プラスαでコーヒーの楽しみ方をもっと豊かに[COFFEE CREATOR’S FILE 15 幸田貴枝] | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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プラスαでコーヒーの楽しみ方をもっと豊かに[COFFEE CREATOR’S FILE 15 幸田貴枝]

「一杯のコーヒーができるまで」…そこにはUCCのコーヒークリエイターたちの「おいしい事実」があります。

お菓子にも詳しいUCCコーヒーアカデミー講師

UCCコーヒーアカデミー講師の中で唯一、製菓衛生師の国家資格を持つ幸田貴枝。幼少の頃からお菓子作りが大好きだったという幸田が「ぜひ皆さんに知ってほしい」と言うのは、コーヒーとお菓子のマリアージュの世界。さらにはスパイスやハーブとの意外な組み合わせも。味覚の幅を広げる「幸田流のコーヒーとの付き合い方」とは——。

私は大学を卒業した後、社会人時代に製菓の専門学校にも通ったのですが、最初にお菓子作りに興味を持ったのは母の影響です。料理上手で、お菓子もよく作ってくれた母の手伝いをしているうちに自然に覚えていきました。

幼稚園位の時から母のレシピをノートにまとめるのが私の役目でしたし、洋菓子研究家の今田美奈子先生の子供向けのお菓子レシピ本「すてきなおかし作り」が幼い時の私のバイブルだったんです。長年、国内外で収集してきたお菓子のレシピ本は60冊以上ありますが、実はいまでも新しいレシピを作る際にはその今田先生の本を参考にすることも。それくらい、子供向けとは思えない本格的なレシピ本なんです。

「食べたいお菓子は自分で作るような子どもでした」と言う幸田が、コーヒーを好きになったのは高校生の頃。きっかけはハワイに留学していた姉がお土産で送ってくれていたライオン社のフレーバーコーヒーだとか。

フレーバーコーヒーというのは、バニラやキャラメルやヘーゼルナッツなどの風味が加えられたコーヒーです。お菓子との食べ合わせもいいですし、いまコーヒーを皆さんに教えている私の出発点でもあります。

本格的にコーヒーの勉強を始めたのはUCCに入社してから。当時の社長室・広報担当に配属されたときにコーヒーのことを取材するようになり、改めてその魅力にハマっていきました。

その後、幸田はUCCコーヒーアドバイザーの資格を取り、2013年からUCCコーヒーアカデミー神戸校の講師として活躍しています。

味覚の経験値を上げる工夫

コーヒー好きな方ほど「いつもブラックで飲みます」という方が多いのですが、お料理やお菓子と組み合わせて、ぜひマリアージュ(フードペアリング)にも挑戦していただければと思います。

食べ物と合わせて、「甘味・塩味・酸味・苦味・うま味」という“味覚の五角形”のバランスをどう取るかでコーヒー自体のおいしさも変わってきます。

たとえば、甘酸っぱいデザートに酸味の効いたコーヒーを合わせる。口の中で味を「同調」させることで、デザートもコーヒーも味がより一層はっきりすると思います。

また、お菓子に足りない味をコーヒーで「補完」したり、リセットすることもできます。たとえばモンブランの濃厚で甘い味に、深炒りのコーヒーを合わせてあげる。そうすると、口の中がすっきりして、次のひと口もおいしくいただけるはず。

「甘いものが苦手」という方は、ドライフルーツやナッツ、チーズなどをコーヒーと合わせてみると味覚の経験値がぐっと上がると思うのでぜひ試してみてください。

「お菓子や食べ物とのペアリングもすごくおもしろいのですが、日本ではまだあまり馴染みがないコーヒーの飲み方があります。もっと広まって欲しいんですけど」。いったいどんな飲み方でしょうか。

「スパイスやハーブを加えるとコーヒーの世界がぐっと広がります」

それは“スパイスコーヒー”と呼ばれる、コーヒーにスパイスやハーブを加える飲み方です。「コーヒーにスパイス!?」と驚く方も多いと思いますが、歴史を紐解くと、実はコーヒーはスパイスとの付き合いが長くて、インドはもちろんモロッコやメキシコなどでも古くから楽しまれています。

インドにはアーユルヴェーダという5000年以上の歴史をもつ世界最古の伝統医学がありますが、スパイスは天然の薬として使われてきました。

そのため、コーヒーの味の変化が楽しめるだけでなく、スパイスの種類によってはリラックス効果や消化促進も期待できますし、胃腸を整える効果もあると言われています。

“スパイスコーヒー”を飲んだことがないという方に手始めに試してほしいのはシナモンやカルダモン。とくにスリランカ・セイロン産のシナモンは本当にいい香りがしますし、ショウガ科のカルダモンは清涼感のあるエキゾチックな香りがいいアクセントになります。シナモンには体の冷えを取る効果があると言われていますし、カルダモンは緊張を和らげる作用があると言われています。

そのほか、自身の体質や体調に合わせて、クミンやターメリック、フェンネルやコリアンダー、ナツメグやクローブなど、使い切れずに家で余っているスパイスをブラックコーヒーやカフェオレにパパッと振るだけで、新しいコーヒーの世界が広がるはずです。

コーヒーとお菓子をもっと“お近づき”に

幸田は現在、UCCコーヒーアカデミー神戸校の講師としてコースを受け持つ傍ら、カフェや調理製菓の専門学校などでもコーヒーのことを教えています。

また、営業担当のお取引先へのコーヒーメニュー提案を後方支援したり、セミナー運営の顧客データ分析をしたり。

実は、事務的な仕事も多いのですが、やっぱりお客さまと顔を合わせてコーヒーのことを伝えるのは楽しいですし、やりがいもあります。

講師としての私の強みは、コーヒーとお菓子の両方に詳しいところだと思っていますので、そのふたつをもっと“お近づき”にさせたいなと思っています。それからスパイスやハーブ、カカオも。

コーヒーの世界は、それだけでも本当に奥深いのですが、お菓子やスパイス、カカオなどを組み合わせることでもっと新しい世界が広がります。楽しみ方もいろいろあることを知っていただければうれしく思います。

愛用のコーヒーグッズは

愛用しているカッピングスプーンは、国際的な品評会であるCOE(カップ・オブ・エクセレンス)を主催する団体のセミナーに携わったときにいただいたもの。自分でもいろいろ買ってみたのですが、これが一番しっくりきます。

ドリップポットはボンマックの一杯専用ポット。コンパクトで軽く、とても注ぎやすいのでおすすめです。

心に残る、最高のコーヒーは?

コーヒーアカデミーに異動して間もない頃に飲んだコロンビアのサン・イシドロ農園のコーヒー。2013年にCOEで1位を獲得したコーヒーですが、いちごジャムの入ったチョコレートのような甘い芳醇な香りとコクが私好みの一杯でした。いまでも忘れられない味です。

UCCコーヒーアカデミー講師
幸田貴枝(こうだ たかえ)
大学卒業後、前職の在籍中に「お菓子のことをもっと知りたい」と製菓の専門学校に通う。UCCでは、広報、法務、人事部門などを経験した後、2009年にUCCコーヒーアドバイザーの資格を取得。2013年よりUCCコーヒーアカデミー講師。CQI認定Q アラビカグレーダー。製菓衛生師。スパイス&ハーブ検定1級。チョコレートエキスパート。

(部署名・役職は取材当時の情報です)

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