そんな「上島珈琲店」がこの秋、「進化」をテーマに大きなブランドアップデートを実施しました。「上島珈琲店」の魅力をもっと伝えたいという想いからスタートしたこの連載もちょうど10回目。今回は「特別編」としてアップデートの世界観を、新たなコーヒー『JAPAN』を提供する青山店から、ブランド企画部の山下利奈さんとともにたっぷりとお伝えします。
INDEX
より豊かな「共創」へ
20年という節目を超えて新たなフェーズへ
オープンから今年で22年目を迎えた「上島珈琲店」。まず、なぜ「今」ブランドアップデートに踏み切ったのか、山下さんに聞いてみました。
やはり20年の節目を超えたことが大きいと思います。20年経つと、社会や生活など多くのことが変わり、新たな未来も見えてきますよね。それに伴ってアップデートするべきことも出てきますし、変わらず大切にしていきたいものについても、新しい伝え方が選択できます。上島珈琲店も、これまで自分たちが信じてきたものの価値を再認識し、進化させ、あらためて発信する時が来ていると思っています。
よりよい「共創」をめざした進化を
「上島珈琲店」といえば、コーヒーへのこだわり、そして喫茶文化の継承から生まれた上質な心地よさ。ネルドリップ/ダブルネルドリップコーヒーや落ち着きのある空間、きめ細やかなホスピタリティなど魅力のポイントはたくさんありますが、それらが現在地からどこに向かって進化していくのか気になりますね。たずねてみると「共創」というキーワードが出てきました。
私たちが常にめざしているものに「共創」があります。「お客さまとともに価値を創る」という考え方です。今回のアップデートにおいても、私たち企業側の一方的な発信ではなく、お客さまによりそい、一緒に未来を創るような進化をしたいと考えました。
また内容だけではなく、その伝え方や語り方においても「共創」を意識したいと思っています。自分たちの信念や価値観を内部だけで完結せずに、お客さま視点で語り、お客さまと共有できるように発信していくということです。
情報過多の時代において「これは真実なのか?」と懐疑的にならざるをえないときもたくさんありますよね。そのような中で、直接お客さまにお伝えするということは、信頼していただき、「ともに創っていく」うえでとても大切なことだと思うんです。
信念や価値観を言葉で語り、店舗でも体感していただく工夫を
「上島珈琲店」のブランド構成要素として、「ステートメント」「コンセプト」「バリュー」「ビジョン」があります。今回すべてアップデートされていますが、それぞれどんなメッセージがあるのでしょうか。
一言で言うと、
「ステートメント」は、私たちの存在理由。
「コンセプト」は、私たちが提供できる体験。
「バリュー」は、私たちの行動指針。
「ビジョン」は、目指す未来。
です。
ひとつひとつ解説していきますね。
【ステートメント】STAY TRUE. 〜 「自分らしさ」を取り戻すために
ブランドの根幹を成し、社会での存在価値を示す「ステートメント」。「STAY TRUE.」は「上島珈琲店は、コーヒーを通して、自分らしくあること、自分の正しさを持ち続けることの大切さを伝え続けていくブランドとしてこの社会に存在します」という宣言です。
以前は「コーヒーがもたらす豊かなひとときPRECIOUS COFFEE MOMENTS」でした。それはもちろん今も大切です。でもそのためにも必要なこと、お客さまと一緒にたかめていけることは何かと考えたとき、今回の「STAY TRUE.」に行きついたのだそう。

