“ちょっと”の工夫でコーヒーをもっと魅力的に[COFFEE CREATOR’S FILE 11 清水美保] | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

My Coffee Style MAGAZINE

“ちょっと”の工夫でコーヒーをもっと魅力的に[COFFEE CREATOR’S FILE 11 清水美保]

「一杯のコーヒーができるまで」…そこにはUCCのコーヒークリエイターたちの「おいしい事実」があります。

「もっとコーヒーに関わる仕事がしたい」

UCCコーヒーアカデミーの講師陣は、店舗でコーヒーを淹れていた者や抽出競技会の出場経験者、コーヒー機器の専門家など、コーヒーを淹れることに関するプロが揃っています。そんな中、事務職に就きながらコーヒーアドバイザーの資格を取り、その後、営業職を経て講師になったという異色の存在が清水美保です。

「むしろ私は、バリスタとしての実地経験がないからこそ、受講生の皆さんの目線で一緒にコーヒーを楽しめるのが強みかもしれませんね」。清水が語るコーヒーの魅力とは——。

私はUCCに入社してから長い間、コーヒーを自ら焙煎する企業や業務店などへ生豆を卸す部署で働いていました。おかげで生豆に関する知識は増えていきましたが、事務方として働いていましたので、仕事で直接コーヒー豆を扱うことはありませんでした。コーヒーはずっと“飲む専門”だったんです。

でも、2000年にUCCコーヒーアドバイザーという社内制度ができてから、周りにもアドバイザーの資格を取る方が増えてきて、「私にもできるかな、いつか挑戦してみたいな」と思うようになりました。デスクワークをしながら、「もっとコーヒーのことが知りたい、もっとコーヒーに関わる仕事がしたい」と考えていたんですね。

UCCコーヒーアドバイザーとは、コーヒーにおける全般的な知識と実務を体系的に習得し、コーヒーのプロとして、UCCのパーパス・バリューを体現した社員を育成することを目的に始まったUCC独自の資格制度。コーヒーに関するあらゆる知識が求められ、筆記試験と実技試験で規定の点数に達した者が合格者となります。

UCCコーヒーアドバイザーになることを目指して本格的にコーヒーの勉強をはじめた清水ですが、毎回わずか3〜5%という超難関の合格率を前に、努力する日々が始まりました。

朝7時すぎからコーヒーの勉強

ですから、社内の勉強会にも積極的に参加するようにもなりました。同じように資格取得を目指す人たちと始業前に集まって、朝7時すぎから会議室などで勉強です。終業後に勉強会をすることもありましたが、みんなとても熱心なので刺激になりましたし、わからないことがあれば、先に合格してUCCコーヒーアドバイザーの資格を持っている先輩方が親切に教えてくれました。

おかげさまで2012年、試験に合格。その後はコーヒーの知識を活かして、営業職として5年間働きました。

“抽出士”として学んだこと

2018年1月からはUCCコーヒーアカデミー講師として働きはじめた清水ですが、同年12月には、UCCコーヒーアドバイザーと同じくUCCの社内制度である“抽出士”の資格も取得しました(抽出士は、UCCコーヒーアドバイザーの中から毎年数名が選ばれ、研修に臨む資格制度。2004年にスタートし、22年11月の時点では29名の有資格者がいます)。

抽出士というのは、あまり聞き慣れない言葉ですけれども、コーヒーの抽出条件の違いによって味や香りがどう変わるのかを論理的に知り、適切な方法でおいしいコーヒーを淹れられる人のことです。

この資格を取るには、実際に抽出方法などの違いなどによって味が変わることを覚えることが必要なので、約2ヶ月間の研修を受けます。抽出の世界大会でチャンピオンになった社外のバリスタの方に直接指導していただいたり、コーヒーだけでなく日本茶や紅茶のことも学んだり。イタリアやアメリカでの海外研修もあるので、候補に選ばれた時はすごくうれしかったのですが、いざ始まってみると、これが想像以上に大変でした。

イタリアの研修では、まずエスプレッソマシンのマルゾッコの工場でトレーニングを受けて、その後に、フィレンツェ、ナポリ、ミラノ、ローマ、ヴェネツィア……とそれぞれの街のカフェでコーヒーを飲み比べていきます。1日でカフェを8、9軒巡るのですが、1軒のお店で10品近くのコーヒーを試飲するんです。ほんとにハードな研修でしたが、ずいぶん鍛えられました。

