えています。

もちろん、農園としてより多くのコーヒーを収穫できるように試行錯誤を繰り返すことも大切ですので、最先端の技術を取り入れながら、日々、コーヒー栽培に関するデータ収集なども行っています。

研究室から農園へ

ハワイに異動になる前は、神戸のR&D(イノベーションセンター)で、研究員としてコーヒーの成分分析などに携わっていた小林。学生時代には北海道でジャガイモの生育に関する研究を行っており、「入社試験の時にも『UCCの農園に興味がある』と伝えていました」。その熱意を買われての異動でした。

白衣姿で研究室にいた人間がいきなり農園に来たので、最初は戸惑いもありましたが、いまの仕事にはとてもやりがいを感じています。

もともと農学部の出身ということもありますし、私の祖父が長野県で農家を営んでいたこともあって、実は子どもの頃から将来は農業に関わりたいと思っていたんです。

研究者であれば当然データがすべて。でも、農園の仕事はそうじゃない。頭で計算して答えが出ていても、収量や味わいなどは天候などに左右される部分もありますし、ひと筋縄にはいかないのもいろいろと挑戦する甲斐があります。

7割ほどに減った収量が倍増

農園で仕事をしてみて実感したのは、コーヒーは本当に繊細な作物であるということ。ちょっとした気候の変化でその年の収量も変わってきます。

私が就任した年は、収量が例年の7割ほどに減ってしまい、その原因を探りました。思い当たった原因のひとつが、コーヒーベリーボーラー(CBB)という、コーヒーの実に穴を空けてしまう害虫の存在です。

「コーヒーの実が熟すのと同時に、指数関数的に増えていく虫の被害を最小限に止めるのはどうすれば…」

小林が選択した方法は、まだコーヒーの実が青いうちに見つけた虫を徹底的に駆除するというものでした。

CBBは米粒より小さい虫なので、見つけるのも大変なんですが、虫に食われた実を見つけたらひとつひとつ手で摘み取るという地道な作業をスタッフ総出で行ったんです。それが功を奏したのか、着任3年目には収量が初年度から倍増しただけでなく、今まではほとんど採れなかった「エクストラファンシー」という最上級のグレードの豆が全体の15%も採れて本当に嬉しかったです。

農園でデータを蓄積する

農園の管理は、もちろん私ひとりでできるものではありません。私が着任する前から働いている熟練スタッフの知識や技術、それからUCCの「農事調査室」の的確なアドバイスも欠かせないものです。

たとえば、収量を上げるためにできることは何か。サビ病などの病害やCBBなどの害虫被害には、どう対処すればいいのか。現在は農園を8区画に分けて管理していますが、農事調査室とタッグを組んで、エリアごとの収穫量や施肥量、病虫害被害の程度といったデータを蓄積し、日々の農園管理計画に反映させています。このようなデータは周辺の契約農家さんとも共有していきたいですし、いずれは他の生産国でも使える情報をまとめたいと思っています。

コーヒーを“体験”として共有するということ

私たちの農園では、「農園見学ツアー」や「焙煎体験ツアー」を行っています(詳細はUCCハワイのホームページにて。オンライン予約可)。私もガイドとして同行するのですが、新鮮な驚きを持って感動しているお客さまの顔を見るのが大好きです。

「コーヒーって、木になるフルーツなんだ!」
「赤い実は舐めると甘いんだね」

時には「知識が深まって、コーヒーがよりおいしくなりました」というコメントをもらうこともあって、すごく励みになります。「少しはコーヒー文化に貢献できているのかな」と感じる瞬間です。

未来を見据えた農園づくり

農園のコーヒーの木は20〜30年で植え替えが必要と言われています。100歳になっても実をつける木はありますが、放っておくと農園全体が老齢化してしまうので、収量が落ちた老木は若木と植え替えていかなければなりません。

植え替えの際の土壌改良は私たちの仕事の柱のひとつなのです。しかし、これが大変な重労働。なぜなら、コーヒー農園が広がるコナ地域は、地面を少し掘れば、非常に硬くて厚い溶岩の層になっているからです。開園当初はダイナマイトを使って、溶岩を壊して整地していたそうです。

(重機を使った農地整備の様子。1993年撮影)

ハワイ島はキラウエアなどの活火山があることでも知られていますが、コナ地域を麓に抱えるフアラライ山も火山です(最後に噴火したのは1801年)。ミネラルを多く含む溶岩台地は、コナコーヒーの味わいにはプラスに働いていると言われているものの、溶岩自体はコーヒーの木の生育にはいわば邪魔物で、老木を若木と植え替える際にもやっかいな存在です。

そのため、私たちは、植え替えの際に、溶岩の層を重機できれいに取り除き、枯れたコーヒーの木などから作った堆肥をすき込んでいます。農園の2万本の木をすべて植え替えるには20年以上かかる計算ですが、私が着任してから植え替えた木は今シーズンから収穫が期待できるので今から楽しみです。

さらに新しいチャレンジを

UCCハワイに異動して、それまでの研究職とは仕事の内容が大きく変わりましたが、不思議な縁だなと思ったことがひとつあります。

昨年、新しい取り組みとして、いわゆる「ハニープロセス」と呼ばれる方法で精製したコーヒーを発売しました。「精製」とは、コーヒーの実から取り出した種の部分を生豆(なままめ)と呼ばれる焙煎前の状態にすることです。一般的なコナコーヒーの精製方法では、果肉除去の際、コーヒー豆をきれいに水洗いしますが、「ハニープロセス」は、コーヒー豆の周りに付いた果肉をあえて少し残したまま乾燥させます。そうすることで、ハチミツを思わせるほんのりと甘い味わいのコーヒーになるのです。

こちらの店舗でも評判がよく、日本にも少し輸出することができて、私も満足だったのですが、実は、このコナ産のハニーコーヒーは私が研究員だった時に成分分析を担当していたものでした。「研究室で扱っていたコーヒーを、いまハワイで栽培して、製品にできた」。そう思うと感慨もひとしおでした。

ハワイに来て3年。当初は環境の違いに戸惑いもありましたが、いまは自分が仕事でしたいことが明確になりましたし、ハワイで得た物は大きいなと感じています。今後もいままでの経験をもとに、ここハワイでさらに新しいチャレンジができればいいなと思っています。

愛用のコーヒーグッズは

温度設定が可能な「ボナビータ」の電気ケトル。一般的にコーヒーは92~93℃のお湯で抽出するのを推奨されますが、コナコーヒーは抽出効率がいい(同じお湯の量でも味が濃く出やすい)ので、私は90℃に設定しています。コナコーヒーを美味しく飲むコツのひとつだと思っています。

心に残る、最高のコーヒーは?

UCCハワイに着任したその日に飲んだアイスコーヒー。いかにもハワイらしい青い空と広々した農園を眺めながら飲んだ、キンと冷えたアイスコーヒーが忘れられません。「これからがんばるぞ」というやる気を起こさせてくれる一杯でした。

UCCハワイ ゼネラルマネージャー
小林 司(こばやし つかさ)
2014年入社。国内主幹工場である富士工場、滋賀工場にてレギュラーコーヒー、飲料製品の製造を経験。その後、研究部門であるイノベーションセンター(現在のR&D本部)に着任し、基礎研究を中心とした研究開発業務を経験。2019年にUCCハワイへ異動。

(部署名・役職は取材当時の情報です)

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