今回は、コーヒーにウイスキーやスピリッツなどを加えて作る、オリジナルコーヒーカクテルの大会「ジャパンコーヒーイングッドスピリッツチャンピオンシップ(2024年)」で3位の実績を持つ、UCCコーヒーアカデミーの土井講師に、そのハードルをぐっと下げてもらいました!
コーヒーカクテルに合うお酒の選び方や作り方のポイント、さらに初心者でも自宅で簡単に挑戦できるレシピをご紹介します。
INDEX
コーヒーカクテルに合うお酒の選び方
コーヒーカクテルに使われるお酒はたくさんありますが、自宅にあるお酒で楽しむには、どのように選んだら良いのか、土井講師に聞いてみました。
ジン、ウォッカ、ウイスキー、シェリー酒、ワイン、ブランデーなど、洋酒はだいたいコーヒーと合わせやすいです。ジンやウォッカのような透明感のあるお酒は、コーヒーのスッキリとした味わいと相性抜群です。一方、ウイスキーやブランデーのコク深い風味は、深炒りコーヒーと合わせることで、重厚感のある一杯になります。
また、シェリー酒やワインのような発酵系のお酒は、コーヒーの複雑な味わいと調和し、新しい発見をもたらしてくれると思います。
コーヒーの味わいに合わせて、選ぶコツはありますか?
コツは、コーヒーの風味に合わせたものを選ぶこと。
味わいが“爽やか”と表現されるコーヒーであれば、お酒も「フレッシュな味わい」なものを選ぶとうまく纏まりますよ。若いお酒には浅炒り、熟成したお酒には深炒り、と覚えておくと良いでしょう。
日本のお酒と合わせたコーヒーカクテルもおすすめ
またコーヒーは、洋酒だけでなく、日本酒や焼酎など日本のお酒とも相性が良いのだそう。
日本酒ですと、“マスカットの香り”とよく表現されるフルーティな香りが特徴の銘柄が、コーヒーカクテルにはおすすめです。ただし、日本酒の場合、コーヒーを薄めに淹れたものを使いましょう。その方が日本酒の繊細な風味を活かすことができます。
また、泡盛や焼酎に直接コーヒー豆を漬けて香りを移す方法もあるので、こちらもぜひ試してみてください。
◎「コーヒー焼酎」の作り方はこちら
コーヒーカクテルを作る際のポイント
身近にあるお酒でも、色々な味わいのコーヒーカクテルが楽しめるんですね。では、自宅で作る時のポイントは何でしょうか?
コーヒーカクテルを作る際には、濃度と手順に注意することが大切です。濃度は、お酒とコーヒーの濃度をバランスよく整えることで、味わいに一体感が生まれます。
手順にも工夫が必要です。たとえば、ホットカクテルの場合は、お酒を入れてからコーヒーを注ぐことで、香りが引き立つ仕上がりになります。カクテルによっては、材料を混ぜるタイミングが違うので、ここも意識するとより美味しいカクテルになります。
他にも作るときに意識することはありますか?
炭酸を注ぐときには氷に直接当てないようにすることですかね。実は炭酸を氷に当ててしまうと、氷の表面で泡になりやすくなり、その際にガスが抜けて、炭酸の爽快感が損なわれかねないんです。他のお酒やコーヒーは氷にあてながら注いだ方がいいので、炭酸だけ気をつけてみてください。
こうしたポイントを意識することで、より完成度の高い1杯になります。後ほど紹介するレシピでも、この2つに注意してみてください。
コーヒーカクテルに使うコーヒーの淹れ方
カクテルに使うコーヒーの淹れ方
バーで飲むコーヒーカクテルは、コーヒーリキュールやエスプレッソが主流ですが、自宅で作るなら、家庭用のドリップコーヒーで構いません。
今回ご紹介するレシピで使うのは“水出しコーヒー”と“ホットコーヒー”です。
「水出しコーヒー」はカクテル用には濃いめに淹れるのがポイント。水とコーヒーの比率は1:8程度にすると、他の材料と合わせたときにバランスが良くなります。
「ホットコーヒー」は、浸漬式(コーヒー粉とお湯を混ぜて濾す方法)なら手軽に素早く抽出できます。丁寧にドリップしなくても、十分にコーヒーの味わいを引き出せますので試してみてください。
ところで、カクテルに欠かせない氷ですが、用意する氷にも選び方はあるのですか?
