「おいしい」の笑顔のために、コーヒーを科学する [COFFEE CREATOR’S FILE 05 加藤雄太+永山秀佳] | My COFFEE STYLE MAGAZINE

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「おいしい」の笑顔のために、コーヒーを科学する [COFFEE CREATOR’S FILE 05 加藤雄太+永山秀佳]

「一杯のコーヒーができるまで」…そこにはUCCのコーヒークリエイターたちの「おいしい事実」があります。

COFFEE CREATOR’S FILE 05 R&D本部 製品開発部 嗜好品設計チーム 加藤雄太/R&D本部 容器・資材開発部 永山秀佳

UCCイノベーションセンターでは日々、コーヒーの可能性を追求し、よりおいしい製品を届けるために、さまざまな分野で研究開発を行っています。今回紹介するふたりのスペシャリストが活躍する分野とは―。

職人の味覚や経験則をデザインする—加藤雄太

私が配属されている「嗜好品設計チーム」は、製品の味覚設計を担当する部署です。約10人のチームで多くのブランドを扱っていますが、現在、私が担当しているのは『ゴールドスペシャル』や『職人の珈琲』など。それぞれUCCの主力製品ですので、マーケティング部門や生産部門、また品質保証を管理する部署などと緻密に連携しながら、試作を行い、研究者として気の抜けない毎日を送っています。

これまで、製品の味覚を決める際は、職人の経験値に基づく、いわゆる「官能評価」に頼る部分も多かったのですが、現在はUCC独自の味覚センサー技術なども積極的に活用し、味覚を可視化(数値化)して製品設計を行っています。

「閾値(いきち)」で繰り返す、感覚を磨く訓練

開発段階のコーヒーについて、もう少し渋みを抑えるには…、ほんの少しコクを加えるにはどうすればいいのか…など、試飲と微調整を繰り返して製品は出来あがっていきます。求める味覚を作るために、この焙煎機の前にいることも多いですね。レシピを調整しながら、試作のためのコーヒー豆を何種類も焙煎していきます。

コーヒーの味覚の基本になるのは、「甘味・酸味・塩味・苦味・うま味」という5つの要素です。製品の開発において、味覚センサーなどで得た理化学データから科学的に豆の種類や焙煎の深さにアプローチしていく場合、データとのズレが生じないよう、私たち研究者も常に味覚や嗅覚を研ぎ澄ましておく必要があります。

そういった感覚を保っておくために、人間の感覚で判断できるかできないかギリギリの値、いわゆる「閾値(いきち)」の濃度で、塩水や砂糖水などを用意して、中身を判別する訓練を定期的に行っています。なぜなら、チーム全員が同じレベルの鋭敏な舌を持って、いわゆるキャリブレーション(較正、調整)といいますか、データと味覚を摺り合わせて共有することも大切だと考えているためです。

UCCの製品開発にとって「嗜好品設計チーム」はカギとなる存在ですが、おいしく設計されたコーヒーをさらにおいしく、お客様に最適な状態で楽しんでもらうために欠かせない部署があります。それが「容器・資材開発部」です。

コーヒーのおいしいカタチを求めて—永山秀佳

「容器・資材開発部」というのは、その名の通り、製品のパッケージやコーヒーフィルターなどを研究開発する部署です。決して派手な仕事ではありませんが、加藤さんたち「嗜好品設計チーム」が作ったコーヒーが、きちんと工場から出荷されて、お客様においしく飲んでいただけるように考えています。また、安全や環境にも配慮しながら、どのような方が使っても扱いやすい製品にするために、日々、包装の改良に取り組んでいます。

たとえば、ペットボトル製品『UCC 職人の珈琲』シリーズ。私は、この新しくなったペットボトル「ハピネスボトル」の開発を担当いたしました。

職人の珈琲 ブランドサイトはこちら

全体に丸みを持たせたデザインで、中央部にくびれがあることで持ちやすくて、安定して注げます。また、スリムなデザインは冷蔵庫のポケットにスッキリと収まるだけでなく、輸送時の効率がアップすることで二酸化炭素の排出量も削減します。