今の社会は情報が溢れ、また多忙な毎日を送られている方々も多いと感じています。そのような中、自分らしさを見失ってしまったり、正直な気持ちや信念、情熱に蓋をしてしまったり、大切なことを忘れかけてしまったりすることもあるのではと思っています。だからこそまず私たちが、創業時から持ち続けている「こだわり」「丁寧さ」「上質さ」への信念、それを叶えるための情熱を今一度揺らがないものにしたいと思いました。
効率の良さや手軽さに流れがちなこの時代に、日本の喫茶文化を継承してきた上島珈琲店は、スタッフ全員がコーヒーへの情熱を灯し続け、店舗への想いを重ね合い、人と関係を育むことに幸福を感じて、今日まで歩んできました。そのような「上島珈琲店」だからこそ、信頼してくつろぎ、奥深さを味わっていただけるのだと思いますし、そのひとときがお客さまにとってもまた、自分らしさや情熱を取り戻せる時間になってくれたらうれしく思います。
【コンセプト】EVERYDAY RETREAT 〜 日々心を豊かに整えられる休息地に
「ステートメント」で語られた存在理由を実現するため、上島珈琲店が日々提供する体験のあり方を定義した「コンセプト」。「EVERYDAY RETREAT」は、「毎日の中で自分らしさを取り戻す心の休息地」を意味しています。
以前は「失われつつある日本の喫茶文化を大切に、懐かしく温かで、しかしかつて何処にもなかった大人のための喫茶店」でした。それを受け継ぎつつ、現代に生きる人々の日々に、より必要とされていることを考えて生まれた発想だそうです。
「ステートメント」でもお話したように、今を生きる人が「自分らしさ」を取り戻すには、社会の雑音から解き放たれ、上質なくつろぎをゆったり味わえることが必要ですよね。「喫茶文化」「懐かしくて温か」といった以前からの上島珈琲店らしさはもちろん意識しつつ、熱い情熱の中に謙虚さや誠実さの姿勢を感じていただけることで、「安心できるね」「自分に戻れるね」と言っていただけるような時間づくりをし、お客さまと共に人生を創っていくことを心がけていきます。
そのためにも、ホスピタリティ、商品、空間、すべてにおいて妥協のない「こだわり」「丁寧さ」「上質さ」を持ちつつ、それらをゆとりや優しさをもって表現することを大切にしていきたいと思っています。
【バリュー】一杯、一時、一生 〜 広がりのある幸せの循環へ
「バリュー」とは、「コンセプト」の実現のために、上島珈琲店のスタッフが共通して持つべき価値観、日々心がける行動指針のことです。「一杯、一時(ひととき)、一生 (The Cup, The Moment, A Lifetime.)」は、「ほかの誰にも真似できない一杯にこだわり、お客さまが時間を忘れ、自分らしくいられるひとときを作りつづけることで、お客さまと私たちの一生の豊かさを提供すること」を意味します。
かつてのバリューは「私たちの使命はPRECIOUS COFFEE MOMENTSを体験していただくために温かな笑顔と元気なサービスでいつも快適な空間を提供することです」でしたが、時間的にも空間的にも、より広がりを持った考え方に進化しました。
コーヒーを味わう価値とは、その時間、その場所だけで終わるとは限らないと思っています。一杯のコーヒーに感動して背中を押されたり、そのひとときで自分らしさを取り戻せたり。お店を出た後も励みとなっていたり、誰かに笑顔で会えたりして人生が変わるかもしれないですし、新たな気持ちでまた訪れることもあるかもしれません…そのくらい広がりのある循環を意識し、お客さまと「人生をともにつくっていく」、そのようなブランドでありたいという想いが込められています。

人財育成プログラム「for You」に上位資格「サファイア」誕生
お客さまとの「共創」を実現するには、スタッフの「おもてなし」「価値を創造できる力」が欠かせません。上島珈琲店は人財育成のために「for You プログラム」を設けています。資格制度もあり、合格者には「for You expert」の称号が授与されますが、ここに新たな「サファイア」という上位資格が誕生したそうです。「サファイア」という響き、かっこいいですね!でもこの試験はかなりの難関だそうです。