海外研修に行く前には、日本でのショップ研修もありました。UCCの直営店で実際にお客さまにお出しするコーヒーを淹れるのも私にとっては初めての経験でしたので、かなりのプレッシャーだったのを憶えています。「お店でコーヒーを出すのはこんなに大変なんだ……」と改めて勉強になりましたし、頼りない私を心配してくれたのか、先輩や同僚がわざわざお客さんとしてこっそり励ましに来てくれて。仲間の大切さを知った研修でもありました。

現在、UCCコーヒーアカデミーの講師陣の中で、清水しか持っていない資格があります。それは「アクアソムリエマイスター」という水に関する社外資格です。

一人前の“抽出士”になるために

コーヒーの抽出を突き詰めていくと、やっぱり水のことが気になってきます。コーヒーの成分は98〜99%が水ですので、水が違えば当然コーヒーの味も変わってくるわけです。軟水で淹れると口当たりの柔らかいコーヒーになりますし、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを多く含む硬水で淹れれば、キリッとした喉越しで深い味のコーヒーになります。

軟水と硬水、どちらの水がいいというわけではないのですが、抽出士としてはコーヒー豆に関する知識や抽出のスキルを磨くだけでなく、水にもこだわっていきたいと思っています。

コーヒーアカデミー講師として大切にしていること

清水は、いま、UCCコーヒーアカデミーで、抽出したコーヒーのカッピングやマナー、フードペアリングなどについて教えています。講師として大切にしているのは、「できるだけわかりやすい説明を心がけて、コーヒーに対するハードルを下げること」だと言います。

コーヒーの味や風味を評価するカッピングなども、あまり難しく考えずに、たとえばコーヒーの味や香りを身近なものに例えてみることが大事なのかなと思います。コーヒー豆はコーヒーの実の種なので、「これはオレンジやリンゴの味に近いな」とか「アーモンドの味に近いな」とか。そうやって普段から少しずつ引き出しを増やしていくことで、コーヒーの味もだんだん立体的に捉えられるようになっていくはずです。

また、「ちょっとした工夫でコーヒーはもっとおいしくなりますよ」ということもお伝えしていきたいですね。いつものコーヒーと“ちょっと”だけ粒度を変えてみるとか、お湯の温度を“ちょっと”だけ変えてみるとか。わずかな変化でコーヒーの味は大きく変わることもあります。そうしたコーヒーの奥深い世界を受講生のみなさんと一緒に楽しめればいいなと考えています。

愛用のコーヒーグッズは

ハリオのネルドリップ用ポット。「家でコーヒーを飲むときは、ネルで淹れることが多いですね。ネルドリップは目の細かいペーパーフィルターより油分が抽出されやすいので、口当たりがまろやかでコクのある味になります。ネルの手入れがすこし面倒ですが、休日の朝の一杯は格別です」。

心に残る、最高のコーヒーは?

「タンザニア マサマキリマンジァロ キボ・キカフ農園」のコーヒー。「事務職だった頃に同僚と上司の3人で出場した社内の抽出大会『UCCコーヒーマスターズ』で使用したコーヒーです。成績はさんざんでしたが(笑)、思い出深いコーヒーです」。

UCCコーヒーアカデミー講師 
清水 美保(しみず みほ) 
1989年の入社以来、海外貿易を担当する部署やコーヒーの生豆を販売する部署で事務職を任されていたが、2012年にUCCコーヒーアドバイザーの資格を取得。その後、コーヒー抽出士、CQI認定Q グレーダーの資格も取り、2018年から現職。UCCコーヒーアカデミーでは、「ベーシックコース」、「プロフェッショナルコース」の両方を担当する。常に受講生の目線に立って、わかりやすい言葉で教える姿勢に定評がある。 

(部署名・役職は取材当時の情報です)

UCCの「おいしい事実」
COFFEE CREATION スペシャルサイトへ


今すぐおいしいコーヒーを淹れたい!と思ったら…

UCCの人気商品のほか、コーヒーに関連するアイテムが勢ぞろい!
ポイントもたまっておトクにお買い物できる「UCC公式オンラインストア」へぜひアクセスしてみてくださいね。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: bnr04-1024x427.jpg
UCC公式通販サイトはこちら UCC ONLINE STORE
Verified by MonsterInsights