備前焼のコーヒーカップでコーヒータイムを豊かに–和の器を楽しむVol.3– | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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備前焼のコーヒーカップでコーヒータイムを豊かに
–和の器を楽しむVol.3–

老舗の喫茶店の中にはカップにこだわるお店もあるように、コーヒーの楽しみ方のひとつとして器を吟味してみるのもいいでしょう。和の器第3弾は、日本の名陶から特徴のある風合いで名高い「備前焼」のカップです。今注目の新感覚のブランドもご紹介します。

素焼きの風合いのある、コーヒーカップ

洋風のコーヒーカップもいいけれど、日本の焼き物「和の器」はほっこりと心が和むような懐かしい趣がありますね。第1弾は山口県の「萩焼」、第2弾は佐賀県の「唐津焼」のコーヒーカップをご紹介してきました。
第3弾となる今回は、素焼きの手馴染みと落ち着きのある焼き肌が魅力の「備前焼(びぜんやき)」のご紹介です。

素朴で力強い土ものの美しさ

備前焼は、高品質な陶土を成形し、乾燥させた後、絵付けや釉薬を施さずに焼かれるため、土の色合いが美しく表現される焼き物です。焼き肌にも多様な種類があり、これらは窯への器の詰め方や燃料となる木の焚き方、炎の力などで起こる窯変により生み出されます。
1,200〜1,300℃の高温で7〜10日昼夜を分かたず焼かれることで、磁器と陶器の中間の性質を持つ硬質な炻器(せっき)となります。

備前の歴史と備前焼

備前市は、瀬戸内海に面し、複雑な海岸線と大小さまざまな島々が美しい風景を生み出す地域です。

写真上左から:瀬戸内海に面した備前の海の景色、古代史跡旧閑谷学校(日本遺産)、深谷の滝、大瀧山福生寺三重塔

備前焼は、古墳時代の須恵器(すえき)の製法が進化し、平安時代に生活容器として生産されたのが始まりと言われます。現在の赤褐色の風合いは鎌倉時代になってからで、室町時代にはこの地の陶土が使われロクロによる量産も確立されました。
一時は衰退しましたが、昭和30年代に日本だけでなく海外でもその独自の作風が高く評価され、急速に名声を高めました。

備前焼の特徴

備前焼は、1000年の歴史を持ち、土の色と手触りを最も大切にした焼き締めの陶器として知られています。その大地の温かさを感じさせる土の質感や、木と炎が生み出す自然の力を表現した素朴な美しさが特徴で、六古窯(※1)の中で唯一の無釉焼き物(※2)です。

備前焼の内部は緻密な組織をしており、保温性が非常に高いため、熱いものは冷めにくく、冷たいものも長時間温度を保ってくれます。例えばビールのような発泡飲料では、微細な凸凹が発泡能力を高めることで、泡がきめ細かく長持ちするという特徴があります。

※1)古来の陶磁器窯のうち、中世から現在まで生産が続く 代表的な6つの窯(越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前)の総称

※2)無釉とは焼き物の表面にガラス質のコーティングである釉薬を使わず、陶石や土の素材をそのまま活かした技法のこと

焼き肌の種類

備前焼は釉薬を使わないため、土づくりが重要。粘り気が強く耐火度が低い鉄分を豊富に含む伊部周辺の地下にある粘土層で「ひよせ」と呼ばれる陶土を使います。
また焼き肌の違いは、窯への詰め方や松割木の炊き方、炎の力による工夫によって生まれます。代表的な備前焼の焼き肌を4つ紹介しましょう。

【窯変】(ようへん)
窯床においている作品が炭に埋もれて、直接炎に当たらないのと、空気の流れが悪くなっていることが合わさって、還元焼成(いぶし焼きの状態)になる事で生まれる窯変。ネズミ色・暗灰色・青色などに発色します。

【胡麻】(ごま)
燃料の松割木の灰が、焼いている間に作品に付着して、ゴマをかけた状態になったもの。昨今では人為的に胡麻を出すために、灰を焼成前に作品に付けて焼くこともあります。

【桟切】(さんぎり)
多くの灰に埋もれて直火にあたらず、そこだけ還元焔焼成(かんげんえんしょうせい・いぶし焼き)になるため、灰色や青色などの発色と模様ができます。
今では木炭を使って人工的に桟切りを作る方法(炭桟切り)も行われています。

【緋(火)襷】(ひだすき)
作品がくっつくのを防ぐためにワラを間に挟んで焼くのですが、このワラの成分と粘土の鉄分が化学反応をおこし、筋状の緋色の模様が現れたものをいいます。緋色が火の色を表し、備前焼の代表的な窯変です。今では電気窯で焼成することも多くなっています。