人財育成の観点からもブランド力を高めていくことはとても重要であるとし、私自身、現在人財育成も担当していますが、この度新しく誕生した「for You expert Sapphire(サファイア)」を少しご紹介いたします。
「for You expert Sapphire」の試験には、現行の「for You expert ベーシック」に加えて、コーヒー技能試験、店舗オペレーション技能試験、ホスピタリティ技能試験の3部構成で、実技の比重が非常に高い上位モデルとなります。
ひとつの項目に合格したら次に進むことができるという形式で、最終合格するまでに約6ヶ月を要します。最終試験は千代田区二番町店で行われ、ここまで進むことができたメンバーのみで店舗を運営し、より再現性の高い形で、価値を生み出せるお店づくりができるかが試されます。初年度となる2023年度には合格者を輩出することができなかった難関の資格試験ですが、今年2024年受講者として4名が社内で初めて合格しました。
現在その4名はこのバリューを体現する人財として、ブランドをリードする役割を担いながらさまざまな方面で活躍しています。
【ビジョン】JAPAN COFFEEを、世界へ。
~「ダブルネルドリップコーヒー」が体現する「日本らしさ」
「ビジョン」とは、上島珈琲店が未来に向けて目指していくものです。上島珈琲店がもともと大切にしてきたことのひとつが日本らしさ。それは表層的な「日本っぽさ」ではなく、技と心、こだわりが織りなす美しさです。今は海外からのお客さまも増え、世界から日本への関心が高まっている時。「JAPAN COFFEE FOR ALL〜JAPAN COFFEEを、世界へ〜」には、世界に日本の喫茶文化を伝えたい、そんな想いが込められています。
唯一無二、上島珈琲店独自のダブルネルドリップコーヒー
まず目につくのは「JAPAN COFFEE」という言葉です。これは上島珈琲店が誇る「ダブルネルドリップコーヒー」、そしてそこにこめられたこだわり、楽しみ方でもあるそうです。
「上島珈琲店のブレンドコーヒーはひと味違う」と言っていただけることも多いのですが、「ネルドリップ」で抽出していることが大きな理由だと思います。古くから日本の喫茶店で親しまれてきた抽出法で、ネル(フランネル)という布のフィルターを使っています。紙のフィルターより手入れに手間がかかりますが、ネルで抽出したコーヒーは、口当たりが素晴らしくなめらかなんです。ネルにも実は深いこだわりがありますが、そのご紹介はあらためてさせてください。
さらに上島珈琲店ではミルクコーヒーを作るとき、2層のネルを通す「ダブルネルドリップ」コーヒーを使っています。これは唯一無二の独自手法です。1層目のネルで抽出されたコーヒーが、もう一度、2層目のコーヒー粉を入れたネルを通ることで、コク、甘味、旨味がギュッと凝縮されたコーヒー液が抽出されていきます。

このダブルネルドリップコーヒーを味見したことがありますが、驚きました。とても濃いのに過度な苦味がないのです。抽出される一滴一滴が「上島珈琲店の命の雫のようなもの」と言われるのも納得でした。
ミルクコーヒーもコクがありつつクリアに優しく仕上がるんです。このおいしさを多くの方に安定的かつすみやかに提供するために、「ダブルネルドリップマシン」も開発しました。温度、量、注ぎ方、時間など、職人たちのこだわりをしっかり実現してくれるマシンで、落ちる位置まできっちり調整されています。
でも機械にすべてをまかせているわけではありません。1つのネルで抽出できる回数は決まっているので、それはしっかり人がチェックしなければなりません。また、たくさんのネルフィルターを洗浄、煮沸して管理することでも品質を守っています。
創業から他には真似できない一杯にこだわり続け、丁寧さ、上質さを追求し続けてきた上島珈琲店の思想がこの一杯に注がれています。日本の喫茶文化に息づいている心と技のクラフトマンシップが実は、スタッフのひとつひとつの行動に凝縮されているのです。
本当に手間がかかっているのですね。コーヒー豆の量も多くなると聞きました。そこまで手間や素材を惜しまず丁寧に作られたコーヒーを、心を落ち着かせてゆったり味わうスタイル…これが日本の喫茶文化に息づいてきたもの、上島珈琲店が世界に誇りを持って紹介できる「JAPAN COFFEE」ということなのですね。どこか茶道にも通じる気がします。
新しいロゴには、茶室の様式美をとりいれて
ブランドアップデートにともない、ロゴも一新。実はここにもさりげなく「日本らしい美」が意識されています。
喫茶文化を象徴する愛らしいレトロなマッチ箱をアレンジし、ブラウンのラインにUCCのDNAとコーヒーの実をあらわす赤いワンポイントという従来のデザインの良さを受け継ぎつつ、全体を正方形に整え、茶室の様式美を象徴し、現代的かつ洗練された日本のミニマリズムをより強調したデザインにしています。色も日本の伝統色「漆黒」と「赤」を参考に、「UESHIMA BLACK」と「UESHIMA RED」 を使用しています。

たしかに新しいロゴからは、茶室の畳や障子の組子の秩序、美しさが想起されますね。上島珈琲店らしさはそのままに、凛とした顔つきになったロゴ。これから各店舗で少しずつ切り替わっていくとのことなので、みなさんもぜひ注目してみてください。
青山店で体験する新たなコーヒー『JAPAN』
10月9日より青山店限定『JAPAN』を販売開始
10月9日からは青山店限定で、「ネルドリップブレンドコーヒー」に代わる新スタイルのコーヒー『JAPAN』が登場したとのこと。「ダブルネルドリップコーヒー」に、「南部鉄器」で沸かした白湯をアドオンした(加えた)、新しいスタイルのコーヒーだそうです。岩手県に起源を持ち400年もの歴史がある南部鉄器は、たいへんな工程を経てつくられますが、美しさもさることながら、丁寧に使えば何世代も使える日本の誇るべき工芸品です。さっそく味わってみることに。

