UCCコーヒーアカデミー講師陣の中でも随一のコーヒーツール好きという今田は、電気工事士の資格も持つ異色の存在。「自宅にもエスプレッソマシン以外のツールはほぼ揃っています」。そんな今田が目指す理想の“コーヒー人”とは。
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お気に入りのコーヒーミルを抱いて寝てしまうことも
コーヒーは飲むのも淹れるのも好きなのですが、昔からコーヒー関係の道具が大好きで。今はミルだけでも家に10台近くあります。
ドイツ製のコマンダンテやイタリア製のマッツァといった高級品はもっぱら観賞用ですけど、手に持ってハンドルをくるくる回しているだけで幸せな気持ちになれるというか。寝室まで持っていって、コーヒーミルを持ったまま寝ていたこともあります(笑)。
実家は長野県松本市のスイカ農家だという今田。子どもの頃から農機具をいじったり、修理したりするのが得意な少年だったとか。
その延長なのか、UCCに入社後は「もっとおいしいコーヒーを淹れるにはどんな道具を使えばいいんだろう」と試行錯誤しているうちに、コーヒー関係のツールがどんどん増えてしまった感じです。
“コーヒー好き”はブラジルに移住した親戚がきっかけ
最初にコーヒーに興味を持ったのは叔父の影響です。父の弟が、私が子どもの頃にブラジルに移住しまして。その叔父が向こうから送ってくれたお土産の中にブラジル産のコーヒーが入っていた。
最初は「うわっ、苦い!」というだけだったのが、そのうちに「おいしい」と感じるようになって、コーヒーは若い頃から身近な存在でした。
ですから、後にコーヒー鑑定士の研修でブラジルに行って広大なコーヒー畑を目の前にした時には、「ああ、やっと来られた」と感慨深かったです。
前職は電力会社や運送会社で働いていた今田。UCCに入社後は、営業マンとして地元の長野や仙台などの支店で働きながら、コーヒーへの知識と情熱を深めていきます。
海外研修で改めて気付かされたこと 「コーヒーは農作物だ」
もともと人と話すのは好きなので、得意先のお客様とコーヒーの話をいろいろとするじゃないですか。
そうすると、独学で勉強していても、やっぱり知らないことや分からないことが出てくる。だからまた勉強する。知識が増えると、お客様との会話もぐっと広がるんですね。コーヒーって、知れば知るほど楽しくなるんです。
そんな時に「UCCコーヒーアドバイザー」という社内資格ができまして。実技と筆記があって、合格率は2〜3%という難しい試験なんですが、2010年に6度目の正直で合格しました。
コーヒー鑑定士の研修でブラジルへ行ったのは2018年です。私は実家が農家なので、当然、「コーヒーは農作物だ」という認識はありました。もしかすると他の人よりも強く思っていたかもしれません。
でも、違ったんです。実際に生産国を訪れて、畑や工場を見て、農場で働く人たちと話してみて、自分がいかにコーヒーのことを知らなかったか気づかされました。それまでは「おいしいコーヒーを淹れるにはどうしたらいいか」という側面からしかコーヒーを見てなかったんですね。
もちろん勉強も大事です。でも、生産現場の過程を実際に知ることでコーヒーに対する考え方も変わりました。見方が広くなったというか、もっといろんな角度からコーヒーのことを知りたいと思うようになったんです。
その後、今田は2021年から、UCCコーヒーアドバイザーを育成する側に。
コーヒーをより楽しく、よりおいしく。
コーヒー人の裾野を広げるために
現在は、UCCコーヒーアカデミー講師として、UCCコーヒーアドバイザーの試験問題を作ったり、コーヒーについてより詳しく語れる社員を支援する役目も担っています。
UCCコーヒーアドバイザーはUCCグループの社内資格です。資格に合格した人は“UCCの顔”であり、業界を支えていく“コーヒー人”だと考えています。
UCCコーヒーアドバイザーは現在、私を含めて約140名ほど。でも、試験に合格することがゴールではありません。むしろスタートラインなんです。その先にはまだまだ広いコーヒーの世界があるんです。
私もまだまだ勉強中の身ですが、今後もUCCコーヒーアドバイザー同士の横のつながりや連携を支えていきたいと思っています。やりがいと同時に責任も感じる仕事です。
でも、これはいつも感じていることですが、コーヒーってやっぱり楽しいんです。道具をいじっている時も楽しいですし、同じ豆を同じように焙煎しても淹れる人が違えば味も変わってくる。そんな繊細なところも楽しい。
これからも「コーヒーという飲み物が好きだ」という人の裾野を広げていけたら幸せだなと思っています。
愛用のコーヒーグッズは
コマンダンテやマッツァのコーヒーミル
コレクションの一部。青いコマンダンテ(写真右)は、パーツを交換して世界で一つのコーヒーミルに。車好きな今田らしく、ミニカーがアクセントに。「コーヒーは楽しく作らないと」という言葉通り、遊び心と実用性を兼ねた一台。
心に残る、最高のコーヒーは?
営業職時代に仙台の得意先で飲んだネルドリップのエチオピアが忘れられません。店主が気に入った豆を小ロットで仕入れて、丁寧に焙煎してくれるお店なのですが、ドリップの香りがフワーッと立った瞬間に感動して、思わず「これは申し訳なくて飲めない」と唸ってしまったほど。
UCCコーヒーアカデミー講師
今田束(いまだ たばね)
2006年入社UCCコーヒーアドバイザー。営業職として松本支店、長野支店、仙台支店などを歴任。2010年、営業部時代にUCCコーヒーアドバイザーの資格を取得。その後も、コーヒー抽出士、ブラジルコーヒー鑑定士、SCAJ認定コーヒーマイスター・フードコーディネーター3級など、次々に資格を取得。2021年より現職。
(部署名・役職は取材当時の情報です)