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マナー講師・松澤萬紀さんが教えてくれた、コーヒーがよりおいしく味わえるコミュニケーションと8つのマナー|コーヒーをおいしくするのはテクニックだけじゃない——8つのマナー編(後編)

2019.07.31
マナー講師の松澤萬紀先生によれば、マナーとは「相手に対するエチケットに、優しさや思いやり、気遣いや心配りをプラスしたもの」だそうです。

コーヒーには、フランス料理のような「ナイフとフォークは外側から使う」といった厳密なマナーはありません。しかし、松澤先生いわく、「コーヒーを飲む空間が心地良くなるようなマナーは、ある」とのこと。一体、それはどんなマナーなのでしょうか?

コーヒーをおいしくするのは、テクニックだけじゃない

コーヒーをおいしく淹れようとすると、豆の挽き方や温度、抽出の仕方などといった、“コーヒーの技術”に意識が向きがちです。しかし、コーヒーを淹れるのが上手な方に「どうやったら、おいしいコーヒーを淹れられるのですか?」と伺うと、テクニカルな部分に触れられるものの、皆さん共通して「相手のために心を込めて淹れること」とおっしゃいます。

先日、友人宅に遊びに行った際「このカップがあなたの雰囲気にぴったり合うと思って!」と言いながらコーヒーを出してくれました。そのとき、「私の友達は、会う前から、私のことを喜ばせたいと思い、事前にカップを選び、コーヒーを淹れてくれたんだ」と感じたんです。

すると、目の前にあるコーヒーがとても“特別な1杯”に見えました。そのお友達の行動から「あなたのことを大事にしていますよ」のメッセージが押しつけではなく、さりげなく伝わってきたのです。

例えば、コーヒーとセットで出すお砂糖も、白糖が好きではない方には黒糖を用意するなど、事前にいろいろな気遣いができるはずです(お砂糖以外でも、あらかじめカップを温めておく、テーブルをきれいにする、花を飾る、その人が好きなお菓子を事前に調べて用意しておくなど)。

私は、“おもてなしの心”を持って淹れることがよりコーヒーをおいしくする秘訣なのかなと思います。

コーヒータイムに考えたいエチケットとマナー

私は自分の経験から、思いやりの気持ちを添えてコーヒーをご提供すると、「ありがとう。おいしかったよ」と言ってもらえる確率がとても高いと感じています。気のせいかもしれませんが、見えない思いが必ず相手に届いているような、そんな気がするんです。

もしも、コーヒーを「バンッ」と乱暴にテーブルに置かれたら、ものすごくおいしいコーヒーでも、おいしくないように見えてしまいますよね。

飲む側にも同じことがいえます。せっかく相手が思いを込めて淹れてくれたコーヒーにも関わらず、「ズルズルッ」と相手に聞こえるほどの大きな音を立てて飲んでしまったら……。せっかくのコーヒータイムが台無しになってしまう気がしませんか?

そこで登場するのが、マナーです。「マナー」と聞くと、型にはまったことを思い浮かべてしまいがちですが、そうではありません。マナーとは、「相手に対して気遣いや思いやりの気持ちを表現すること」——それは、「言葉、表情、態度などで相手に伝えること」なんです。

一番わかりやすい例を挙げましょう。エチケットとマナーの違いです。

私が、会社の通路を歩いていたとき、向こうから人がやってきました。すれ違いざまに「〇〇さん、おはようございます」とあいさつをするのが、エチケットです。

一方のマナーは、「おはようございます」とあいさつすべきシチュエーションだけれども、相手がお客さまと話しながら歩いてくるような状況であれば、相手の邪魔にならないように、声を掛けずに会釈(えしゃく)だけして通り過ぎていくことです。

つまり、相手に対するエチケットに優しさや思いやり、気遣い、心配りをプラスしたものがマナーです。状況、相手、時間帯によってマナーは変わってくるものなんですね。先の例でいえば、「おはようございます」と声を掛けるのが、相手の状況に合わせて「会釈だけ」になるといった具合です。

コーヒーの場面で考えてみましょう。カップを置くときに音を立てないのが、エチケットです。マナーはそのエチケットに、「熱いので、お気を付けてお飲みくださいね」と相手を思いやった一言を添えることです。

朝早く、時間のない状況であれば、いつもよりぬるくてサッと飲めるコーヒーを用意する。いつも濃いコーヒーが好きな人が、お疲れの様子で食欲がないときは、あえてアメリカンにする。そこに「『最近、食欲がない』とおっしゃっていたので、薄めにしておきました」と思いやりの言葉を添えたら、「自分の体調を心配してくれているんだな」と、とてもうれしい気分になりませんか?