『JAPAN』の魅力をいざ体験!
カウンターで注文後、少し奥へと進むとそこには南部鉄器の茶釜が。静かに白い湯気がたち続け、それだけでも心がすっと鎮まりそうです。淹れてくれるのは、今年「for You expert Sapphire(サファイア)」の資格に合格した4人のうちのひとり、朝日翔太さんです。マネージャー、for You 担当、そしてサファイアという、3つの顔を持っている朝日さん。胸には2つのバッジがついています。ひとつは「for You expert」、もうひとつの青い蝶のバッジが「for You expert Sapphire」の証です。

朝日さんはダブルネルドリップコーヒーの入ったカップに、木の柄杓で茶釜のお湯をそそいでいきます。流れのある動きに惹きつけられますが、こうして淹れている様子を目の前で見られるのも『JAPAN』ならでは。五感で楽しむ和みの時間です。

そして出された『JAPAN』を飲んでみると…その奥行きとまろやかさに驚きました。
もともとダブルネルドリップで淹れたコーヒーは、コクがありながらもクリーンでなめらか、そして南部鉄器で沸かしたお湯は柔らかくなると言われますが、その両者が融合することで、口当たりが本当に優しく、丸みのある甘み旨みが引き立つのです。それは冷めてからも変わらず、ネガティブな酸味もたってこないので、ゆったり過ごすにもぴったりです。
『JAPAN』はコクと同時に甘み旨みが感じられるコーヒーですよね。日本の技と心の結晶です。こちらが楽しめるのは青山店だけなので、ぜひ味わいにいらしてください。
表参道の駅から近く、大通りに面している青山店は、海外からのお客さまやメディアの方のご利用も多く、旗艦店としてもふさわしい店舗です。さまざまなスペースや椅子が用意されていて、おひとりでも、少人数でも、大勢でいらしても、きっとぴったりの場所が見つかると思います。
上島珈琲店の落ち着いたオーセンティックな雰囲気をベースにしつつ、洗練も感じる空間で、こだわり、丁寧さ、上質さを大切にした店舗づくり、商品、ホスピタリティに触れていただくことで、慌ただしい日常を忘れ、誰もが自分らしく過ごすことができる上質な店舗体験「EVERYDAY RETREAT」を感じていただけると思います。

ロゴもすでに新しいものに切り替わり、カウンターの中には「一杯、一時、一生」のパネル。そして「ダブルネルドリップ」の魅力が最大に活かされた『JAPAN』…と、いちはやく今回のブランドアップデートを感じていただくことができる青山店。おいしいコーヒーとおもてなしで、みなさまをお待ちしています!
「上島珈琲店 青山店」へのアクセス、詳しい店舗情報はこちら
上島珈琲店 青山店
東京都港区北青山3-5-14青山鈴木硝子ビル1F
TEL 03-6804-5111
営業時間 平日 7:30~21:00 / 土日祝 8:00~21:00
定休日 なし
→上島珈琲店ブランドサイトはこちら
「本当においしい珈琲」をあなたのおうちでも
「上島珈琲店」ラインナップ
心地よい空間と、豊かなひとときが楽しめる大人のためのコーヒー専門店「上島珈琲店」を、いつでもお楽しみいただけるのが、こちらのおうちで楽しめる「上島珈琲店」です。

レギュラーコーヒーは、コーヒー豆タイプ(5種類)、コーヒー粉タイプ(3種類)、ワンドリップタイプ(5種類)。またドリンクタイプには、そのまま飲めるPETボトルタイプ、たっぷり楽しめる1000mlの紙パックタイプをラインアップ。
味わいなどをテーマにアイテムごとに描かれた、目をひくタッチのイラストが目印。店頭で見かけた際には、ぜひ手に取ってみてくださいね。UCCオンラインショップでもお求めいただけます。
もっと身近に、もっと手軽に「上島珈琲店」自慢のおいしさをお楽しみください。
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監修:UCC COFFEE MAGAZINE編集部
