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丁寧につくる1杯のカクテルに、心も身体も癒される
“夏は夜。
月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。
また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光て行くもをかし。
雨など降るもをかし。”
平安時代の清少納言の随筆「枕草子」の冒頭、「夏は夜の趣が良い」と記されています。確かに、太陽が照りつける昼の酷暑は心身ともに消耗し、日が暮れて少し気温が落ち着いてくると、やっとほっと一息つけるような。
外に蛍は見えなくとも、真夏は日が落ちた夜の方が、ゆったりとした時間を感じられそうですよね。
そんな趣のある夏の夜にぜひ楽しんでいただきたい、甘く冷んやりとしたコーヒーカクテル。昼のしんどさを忘れさせてくれるようなリッチな味わいのカクテルを、東京でバー「BAR9DAN」を20年営む石塚正茂さんに、レシピと共に教えてもらいました。
思わず笑顔がこぼれてしまう、まるでデザートのようなカクテルたち。
大切な日に、大切な人へつくる1杯としてもおすすめです!
まるでティラミスのよう!
ひとすくいずつ大切にいただきたいフローズンカクテル。
最初にご紹介するのは、「ティラミス」のようなフローズンコーヒーカクテル。
「ティラミス」はマスカルポーネチーズや卵をベースに、スポンジやビスケットの生地にエスプレッソを染み込ませてつくるイタリアのチーズケーキです。これをカクテルにアレンジ!
ブランデーをベースに、凍らせたコーヒーとマスカルポーネチーズ、オレオクッキーを撹拌して、シャリッとした食感に。「ティラミス」のしっとりとしたムードをさらに進化させたような、贅沢な味わいです。ポーションコーヒーも入れているので、しっかりとしたコーヒー感が感じられます。
フローズンな口溶けにクッキーの不思議な食感も合わさって、ひとすくいずつ大切に味わいたくなるデザートカクテルです。
材料(2人分)
• 加糖タイプコーヒーを冷凍したもの 適量
• UCC 職人の珈琲 ポーションコーヒー 深いコク 甘さひかえめ き釈用 1つ
• ブランデー 20ml
• マスカルポーネチーズ 2~3tsp(ティースプーン)
• オレオ 1~2個(サイズにより調整)
• シュガーシロップ 1~2tsp(ティースプーン)
※コーヒーを無糖にする場合はシロップの量を足して調整してください
※ポーションコーヒーを足さない場合は、冷凍するコーヒーを濃く作ってください。
つくり方
1. 糖分入りのコーヒーを、冷凍保存バッグに薄く伸ばして凍らせ、叩いて荒く砕く。
(またはかき氷機で凍らせたコーヒーを削る)。
2. オレオはあらかじめ荒く割っておく。
3. 材料を全てミキサーに入れて撹拌する。
4. 仕上げにオレオクッキーを飾る。
マスターからのコメント
ブランデーとコーヒーは相性が良くて、ブランデーとコーヒーリキュールでつくる「ダーティーマザー」というロックスタイルのカクテルや、ブランデーにカカオと生クリームでつくる「アレキサンダー」という食後のカクテルもあるんですよ。
1990年代にブームになったデザート「ティラミス」は、最初食べた時に衝撃的なおいしさを感じました。今でもイタリア料理のデザートにティラミスがあれば必ずそれを頼んでしまうほど、僕はティラミスが大好き。
このオリジナルカクテルもとても気に入っているんです。
コーヒーゼリーにオレンジを合わせて。
食感も楽しいデザートカクテル
次はコーヒーゼリーをアレンジしたカクテルです。
コーヒーゼリーにオレンジ風味のアルコール入りクリームソースを合わせて、カクテルに仕上げます。コーヒーゼリーは、少し緩めに作る方がソースとよく絡みます。
コーヒーと相性のいいオレンジは、ぜひ生のものを使ってください。フレッシュ感が違います(ミキサーにかけるので、キレイに剥かなくても大丈夫)!