おいしいコーヒーを出したい気持ちは誰にでもあるもの。そこに「相手を思いやるプラスアルファの意識」——マナーの視点を取り入れたら、相手にとっても自分にとっても特別な一杯が生まれるはずです。

コーヒーをおいしく飲むことができる、8つのマナー

ここからは私が考える、コーヒーがおいしく飲めるマナーについて、ご紹介します。どれも簡単ですぐにできるものばかりなので、ぜひ、実践してみてくださいね。

マナーその①:音に気を付ける

コーヒーをすする音、ストローを吸う音(アイスコーヒー)、カップを置くときの“ガチャ”っとした音など、相手が不快に感じる音は立てないようにしましょう。自分一人だけであれば気にならない音なのかもしれませんが、コーヒーを飲む空間そのものを楽しんでいる方の邪魔をしないよう、細心の注意を払いたいものです。

マナーその②:コーヒーカップは右側に置く

大半の方が右利きであることに由来していますが、落としたり壊したりすることを回避するために、コーヒーカップは粗相をしにくい右側に置きましょう。なお、左利きの方は左側に置いてください。

指で“握る”のは、NGです。

マナーその③:一口目はブラックにする

コーヒー本来の味と香りを楽しむために、一口目はブラックで飲むことが一般的なマナーとされています。もしも、コーヒーにミルクや砂糖などを入れたい場合は、淹れてくれた方への感謝を忘れずに、「申し訳ございません。私は甘党なので、お砂糖を入れてもよいでしょうか?」などのひと言を添えることが大切です。

マナーその④:美しく飲む

お砂糖やミルクは液面がはねないよう、静かに入れましょう。また、コーヒーを飲む際は、猫背になったりテーブルに肘をついたりせず、美しい姿勢で飲むことを意識しましょう。混ぜ終えた後のスプーンはカップの奥側に置き、飲み終わったらまたカップの手前に戻してくださいね。

マナーその⑤:感謝の言葉を口にする

黙ってコーヒーを受け取らずに、笑顔とともに「ありがとうございます」のひと言を添えましょう。とても好印象です。提供した側も、うれしいですよね。

マナーその⑥:飲むスピードを相手と合わせる

2人以上の複数人でコーヒーを飲む場合、可能な限り周囲に同調し、飲むスピードを合わせるようにしましょう。あまりにも飲むスピードに差があり過ぎると、相手に「早く帰りたいのかな……」などの余計な不安を与えてしまう場合もあります。

小指を立てるのも、控えましょう。

マナーその⑦:プレゼントをするときは、メッセージを添える

コーヒーを贈り物にするとき、ただコーヒーを「どうぞ」とプレゼントされるのと、「〇〇さんはコーヒーがお好きだと伺ったので、おすすめのコーヒーを選びました」とメッセージ付きでプレゼントされるのとでは、相手への印象が、大きく異なります。きっと、相手をより笑顔にする喜ばれる贈り物になるでしょう。

マナーその⑧:コーヒーカップを首より高い位置に持ち上げない

たまに、「このコーヒーカップ、かわいい! どこのメーカーなんだろう?」と、コーヒーカップを首より高い位置まで持ち上げ、コーヒーカップ底のブランド名を確認する方がいますがこれはNG!! コーヒーカップを褒めるのはすてきなことですが、うっかり落としたりぶつけたりしたら、大変です。もしブランド名を確認したければ、口頭で確認しましょう。

猫背で肘をつき、前かがみになる姿勢は、美しくありません。

番外編:家庭でのマナー

最後に、ご家庭でのマナーです。一般的に、ご家庭だと奥さまが旦那さまにコーヒーを淹れる機会が多いのかもしれません。だからこそ、たまには、旦那さまから奥さまへ愛情をこめてコーヒーを淹れてみてください。私の友人は、「旦那がたまに淹れてくれるコーヒーが一番好き」と言っていました。

お仕事などで忙しいときは、月に1回でもいいのです。「いつも家事をありがとう」「毎日、育児、お疲れさま」といった気持ちを込めて、奥さまのためにコーヒーをプレゼントしてはいかがでしょうか? 高価なプレゼントを購入するのは大変かもしれませんが、愛情いっぱいのコーヒーを淹れることなら、今日からすぐにできそうですよね。目の前の人を笑顔にすることはコーヒー1杯でもできるんです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。前編・後編にわたってお伝えしてきた「コーヒーのお話」はいかがでしたでしょうか?

今回お伝えしたことを参考にしていただき日々の生活の中に取り入れていただくことで、コーヒーのある生活がもっと豊かになるはずです。皆さまのコーヒータイムが笑顔に満ち溢れ、より充実したものになりますように。

 

(前編はこちら)

マナー講師・松澤萬紀さんが教えてくれた、コーヒーがよりおいしく味わえるコミュニケーションと8つのマナー|コーヒーは人の心と心を近付ける接着剤——コミュニケーション編(前編)

 


松澤萬紀(まつざわ・まき)

日本ホスピタリティー・マナー研究所・代表。幼少期よりCA(客室乗務員)に憧れ、8回目の試験で念願のCAに合格。全日空(ANA)のCAとして、12年間勤務する。ANA退社後は、ホスピタリティー・マナー講師、CS(顧客満足度)向上コンサルタントとして活動。

関西人ならではのユーモラスな講義で、過去最多は、年間登壇回数200回以上(総受講者数は、2万人以上)。リピート率は97%に達し、1年後の研修も決まっている。著書に、14万部を突破した『100%好かれる1%の習慣』、『【図解】100%好かれる1%の習慣』。台湾や韓国でも翻訳され、人気を博している。


 

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