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400年以上前に平戸に伝来した、『カスドース』(蔦屋)
今回ご紹介するのは長崎県「蔦屋」の『カスドース』。400年以上の歴史を持ち、皇室献上銘菓にもなったことのある逸品です。印象的なのはその色。グラニュー糖をまとった卵黄の衣が小さなカステラを包みこんでいるのですが、まるで輝く太陽か黄金のよう。食べればシャリッとしたグラニュー糖の食感と甘み、卵のコクが広がります。でも中のカステラは甘み控えめで、後味もとても上品。江戸時代には高級品であった卵や砂糖が使用され、お殿様だけが食べられる「幻の菓子」だったそうですが、見た目や味からも贅沢な気持ちになれるお菓子です。
九州本土の西北端にある平戸市。「蔦屋」はこの地で1502年(文亀2年)に創業した、九州最古の菓子店です。平戸には16世紀から17世紀にかけて、ポルトガルやスペイン、オランダなどから貿易船が渡来し、さまざまな文化を伝えました。その中にはカスドースやカステラをはじめとする南蛮菓子も。蔦屋はいち早くそれらを取り入れ、平戸藩主・松浦家にもお菓子を納めていました。
松浦家には、今も数百種類の菓銘と製法が詳細に記された「百菓之図」が残されています。これは1841年(天保12年)、35代当主の熈(ひろむ)のアイデアによって作られた、いわばお菓子のレシピ本ですが、ここには蔦屋の『カスドース』も掲載され、あと書きにも当代、蔦屋善作氏の名が記されています。
現在は24代目を継ぐ松尾俊行氏のもと、「伝統の味を受け継ぎ後世に残していきたい」という思いとともにお菓子を作り続ける蔦屋。『カスドース』はまさにその代表作として、平戸の人々にはもちろん、全国から訪れる観光客にも、またお取り寄せ品としても愛されています。
ポルトガル生まれのカスドース、伝来はカステラよりも早かった?
ポルトガルの家庭で親しまれていたというカスドース。その製法の伝わり方には諸説あるようです。一説によれば、ポルトガルの貿易船が平戸に初めて入港した1550年(天文19年)から、長崎港が開かれる1571年(元亀2年)までの間、つまり平戸が唯一の海外貿易の拠点であった時期に、ポルトガル人の宣教師から伝えられたとされ、カステラそのものよりも早く伝わったと言われます。
一方で、「長い船旅で乾燥したカステラをアレンジした」という説も。そうなるとカステラありきということになりますね。
いずれにしても江戸時代に南蛮文化とともに長崎に伝わってきたことは確かで、それだけでも大きなロマンを感じます。
変わらない製法、変わらないおいしさ
驚くことに、松浦家に残る「百菓之図」に残っている『カスドース』の製法は今とまったく同じだとのこと。それは400年以上にもわたり、蔦屋の職人さんたちが代々、口伝などを通して作り方をしっかり受け継いできたことを意味します。
まずカステラをたっぷりの卵黄にくぐらせてから沸騰した糖蜜に浸け、手際よく揚げていきます。沸騰した糖蜜に浸けるのは、卵黄に適度な火を通し、保存性を高めるためです。思えば伝来当時は冷蔵設備などなかった時代。先人たちの知恵ですね。
仕上げにグラニュー糖をまぶして完成ですが、そのグラニュー糖だけは、昔よりも溶けにくいものを使っているそうです。
職人さんの技が息づく専用カステラ
実は『カスドース』を作るのは2日がかり。そのわけはカステラにあります。『カスドース』には専用のカステラを使用しているのです。通常のカステラでは卵黄が染み込まず、しっとり感に欠け、また甘くなりすぎてしまうのだとか。『カスドース』に適した配合で作った生地を専用オーブンで焼き上げ、ひとつひとつ手切りにし、さらにひと晩乾燥させます。これで甘さ控えめの、卵黄がしっかり染み込むカステラができ上がるのです。素材にもこだわり、卵は長崎県産の黄身にコクがある新鮮なものを厳選しています。
さらに欠かせないのは、職人さん熟練の技。生地を混ぜる作業はもちろん手作業。オーブンで焼いている間もタイマーは使わず、その日の湿度などに応じた適度な火加減を、つきっきりで見極めているとのこと。小さな『カスドース』の中には、手間と技がギュッと詰まっているのですね。
【コーヒーマリアージュ】『カスドース』には、芳醇で深い苦味を持つコーヒーを
ここからは、UCCのR&Dセンターで味わいに関するデータ分析の担当者が解説します!
