音楽のようにコーヒーを楽しんでほしいから [COFFEE CREATOR’S FILE 04 中井千香子] | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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音楽のようにコーヒーを楽しんでほしいから [COFFEE CREATOR’S FILE 04 中井千香子]

「一杯のコーヒーができるまで」…そこにはUCCのコーヒークリエイターたちの「おいしい事実」があります。

COFFEE CREATOR’S FILE 04 UCCコーヒーアカデミー講師 中井千香子

UCCコーヒーアカデミーの講師陣の中でも、さまざまな器具の抽出法を得意とする“マルチプレーヤー”として知られる中井千香子。すでに「ジャパン ブリューワーズ カップ(JBrC)」「ジャパン サイフォニスト チャンピオンシップ(JSC)」という2つの権威ある競技大会を制している彼女の今後の目標とはー。

コーヒーとの運命的な出会い

私がはじめてコーヒーを意識したのは、音大を目指して浪人していたときのことでした。
当時アルバイトをしていたコーヒーショップのコーヒーがすごくおいしかったんです。ブラックでも苦いだけじゃなくて、甘さやコクも感じましたし、豆の種類や産地によって味がぜんぜん違う。さらにお湯の温度や注ぐタイミングでも味が変化していく。「すごい。コーヒーの世界ってこんなに奥が深いんだなぁ」と感動して、大学に入ったあともバイトを続けました。

先輩バリスタに憧れて進路変更

小さい頃から音楽をやっていたこともあって、本当は音楽の先生になるつもりでした。でも、次第にコーヒーに興味を持ち始めている自分に気付いて、卒業目前のギリギリまで悩んだ末に、「やっぱりコーヒーに携わる仕事がしたい!」と進路変更しました。

音楽の先生になるために教育実習もしていたので、周りには驚かれましたが、いろんなバリスタさんを見てきて「カッコいいなぁ」と思っていましたし、とくに女性で最年少の日本一のバリスタになった宮前(みゆき)さんに本当に憧れていたんです。だから、そんな宮前さんといまUCCコーヒーアカデミーで一緒に働けているなんて…あのときの私に教えてあげたいですね。

抽出大会への挑戦

2013年に入社すると、博多のUCCカフェプラザに配属されました。今の自分があるのは、あの時の店長との出会いも大きかったと思います。そこはサイフォンを使ってコーヒーを淹れるお店でしたが、店長に勧められて社内の競技大会(UCCコーヒーマスターズ「サイフォン部門」)に出場したら…なんと九州大会で優勝してしまったんです。

当時は、コーヒーのことはまだ何もわかっていませんでしたが、やっぱり人から評価されると嬉しいものです。そこからどんどんコーヒーにハマっていきました。

自分に足りないものに気付かされた

コーヒーのことが知りたくて、独学でいろんな本を読んだり、自らUCCコーヒーアカデミーのセミナーに参加したりもしました。いろんな競技大会にも出てみようと、入社の翌年から「ジャパン ブリューワーズ カップ(JBrC)」や「ジャパン サイフォニスト チャンピオンシップ(JSC)」にも出場しましたが、結果は出ず。いいところまで行ったと思ったら予選落ちをしたりと、なかなか芽は出ませんでした。

伸び悩む中で、ひとつのターニングポイントになったのは、別の競技大会に審査員として参加させていただいたことです。審査をする側に回ることで、自分に足りないものがわかった気がしました。それは…、まずは自分がコーヒーを楽しむ。それから相手と一緒に楽しむ、という単純なことだったように思います。

出場者を評価するジャッジの仕事を経験したことで、「コーヒーの世界が広がった」と言う中井。実際、その言葉を裏付けるように、2018年の「ジャパン ブリューワーズ カップ」で優勝すると、翌19年の「ジャパン サイフォニスト チャンピオンシップ」でも立て続けに優勝を飾りました。

「コーヒーと音楽って、よく似ています」

コーヒーを淹れるための大事なポイントは何かというと、知識や技術はもちろん大事なのですが、まずは自分自身がコーヒーを楽しむことに尽きると思います。それから、「相手を楽しませよう」、「美味しく飲んでもらおう」という気持ちが大切になってくると思うんです。
これって実は音楽と一緒。コーヒーと音楽は、よく似ているんです。音楽であれば、楽曲そのものが持つ力もありますが、譜面をそのまま演奏するだけでは人を感動させられません。コーヒーで例えると、いい豆を使ってもそれだけではおいしいコーヒーにならないのと似ているかもしれません。

