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四万十川の恵み。『小鮎最中』(右城松風堂)
今回ご紹介するのは高知県「右城松風堂」の『小鮎最中』。流線形の姿が美しく、まるで泳いでいるよう。
みなさんは頭から食べますか?それとも尻尾から? 真ん中で分けますか?どこから食べても大丈夫、餡がしっかり隅まで入っています。
白餡と香ばしい最中種(皮)はぴたっとフィットして、口の中でパサつくことなくまとまり、スジアオノリの香りがふわり。アオノリがこんなに和菓子に合うなんて…そんな驚きもくれるお菓子です。
土佐の小京都とも言われる四万十市。「右城松風堂」は80年の歴史を持つ菓舗です。先々代が戦前に和菓子の製造を始め、始めは焼き饅頭屋を営んでいたようです。第二次世界大戦中には満州にて菓子店を続け、終戦を機に引き揚げて、現在の地で商いを再開。1946年(昭和21年)には東南海地震による火災で、貴重な資料が焼失してしまいましたが、1964年(昭和39年)、東京オリンピックの年には、先代が戦争と震災からの復興への願いをこめて会社を設立しました。まさに時代という大河を泳ぎわたるように、お菓子作りの伝統を紡いできたのですね。
60年ほど前に製造が始まったとされる『小鮎最中』の誕生についても、はっきりとした記録は残っていません。でも確かなことは、当時からずっと、素材の味と四万十の自然を大切に、ひとつひとつ手作りで仕上げていること。お土産としての人気はもちろん、他県に越した人が里帰りした際に立ち寄り、購入していくことも多いそう。四万十市の人にとって「心の故郷」ともいえるお菓子なのかもしれません。
四万十川のシンボル、鮎の姿を写しとって
高知県四万十市。その中心を悠々と美しい水を湛えて流れる四万十川は、日本有数の川漁の場でもあります。中でも親しまれているのが鮎。夏の夜、たいまつの炎で鮎を追い込む「火振り漁」は四万十の夏を彩る伝統行事です。鮎は藻類を食べて育つため、独特の香りが特徴で「香魚」とも呼ばれますが、濁った川の藻類を食べている鮎は泥臭くなってしまいます。四万十川の鮎たちは、水質の良い川底の石についた苔を食べているので、香りがよくおいしいのだそうです。
そんな四万十川のシンボル、鮎を写し取った『小鮎最中』。胸びれもリアルで、小ぶりながら、若鮎のような躍動感にあふれ、川の音まで聞こえてきそうです。
四万十川のもうひとつの名物、スジアオノリ
右城松風堂には、2種類の鮎最中があります。大きな鮎最中の方には求肥が入っていますが、この『小鮎最中』の魅力は翡翠のような色をした餡。国産手亡豆を使用した白餡に「スジアオノリ」が練り込まれているのです。スジアオノリもまた、鮎とともに四万十川の名産です。鮮やかな緑で、香りも極上、おいしさもひときわ。白餡との相性もぴったりです。ただスジアオノリはとても繊細で、温めすぎると風味が落ちてしまうため、細心の注意を払って練り込んでいくそうです。
クオリティは大切に、お客さまとの新たな出会いの場へ
右城松風堂がお菓子作りにおいて何より大切にしているのはクオリティ。どの商品も基本的にひとつとつ手作りなので、1日にできる数には限りがあります。そのため今は、販路の拡大を視野に入れつつも、店舗での販売を中心にしています。
でも嬉しいことに『小鮎最中』は、「バンデザインスタジオ」が運営する「おいしいデザイン商店」というオンラインショップでも買うことができます。バンデザインスタジオとは、個包装の変更をきっかけにご縁ができたとのこと。「産地と暮らしの間をデザインする」というコンセプトに基づいた丁寧なもの作り、そして『小鮎最中』を気に入っていただけたこともあって、販売までゆだねることにしたそうです。
シンプルであたたかみがあり、ほんのりポップな可愛らしさも感じるパッケージ。若い人や子供たちにも愛されて、新たな時代をすいすい泳いでいきそうですね。
【コーヒーマリアージュ】
『小鮎最中』には、コクがありつつも後味にキレのよさを持つアイスコーヒーを
ここからは、UCCのR&Dセンターで味わいに関するデータ分析の担当者が解説します!
