「恋活」の裏話を、日々に役立つアドバイスとともにお楽しみください。
INDEX
始まりは「地方を盛り上げたい」という想い
UCC Magazine スタッフY
今日はよろしくお願いします。ついに47都道府県、完走しました。
なんと、始まってから約4年です。
半澤
もう4年経つんですね!

UCC Magazine スタッフY
正直、47都道府県、ほんとにできるのか不安もありましたが、商品選びや交渉に関してはUCC Magazine制作チームが一丸となって進行し、半澤さんのコメントやライターSさんの原稿も滞りなくいただけたので、ほぼ1か月に1回のペースを崩さずにいくことができました。
Food with ライターS
お店の方々が快く協力してくださったのも有り難いことでしたね。「励みになりました」という感想をいただけたときはとても嬉しかったです。
UCC Magazine スタッフY
「父の代からUCCのコーヒーを飲んでいたんですよ」とか 、「コーヒーがうちの和菓子と合うとは意外でした」って言っていただくこともありました。
Food with ライターS
何をきっかけに、この企画を立ち上げたのですか?
UCC Magazine スタッフY
コロナ禍もありましたし、地方の活性化のために何かできないかという想いから始まったんです。ただ場所の選択や都市との線引きも難しいですし、それなら全国各地のいろいろなお菓子をコーヒーと一緒にご紹介したら楽しく読んでいただけるのではと。
Food with ライターS
都道府県の順番はどのように決めていったのですか。
UCC Magazine スタッフY
最初は和菓子に詳しいスタッフのおすすめもあって富山県の『T五』(五郎丸屋)になりました。そこからはできるだけ近い県が続かないように、また「次はこの県のこのお菓子でいきたいけれど、季節的に少し後にしましょうか」というシーズンを意識した調整もしていきました。
楽しむずかし、特産品選び
Food with ライターS
どんなことを基準にお菓子やフード選びを進めたのですか。
UCC Magazine スタッフY
その土地の特産物を活かしたもの、できるだけその土地で長く続いているお店の新しい取り組みから生まれたもの、あとはやはりコーヒーとのマリアージュがテーマだったので、何か1つ際立った特徴があるということにも重きをおいて選ぶようにしました。
Food with ライターS
そのようなお菓子で、季節にぴったりで、近くの県になったり、似たようなものが続いたりしないように…。月1回のペースで探していくのはたいへんではなかったですか。
UCC Magazine スタッフY
たいへんでした。でも楽しかったです!
千葉県の『ピーナツ最中』(なごみの米屋)のように、メルマガで「コーヒーに合う地元のお菓子」を募集して寄せられたお菓子もありましたし、なかなか決められなくて半澤さんに相談したこともありましたよね。
半澤
お菓子にバリエーションがあったほうがコーヒーの選択も広がりますからね。UCCのコーヒーのラインナップはかなりいろいろあるので、その幅も読者のみなさんに楽しんでいただけたらなと思っていました。
UCC Magazine スタッフY
いま全体を振り返ってみると、日本のお菓子ってほんとに素晴らしいなと思います。見るからに珍しいものもあれば、他にも似たお菓子があるけれど、食べてみるとひと味もふた味も違ってびっくりする、というお菓子もあって。
Food with ライターS
そうですね。どのお店も土地の素材を大切にしていて、クオリティへのこだわりがありましたが、あとはいろいろな魅力の軸があって。意外性・話題性、とにかく映える、差し入れにぴったり、外出のお供に最適、エピソードが印象的…など、すべてに違う賞をお贈りしたいくらいです!
半澤
香料などに頼らず作られているお菓子も多かったですね。素材本来の香りと味だけでおいしく感じていただくって、工夫と手間が必要なんですよね。UCCのコーヒーも香料無添加で、コーヒーそのものの魅力をどう引き出すかに賭けているので、そういう意味での相性の良さも感じました。

