宮城県「しおがま」×「UCC 珈琲探究 ブルーマウンテンブレンド」コーヒーの、おいしい恋活 vol.25 | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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宮城県「しおがま」×「UCC 珈琲探究 ブルーマウンテンブレンド」
コーヒーの、おいしい恋活 vol.25

日本各地の銘菓や特産品の魅力をご紹介しながら、相性ぴったりのコーヒーをご提案する「コーヒーの、おいしい恋活」。vol.25となる今回は宮城県へ。端正な形と豊かな香り、物語にも彩られた優しい味わいをお楽しみください。

歴代仙台藩主にも愛された『しおがま』(九重本舗 玉澤)

今回ご紹介するのは宮城県「玉澤」の『しおがま』です。雪原のような四角形。袋を開けると中に散りばめられている紫蘇がふわっと香り立ちます。

線のところでザクザクと切り分ければ、ひと口大の小さなブロックに。噛み締めると、口の中で品のよい甘みとほのかな塩気がほどけていき、紫蘇が高貴な香りと後味を残します。もうひとつ、またもうひとつ、と食べてしまいそう。

「玉澤」の創業は1675年(延宝3年)。近江の国(現在の滋賀県)の玉澤伝蔵氏が、仙台藩の第4代藩主、伊達綱村公に招かれて開業したのが始まりです。「伊達家御用御菓子司」として、城下町の人々にも愛されるようになった玉澤は、その後300年以上、14代にわたって和菓子を作り続けて今日に至ります。

「九重(ここのえ)本舗」という商号は、1901年(明治34年)、明治天皇が仙台に立ち寄られたときにあるお菓子を献上したところ、お供されていた東久世通禧(ひがしくぜみちとみ)公が、万葉の和歌にちなんで「九重」と命名したことによるそうです。

『しおがま』も、玉澤が伊達家に納めていたお菓子のひとつ。「塩がま」と呼ばれる食べ物はこの地に古くから存在していましたが、天明時代(1781年〜1789年)、玉澤がこれに紫蘇を裁断して風味を加え、調製して藩主に献じると、とても喜ばれたとのこと。そこからさらに長い伝統を受け継ぎながら工夫を重ね、今では全国にファンがいるほど。家庭から茶の湯の席までさまざまな場所で親しまれ、リピート注文も多いのだとか。

塩がまを考えたのは、神様だった?

「塩がま」は、塩竈市で売り出されて全国に広まったお菓子です。「塩竈」とは海水から塩をつくるかまど(竈)のこと。日本各地の海沿いにありましたが、仙台ではこれがそのまま地名になりました。他の漢字で表記されることもありますが、市役所の公文書では陸奥国の総鎮守として建てられた「鹽竈神社」にちなみ、「塩竈」を使用しています。

この鹽竈神社の祭神は、日本書紀にも登場する「塩土老翁(しおつちおじ)」です。実はこの神さまが、「塩がま」を発明したという説があるのです。
塩土老翁はこの地を拓き、また藻塩草(あまも)を焼いて塩を製することを教えたとされる神さまですが、それだけではなく、粉末にした餅米を煎り、薄塩草を加えて押し固めてお茶うけにすることも伝えたのだとか。これにやがて糖分が加えられるようになり、いまの「塩がま」になったと言われています。 

「押し物」ならではの手作業は、職人さんの感覚が命

和菓子は水分量に応じて「干菓子」「半生菓子」「生菓子」に分けられ、またそれとは別に、製法や材料によって「焼き物」「揚げ物」など12種類ほどに分けられます。「塩がま」は水分が少なく、材料を押し固めて作る「押し物」と呼ばれる「干菓子」に属します。

玉澤の『しおがま』は、そのすべての工程が手作業で作られます。上質な国産の餅米を蒸して干し、その粉に塩や砂糖などの材料を混ぜ合わせます。さらに青もみ紫蘇(シソ)を散らして揉み込み、木型で押し固めるのですが、この揉み込みの作業がとても難しいのだそう。時間や手の加減をふくめ、やりすぎても足りなくても、良い製品にはならないのだとか。
それを見極めるのは職人さんの感覚です。

また、材料の状態は季節や温度によって変わるため、その配合も職人さんがその時々で最良のものになるように調整しているとのことです。機械や数字でははかれない経験と感覚がこの繊細な味わいを支えているのですね。

歴史好きもワクワク、しおりに刷られた伊達家の家紋

玉澤伝蔵氏を近江から呼び寄せた第4代藩主、伊達綱村公をはじめ、伊達家の人々がお菓子を大切にしてきた背景には、代々、茶の湯に力を入れていたことがあげられます。

『しおがま』のしおりの地模様には、伊達家の家紋である「竹に雀」が入っていますが、これは伊達家から許可を得た場合のみ使用できるものだそうで、玉澤がいかに愛されてきたかという証でもありますね。遠い昔、伊達家の藩主たちが『しおがま』を和やかに食べている姿を想像すると、なんだか楽しくなってきます。

【コーヒーマリアージュ】
しおがま』には、調和のとれたまろやかさ、すっきりした後味のコーヒーを

ここからは、UCCのR&Dセンターで味わいに関するデータ分析の担当者が解説します!

