珈作シリーズ第3弾の今回は、コーヒーを淹れたあとの粉を使って作る「コーヒー石けん」です。UCCコーヒーアカデミーの講師・大澤さんが作り方を教えてくれました。
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石けんって作れるの?
実は比較的入手しやすい材料で作ることができる石けん。美容成分にこだわったり、ハーブやドライフルーツなどを閉じ込め、見た目にも美しい石けんを作ったりすることができるので、最近では手作り石けんの教室なども人気のようです。
今回使うのはコーヒー!…を淹れたあとの残りかす。残念ながら香りはしませんが、天然のコーヒー色が優しい風合いでナチュラル感もばっちり。
ではさっそく作り方をご紹介していきましょう。
【おすすめ】コーヒー石けん作り その1:グリセリンソープを使う方法
グリセリンソープを使う方法では、比較的安全かつ簡単に手作り石鹸が楽しめます。また鹸化や時間のかかる乾燥・熟成プロセスも要らず、固まるのも早いので、親子で挑戦するのもおすすめです。
材料(画像の豆型モールドで14個分程度)
・グリセリンソープ 200g
・コーヒーの粉
(淹れ終わった後のかすでOK) 適量
揃えるもの
・計量カップ、量り
・鍋 サイズ違いで2つ(溶かし用と湯せん用)
・石けんを固める型
(専用の石けん型のほか、シリコン製のモールドや、牛乳の空き箱等でも)
《手や衣類保護のため》
・ゴム手袋
・エプロン
作りかた
大まかな流れはこのようになります。
① グリセリンソープをカットして湯せんで溶かす
② コーヒーの粉を混ぜる
③ 型に流し込む
④ 固まったら型から出して完成!
グリセリンソープを使う場合、何も加えなければ半透明の石けんになるので、コーヒーだけでなく、エッセンシャルオイルや天然由来のもので、香りや色を付けてアレンジすることもできます。
① グリセリンソープをカットして溶かす
写真左上のような塊で販売されていますので、包丁等でカットして小鍋に入れ、湯を沸かした一回り大きな鍋に浸け、湯せんでグリセリンソープを溶かします。
② コーヒーの粉を混ぜる
溶けて液状になったグリセリンソープにコーヒーの粉を混ぜます。先に紹介した苛性ソーダを使う方法同様、お好みで量を加減してみてください。
③ 型に流し込む
しっかり混ざったら、お好みの型に流し込んで固めます。固まるのが早いので手早く行いましょう。
④ 固まったら型から外して完成!
固まったら型から外して完成です。シリコン型の場合、扱いやすさに加え、複雑な形が作れるので、工夫次第でユニークな石けんが作れますよ。
【上級者向け】コーヒー石けん作り その2:苛性ソーダを使う方法
こちらは上級編です。
【ご注意】ここでご紹介するのは、UCCコーヒーアカデミーの「コーヒー石けんづくりセミナー」において、講師指導のもとでお作りいただく方法です。
途中、臭気や熱気に気を付けねばならない危険な工程もありますので、経験者と一緒に作るなど、十分注意しながら作ることをおすすめします。
材料(およそ牛乳パック1本分)
・精製水 175ml
・苛性ソーダ 66g
・お好みのオイル
(ピュアオリーブオイル、ココナッツオイル、パームオイル等) 合計で500g
・コーヒーの粉
(淹れ終わった後のかすでOK) 適量
揃えるもの
・耐熱プラスチック容器(苛性ソーダ水を作る用)
・計量カップ、量り
・ボウル 2個(苛性ソーダ水を冷やす用と石けん記事を混ぜる用)
・鍋(オイルを温める用)
・冷やすための氷水、湯せん用のお湯
・温度計 2本(100℃まで計れるもの)
・ステンレススプーン 2本(苛性ソーダ用と苛性ソーダ水用)
・泡だて器(石けん生地を混ぜる用)
・石けんを固める型
(専用の石けん型のほか、シリコン製のモールドや、牛乳パック等でも)
・保温箱と保温用タオル
そのほか、下記も用意してください。
《独特の刺激臭や熱い蒸気から守るため》
・メガネかゴーグル
・マスク
《手や衣類保護のため》
・ゴム手袋
・エプロン
作りかた
大まかな流れはこのようになります。
① 苛性ソーダ水を作る
② 混合オイルを作る
③ 混合オイルに苛性ソーダ水を加え鹸化(けんか)する
④ コーヒーの粉を混ぜる
⑤ 型に流し込む
⑥ 石けんを保温する
⑦ 型から出して乾燥・熟成させる
① 苛性ソーダ水を作る
