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酒かすとチョコレートのリッチなハーモニー。『吟醸ブラウニー』(桔梗屋織居)
今回ご紹介するのは三重県伊賀市にある「桔梗屋織居」の『吟醸ブラウニー』です。フルネームは『伊賀銘醸菓 るみ子の酒 吟醸ブラウニー』。切りわけたときかすかに立ち上る酒かすの香りが、口に入れるとふわりと花開き、濃厚なチョコレートとナッツに日本酒のビターな風味もほんのりと。思わず目を閉じて味わいたくなるブラウニーです。

「桔梗屋織居」の創業は400年以上前。伊賀上野城を築いたのち身分を剥奪された筒井定次にかわり、1608年(慶長13年)に送り込まれたのが藤堂高虎です。「築城三名人」にも数えられる高虎は戦に備えて伊賀上野城を大改修し、城下町を開きました。
「桔梗屋織居」はそこで藤堂藩の御用商人として創業、お菓子を献上することになったのです。お店の名前も藩主からいただいたとのこと。今も同じ場所で店を営み、伊賀の歴史、文化から題材をとるなど、伝承と創意工夫を大切に、和・洋さまざまなお菓子を作り続けています。
『吟醸ブラウニー』は「桔梗屋織居」現代表である18代目店主の中村伊英(よしひで)さんが、同級生だった森喜酒造の現専務・森喜るみ子さんからの依頼を受けて誕生しました。森喜酒造は1893年(明治26年)に伊賀市で創業。伊賀は酒処・銘醸造でも有名な地なのです。
ふたつの老舗の伝統が融合したこの銘菓は、女性を中心に人気だそうですが、男性にも愛される味。高級感や珍しさもあり、目上の方への手土産としてもぴったりです。

「るみ子の酒」の酒かすを熟成させて生まれるコク
清酒製造のほぼ最終の工程、圧搾によって生まれる酒かす。『吟醸ブラウニー』には、森喜るみ子さんが試行錯誤の末に作り上げた「るみ子の酒」の酒かすが使われています。
森喜酒造では米と麹、水だけで醸す手造りの純米酒のみを造っており、「るみ子の酒」も低温で丁寧に醸した純米大吟醸です。
ほのかな香り、澄んだ質、豊かな味わいを叶え、カジュアルにお料理と楽しめるのだとか。その酒かすを半年以上熟成させて使うことで、お酒の主張控えめのコクのあるスイーツができるのだそうです。

試食を重ねて見つけた酒かすとチョコレートの配合の妙
酒かすの熟成度とともにこだわったのは、酒かすとチョコレートの配合バランスでした。森喜るみ子さんは、常々日本酒を使ったお菓子と出会うたびに、お酒の主張が強くなりがちなことが気になっていましたが、あるとき酒販店関係者が作ってくれた酒かす入りのブラウニーに感動。
そのるみ子さんからの依頼を受けた中村伊英さんも協力して配合の割合を調整し、市内の酒蔵の女将たちにも試食してもらって、味と食感のベストバランスに辿り着いたのだそうです。

三重とシカゴ、ふたつのルーツを持つお菓子
和洋さまざまなお菓子を開発している桔梗屋織居。『吟醸ブラウニー』がカテゴライズされているのは、桔梗屋織居の欧風和菓子ブランド「青い目のちとせ」で、高級和菓子を思わせる箱に巻かれた外装紙には、日本と西洋にルーツを持つ女の子の、レトロで可愛らしいイラストが描かれています。
三重県生まれの『吟醸ブラウニー』ですが、ブラウニー自体のルーツはアメリカ、イリノイ州のシカゴです。1919年(大正8年)創業のシカゴのホテル「パーマー・ハウス・ヒルトン」の創業者の妻、女性委員会の会長でもあったバーサ・パーマー氏が、1893年開催のシカゴ万博のために「美しく、持ち運びしやすく、多くの人に味わってもらえるお菓子を」とシェフに伝えてできたお菓子なのだとか。
桔梗屋織居。森喜酒造。そしてパーマー・ハウス・ヒルトンホテル。『吟醸ブラウニー』には、熟成された素材とともに、日米の老舗の歴史が詰まっているのですね。
【コーヒーマリアージュ】
『吟醸ブラウニー』には、チョコレートのような深みのある風味を持つコーヒーを
ここからは、UCCのR&Dセンターで味わいに関するデータ分析の担当者が解説します!