実験用の「分注機」をオーダーメイド

私はUCCに入社するまで、ブラックのコーヒーが飲めませんでした。しかし、新人研修や、競技会に参加されている“達人”たちの淹れたコーヒーを飲んでコーヒーのおいしさ、奥深さに目覚めました。今では自宅でドリップすることもありますが、コーヒーを知るほどに、コーヒーを淹れる難しさを感じています。

一口に「ドリップ」と言ってもその技術は奥が深いものです。達人の味覚に近づいたり、その技術を習得したりするのは簡単ではありません。ただ、日々、抽出液を観察していると、抽出の前半と後半では液の色や味わいが違うことに気が付きました。

技術の習得は難しくても、コーヒーの味覚を科学的に分析して、「おいしさとは何か」を見つけられれば、私たちがお客様に飲んでいただきたい「おいしさ」を、いつでも提供できるのではないかと考えました。

それをどうやってカタチにするかはまだ検討中ですが、抽出液の色や味わいの変化を調査するために、外部の協力会社に依頼して、「分注機」をオーダーメイドしました。任意に設定した時間や量で抽出液を分注可能な装置となっており、さまざまな条件で採取した抽出液の分析を繰り返しています。

「嗜好品設計チーム」の加藤と「容器・資材開発部」の永山。それぞれの研究分野は違いますが、目指しているのはひとつ、「おいしいコーヒーをお客様に届けること」。

“科学の力”でおいしいコーヒーを

コーヒーが好きで学生時代には喫茶店でアルバイトをしていたという加藤が言います。

私は、コーヒーの味を設計する研究者になった今も毎朝コーヒーを飲みます。毎日コーヒーを飲んでいて思うのは、コーヒーって不思議な飲み物だということ。カップの形や色でも味覚が変わってきますし、誰と一緒に飲むかでも違う。でも、私は研究者なので、そういった感覚的なことも、数値化したデータを製品へ応用することで、お客様によりおいしいコーヒーを届けたいと考えています。

仕事柄、ハイクオリティな豆を扱うことも多いのですが、誰もが毎日飲むような普通のコーヒーも“科学の力”でおいしくしたい。そのためには永山さんたちの部署だけでなく、社内の各部署とのつながりが大切だと思っています。

将来は…豆の品種にとらわれず科学の力で様々なコーヒーの味わいを表現できる焙煎手法が実現できたらいいですね。

私も、加藤さんとは違うアプローチで、もっともっとコーヒーをおいしくしたいと考えています。たとえば、コーヒー豆を保存するための新しいパッケージ。既存のパッケージも酸化しやすいコーヒー豆の鮮度を守るためにさまざまな工夫がされていますが、まだまだ研究の余地はあるはず。いろんなことにチャレンジしていきたいです。

あなたの心に残る、最高のコーヒーは?

イノベーションセンターに配属された年に、社内の焙煎競技大会で焙煎した「ホンジュラス ロスピノス農園」のコーヒー。自分なりに焙煎条件などを試行錯誤し、甘みやコクなど、思い通りの味が出せた一杯。

家では全自動コーヒーマシンを愛用しています。どんなに忙しい朝でも豆から挽いたコーヒーがすぐに飲めるので、朝のコーヒータイムには欠かせません。

R&D本部 製品開発部 嗜好品設計チーム
加藤雄太 Yuta Kato

2017年入社。レギュラーコーヒーの味覚設計。入社3年目より『ゴールドスペシャル』や『職人の珈琲』などを担当。

広島の祖父母に淹れたコーヒーです。愛用品のポットとドリッパーは入社してから買ったのですが、人に「おいしい」って飲んでもらえるのが嬉しくて、帰省した際に祖父母にも飲んでもらいました。あのときの2人の笑顔が忘れられません。

R&D本部 容器・資材開発部
永山秀佳 Shuka Nagayama

2018年入社。製品パッケージの開発部署に所属。2022年に刷新した「ハピネスボトル」の開発に携わる。

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