それではコーヒーマリアージュ、してみましょう!
『カスドース』は、普通のカステラとは違い、たっぷりの甘みと卵黄の濃厚なコク、さらに中身の詰まった、しっかりとした食感も感じられるお菓子です。そんな『カスドース』には、芳醇で深い苦味を持つコーヒーがおすすめです。どちらかが負けることなく互いの風味を引き立て合うことで、コーヒーの苦味の奥にある香ばしい香り、お菓子の甘みの奥にある複雑なコクにも気づかせてくれる組み合わせです。
そろそろ気持ちのよい季節。『カスドース』は個別包装で、持ち歩くにも便利です。晴れた日の空の下で、輝く『カスドース』を味わうコーヒータイムはいかがでしょうか。ドリップコーヒーをマイボトルで持ち歩くのももちろんよいですが、お天気が良い日には、ブラックコーヒー缶を冷やして、お伴にするのもおすすめです。香りやコクを大切に作られた缶コーヒーであれば『カスドース』にもぴったり。甘さと冷たさ、しっかりした食感と爽やかな喉越しが絶妙のハーモニーとなり贅沢な幸せをくれるでしょう。
『カスドース』のベストパートナーは『UCC BLACK無糖 RICH』
『カスドース』にぴったりの、芳醇で深い苦味を持つブラックコーヒー缶は『UCC BLACK無糖 RICH』です。香料は使わずコーヒー豆を豊富に使い、2種類の温度帯で抽出することによりコクとクリアな後味の両立を実現したブラック缶コーヒーです。
リキャップ缶なので、持ち歩きにも困りません。自販機から購入しても、ご自宅の冷蔵庫で冷やしても。ぜひ『カスドース』と一緒にお出かけマリアージュを楽しんでください。
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外国との架け橋、時代の架け橋
長崎は大昔から日本の国際貿易港でもあり、異国文化との架け橋でした。コーヒーの渡来も、平戸ではありませんがやはり長崎の出島が入り口です。時は1800年前後、カスドースよりやや遅いタイミングで、すでにポルトガルやスペインとの貿易は禁止されており、オランダ商人によってもたらされました。お茶文化が浸透していた日本に広まるには少し時間がかかり、オランダ商館のドイツ人医師シーボルトが、その健康的な効果などを宣伝したこともあったようですが、やがて明治の文明開花とともに普及していったのです。
カスドースやコーヒーと日本の出会いを調べるだけでも、長い江戸時代の流れ、貿易の歴史が見えてきます。いまこうして『カスドース』と『UCC BLACK無糖 RICH』を味わっている様子を当時の人たちが見たら、目を丸くするかもしれませんね。カスドースが当時そのままの製法で作られているなんて。いや、それよりもお殿様しか食べることができなかった贅沢なお菓子を、平戸から遠く離れた一般家庭でもお取り寄せできることに驚くでしょうか。きれいな個別包装でピクニックにも持っていけるのですから。缶コーヒーにもきっとびっくりするでしょう。
異国文化との架け橋だった長崎を通じて伝わった『カスドース』と『UCC BLACK無糖 RICH』は、今や江戸時代と現代を結ぶ架け橋と言えるかもしれません。400年以上にわたる継承への努力と、時代とともに進化させるための探究心にリスペクトを払いながら、ゆっくりと楽しみたいマリアージュです。
ご紹介した長崎県の銘品「カスドース」は以下でお買い求めいただけます。 蔦屋 オンラインショップ
半澤 拓(はんざわ・たく)
2011年入社。UCCの研究施設イノベーションセンターにて研究開発業務に携わる。
2016年にコーヒーと食べ物の食べ合わせを分析する「フードマッチングシステム」を開発。コーヒーの味や香り、食べ合わせに関する研究報告やセミナーなど多方面で活躍。
UCCの「フードマッチングシステム」ほか、おいしい!を極める技術について興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。
▼コーヒーマリアージュについての記事はこちら
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