“間”が大事、というのもコーヒーと音楽の共通する部分です。コーヒーを淹れるバリスタは、知識と技術を総動員して、お客さまにその瞬間を心地よく感じて飲んでもらう。お出しした一杯を楽しんでもらう。そのためには、雰囲気作りも大切ですし、バリスタが自分をどう魅せるか、というエンターテインメントの要素も大事だと考えています。

コーヒーが人と人を繋いでくれる

人前で仕事をするというのも、バリスタと音楽家の共通点かもしれませんね。私はそうは見えないらしいのですが、緊張するタイプなので、音楽をやっているときも本番でアガってしまって苦労しました。でも、その時の経験がいまに活かされているかもしれません。

音楽とコーヒーの共通点はまだあります。それは人と人を繋いでくれる存在だということ。抽出大会に一緒に挑戦したUCCのチームメイトとはとくに強い繋がりを感じますが、世界大会に出たときは、ライバル関係にある他の国の選手たちともすごく仲良くなりました。
本当ならライバルには手の内とか教えたくないはずなのに、レシピを教えてくれたり、それだけじゃなくこちらにアドバイスをくれたり。そういう関係性もコーヒーを愛する者同士ならではの繋がりかなと思います。

コーヒーにはさまざまな抽出方法がありますが、中井に一番好きな方法を尋ねると、「サイフォン」という答えが返ってきました。道具にも並々ならぬこだわりがあるそうです。

サイフォンの魅力、道具へのこだわり

私はこのハロゲンヒーターを使った光サイフォンが好きですね。見た目にもすごくきれいで癒されますし、加熱も電子制御で微妙なコントロールができるのがいい。
あと、個人的なこだわりとしては、ロートにセットするフィルターを特注で作ってもらったり、濾過器の金属部分を削って使いやすくしていること。道具も自分流にカスタムすることで、コーヒーの世界はどんどん深くなっていきます。

自分も楽しみながらコーヒーの可能性を広げていきたい 

2018年の「ジャパン ブリューワーズ カップ(JBrC)」で優勝して、ボストンの世界大会に出たとき、競技前はすごくドキドキしたのですが、競技中はすごく楽しめました。結果は4位に終わりましたが、あの日、舞台から見た景色は一生忘れないと思います。会場はすごく煌びやかで、熱気があって…、最高の経験でした。

いまは「サイフォニスト チャンピオンシップ」のほうで世界への挑戦権が残っていますので、コロナが落ち着いて大会が開催されたら、ぜひ世界をアッと言わせてみたいですね。
私はこうやって競技大会に出場しながら、UCCコーヒーアカデミーの講師という立場で、時には製品開発にも関わらせてもらっています。そんな中、「私の強みかな」と思うのは、コーヒーを楽しみながら新しいアイデアを試せること。誰よりもワクワクしながら、コーヒーの可能性を探る。それがコーヒーの世界を広げることにつながるのかなと思っています。

サイフォン抽出に使う竹製のヘラは自分で削り出したもの。金属製の濾過機(右下)は一部加工して使いやすようにカスタムしている。

あなたの心に残る、最高のコーヒーは?

バイト先ではじめて飲んだスペシャルティコーヒー「ケニア」。それまで「コーヒーは苦いだけのもの」と思っていた固定概念を覆してくれた。その後の人生が変わるほどの感動を覚えた一杯。

UCCコーヒーアカデミー講師
中井 千香子(なかい ちかこ)

2013年UCCグループに入社後、店舗での経験を積む。 現在はUCCコーヒーアカデミー講師ほか、製品開発など、幅広い業務に従事。 2018年には「ジャパン ブリューワーズ カップ」にて優勝を果たし、世界大会「ワールド ブリューワーズカップ2019」では第4位に入賞。2019年「ジャパン サイフォニスト チャンピオンシップ」優勝。 

(部署名・役職は取材当時の情報です)

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