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生姜の香り豊かな『神話の月』(桂月堂)
今回ご紹介するのは、島根県「桂月堂」の『神話の月』です。形もまんまるですが、光に透かしてみると色も満月のようでとてもきれい。砂糖のコーティングをジャリッとかじると、中の錦玉から生姜の香りが立ち上り、口からお菓子が消えた後も心地よい清涼感が長く残ります。透かしたとき月の模様のように見えた北海道の希少な白小豆も、ぽくぽくした食感で楽しませてくれます。

このお菓子の故郷は島根県松江市。「桂月堂」は1809年(文化6年)に中原町にて創業された210年以上の歴史を持つ老舗です。創業者は因幡屋太郎右衛門氏。
屋号は文筆家の大町桂月が松江を訪れたことにちなみ、1904年(明治37年)に「因幡屋」から「小西桂月堂」へ変更され、さらに1972年(昭和47年)に「桂月堂」となりました。1916年(大正5年)からは天神町に本店を構え、今も11代目にあたる小西伸明さんのもと、古くから受け継がれた手技、こだわりの素材、「創意と熱意と人の和で」の精神を大切に、和菓子作りを続けています。
その「桂月堂」から『神話の月』が生まれたのは20年ほど前。島根県の限られた場所でしか栽培されない「出西生姜」を使ってお菓子を作り、全国にお届けできないかと考えたのがきっかけだそうで、今では満月のような形と生姜の風味が多くのお客さまに愛されているとのこと。いにしえの世界へいざなうような名前にも心をくすぐられますね。

不昧公によって華ひらいた松江の茶の湯文化
はじめに「桂月堂」のある松江について少しご紹介しましょう。松江は京都、金沢と並び、「日本三大菓子処」として知られていますが、その背景としては1767年(明和4年)〜1806年(文化3年)に松江藩を治めていた松平家7代藩主、松平治郷(はるさと)の存在が大きいようです。
幼少期から茶道に親しみ秀でた才能を示した治郷は、政治から一線を退いた後、禅宗の故事からとった「不昧(ふまい)」を名乗り、茶道「不昧流」を伝えました。こうして地域に浸透した茶の湯文化は後世に受け継がれ、多くのすぐれた茶器やお菓子が生まれていったのです。
限られた地区のみで収穫、風味ゆたかな「出西生姜」
その松江で生まれた銘菓『神話の月』の特徴は、なんといっても生姜の風味と香りです。使われているのは「出西生姜」。400年という栽培の歴史を持ち、松江市の隣、出雲市の斐伊川(ひいかわ)町出西地区でのみ育つ希少な生姜です。
大昔、出西地域が海に面していたころ、九州から御神体が流れ着いたので、八幡宮として祀ってみたところ、あたり一帯に生姜が繁り始めたことが起源だそう。鮮やかな黄金色、繊維質が少なく滑らかな食感、上質な辛味と爽やかな香り…小ぶりながら存在感を放つ名産品で、かつては大名への献上品でもあったというのも頷けます。

繊細な配合が叶える、ほのかな辛み、清々しい余韻
でも出西生姜はその強い個性ゆえに、お菓子に配合するとなると分量が少し変わるだけでも味を大きく左右してしまいます。そこで桂月堂では、出西生姜の魅力を存分に感じていただきつつ、お菓子としてまとまりのあるおいしさに仕上がるバランスを求めて何度も試作を重ねたとのこと。今も0.1g単位で測れるスケールを使用し、厳密に配合を調整しているそうです。
甘みから滲む、ほどよくピリッとした辛み、清涼感のある余韻。『神話の月』が生み出す生姜と錦玉の調和は、桂月堂の妥協のない姿勢の賜物なのですね。
【コーヒーマリアージュ】
『神話の月』には、やわらかな甘み、品のよい酸味、豊かなコクと香りを持つコーヒーを
ここからは、UCCのR&Dセンターで味わいに関するデータ分析の担当者が解説します!