それではコーヒーマリアージュ、してみましょう!
『吟醸ブラウニー』は、チョコレートの甘く濃厚な味わいに、酒粕の芳醇な発酵フレーバー、ほのかな酸味が合わさり、深みのあるチーズのような味わい、食感も楽しめます。このようなお菓子に合わせるなら、ほろ苦くも甘いダークチョコレートのような深みのある風味を持つコーヒーがおすすめです。チョコレートというよく似た特徴が重なり合い、かつ多層的な複雑さも生まれ、物語性のある味わいが感じられますよ。
余韻もまた、独特な魅力を醸し出します。コーヒーの香りが酒かすの香りを包むようにして濃厚なチョコレートと溶け合い、最後にふたたび喉の奥にお酒の余韻を感じるような…いわば日本酒とチョコとコーヒーの三重奏が楽しめるでしょう。

『吟醸ブラウニー』のベストパートナーは『UCC GOLD SPECIAL PREMIUMチョコレートムード』
『吟醸ブラウニー』にぴったりの、チョコレートのような深みのある風味が特徴のコーヒーは『UCC GOLD SPECIAL PREMIUMチョコレートムード』です。


オリジナリティと発見をコンセプトに、コク・苦み・酸味だけでは語れないコーヒーの個性をお届けする「UCC GOLD SPECIAL PREMIUM」シリーズ。『チョコレートムード』は焦がしカカオやカラメルを感じさせるほろ苦さが特徴です。『吟醸ブラウニー』と溶け合い、うっとりするひとときを演出してくれるでしょう。

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ストーリーとともに堪能したい、時空を超えた三重奏
大和、信楽、伊勢の山並み。伊賀上野城と城下のたたずまい。桔梗屋織居の店内には、江戸時代中期の古い看板が今もかかっています。でもこの土地の魅力は大自然と歴史ロマンだけではありません。令和の伊賀上野は子育て施策や空き家バンクも充実し、移住先としても人気上昇中。その中で、桔梗屋織居18代目店主の中村伊英さんは、災害ボランティアセンター長をつとめ、また高齢者が食べても喉に詰まりにくい「おかゆ大福」の開発・販売など、福祉に対しても前向きに取り組んでいるのです。
一方「るみ子の酒」にもこんな秘話があります。酒蔵の家に生まれた夏子の人生を描いた「夏子の酒」という漫画に共感し感動した森喜るみ子さん。経営に悩んでいた時期でとても支えられたのだとか。原作者の尾瀬あきら氏に手紙を送ったところ、なんと返信ばかりではなく後押しもしてくださり、それが純米酒造りへのポジティブな転機と「るみ子の酒」誕生にもつながっていったのだそうです。
数々の力強いストーリーを持つマリアージュ。マリアージュというと2つの融合というイメージですが、これはお菓子・お酒・コーヒー、日本・北米・南米の3つが時代と国を超えて織りなす壮大なハーモニーと言えそうですね。
ぜひ目を閉じて味わってみてください。豊かな香りとともに清々しい力がわいてくることでしょう。
ご紹介した三重県の銘品「吟醸ブラウニー」は以下でお買い求めいただけます。
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半澤 拓(はんざわ・たく)
2011年入社。UCCの研究施設イノベーションセンターにて研究開発業務に携わる。
2016年にコーヒーと食べ物の食べ合わせを分析する「フードマッチングシステム」を開発。コーヒーの味や香り、食べ合わせに関する研究報告やセミナーなど多方面で活躍。
UCCの「フードマッチングシステム」ほか、おいしい!を極める技術について興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。
▼コーヒーマリアージュについての記事はこちら
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