若手作家の備前焼のコーヒーカップ

備前焼の陶器は、水をまろやかにする作用があり、コーヒーやお茶と相性がいいだけでなく、さらに熱さや冷たさを長持ちさせる特徴があります。
今回は、伝統ある備前焼の中でも、新しさを感じさせる若手作家さんのコーヒーカップを紹介します。

誠実さのあるシンプルな器を生み出すQuiet Houseさんの作品

まっすぐマグカップ L
まっすぐなシルエットの器は300mlと大容量なので、温かいコーヒーだけでなく、氷をたっぷり入れたアイスコーヒーにおすすめです。ロクロで成形した後に表面を手で削り、形を整えたものでやさしい手触りのカップです。焼き色は登り窯の焼き上がりに入れる炭によって生まれる桟切(さんぎり)です。

まっすぐタンブラー M
まっすぐなラインで構成されたまっすぐなシルエットのカップ。まっすぐなマグカップ同様、ロクロで成形し、表面を削って形を整えたもの。焼き色は桟切りです。飲みものの温度をいつまでも持続し、おいしさも保つので、アイスコーヒーにおすすめのタンブラー。内部の微細な凸凹が泡をなめらかに長持ちさせるのでビールグラスにもおすすめです。容量は約200ml。

Quiet House
2015年、4名の陶芸家で新しいアノニマスデザインのブランドプロジェクトを起ち上げ。伝統的な備前焼の技術を守りつつ、手仕事の誠実さと土の質感を感じるシンプルなデザインの作品を手掛ける。備前焼食器の新たなイメージ・価値観を使い手と共に生み出し、シェアしていく事が目標。現在は6名で活動。登窯を年1回焼成している。

新鮮さのある器作りを目指す吉岡亜子さんの作品

緋襷のコーヒーカップ
緋襷の模様がバランスよく入ったコーヒーカップは、明るい色合いがコーヒーの色合いを引き立てます。焼き色は、焼成前の素地に藁を巻き、酸化焼成で焼くことにより、土の成分と藁のカリウムが反応して赤くなる、緋襷です。藁の太さやあたり具合で模様の出方が変わるので、まさに一点もの。容量は約150ml。

桟切と緋襷のマグカップ
たくさん飲みたい人やマイカップにおすすめのマグカップ。桟切は焼き上がる直前に窯の中へ炭を入れて強還元を起こすことで複雑な景色を生み出します。緋襷は焼成前に藁を巻いて酸化焼成で焼き、土と藁のカリウムが反応して模様が入るという、同じ器でも焼き味の違う作品です。容量は約250ml。

Aco*cocha 吉岡亜子
大学卒業後、備前焼の窯元で陶工を8年間勤める。独立後は「備前焼をもっとかわいく、もっと身近に!」をコンセプトに、備前焼のルール(釉薬を使わない、絵付けをしないなどの基本)は守り、女性ならではの感性で、使いやすく見た目も可愛い備前焼を提案。 身近で使いたくなるような作品づくりをしている。

器を探しに備前へ

備前焼の街「伊部(いんべ)」は、岡山駅から約30km、バスや電車で40分〜1時間です。「一千年伝統を誇る陶芸の里」の街並みを散策し、備前に残るさまざまな歴史ある建物などを見学に行くのはいかがでしょうか。代表的な観光地2つをご紹介。

特別史跡旧閑谷学校(しずたにがっこう)
平成27年「近世日本の教育遺産群ー学ぶ心、礼節の本源ー」として日本遺産に認定された旧閑谷学校は、寛文10年(1670)に創設した日本最古の「庶民のための学校」。国宝の講堂の屋根は現在も美しい備前焼の瓦が葺かれています。そのほか旧閑谷学校の史跡では、多数の国指定重要文化財に指定された貴重な教育遺産が見学できます。

天津神社(あまつじんじゃ)
備前焼ゆかりの神社・天津神社は、病気の平癒をもたらすといわれる少彦名命(すくなひこなのみこと)と学問の神様・菅原道真をお祭りした神社。狛犬、参道、屋根瓦など全てが備前焼。ゆっくり見ても見応えがあります。

備前焼の陶工は伊部を中心に外国人も含めて400人余りいます。全部見るのは難しいですが、ゆっくりとお気に入りの備前焼カップを探しに行ってみませんか。

(写真提供)岡山県備前焼陶友会
(観光写真提供)備前観光協会
(器/写真協力)備前焼窯元 Quiet House
(器協力) 備前焼窯元 Aco*cocha

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