鍵は味の共通点? マリアージュのコツを深掘り
Food with ライターS
ずっと知りたかったのですが、半澤さんはどのように試食して、どのようにコーヒーを決めていたんですか。
半澤
まずお菓子を食べて、印象を全部書き出します。それで合わせるコーヒーをだいたい定めて、実際に確認しながらもう1つ食べるという感じでしたね。
UCC Magazine スタッフY
「合わせるコーヒーをだいたい定める」のはあれこれ飲んでみるわけではなくて、脳内で、ですよね。ということは、半澤さんの記憶の中には、UCCのいろんなコーヒーの味がインプットされている?!
半澤
そうですね。私は普段の仕事で食べ物の味を分析して、この味にはこういうコーヒーが合う、という、つまり味の分析やデータ作りとそれに基づくマッチングをずっとやってきているんです。なのでその積み重ねから、ある程度推測できるというか。
UCC Magazine スタッフY
だとしたらきっと直感的にわかってしまうこともあるとは思うんですが、コーヒー選びのポイント、読者の方たちのためにもう少し教えてください。
半澤
そうですね、ポイントはまず味の共通点でしょうか。食べ物とコーヒーは、特徴が似たものを合わせると自然に馴染んでくれることが多いんです。たとえばお菓子にフルーツが使われていたら酸味のあるコーヒー、チョコレートや抹茶が使われていたら苦味のあるコーヒーが合わせやすいです。

もうひとつ目安になるのは味の濃度です。味が強いか、すっきりしているかっていう軸ですね。たとえば味付けの濃いめのお菓子なら、濃いめに抽出されたコーヒーでないとバランスがとれないんですよね。また和菓子のように油分が少なく、繊細な甘みのお菓子なら、まろやかなコーヒーのほうがお互いを引き立て合える相性になります。
Food with ライターS
なるほど…。和菓子というとすぐ日本茶を選びがちですけれど、合うものを選べばコーヒーもとてもいいパートナーになるんだ、というのは新鮮な発見でした。あと、ご紹介した中にもいくつかありましたが、お酒が入っているお菓子にはこんなコーヒー、という法則はありますか。
半澤
お酒入りだから、というよりも、まずはお酒が加わる前のベースとなっている味、そしてお酒の「種類」が大事になると思います。たとえばワインなどフルーツ寄りのお酒なら、コーヒーもフルーティーなキャラクターが合いますし、ウイスキーやブランデーなら、少し深炒りのコーヒーのほうが香りに相似性もあって相性がいいかなと。
Food with ライターS
マリアージュという観点から、特に興味深いと思ったお菓子はありましたか。
半澤
辛いもの、しょっぱいものでしょうか。酸味、苦味、甘味というのはコーヒーにもあるんですけど、辛味や塩味は無いんですよね。なので、たとえば塩味のおせんべいには酸味のあるコーヒーなど、お互いに持っていない味の要素を補い合える組み合わせを選ぶことで、味わいに新しい広がりが生まれたりします。

UCC Magazine スタッフY
ちなみに半澤さんは、どんなふうに味を感じとっているんですか。
半澤
味の種類や強さだけでなく、時間による変化も含めて感じ取るようにしています。リンゴを使った『薄紅』を例にとると、まず最初に砂糖の甘みが来て、その後じわっとリンゴの甘みが染み出してくるんですよね。そこでコーヒーをひと口飲んで、今度はその変化に集中します。口の中で新しい風味が生まれるのか、何事もなく混じり合うのか、それともどちらかが消えてしまうのか…とか。さらにそこから、ふた口へと進めていきます。時間をかけることで、味わいがより多層的になっていくんです。
Food with ライターS
いただくコメントの中によく「多層的」とか「重なり合う」という表現があって、私の中でも感じ方がひとつ増えた感じがしました。
マリアージュの楽しみを膨らませるストーリー
UCC Magazine スタッフY
今回は単にマリアージュのご提案だけではなく、そのお菓子の持つ歴史や素材の豆知識、お店や土地をとりまくエピソードなどもふくめてご紹介していただいたんですよね。Sさん、書いていていかがでしたか。
Food with ライターS
「これを知って食べたら楽しめそう」「ここを見ていただいたらひととおりのことがわかる」というものにしたくて、お店にヒアリングしたり確認していただいたりしながら仕上げましたが、興味深いことがいっぱいあって削るのが忍びない気持ちでした。
半澤
歴史や神話も、お菓子を通すとまた違う視点が見えてきますよね。
Food with ライターS
そうですね。あと戦禍や災害を乗り越えているお店もたくさんあって胸を打たれました。でもコーヒーにも実はいろいろなストーリーがありそうですよね。
UCC Magazine スタッフY
そうなんです。今回はお菓子がメインになりましたが、最近はそれぞれのコーヒーが持つストーリーをお伝えする機会も多くなりました。歴史や農園、職人さんのことなど、知ることで、楽しみ方も深まりますよね。
自力でマリアージュに挑戦したい、そんなときには…
Food with ライターS
さきほど、半澤さんのコーヒー選びについてお聞きしましたが、これってマリアージュ初心者さんでも真似できるでしょうか。
半澤
そうですね、これまで私が記事で紹介してきた食べ合わせは長々と文章で説明しているので、複雑そうに感じたかもしれませんが、まずはさきほどちょっとお話ししたような、似ている味を組み合わせてみることから始めてみるのがよいと思います。
UCC Magazine スタッフY
パッケージに書いてある焙煎度や味を参考にしていただければできそうですよね。コーヒーって、豆の産地から淹れ方まで、いろんな要素で味が変わってくると思うんですが、その中でよりはっきりした違いを生む要素は…やはり焙煎?
半澤
はい、焙煎の度合いだと思います。なので、お菓子を食べてみてたとえば「甘みの中に少し苦味も感じるな」と思ったら、予想していたものより少し深めに焙煎されたコーヒーに寄せて相性をみます。
Food with ライターS
逆に、ある種のコーヒーが家にあってそれに合うお菓子を買ってきたい、ということも多いかもしれませんね。確実に合わせたいけれど、このコーヒーと相性がよいか自信がない、みたいなときにはどうしたらいいですか。
半澤
フィナンシェやマドレーヌのような焼き菓子を選べば、比較的どんなコーヒーともマッチすると思います。油脂分があるので深炒りのコーヒーとはもちろん合いますし、最近は甘さ控えめで重すぎないものも多いので、浅炒りのコーヒーとも合うはずです。何より焼き菓子の香ばしい甘さって、コーヒーのロースト感と似ているので、香りの面では間違いなく相性が良いです。
Food with ライターS
ほかに、個人的にコーヒーと合わせるのが好き、というお菓子はありますか。
半澤
今回の中には入っていないんですが、最近は麩菓子とコーヒーを合わせるのが好きなんですよ。コーヒーに黒糖が溶けてなんともいえないおいしさになるんです。
お菓子が引き立つコーヒーという考え方ももちろんありますが、逆に、お菓子でコーヒーの味わいが膨らむこともあるんですよね。

