水で味って変わるの?教えて、コーヒーアカデミー! | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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水で味って変わるの?教えて、コーヒーアカデミー!

コーヒーの味は、豆の種類、焙煎度合い、淹れ方など、さまざまな要因が影響して決まります。でも、意外と忘れがちなのが、コーヒーの約98〜99%を占めている、水です!今回はとくに「水出しアイスコーヒーをおいしく楽しむための水」に注目してみました。

水出しコーヒーを作る前に知りたい、水のこと

お湯ではなく水で、じっくり時間をかけて抽出する「水出しコーヒー」。コーヒーの苦味成分は高温で抽出されるため、低温で抽出することで、マイルドな味わいになります。それだけに際立ってくるのが水そのものの個性。
水に個性なんてあるの? あります、あります! 味や舌触り、喉越しなど、実はいろいろな違いがあるのです。

今回はアクアソムリエマイスターの資格を持つ、UCCコーヒーアカデミーの清水講師に、水について詳しく解説してもらいました。

水は硬度によって、軟水と硬水に分けられる

水の個性を左右するもの、それは硬度です。硬度は、含まれるミネラル成分(カルシウムイオンとマグネシウムイオン)の量によって決まり、低い順に、軟水、中軟水、硬水、超硬水に分けられます。

0~60mg/L 軟水 
60~120mg/L 中軟水
120~180mg/L 硬水
180mg/L以上 超硬水

(WHO 世界保健機構より)

※硬度の表示については国によって異なりますが、 日本では、水分に含まれるミネラル(カルシウムイオンやマグネシウムイオン)の濃度を炭酸カルシウム濃度に換算するアメリカ硬度で表しています。

一般的にヨーロッパは硬水、日本は軟水、ただし例外も。

硬度は水が溜まる地中の成分や、滞留時間によって変わります。一般的に日本では、地中のミネラル分が少なく、山、つまり傾斜が多くて水が速く海に流れるので、軟水になりやすい傾向があります。それに対し、ヨーロッパでは石灰岩が多い地層を地下水がじっくり通り抜けるので、硬水になりやすいと考えられます。

ただ厳密には地域によって違い、たとえばヨーロッパでも、 スペインのマドリッド、スコットランドのエジンバラなどでは軟水。日本でも、沖縄や千葉の一部では硬水、また軟水の範囲でも関東の水の方が関西より全体的に硬度が高めです。

また米国は国の面積が広いため、地域によって差があります。たとえばニューヨークやサンフランシスコでは軟水ですが、グランドキャニオン付近では超硬水となります。
水の硬度から、世界地図を見てみるのも面白いですね!

ミネラル摂取には硬水、舌にも体にもやさしいのは軟水

飲んだとき「あれ?なんとなく苦い?」と感じたら、それは硬水かもしれません。硬水には、苦みや渋み、塩気などがあり、舌触りや喉ごしにも、少しざらつきや重さを感じます。

体に与える影響も違います。たとえば海外に旅行したとき、シャンプーしたら髪がキシキシになってしまったという経験はありませんか? もしかするとそれは硬水のしわざかも。一方で硬水は、体内の老廃物の排出、便秘解消、不足しがちなミネラルの摂取などに役立つので、健康維持やダイエットに利用している人も多いようです。

ただし腎臓にやや負荷がかかるので、腎機能に不安のある人は軟水を選んでくださいね。また、赤ちゃんやペットにも軟水をおすすめします。

硬度で変わる、水出しコーヒーの味わい

さて、水についてだいぶ理解が進んだところで、水出しコーヒーを作ってみましょう。水出しコーヒーの味も、水の硬度によって変わってきます。どれが正解、ということはありません。体質や好みに合わせて、自分のお気に入りの組み合わせを探してみましょう。

「硬水」「超硬水」は、水出しコーヒーを個性的に

硬水で水出しコーヒーを作ると、硬水の苦みをストレートに感じやすくなります。舌触りや喉越しにも、しっかり飲み込みたくなるような感覚を感じるのではないでしょうか。「超硬水」を使うとクセはさらに強くなります。普段から「硬水独特の個性や飲みごたえが好き!」という方におすすめします。

「軟水」は、水出しコーヒーをまろやかに

軟水でつくる水出しコーヒーは、とんがり感の少ない、柔らかくてバランスのよい味になり、喉越しもなめらか。多くの人が受け入れやすいアイスコーヒーですね。ちなみにホットコーヒーを抽出する時も、軟水を使えばコーヒーの成分がバランスよく抽出されて、まろやかな味が楽しめますよ。ただし、ミネラル分がまったく入っていない水で淹れると、コーヒーの味がストレートに出て、場合によっては雑味まで感じてしまうことがあるかもしれません。

日本の水道水は、ほとんどが軟水。ただそのままではカルキなども含まれてしまうため、水道水で淹れる場合は、浄水器の使用をおすすめします。また、日本の水を使ったミネラルウォーターもほとんどが軟水ですが、中には硬度が高めのものもあるので、表記を確認してみてくださいね。

実は、硬度によって色も変化する

コーヒーの色って気にしたこと、ありますか。色も硬度によって若干違ってきます。コーヒーに含まれるタンニンがミネラルと結びついて色が変わるのです。

わかりやすく、コーヒー同様にタンニンを含む紅茶で比べてみましょう。水の硬度が低いと色が明るく薄くなります。硬水で淹れると紅茶本来の香りは飛んでしまいますが、色はしっかりと濃くなります。

左:超硬水 右:軟水で抽出した水出し紅茶です。

アルカリイオン水も、アイスコーヒーを柔らかく

ごく限られた地域で採水される天然のものもありますが、アルカリイオン水とは基本的に「電気分解で作られた人工的な水」のことです。

老化、胃酸過多、便秘、糖尿病、生活習慣病などの予防に役立つと言われ、また満腹中枢を刺激して食べ過ぎを予防してくれるので、ダイエット中の小腹対策に愛飲している人も。

アルカリイオン水でコーヒーを淹れると、コーヒーの酸味が中和されることで、まろやかな味になります。学校の理科を思い出しますね。普通の軟水とは違うメカニズムで引き出される柔らかさ。やさしい味わいと健康を両方求める人にぴったりの水と言えそうです。

お気に入りの水でアイスコーヒーを淹れたくなったら

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水の個性×コーヒーで、相性を味わう

今回お話を聞かせてくれたのは、UCCコーヒーアカデミーの清水美保講師。

「無味無臭、無色透明と思われている水ですが、飲み比べてみると、さまざまな発見があります。単体で飲むよりも、飲み比べてみるとわかりやすいかもしれません。苦みや甘みを感じたり、舌触りや喉越しまで違うって面白いですよね。
私自身は、硬水を朝200mlくらい飲む習慣を、20年くらい続けています。ミネラルが摂れますし、お通じにもいいので。リラックス効果もあるみたいです。でも軟水も好きですよ!水出しコーヒーも、気分や好み、体調や体質に合わせて、いろいろな水で楽しんでいただけたらと思います」


アクアソムリエマイスターの資格も持つ清水講師

清水 美保 Miho Shimizu 
UCCコーヒーアカデミー講師
・UCCコーヒーアドバイザー
・UCCコーヒー抽出士
・(アメリカ)CQI認定Qアラビカグレーダー 

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