イラストレーター、織田知里さんとの出会いは…
『上島珈琲店』シリーズの商品パッケージを目にしたとき、そのビビッドかつダイナミックなイラストに魅了された方も多いのではないでしょうか。手がけたのは、石川県在住のイラストレーター、織田知里さんです。
UCCが初めて織田さんとお仕事をさせていただいたのは『COFFEE LOVE STORY』というコーヒーギフトのパッケージデザインを依頼したときでした。“人と人をつなげる”というコンセプトのコーヒーギフトで、その優しさやあたたかみ、絆の強さを伝えたい想いが織田さんのイラストと重なったのです。
「以前からパッケージのイラストレーションには興味があったので、お仕事をいただいたときはとても嬉しかったのを覚えています」
と織田さん。コーヒーもよく飲まれているそうで、傍にはいつも銀色のタンブラーが。
「リラックスしたいときや、切り替えたいときによく飲みます。朝はだいたい飲んでいますし、あとは絵を描きながら。『あと1、2枚描いて今日は終わろう!』というタイミングで淹れることも多いですね。ブラックで飲むこともありますし、牛乳も好きなのでコーヒーに入れて飲むこともあります」
石川の大自然に囲まれて
織田さんの大胆で躍動感のある色やタッチ。それはどのようにして育まれたのでしょう。
「学校で絵を描き始めたころはいろいろな画材を試していたんですが、アクリル絵の具と筆で描くのが一番合っているなと思うようになって。それで描いていくうちに、自然とカラフルで勢いのある絵になっていったんじゃないかと思います」
インスピレーションのもとは、生まれ育った石川の大自然。
「とくに山は家から近くて、山肌が肉眼で見えたりするんです。小さい時から見てきたので、きっと画風にも影響を与えていると思います」
5つの世界はこうして生まれた
さまざまな個性とストーリーを持つ5種類のコーヒー。それぞれどのようなイメージでこれらを描いてくださったのか、織田さんに聞いてみました。
上島珈琲店ブレンド
「上島珈琲店さんの創業当時(1933年)の写真を見せていただいて、人が豆を見つめる空気感、歴史やあたたかみを感じられるものにしたいと思いました」
写真はもちろんモノクロですが、イラストからは当時のざわめき、創業者の心意気までが、色とともに生き生きとよみがえります。
「これは商品ができてから最初に飲んだコーヒーだったので、感慨深いものがありました。とっても美味しかったです」
Messenger from Far East
「海外から船でコーヒー豆が運ばれてくる様子ということで、わりとすんなり描けました。船は、向きをどうしたらよいか考えながら、古い写真を参考にしてオリジナルなものを描いています。色は最初、セピア調のイメージで考えていたんですが、歴史を感じさせながらもカラフルに、という方向になりました」
うねるような波、今にも街に着くという期待感、壮大なロマンを感じます。
W cracking Deep
「深炒りとWクラックというキーワードだけでイメージを膨らませなければならなかったので、資料集めなどに時間がかかりました。ダブルクラックという単語もそれまで知らなかったので、動画で音を聴いてみたり、焙煎の様子を映像で見たり」
5種類の中ではもっともイメージするのが難しかったとのことですが、このコーヒーがしっかりした味わいだということが、色合いや豆の様子からもわかります。
「豆の濃い色を強調させたくて、直感的にこの色を選びました。豆が踊っている感じが伝わればうれしいです」
Pool N Bloom
「浅炒りというキーワードと、ドリップしたら水溜りができて、蒸らされているという説明を聞いて、その様子を忠実に描けたらいいなと思いました。色は、深炒りとは対照的に、明るい感じを出せたらと」
注目はまるで動いているように見えるお湯。
「私はいつもナイロンの筆を使っているんですけど、ここは豚毛の筆を使っています。あえてかすらせて質感を出してみました」
可愛らしく仕上がり、織田さん自身もお気に入りの1枚だそう。
『上島珈琲店』のブランド担当者の赤石も「シリーズの試飲会では酸味が苦手な方もこの絵に惹かれて買ってくださり、UCCの、“柔らかく優しい味わいなので、酸味が苦手な方にこそ飲んでいただきたい”という思いを届けてくれたイラストです」と語っています。