コーヒーカクテル用ということはありませんが、ゆったりとした時間を楽しむカクテルには、溶けるスピードがゆっくりめなロック氷がおすすめです。スペシャル感を演出したいときは、丸氷や棒状の氷を使ってみるのもいいですね。
土井講師厳選!7種のお酒に合わせた絶品コーヒーカクテルレシピ
土井講師が厳選した、ウイスキーやラムなど7種のお酒に合うコーヒーカクテルレシピをご紹介!
お酒の特徴を活かした絶妙な組み合わせで、自宅で本格的な一杯を気軽に楽しめます。お好みのお酒から、理想のカクテルを見つけてください。
1. ジンで作る「コーヒージントニック」
最初はコーヒー、徐々にジンの豊かな香り、と味わいの変化が楽しめるカクテル。
ジンには、クラシックなドライジンからフルーティーなフレーバージンまで多様な種類がありますが、コーヒージントニックには柑橘系の香りが際立つジンや、ハーブが豊富なものがおすすめです。
<材料>
- コールドブリューコーヒー 15ml (ソフトでビターな味わいの水出しがおすすめ)
- ジン 30ml
- トニックウォーター 50ml
<作り方>
- グラスに氷を入れる。
- ジンを注ぎ、氷と混ぜる。
- トニックウォーターを氷に当てないようにゆっくり注ぐ。
- 最後にコーヒーを氷に当てながら注ぐ。
<講師からのワンポイント>
ジンを注いだら氷と混ぜて香りを十分に引き出すとともに、お酒感を和らげるのがコツです。ジンに合わせるコーヒーは、中深炒りのものにするとお酒との濃度バランスが取りやすいです。
2. ウォッカで作る「コーヒーマティーニ」
カクテルの代名詞とも言えるマティーニをコーヒーとの組み合わせで。
コーヒーのまろやかさとウォッカのちょっと度数が高めのお酒が調和した、洗練された味わいのカクテルが、簡単な手順で作れます。
<材料>
- コールドブリューコーヒー 75ml (キリマンジァロがおすすめ)
- ウォッカ 40ml
- シュガーシロップ 15ml(ガムシロップでも)
<作り方>
- 冷やした容器に、材料を注ぎ入れる。
- 氷を一つ入れ、ミルクフォーマーでフォームする。
(上から見て、きめ細かくなっていればOK) - 茶漉しで漉しながらグラスに注ぐ。
<講師からのワンポイント>
「冷やした容器」はコーヒーサーバーやボウルを冷やして使うと良いでしょう。
最後に茶漉しで濾しながら入れると、バーで飲むようなきめ細かい泡を楽しめます。
3. リキュールで作る「コーヒークーラー」
エルダーフラワーの清々しい香りとレモンスカッシュの爽やかさが魅力のカクテル。
炭酸との相乗効果で、リキュールの華やかな香りとコクが引き立ちます。
<材料>
- コールドブリューコーヒー 20〜25ml
- エルダーフラワーリキュール 20ml
- レモンスカッシュ 90ml
※エルダーフラワーリキュール・・・エルダーフラワー(和名-西洋にわとこ)の花のシロップ。
<作り方>
- グラスに氷を入れる。
- エルダーフラワーリキュールを注ぐ。
- 氷に当てないようにレモンスカッシュをゆっくり注ぐ。
- ステアして混ぜ、コーヒーを氷に当てながらゆっくり注ぐ。
<講師からのワンポイント>
炭酸感を損なわないよう、炭酸を注ぐ際は氷に直接当てないことが重要。またコーヒーはゆっくりと入れることで、先に注いだ甘いリキュールと自然な2層が作れます。
4. ブランデーで作る「カフェグロリア」
コーヒーのほろ苦さとブランデーのまろやかさ、そしてオレンジの爽やかさのハーモニーを楽しめる1杯。フランベの青白い炎は、冬の夜のロマンティックな気分に似合います。
<材料>
