コーヒー生産量世界一の「ブラジル」 −コーヒーベルト・コレクション− | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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コーヒー生産量世界一の「ブラジル」 −コーヒーベルト・コレクション−

コーヒーの木は、赤道をはさんで北緯25度・南緯25度の間の「コーヒーベルト」と呼ばれる地帯で栽培され、生産国は60カ国以上に上ります。生産地ごとに異なるさまざまなブランドや、その特徴や味わいについてご紹介します。

生産国としての基本情報

ブラジルは南米大陸の東側に位置し、その面積は日本の22.5倍、中国に次ぐ世界第5位の国土が広がります。人口数でも世界第6位となっています。

ポルトガルによる長い統治期間を経て、1822年に独立を果たしました。公用語はポルトガル語。9割がキリスト教徒で、そのうちカトリックが7割、プロテスタントが3割です。首都はブラジリア(1960年に首都移転)で内地にありますが、都市としては海に面するサンパウロやリオデジャネイロの方が一般によく知られています。

世界最大の森林であり多様な生態系を持つ南米のアマゾン熱帯雨林地帯。その面積の半分以上が、ブラジルに属しています。20世紀以降の熱帯雨林の森林伐採は、世界に影響を及ぼす環境問題の一つとして常に取り上げられています。

ブラジルを代表する伝統料理は、長い串に刺したブロック肉を炭火で焼きあげる料理「シュラスコ」。日本でも2014年のW杯ブラジル開催時に専門店が多数出店し、メディアで取り上げられたことで広く知られるようになりました。

コーヒーの歴史など

ブラジルのコーヒーは、1727年にポルトガル海軍士官によってフランス領ギアナから持ち込まれたといわれます。

18世紀から19世紀中ごろまでのコーヒー栽培は、奴隷制度によって下支えされていました。しかし、19世紀後半に奴隷制度が廃止されたことで、ブラジルは移民を受け入れ、賃金労働へと切り替わっていきました。20世紀初頭には1万人以上の日本人移民が入植し、その多くがコーヒー栽培に携わったとされます。

生産量世界一を実現する、生産技術への取り組み

言わずと知れた世界一のコーヒー大国で、生産量は世界第1位(※)、世界の生産量の約30%を占めています。
※アラビカ種は世界第1位、カネフォラ種は第2位。(カネフォラ種第1位はベトナム)

世界的に見て、生産面積を増やさずに生産量が増えている国はほとんどありませんが、ブラジルは品種改良や機械化など大規模プランテーションでの栽培に対応した研究を続けてきたことで、単収(単位面積当たりの収穫量)の増加に成功しています。

ブラジル人の暮らしに根付くコーヒー

ブラジルは、国内のコーヒー消費量も国別で世界第14位であり、これは世界のコーヒー生産国の中では第1位。人々の日々の暮らしに、コーヒーを楽しむ習慣が深く根付いています。

ブラジルの家庭では、布製フィルターでドリップし、砂糖をたっぷり入れて飲むスタイルが一般的です。

採れるコーヒーの特徴

代表的なブランドはサントス。栽培地の名称ではなく、サントス港で船積みされることからつけられました。等級と併せて、「ブラジルサントスNo.2」などと呼称されます。

生産地の中でも比較的低い標高で育つブラジルコーヒー

ブラジルの生産地の標高は他の産地と比べて高くなく、高温を嫌うコーヒーにとっては暑すぎるため、産地はブラジル南部の高緯度帯に集中しています。とくに生産量が多いのはミナスジェライス州です。
栽培標高が比較的低いことで、採れるコーヒーは酸味が抑えめでまろやかな味わいとなり、飲みやすく、多くのファンを持っています。

霜害がしばしば発生しますが、これはブラジルの地形が大きく関わっています。ブラジルはなだらかな傾斜を持つ土地が多いのですが、盆地になっているエリアではお椀状の土地の底部分で冷たい空気がとどまり、コーヒーの木が霜焼けを起こし、生産性が著しく落ちてしまいます。
世界的にシェアの大きいブラジルにおける生産量減少は、コーヒーの取引相場にも大きな影響を及ぼすことになります。