それではコーヒーマリアージュ、してみましょう!
『しおがま』はあっさりとした砂糖菓子をベースに、塩味、紫蘇のほのかな酸味、香りのアクセントの効いたお菓子です。緑茶やほうじ茶に合わせる印象が強いと思いますが、コーヒーともよく合います。

おすすめは、調和とまろやかさをベースにしながらも、すっきりと清涼感のある後味を持つコーヒーです。まろやかさが『しおがま』のやさしい味わいを包み込み、清涼感がほのかな塩気や紫蘇とあいまって、豊かな余韻を楽しむことができます。
紫蘇の香りの主要成分であるアルデヒド系の香気成分が、甘くスパイシーなコーヒーの香りとマッチするのかもしれません。独特の歯応えを持つ『しおがま』が、コーヒーを含んで口の中でふんわり泡雪のように溶けていく、そんな変化も魅力的です。

また、新年ですから気持ち新たに、ちょっと特別感や格調を感じるコーヒーを合わせてみるのも良いかもしれませんね。

しおがま』のベストパートナーは『UCC 珈琲探究 ブルーマウンテンブレンド

『しおがま』にぴったりの、調和のとれたまろやかさ、すっきりとした後味を持つコーヒーは『UCC 珈琲探究 ブルーマウンテンブレンド』です。

コーヒーの生産地を大切にし、生産地にこだわり抜いた「珈琲探究」シリーズ。中でも『ブルーマウンテンブレンド』は、酸味・苦味・コクの絶妙なバランスが特長で、甘く優雅なフレーバーも楽しめるコーヒーです。新年に『しおがま』と合わせることで、より高貴で清々しい気持ちになれるでしょう。

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心を清め、優しい気持ちで新年を

宮城県のほぼ中央、仙台市と松島の中間にある塩竈市は、海の恵みを感じる町です。港は昔からその時々で重要な役割を果たし、今は新鮮な魚介類や水産物の加工品でも有名です。古くから多くの歌人たちの歌に登場した土地でもあり、「奥の細道」には松尾芭蕉が塩竈から松島へ舟で渡ったことが綴られるなど、多くの逸話が残されていますが、実は玉澤にも「こんこんぎつねの恩返し」という話が語り継がれています。

昔々、初代の玉澤伝蔵氏がお墓参りの途中で道端で苦しんでいるキツネを見つけました。哀れに思い薬を与えて介抱すると、キツネは元気になり、名残惜しそうに振り返りながら去っていきました。ふと伝蔵が足元を見ると、そこには小さな分銅金。「キツネの恩返しに違いない」と思った伝蔵はこれを持ち帰り、屋敷内に神社を建立して祭りました。それ以来、玉澤は菓子づくりの技を極めていき、商売はますます繁盛したとのことです。

玉澤では今も初代の木像を社屋に安置し、この逸話とともにお菓子作りの魂を大切にしているそうで、また商標に使っている屋号はこの話の分銅金をモチーフにしたものだとか。

厄を祓い清める力があるとされる塩。神さまが考えたというお菓子。すっきり白く、凛と整った形。そして品の良い紫蘇の香り。そんな『しおがま』と『珈琲探究 ブルーマウンテンブレンド』は、格調と清々しさ、優しさを兼ね備え、新年を始めるに相応しい組み合わせです。今年は辰年ですが、このマリアージュを楽しむときには「こんこんぎつねの恩返し」を思い出して、キツネも大事にしてみましょうか。味わう人にきっと、幸運を運んでくれることでしょう。

ご紹介した宮城県の銘品「しおがま」は以下でお買い求めいただけます。
オンラインショップ

半澤 拓(はんざわ・たく)
2011年入社。UCCの研究施設イノベーションセンターにて研究開発業務に携わる。
2016年にコーヒーと食べ物の食べ合わせを分析する「フードマッチングシステム」を開発。コーヒーの味や香り、食べ合わせに関する研究報告やセミナーなど多方面で活躍。

UCCの「フードマッチングシステム」ほか、おいしい!を極める技術について興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。


▼コーヒーマリアージュについての記事はこちら


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