- ホットコーヒー 120ml(深みのある味わいの豆がおすすめ)
- ブランデー 20ml
- 角砂糖 1個
- オレンジピール 1個
<作り方>
- コーヒーを抽出する。(浸漬式の場合は20秒混ぜて濾す)
- グラスに角砂糖を入れ、角砂糖にしみ込ませるようにブランデーを注ぐ。
- 角砂糖に火をつけ、フランベしてブランデーの香りを引き立たせる。
- 火が消えたら、コーヒーを注ぎ入れる。
- オレンジピールを入れる。
<講師からのワンポイント>
ブランデーは「アップルやキャラメルの香り」と表現されることが多いので、コーヒーもリッチな深みのある味わいのものが合います。
フランベすることで、ブランデーの香りが開き、コーヒーの香りと調和します。
5. ウイスキーで作る「アイリッシュコーヒー」
寒い季節にぴったりの、有名なアイルランド発祥のコーヒーカクテル。ホットコーヒーのほろ苦さとウイスキーの芳醇な香り、そしてホイップクリームのほのかな甘味とのマリアージュに、心も身体も温まる1杯です。
<材料>
- ホットコーヒー 160ml (中炒り〜深炒りがおすすめ)
- シュガーシロップ 20ml (ガムシロップでも)
- ウイスキー 30ml
- ホイップクリーム 40ml
<作り方>
- ホットコーヒーを抽出する。 (浸漬式の場合は30秒混ぜて濾す)
- ホットコーヒーにウイスキー、シロップの順で注ぎ入れ、しっかりすくうように混ぜてから、グラスに注ぐ。
- ホイップを6〜7分立てにして、液面を覆うように浮かべる。
<講師からのワンポイント>
容器を冷やしながらミルクフォーマーでホイップクリームを泡立てると、カクテルに合う、滑らかで綺麗なクリームができやすいです。
また、ホットコーヒーにウイスキーを入れると香りが開き、そこにシュガーシロップを入れることで全体が混ざり合います。
ウイスキーとコーヒーの組み合わせは、若いウイスキーなら浅炒りのコーヒー、熟成したウイスキーなら深炒りのコーヒーで合わせてみてください。
6. シェリー酒で作る「カフェブルボン」
シェリー酒の風味を楽しむ、甘酸っぱいカクテルです。作り方はシンプルですが、シェリー酒は製造方法によって甘さや酸っぱさなどバリエーションが豊富なので、色々試してお好みの味を見つけてみるのもおすすめです。
<材料>
- ホットコーヒー 140ml (エチオピア、モカがおすすめ)
- シェリー酒 15ml
<作り方>
- ホットコーヒーを抽出する。(浸漬式の場合は20秒混ぜて濾す)
- ホットコーヒーにシェリーを注ぎ混ぜる。
<講師からのワンポイント>
シェリー酒の代わりに、白ワインや赤ワインでもOK。白ワインなら酸味のあるコーヒー、赤ワインなら渋みのあるコーヒーを合わせるのがおすすめです。
ホットコーヒーと合わせることで、お酒もまろやかになり、心地よい味わいにまとまります。
7. 3種類のお酒を使う「コーヒーネグローニ」
少し上級編で、3種類のお酒を使ったカクテルに挑戦。世界中のバーで一斉に楽しむ「ネグローニウィーク」というイベントが存在するほど、ファンの多いカクテルをコーヒーでアレンジ。カンパリの苦味がコーヒーとマッチして、食事の締めにもおすすめのカクテルです。
<材料>
- コールドブリューコーヒー 30ml(まろやかな味わいの豆がおすすめ)
- ダークラム 45ml
- ベルモット 15ml
- カンパリ 15ml
- シュガーシロップ 5ml
- オレンジピール 1個
<作り方>
- 容器に材料をすべて注ぎ入れる。
- 氷を入れて、混ぜる。
- 氷を入れたグラスに注ぐ。
- オレンジピールを添える。
<講師からのワンポイント>
