コーヒーの害虫CBBのトラップ活用－UCCハワイコーヒー農園からー

Ole Ua, ‘Ole Anuenue (No Rain, No Rainbow)は、ハワイのことわざで「雨が降らなければ虹はできない（困難な事のあとには、きっと良いことがある）」という意味。虹が美しいハワイにあるUCC直営農園からみなさまへ、ハワイの今をお届けします。

INDEX

コーヒーの害虫CBBトラップについて

アローハ！今月はUCCハワイ農園のコーヒーの木に設置しているCBBトラップをご紹介したいと思います。
CBB（Coffee Berry Borer）とはコーヒーベリーボーラーというコーヒーの害虫のことで、コーヒーチェリーの果肉をドリルのように掘り進んでコーヒー豆にまで達し、豆の中を食い荒らします（2022年4月号でも紹介しています）。
世界中のコーヒー農園がCBBによって甚大な被害を受けていて、品質の良い豆をつくるには、この害虫対策が必須！UCCハワイ農園では以前ご紹介したように、目視による被害チェリーの摘み取りをしていますが、それ以外にも「CBBトラップ」という害虫を捕る罠（仕掛け）による対策も行っています。

こちらが実際にCBBトラップが設置されている木の様子です。

CBBを誘き寄せるトラップの仕掛けはシンプル！

仕掛けの作りはとてもシンプルで、中央にアルコール（メタノール：エタノール＝3：1）の入ったボトルが取り付けられていて、下の赤いカップには洗剤を溶かした液体が入っています。
CBBはメスにだけ羽があって別のチェリーへ飛んで移動ができるのですが（オスは飛べないのでずっと実についています）、移動の際にこのアルコールに引き寄せられ、洗剤入りカップに落ちることで捕まえられる、という仕組みです。

上の写真は、組み立ての最後にアルコールボトルをはめ込んでいる様子です。
ボトルのふたを開けた状態で木に吊るすことがポイントで、少しずつアルコールを揮発させることで、CBBを集めます。

実際に捕獲されたCBBの様子が下の写真です（虫が苦手な方はご注意ください）。設置する場所にもよるのですが、仕掛けによっては一日で数十匹捕獲されることも！

トラップの設置作業

農園には現在200個近い数のトラップがいたるところに仕掛けられており、農園内のCBB密度を抑えることに役立ってくれています。

上の写真は、トラップを農園各所に運ぶ時の様子です。
トラックいっぱいに積んでいますが、これでも50セットほどしか入っていません。農園内をまわってコーヒーの木にかけるだけでもひと苦労です。

トラップが最も活躍するのは3月頃

このトラップが実際に最も活躍するのはCBBが数を増やし始める3月頃で、この時にしっかりと対策をして数を減らすことで、年間を通してCBBによる被害を抑えることができます。

いかがでしたでしょうか？
コナコーヒーの品質は虫食いなどの欠点豆の数によって評価されることもあり、CBBがコーヒーの品質に与える影響は絶大です。さまざまな対策を組み合わせていくことで病虫害被害を抑え、常に高い品質を保っていく。
コナコーヒーのブランド価値をさらに高められるよう、UCCハワイでは今後もどんどんと新しいことに挑戦していきたいと思っております。

アイアンマン/ トライアスロンレース

ここからは、UCCハワイの関連情報です！

ハワイ島で開催されるイベントの一つに、10月の第2週土曜日に行われる「アイアンマン / トライアスロンレース」があります。

このトライアスロンレースは、約4kmのスイム・180kmの自転車・42.2㎞のマラソンを「朝6時30分にスタートして夜12時までの時間内にゴールしなければならない」という1日完結型のスポーツ競技会としては、最も過酷なレースのひとつです。
全世界から毎年約2500人の参加者が集って競い、プロ部門の優勝者の賞金は、なんと約2000万円！14位でも50万円がもらえます。

30年以上続いている過酷な一大レース

元々は、ワイキキのあるオアフ島で始まったレースだそうですが、かれこれ30年以上ハワイ島コナで開催されています。競技に参加する人だけでも充分に数は多いのですが、その他にも応援する観客、家族、スポンサー関係者、主催者関係、ボランティアなど多くの人が集まるので、コナの街はひときわにぎやかになります。
また、ハワイ島当局としてもこれだけの人数が集まり、それなりの日数を同じ場所で過ごすとなると、（少し下世話な話になりますが）ハワイ島に落ちる税金も膨大な額になります。
それゆえ他の都市に移ってもらいたくないということもあるのでしょうか。自転車やマラソンコースは、練習に障害のないように常に清掃しています。

唯一の問題は、空港や目的地に行くメイン道路に通行止めや規制がかかることでしょうか。当日ハワイ島コナに観光に来られた方からすると、普段なら30分で行ける距離が2時間近くかかったり、コース上に位置する滞在場所から身動きできなくなることもあります。
とはいえ、世界的な一流選手が過酷なレースに耐え、ゴールする瞬間を間近で見られる感動は、スポーツファンでなくても楽しめること間違いなしです！
チャンスがあればぜひ一度、ハワイ島コナに大会を観に来てくださいね。

それではまた来月お会いしましょう～マハロ！

UCCハワイ⼩林（代表）＆三⽊よりお伝えしました。