ゼリーの食感も楽しく、とろけたアイスクリームの口当たりもいいので、スイーツのようにいただけるカクテル。コアントローの量を調整すれば、普段アルコールがあまり得意でない方も楽しめそうな1杯です。
材料(2人分)
• コーヒーゼリー 適量
• コアントロー 20ml
• オレンジ 1個
• バニラアイス 1カップ
※コアントローはオレンジの果皮のリキュール。ホワイトキュラソー
つくり方
1. 事前にコーヒーゼリーを緩めにつくって(350〜400ccにゼラチン5g程度)グラスに入れておく。(またはかき氷機で凍らせたコーヒーを削る)。
2. オレンジは皮を剥き、タネを取り除いておく。
3. コーヒーゼリー以外の材料をミキサーに入れ撹拌する。
できたらコーヒーゼリーの上に乗せる。
4. 仕上げにオレンジを飾る。
マスターからのコメント
コアントローはカクテル用としては幅広く使われるお酒で、コアントローとレモンジュースをベースとし、プラスして合わせるお酒で名前が変わります。ジンにすると「ホワイトレディ」ウオッカだと「バラライカ」、テキーラだと「マルガリータ」ラムだと「XYZ」…
飲みやすいですが度数は40度あって、クレープジュゼットというデザートではコアントローにぼわっと炎をつけるパフォーマンスが行われることもあるんですよ。意外に酔うので飲み過ぎには注意です(笑)
圧倒的な清涼感でクールダウン!ミントコーヒーカクテル
家でミントを育てている人にぜひ試していただきたいカクテル。ほてった身体を爽やかにクールダウンしてくれそうな、清涼感たっぷりのコーヒーカクテルです。
ミントの葉もコーヒーもウイスキーもミキサーで撹拌するので、ガツンとダイレクトにミント感が感じられます。今回は凍らせたコーヒーを使用してフローズンにしていますが、細かい氷にコーヒーポーションを垂らしても、おいしくいただけます。夏に勢いよく茂るミントを惜しみなく使える、おすすめのレシピです。
材料(2人分)
• 加糖タイプコーヒーを冷凍したもの 適量
• バーボンウイスキー 30ml
• ミントの葉 適量
• シュガーシロップ 2~3tsp
※生のミントの葉を使用しています
つくり方
1. 糖分入りのコーヒーを、冷凍保存バッグに薄く伸ばして凍らせ、叩いて荒く砕く。(またはかき氷機で凍らせたコーヒーを削る)。
2. ミントの葉を洗い、材料を全てミキサーに入れて撹拌する。
3. グラスに注ぎ、仕上げにミントを飾る。
マスターからのコメント
バーボンウイスキーは、アメリカのケンタッキー州でつくられるウイスキーですが、ケンタッキーで行われる「ケンタッキーダービー」のオフィシャルカクテルが「ミントジュレップ」というミント入りのカクテルなんです。そこからヒントを得てつくりました。
だからこれは、アイリッシュウイスキーではなくぜひともバーボンウイスキーで!アメリカンな雰囲気を感じながら飲んでみてください。
沖縄の風を感じる!泡盛とコーヒーのフローズンカクテル
最後は、夏の青い海や空をイメージさせる沖縄がテーマです。
コーヒーに、沖縄のお酒「泡盛」と、沖縄のお菓子「ちんすこう」、そしてアイスクリームを合わせて甘いお菓子のようなカクテルに。
ちなみに、コーヒーが栽培される赤道付近の地域同様に、亜熱帯気候の沖縄も、コーヒー栽培に適した国内でも数少ない場所。そんな意外性のあるつながりも、話のタネになりそうなカクテルです。
材料(2人分)
• 加糖タイプコーヒー 30ml
• 泡盛 20ml
• ちんすこう 2本
• バニラアイス 1カップ
つくり方
1. 材料を全てミキサーに入れて撹拌する。
2. 仕上げにちんすこうを砕いて飾る。
マスターからのコメント
お米から作られた沖縄産の蒸留酒「泡盛」は、アルコール度数の強いお酒です。3年以上貯蔵されたものは「古酒(クースー)」と呼ばれ、貯蔵することでより味わいはまろやかになります。今回はその「古酒(クースー)」を使ってつくりました。
夏ということで、ちょっとした遊び心で作ったカクテル(笑)
とろっと甘くておいしいので、おすすめですよ。
加糖タイプのコーヒーはこちらがおすすめ!
UCC 職人の珈琲 低糖 PET900ml | UCC公式オンラインストア
UCC THE DRIP 甘さひかえめ 1000ml | UCC公式オンラインストア
誰かのためにつくるカクテル、それが自分の楽しみにもつながる。
丁寧につくる1杯のカクテル。大切な日にケーキを用意するように、お酒が好きな方へならこんなデザートカクテルもいいですね。とマスターに言うと、こんな言葉が返ってきました。
自分のためもいいですけど、誰かのためにつくることは、自分の楽しみにつながりますよね。このところ家飲みも多くなってきましたから、お休みの日に奥様につくるとか、成人したての娘さんにつくってあげるとか、ぜひ試してみてもらいたいと思います。パパの株も上がるんじゃないかな(笑)
おいしいものをつくって人に喜んでもらえることが、僕は好きなんです。
いつもそういう気持ちで、ここに立っています。
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