コーヒー豆の力だけで「UCC BLACK無糖」の味の可能性を広げる[COFFEE CREATOR’S FILE 16 千葉寛志] | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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コーヒー豆の力だけで「UCC BLACK無糖」の味の可能性を広げる[COFFEE CREATOR’S FILE 16 千葉寛志]

「一杯のコーヒーができるまで」…そこにはUCCのコーヒークリエイターたちの「おいしい事実」があります。

試作品の製作は年に約1万本

千葉が在籍している製品開発部 飲料設計チームは、UCC製品の「味の基本」を決定し、試作品を作るなど、いわば製品化の流れの中枢を担う11人体制のチーム。“味覚の精鋭集団”とも言うべき部下たちをまとめながら、自身でも「UCC BLACK無糖」などの主力製品の飲料設計を担当する千葉は、コーヒー作りへの情熱を静かに語ります。

私たち飲料設計チームはUCC飲料製品の“味の設計”に関わっていますが、大切にしているのは、お客さまの満足度を高める工夫をしながら、コーヒーひと筋の専業メーカーとして自信のある製品を世に送り出すことです。

“味の設計”とひとくちに言っても、実はコーヒーの成分を分析して調整するだけではありません。

たとえば缶コーヒーなら、温度によっても感じる味は変わりますし、飲み口の形状によっても印象は微妙に変化するもの。そういったコーヒーの苦さや甘さなどを官能評価するだけでなく、成分をデータにしてマッピングし「見える化」し、設計していくことになります。

新製品の開発やリニューアルで設計する味は数千種類におよび、試作品は年間で1万本以上になりますが、その中で製品化されるのはわずか1%にも至りません。

試作品の多くが日の目を見ないことについては、開発者としてはもちろん歯痒さを感じることもあります。でも、簡単には諦めたくないですし、やりがいを感じる部分でもありますね。

コーヒーの多様性を製品に落とし込む作業

飲料設計チームはいわば“味覚のスペシャリスト”。ですが、その仕事はUCC飲料製品の“味の設計”だけにとどまりません。ペットボトルや瓶、紙などの容器の形状も“設計”の範疇に入ります。

さきほど「缶コーヒーは温度帯で感じる味が変わる」という話をしましたが、同じ成分のコーヒーでも飲みきりサイズのショート缶(ステイオンタブ缶)で飲むのと、飲み口の広くショート缶よりも容量の多いボトル缶(リキャップ缶)でごくごく飲むのとでは味の印象も変わります。ですから同じブラックコーヒーの製品でも容器に合わせて味覚設計を変えています。

また、新デザインのペットボトルなどは、関連部署とも連携しながら、その適正を確認しています。

そういう意味で、飲料設計チームは、製品設計の最初から最後まで関わる部署と言えます。コーヒー豆の性質から工場の出荷体制、食品製造にかかわる法律まで、幅広い知識が必要とされるのと同時に多方面にアンテナを張っていなければなりません。

生産部やマーケティング部といった他部署との連携も大切ですし、よりよい製品を作るにはメーカーとしてひとつの方向を向いている必要がありますが、UCCのコーヒー作りの流れの中核を担うのが飲料設計チームだと自負しています。

長年培われてきたUCC独自の製法をさらに改良

千葉が開発を担当する「UCC BLACK無糖」は香料無添加でレギュラーコーヒー100%。1994年の登場当初からコーヒー豆本来の香りを大事にしている製品です。

コーヒーの香りを最大限に引き出すためにUCCが独自で特許を取得していたのが、3つの温度帯でコーヒーを抽出する「TTND製法」でした。​

私はUCCには2015年に中途入社したのですが、その翌年がちょうど特許の切れるタイミングだったため、入社直後から特許の改良に取り組むことになったのです。​

香料を加えず、コーヒー豆自身の香りだけで勝負するには‥‥苦労もしましたが、抽出の温度帯から時間や配合のバランスまでイチから見直し、香り高さとキレをさらに引き出す新たな技術で特許を再取得することができました。それが、低温で最初に抽出するコーヒーを贅沢に使用する抽出方法「3温度ナチュラルドリップ製法(特許第6086640号)」です。​

広がるコーヒーの可能性を追求する

近年、コーヒーがもつ機能性に注目が集まっています。

たとえば、コーヒーには抗酸化作用や食後の血糖値上昇抑制などの効果があるクロロゲン酸というポリフェノールが多く含まれているのですが、飲料設計チームでは機能性表示食品の開発にも取り組んでいます。

長年お客さまに愛してもらえる製品づくりを

コーヒーという飲み物は嗜好品ですので求める味は人それぞれ。性別や世代によっても“おいしいコーヒー”の基準は変わってきます。

近年は求められる味も多様化していますし、コーヒー文化そのものが熟成してきているのも感じます。

そんな中で飲料設計チームとして何ができるのか。
私自身がコーヒー好きということもありますが、コーヒーに何かをプラスするのではなく、コーヒー豆そのものの力を信じて、その魅力を存分に引き出すことによってコーヒーの可能性をもっと広げていきたいと思っています。

多くのお客さまに長く愛してもらえる製品を作っていくのが目標です。

心に残る、最高のコーヒーは?

「もう10年以上前の話ですが、UCCに入社する前にイタリア旅行に言った際、“ローマ最古のカフェ”と言われるカフェ・グレコで飲んだコーヒー。濃厚で華やかな香りが印象的でした。カフェ・グレコはUCCとの関わりも強く、思い出深いです」

愛用のコーヒーグッズは

私は2015年に中途採用でUCCに入社したのですが、前任者がこの「UCC BLACK無糖」のノベルティグッズだった小さな麻袋をくれました。何気なくこれを渡された時、「あ、UCCに入社したんだ」という気持ちになりましたし、前任者の思いを継いでいる気がして大事にしています。最初はUSBでパソコンに刺すタイプのWi-fiルーターが入っていたのですが、いまは家で小物入れとして愛用しています。

R&D本部 製品開発部 飲料設計チーム チームマネージャー
千葉寛志(ちば ひろし)
大学院では醸造科で酵母の基礎研究に携わり、研究職員として食品メーカーに就職。その後、2015年にUCCに転職し、現在のR&D本部 製品開発部 飲料設計チーム(当時は「イノベーションセンター 飲料開発」)に配属。その翌年、UCC独自の特許TTND製法を改良し、特許の延長に成功。2020年からはチームマネージャーとして現場をまとめる。 

(部署名・役職は取材当時の情報です)

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