Time to Bed
「ベッドの中でゆっくりとコーヒーを飲む女性というイメージがあったので、それを素直に描きました。ただ夜だからといって暗くなりすぎず、あたたかい空間を描けたらなと。後ろには本棚、窓にはライトが映っています」
就寝前におすすめのカフェインレスコーヒー。織田さんも寝る前にこうしてコーヒーをゆったりと楽しむことがあるのだそうです。
下絵は描かず、勢いを大切に
これらの絵がどのようにして仕上がっていくのか、気になりますよね。
「下絵は描かず、A4サイズの画用紙にアクリル絵の具で、いきなり本描きです。何パターンかご提案してそのひとつをブラッシュアップするときもあれば、ひとつだけ出したものを採用していただけたこともあります」
ちなみに、1枚を描くのにどのくらいの時間がかかるか聞いたところ、聞いていた関係者も驚く回答が。
「描くものが決まれば、30分から1時間。あまり時間をかけずに勢いで仕上げていきます。一晩寝かせて、次の日見た時、直したい所を修正することはありますが。色などは描いているうちに湧いてくることも多いです。描きながらどんどんアイデアが出てくるんです。ここにはこれを足そうとか、この色にしようとか、それがとても楽しいです」
自分の描きたいものがより明確に
印刷時には織田さんが生み出す鮮やかな色味を表現できるよう、細やかな調整をしてもらいましたが、それを見た織田さんは・・・
「こんなにキレイに色が出せるんだと感動しましたし、あ、じゃあ次はこんな色を使ってみようというインスピレーションも湧いてきました」
織田さんは自分の中でもこの仕事がひとつのエポックになったと言います。
「正直、UCCさんからお仕事をいただくまでは、自分の絵の個性、強みのようなものがわかっていなかったんです。でもコーヒーをとりまく情景や豊かな自然を描いてみて、自分の描きたい分野が明確になりました。自分が描きたいものってこういう絵なんだと。このお仕事がなかったら、今のこの作風にも行きついていないんじゃないかなというくらい貴重な体験になりました」
嬉しいお言葉、ありがとうございます!
そしてコーヒーとの付き合い方にも、ほんのり変化があったようです。
「コーヒーはもともと好きだったんですが、こだわりなく飲んでいて。でもこのお仕事をきっかけに、ハンドドリップで淹れる楽しさも知りましたし、いろんな淹れ方を調べてみたりするようになりました」
グァテマラやハワイにも行ってみたい
おおらかで気取らない人柄。生き生きとした感性。
この出会いが今後への刺激になったと語る織田さんに、これからやってみたいことを聞いてみました。
「いろいろな国に行って、たくさんのものを自分の目で見て、それらを作品に活かしたいと思っています。年末に、グァテマラの景色を描く機会があったので調べていたら、火山とコーヒーの農園がとてもきれいだったので、行ってみたくなりました。あとハワイにも行ってみたいです。やはり子供のころから見てきたせいか、山が大好きなんです。色も自由に塗り重ねていけそうな気がして。また今回はすべてA4サイズで描きましたが、もっと大きな作品を描いてみたいですね」
パッケージを眺めながら、コーヒー店の気分を楽しんで
クオリティやストーリー性を詰め込んだ『上島珈琲店』シリーズ。
最後に、織田さんからこんなメッセージをいただきました。
「コーヒーはパッケージを見て選ぶとより楽しいと思いますし、いろいろな方にイラストを眺めながら飲んでいただけたら嬉しいです」
ぜひ、織田さんのイラストとともにコーヒー店で飲んでいる気分をお楽しみください。
織田 知里 (おだ ちさと) 1989年石川県生まれ。石川県在住 2013年パレットクラブスクールイラスト基礎コース16期卒業。 2014年頃よりイラストレーターとして活動。 主に画材は、アクリル絵の具、画用紙、キャンバスなどを使用して描いています。絵にしたいなぁと、思わせてくれるモノや風景に出会うことが楽しみの一つです。
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