それではコーヒーマリアージュ、してみましょう!
コーヒーと生姜はもともと相性が良く、コーヒーにおろし生姜とはちみつや砂糖を入れるという楽しみ方もあるんですよ。

『神話の月』は、表面を固めにコーティングした砂糖の中から上品な質感の寒天が現れ、優しい甘味の後で生姜の爽やかさとほんのりとした辛さが感じられるお菓子。『神話の月』は、表面を固めにコーティングした砂糖の中から上品な質感の寒天が現れ、優しい甘味の後で生姜の爽やかさとほんのりとした辛さが感じられるお菓子。生姜の清涼感に、やわらかな甘み、品のよい酸味、豊かなコクと芳ばしい香りのあるコーヒーを合わせてみると複雑な味わいを演出します。さりげなく混ぜ込まれた小さな白小豆も、コーヒーのコクとともに一瞬の嬉しいアクセントをくれるはず。
季節はこれから秋に向かいます。月を見ながら味わえばなお豊かな気持ちになれそうです。見た目も満月のようなお菓子なので、器を選ぶ楽しみも生まれますね。

『神話の月』のベストパートナーは『UCC 珈琲探究 コロンビアブレンド』
『神話の月』にぴったりの、やわらかな甘み、品のよい酸味、豊かなコクと香りを持つコーヒーは『UCC 珈琲探究 コロンビアブレンド』です。

「UCC 珈琲探究」は、栽培される土地の気候や風土によって異なる個性を持つコーヒーから、最適な焙煎とブレンドを見極めて魅力を引き出したシリーズです。『コロンビアブレンド』の特徴は、アンデス山脈の寒暖差に育まれた芳ばしい香り、やわらかな甘みと豊かなコク。『神話の月』の生姜の風味とひとつになり奥行きのあるマリアージュを演出してくれるでしょう。
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時も海も超え、月夜に旅するマリアージュ
『神話の月』。そのロマンのある名前に惹かれた方も多いのではないでしょうか。松江市や出雲市を中心に、島根県は神話のふるさとでもあります。たとえば出西生姜の栽培地を流れる斐伊川。ここに伝わる八岐大蛇(ヤマタノオロチ)伝説は「古事記」や「日本書紀」の中でも人気の高いエピソードです。天界を追放された神、スサノオノミコトが、クシナダヒメを八岐大蛇から救う物語ですが、この八岐大蛇の8つの頭と尾は、斐伊川の支流や氾濫した川筋を表しているとも言われており、流域には八岐大蛇にまつわる伝承が数多く残されているのだとか。
また、全国から多くの神様がいなくなるという旧暦10月を和風月名で「神無月」といいますが、実はその神様たちは出雲に集まってくるため、島根県では「神在月(かみありづき)」と呼びます。平安時代からの言い伝えで、八百万の神々が出雲大社に集い、さまざまなことを話し合うのだそうです。
神話のふるさと、そして神様たちの大切な土地、島根。そこを照らす月を表現した『神話の月』は、茶の湯文化の根づいた地域のお菓子ですが、ときには『UCC 珈琲探究 コロンビアブレンド』と合わせてくつろぎのひとときを彩ってみませんか。
月の美しい夜にはカーテンを開けて。八百万の神が息づく古代神話の世界へ、アンデス山脈が育むコロンビアのコーヒー農園へ、自由に心を飛ばしてみれば、手元の小さなお菓子の月も輝いて見えてくるかもしれません。
ご紹介した島根県の銘品『神話の月』は以下でお買い求めいただけます。
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半澤 拓(はんざわ・たく)
2011年入社。UCCの研究施設イノベーションセンターにて研究開発業務に携わる。
2016年にコーヒーと食べ物の食べ合わせを分析する「フードマッチングシステム」を開発。コーヒーの味や香り、食べ合わせに関する研究報告やセミナーなど多方面で活躍。
UCCの「フードマッチングシステム」ほか、おいしい!を極める技術について興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。
▼コーヒーマリアージュについての記事はこちら
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