日本のお菓子の豊かさ、自然の豊かさを再発見!
UCC Magazine スタッフY
いろんな感想が広がりますね。達成感もある反面、いざ終わるとなると、ちょっと寂しい気もしちゃいます。全体を通して、いかがでしたか。
半澤
楽しかったですね。私は仕事でもお菓子をよく食べますし、もともと甘いものが大好きなんですけれど、それでも初めて出会うお菓子がたくさんありました。実は宮城県の出身なんですが、九重本舗さんの『しおがま』は食べたことがなかったんですよ。親の家は山形なんですが『ほわいとぱりろーる』も初めてでした。
Food with ライターS
私も得られることがたくさんありました。今回ご紹介したお菓子がいかに自然とつながっているかを知って、すべての都道府県の天気予報が気になるようになってしまって。気候変動や災害がニュースになるたびに、喜界島の胡麻は大丈夫かな、和歌山の梅は元気かな、四万十川のスジアオノリはどうなっているかなって。
UCC Magazine スタッフY
環境の問題、心配ですよね。日本って本当に自然に恵まれているので、その自然を大事にしなければと私もあらためて思いました。今回、いろんな土地のことを知る機会にもなったかと思いますし、日本のお菓子の豊かさにも驚きました。実は、ほかにもご紹介したかったお菓子がたくさんあるんですよ。
半澤
コーヒーも今回はひとつのお菓子に対して1種類しか選べませんでしたが、それだけが正解というわけではなくて、ほかにも合うものがいっぱいあるんです。
Food with ライターS
わあ、それは気になりますね。
UCC Magazine スタッフY
何かの形で、またこのような企画を実現できたらよいですね。
今日はありがとうございました。

半澤 拓(はんざわ・たく)
2011年入社。UCCの研究施設イノベーションセンターにて研究開発業務に携わる。
2016年にコーヒーと食べ物の食べ合わせを分析する「フードマッチングシステム」を開発。コーヒーの味や香り、食べ合わせに関する研究報告やセミナーなど多方面で活躍。
UCCの「フードマッチングシステム」ほか、おいしい!を極める技術について興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。
半澤:この似顔絵も、4年前に描いていただいたものになります(月日が経つのが早い)。
今回初めて写真で登場しましたが、4年前はもっとこの絵に似ていました(笑)
▼コーヒーマリアージュについての記事はこちら
今すぐおいしいコーヒーを淹れたい!と思ったら…
UCCの人気商品のほか、コーヒーに関連するアイテムが勢ぞろい!ポイントもたまっておトクにお買い物できる「UCC公式オンラインストア」へぜひアクセスしてみてくださいね。