【注意】この工程は、メガネかゴーグル、マスクをして行ってください。刺激臭のある蒸気が発生して温度が90℃くらいまで上昇するので、決して顔を近づけたりせず、蒸気を吸い込まないように注意してください。
耐熱プラスチック容器に精製水を入れ、そこへ苛性ソーダを静かに少しずつ入れ、スプーンで苛性ソーダのかけら(粒々)がなくなって透明になるまで混ぜます。
透明になったら、水と氷を入れたボウルにつけて、温度計を見ながら40~45℃になるまで冷やします。
② 混合オイルを作る
今回は、ピュアオリーブオイル 300g、ココナッツオイル 100g、パームオイル 100g…と3種類のオイルを混ぜて作りますが、1種類でもOKです。効果・効用で選ぶなど、お好みで作ってみてください。
すべてのオイルをボウルに入れ、温度計を見ながら40~45℃になるように湯煎にかけます。オイルの温度と苛性ソーダ水の温度を合わせるのがポイントです。
③ 混合オイルに苛性ソーダ水を加え鹸化する
①と②が同じ温度になったら、ボウルの中で泡立て器を動かしながら、②の混合オイルへ、①の苛性ソーダ水をゆっくりと注いでかき混ぜていきます。最初の20分間は休まずにかき混ぜ続けてください。
その後は生地の様子を見ながら時折かき混ぜます。生地が重たくなり、泡立て器から垂れ落ちる生地で、生地の表面に絵が描けるくらいになったらOKです。
④ コーヒーの粉を混ぜる
鹸化できた生地へ、コーヒーの粉を混ぜていきます。
入れる量で、コーヒー色の濃淡も付けられるので、そこはお好みで試してみてください。粉の量が多ければ、洗う時にスクラブのようなザラッとした触感の石けんになります。
⑤ 型に流し込む
型に生地をゆっくり流し入れ、型を軽く揺すり表面を平らにならしてから蓋をします。今回使っているような、シリコン製のモールド(型)などの場合も、ラップをかける等、ほこりが入らないようにしてください。
⑥ 石けんを保温する
発砲スチロールの箱など、保温性のある箱に入れ、温度の変化が比較的少ない場所で24時間寝かせます。24時間後に保温箱から出し、さらに1~2日、石けんの表面が乾くまで寝かせます。
⑦ 型から出して乾燥・熟成させる
型から取り出したら、乾燥させます。牛乳のパック等で固めた場合は、ナイフやワイヤーを使いお好みの大きさに切り分けましょう。
あとは乾燥用の箱などへ隙間をあけて並べ、日の当たらない風通しのよい場所で4~6週間置いて乾燥・熟成させます。
一見、乾燥している石けんですが、ここで時間をかけて乾燥させることで、しっかりと固い感触の石けんになります。
今回『コーヒー石けん』づくりを教えてくれた人は…
今回は、UCCコーヒーアカデミーの講師・大澤優二さんが教えてくれました。
教えてくれたアカデミーの大澤講師に質問!
Q:石けんを寝かせている間に表面に水滴がたまったのですが…
A:この水分は、空気中の水分が引き寄せられたものです。グリセリンには水分を引き寄せる性質がありますのでそのまま乾燥させましょう。
Q:表面に白い粉が吹いてきたのですが…
A:石けんが乾燥する時、空気に触れている部分だけにうっすらと出来るものです。見た目はよくないのですが、使う分には問題ありません。
Q:石鹸の表面が油っぽくてぬるぬるしている!
A:夏のような暑い時期に見られる現象です。保温中の温度が高い場合、過剰な油脂分や香料などが表面に浮き出てくることがあります。余分な油分や水分は拭って、乾燥すれば問題ありません。
大澤さんからみなさんへ
苛性ソーダを使って作ったコーヒー石けんには3種類のオイルを合わせて使いましたが、オリーブオイルはしっとりさせる、ココナッツオイルは泡立ちを良くする、パームオイルは解け崩れしにくくなる、などの効果もあります。
コーヒー以外にも、ドライハーブやスパイス、はちみつ、豆乳など、食品を入れた石けんを作ってみるのも楽しいですね。石けん作りは、使う材料や配合によって様々なアレンジが出来ますのでいろいろ試してみましょう!
UCCコーヒーアカデミーでは、「1DAYセミナー」と称して、1日完結で受講できるセミナーを企画しています。このコーヒー石けんづくりも「1DAYセミナー」でご紹介しました。機会があれば、ぜひ参加してみてくださいね。
⇒ UCCコーヒーアカデミー:1DAYセミナー
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