機械収穫で効率を高める大規模プランテーション

ブラジルのコーヒー農園として一般的にイメージされるのが、開けた赤土の土地に整然とコーヒーが植わっている大規模プランテーションです。こうした農園では機械収穫による効率的な栽培方法がとられていて、精製加工場の規模も大きいものになります。

ブラジルで栽培される有名品種の一つのムンドノーボ種は、ブルボン種の血を引きながらも、耐病性があり、実付きが非常によく生産効率が高いのですが、同時に樹高が高くなるのも特徴です。そのため機械収穫を行うブラジルで真価を発揮する品種ともいえます。

こうした大規模農園が目立つ一方で、山あいの産地では、規模はさほど大きくなく、他の産地と同様に手摘みで収穫作業を行っている農園もあります。

味わい・等級

ムンドノーボ種の他、カトゥアイなどテロワール(環境要因)に応じて様々な品種が栽培されていますが、主流はブルボン系。多くは丸みのあるやや小ぶりのコーヒー豆です。
酸味は抑えめでまろやか、ナッツやチョコレートのニュアンスを持っています。

ブラジルでは水資源保護の観点から、精製方法はナチュラルとパルプドナチュラルが多く選択されます。パルプドナチュラルは果肉を機械除去してから天日乾燥する方法で、種子の表面に付着している粘液質の「ミューシレージ」がある程度残ったまま乾燥されるため、「ミューシレージ」を取り除くウォッシュドよりも甘味が強くなる傾向があります。この精製方法はセミウォッシュドとも呼ばれます。

等級は、欠点混入率とスクリーンサイズおよび風味によって細かく分けられます。
欠点混入率によってはNo.2、3、・・・No.8と分けられます。
続いてスクリーンサイズが20、19、18・・・、12と併記され、さらに風味がStrictly Soft、Soft、Softish、Hard、Rioy、Rioと分類されます。

Rioy(リオイ)やRio(リオ)はブラジル産コーヒーで発生しやすい薬品臭の一種であり、リオデジャネイロのリオから名前が取られています。日本では欠点として捉えられるものの、トルコのようにこの臭いを好む消費国もあります。

農事調査室から「現地での調査研究を通して、日本の皆様に求められる味わいをお届けしていきます」

UCCでは、ブラジルにおいて天然の低カフェインコーヒーである「ローリナ品種」の存在を知り、調査を進めたところ、生まれながらにしてハーフカフェインかつアラビカ種同等の良質なおいしさを有するコーヒーであることを発見しました。

そこで2009年にサンパウロ州のサンジョゼ農園と契約を交わして、大規模栽培を開始し、2012年にはじめて製品化に漕ぎつけました。その後、干ばつや霜害、病虫害など様々な苦難と戦いながらも、今年で栽培15年目となり、UCCで取り扱う定番品種の一つとなっています。

これからも、お客様の多様なニーズを満たせるように、広くアンテナを張りながら調査研究を続けていきます!


UCC 農事調査室
主要原産地に出向き、コーヒーの栽培状況などを調査・研究しています。
担当
日比 真仁、中平 尚己、井上 隆裕 

生産地ごとのコーヒーを味わってみたくなった方へ
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「UCCカフェメルカード」は、全国で22店舗(2023年1月現在)を展開しているUCCのコーヒー専門店です。お店のテーマは「MEET YOUR BEANS 私好みのコーヒーに出会う場所」

UCC直営農園産のコーヒーや、コンテスト入賞ロット、産地・農園指定のコーヒー、UCCの知恵と技術を駆使して創作するブレンドコーヒーなど、良質で個性豊かなコーヒーを幅広く取り揃えています。

年間通して、世界各国のコーヒーをお求めいただける店舗ですので、こちらの記事を読んで産地ごとの違いを味わってみたくなった方は、ぜひ店頭にも足を運んでみてください。コーヒー選びに迷っても、知識豊富なスタッフが丁寧にアドバイスしますよ!

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