ラムはダークラムなど熟成したものが飲みやすいのでおすすめです。氷で冷やしながら混ぜることで、少し加水され、全体なアルコールバランスが取れます。
このレシピの中でも、コーヒーカクテルを初めて飲む方へのおすすめを、聞いてみました。
アイリッシュコーヒーとコーヒーマティーニですね。
世界でもメジャーなカクテルですし、甘みが入っているから飲みやすいので、そこから好きになってもらって、色々なバーテンダーさんやバリスタさんのカクテルを楽しんでみていただきたいですね。
コーヒーカクテルの歴史を知れば、もっと味わい深い
コーヒーカクテルは、その風味やおいしさだけでなく、歴史や誕生のエピソードを知ることでさらに魅力が増します。
コーヒーカクテルは、もとは寒冷な気候の中で体を温める飲み物として親しまれてきました。昔から親しまれている代表例として挙げられるのが、コーヒーにラム酒や砂糖を加えたイギリスの“コーヒーパンチ”、そしてアイルランドの“アイリッシュコーヒー”です。
やがてバー文化の発展とともに、コーヒーカクテルは多様な進化を遂げました。ロンドンのバーで生まれたと言われる“エスプレッソマティーニ”、メキシコ生まれのコーヒーリキュール“カルーア”を使用した「カルーアミルク」などは世界でも幅広く愛されています。
最後に、土井講師の印象に残るストーリーを教えてもらいました。
旅人へのおもてなしから生まれた「アイリッシュコーヒー」
1940年代、アイルランドのシャノン空港に勤務していたシェフが、寒い冬の日に乗り継ぎの待ち時間を過ごす旅行者のために考案したのが「アイリッシュコーヒー」の始まりと言われています。ウイスキーの温かみとホイップクリームの甘さが特徴で、寒冷地で愛される代表的なコーヒーカクテルとなりました。
逸話もおしゃれな「エスプレッソマティーニ」
発祥のきっかけには諸説ありますが、有名な逸話として、1980年代にある女性がロンドンのバーを訪れた際、「私を目覚めさせ、酔わせるような飲み物を作ってほしい」とリクエストしたことがきっかけと言われています。その斬新さとスタイリッシュな見た目が瞬く間に評判を呼び、現在では世界中のバーで楽しまれる定番カクテルとなりました。
今回の取材を通して、世界で愛されているコーヒーカクテルの種類と多彩さに驚きました。
コーヒーカクテルは、お酒とコーヒーの個性が織りなす無限の可能性が魅力です。ご紹介したレシピを参考に、あなたもお気に入りの一杯を見つけてみてください。
大切な人との特別な夜、ひとりでリラックスしたいとき、きっと心地よい時間を演出してくれます。
※お酒は20歳になってから。お酒に関する情報の共有は20歳以上の方に限られております。
今回教えてくれたのは・・・
UCCコーヒーアカデミー講師
土井 克朗 Katsuro Doi
2005年入社。上島珈琲店の店長やエリアマネージャーを経験しながら、商品開発にも携わり、UCC社内の認定資格である「UCCコーヒーアドバイザー」を取得。2016年より現職。UCCコーヒーアカデミーでセミナーを受け持つほか、全国で講習会などを受け持つ。
《受賞歴》
2014年「ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ」優勝
2024年「ジャパンコーヒーイングッドスピリッツチャンピオンシップ」3位
(部署名・役職は取材当時の情報です)
「UCCコーヒーアカデミー」で会いましょう!
→ UCCコーヒーアカデミー のサイトへ
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