それではコーヒーマリアージュ、してみましょう!
四万十川の鮎漁が盛んになる季節は、ちょうど暑さも増してくる季節なので、涼やかな川の風景を思い浮かべながらアイスコーヒーを合わせてみましょう。
おすすめしたいのは、冷たくしても味わいがしっかりと感じられ、かつ後味にキレを持つ深炒りのコーヒーです。コーヒーの深みが餡の甘みとひとつになり、後味のキレがアオノリの爽やかさとひとつになって、次のひと口の楽しみへと繋げてくれます。
そんな味わいを持つアイスコーヒーであれば、そのまま飲めるリキッドタイプや水出し専用のバッグ入りコーヒーでもかまいませんが、今回おすすめしたいのは、アイスコーヒー専用のレギュラーコーヒー(粉)。ドリップして氷で急冷する作り方なら、味の調整も自在になります。
たとえば力仕事の合間にセミの声など聞きながらパクッと食べてサラッと飲み干したいときには、少し軽めに。冷房のきいた室内でゆったりじっくり味わいたいときには、粉の量も増やしてコク深い味わいにするなど、その日のお天気や気分に応じて、お楽しみください。
『小鮎最中』のベストパートナーは『UCCゴールドスペシャル アイスコーヒー(粉)』
『小鮎最中』にぴったりの、深炒りでキレのある後味を持つアイスコーヒーは『UCCゴールドスペシャル アイスコーヒー(粉)』です。プロのこだわりによる「単品焙煎」で引き出されたコクと香りは、氷で急冷してからもしっかりと楽しめます。ドリップして作るタイプは自分好みの味わい調整も自在。さまざまな場面でお好みに合わせて『小鮎最中』とのマリアージュを味わっていただけることでしょう。
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水の恵みのマリアージュ
高知県の南西部、全長196kmに及ぶ、雄大な四万十川。1994年(平成6年)までは「渡川(わたりがわ)」でしたが、今は「四万十川」という名前で知られています。「四万十」の由来は不明ですが、「多くの支流を持つ川」という説、アイヌ語の「シ(とても/大きい)・マムタ(美しい)」からきたという説などがあるそうです。
水源は不要に人の手が入らないよう管理され、自生する落葉樹の葉が雨水のフィルターに。またダム的な設備も規模の大きなものはなく、それにより川が淀むことはありません。橋もまた、大雨で増水して沈んだ際、流木や土砂が引っかからないよう欄干をなくしてあります。川本来の流れを人工的なもので妨げない…四万十川の水質、美しさは、大自然の脅威や不便と共存しながらも、そんな姿勢を尊重する人々に支えられていると言えるのかもしれません。
水は、コーヒーにとっても大切です。アイスコーヒーなら氷の味も左右します。日本ではほとんどの地域で、水道水を使って淹れることができ、氷も作れます。これはとても幸せなことですよね。
実はちょっと心配なことも。四万十川では昨今、水温の上昇などによりスジアオノリの不作が続いているそうです。右城松風堂でも、四万十川産だけではなく他の国産品にも頼らざるをえないとのこと。まるで川涼みのような気分にひたれる『小鮎最中』とアイスコーヒーの組み合わせは、豊かな水の恵みのマリアージュ。状況が少しでも良い方向に向かうことを願いながら大切に味わいたいですね。
ご紹介した 高知県の銘品「小鮎最中」は以下でお買い求めいただけます。 オンラインショップ
半澤 拓(はんざわ・たく)
2011年入社。UCCの研究施設イノベーションセンターにて研究開発業務に携わる。
2016年にコーヒーと食べ物の食べ合わせを分析する「フードマッチングシステム」を開発。コーヒーの味や香り、食べ合わせに関する研究報告やセミナーなど多方面で活躍。
UCCの「フードマッチングシステム」ほか、おいしい!を極める技術について興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。
▼コーヒーマリアージュについての記事はこちら
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