リニューアルしたUCCコーヒー博物館へようこそ[COFFEE CREATOR’S FILE 33 栄 秀文] | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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リニューアルしたUCCコーヒー博物館へようこそ[COFFEE CREATOR’S FILE 33 栄 秀文]

「一杯のコーヒーができるまで」…そこにはUCCのコーヒークリエイターたちの「おいしい事実」があります。

毎朝、一杯のモカから始まった「コーヒー時間」

学生のときは、毎朝、駅前の喫茶店に寄ってから大学に行っていました。必ず頼むのはモカ。あれが、僕の一日のスイッチでしたね。

コーヒーの種類も知らないのに、ただ「モカって名前がかっこいいな」というだけで選んでいました。ちょっと大人ぶって、モカを飲んでから授業に行くのが、ささやかな楽しみだったんです。

当時は、教師になりたいと考えていたので、“コーヒーを仕事にしよう”なんて、一ミリも思っていませんでした。でも、今思えば、あれが僕のコーヒーとの本当の付き合いの始まりだったのかもしれません。

もうひとつ、若い頃の思い出で忘れられないのが、神戸ポートアイランド博覧会(1981年)です。あのとき初めて入った企業パビリオンが、UCCのコーヒーカップ型パビリオンでした。

だから、僕にとっての“最初のコーヒー”は、近所の喫茶店のモカと、UCCのコーヒーパビリオンなんです。

その後、まさか自分がUCCに入社して、41年後にこの場所の館長になるなんて。夢にも思ってなかった。人生っておもしろいですよね。

名古屋で学んだ三原則

名古屋は第二の故郷ですね。商売の原点も、お得意先との付き合い方も、全部名古屋で教わりました。

真っ先に思い出すのは、お得意さまだった小さな喫茶店のママさんのことです。ママに押されて、当時、遠距離恋愛中だった今の妻に「急やけど、明日、遊園地行かへん?」とデートのお誘いをしたのも、そのお店の電話からでした。

それから支店長などを任されるようになった時に、支店の仲間たちにお願いしていたことが三つあるんです。まずお客さまの話を聞くこと。それからたくさんお話しすること。最後に、一緒に思い出を作ること。この三つができれば、お客さまは必ずUCCのファンになってくれる。そう伝えていました。

そういえば、昔、社内の抽出競技会にチームで出たことがありましてね。優勝を狙って「何か“究極の秘技”が必要だ」ということになって、「両手でドリップしよう」ということになったんですよ。僕は「勘弁してよ」と思ったんですが、そのおかげか準優勝させていただきまして。両手でポットを持って抽出したのは、もちろんあの時だけです(笑)。今は、“誰でも真似できるおいしい淹れ方”を大事にしています。

営業の苦労から生まれたUCC独自のサービス

もちろん当初はそこまでの種類はできませんでしたが、現場からすると、お客さまに説明する時間も手間もかかるし、正直なところ『売りにくい』というのが本音でした。

たしかにいい商品なのですが、何万通りにもなるコーヒーの味を、お客さまに伝えるのが難しかったんです。

横浜で営業をやりながら、その“売れない理由”を散々味わったあとで、今度は神戸のマーケティング本部・業務用企画部に呼ばれて、売る側から企画する側に回りました。そこで、ある“気づき”がありました。

たとえば、真ん中にクセのないサントスを置いて、「もっと苦く」「もっと軽く」ってお客さまの希望を聞くと、ブレンドの比率がパッと出てくる。「そんな仕組みがあれば、現場はずいぶん楽になるんじゃないか」と思いました。

そこで当時の品質検査室でコーヒー鑑定士の方にお願いして、24パターンの味の設計を一緒に組んでいきました。味の設計には苦労しましたが、長い社員生活の中で大きな思い出の一つですね。

「細事に神宿る」と、UCCに決めた理由

UCCに決めた理由ですか? それは、面接の部屋の隅に、ホコリが一つも溜まってなかったからなんですよ。

実はもう一社、内定をもらっていた会社があったのですが、そちらの面接室では、部屋の隅にうっすら埃が溜まっていました。一方、UCCの本社の面接室は隅々まできれいに掃除されていた。その小さな差が、心のどこかで引っかかりました。

何かたいそうな理念があったわけじゃないんですが、『隅まできれいにしている会社って、きっと仕事もちゃんとしてるんやろな』って思いました。

入社後、現会長から繰り返し聞かされてきた言葉が、「細事に神は宿る」。細かいところにこそ神様が宿る、細部への配慮がすべてを決める、という意味です。

学生の頃は、学校の先生になりたいと思っていましたが、縁あって選んだのはコーヒーの会社。名古屋・横浜・神戸と、営業や企画で経験を重ねたのちに、UCCコーヒーアカデミーの責任者となって「伝える仕事」も経験できました。

UCCコーヒーアカデミーで教壇に立っていると、「ああ、自分はやっぱり“伝える”のが好きなんやな」と感じました。受講生の表情がふっと変わる瞬間が、一番うれしかったです。

UCC神戸コーヒービレッジは、コーヒーの知の集積地です。ここに来れば、コーヒーのことはだいたい全部解決できる。

世界広しと言えど、こんな近い場所に博物館もアカデミーも研究所も並んでいるところはないです。まずはビギナーの方に一歩、ここに足を踏み入れてもらって、「もっと知りたい」と思ったらアカデミーへ、それでも足りなければ研究の世界へ、という流れをつくりたい。

コーヒーモンスターと、未来の来館者へのメッセージ

リニューアルしたUCCコーヒー博物館には、子供たちが目を輝かせる仕掛けがたくさん用意されています。その象徴が、未来エリアに登場する「コーヒーモンスター」です。

来館者のコーヒーのタイプを診断してくれるコーナーですが、イノベーションセンターから現れたコーヒー博士が未来エリアをナビゲートしてくれて、6体のコーヒーモンスターが登場します。

いくつかの質問に答えると、自分に合ったモンスターがモニターに現れ、その好物や性格が紹介されます。フォトスポットではモンスターと一緒に写真が撮れる。そこから、ラウンジでの香り体験や、イントロダクション、ディスカバリーのプログラムへと、学びと遊びがつながっていくはずです。

ここに来た子供たちが、いつかコーヒーに携わる仕事に就いてくれたらうれしいですね。そんなことだってあるかもしれない。そういうきっかけの場所に、この博物館がなってくれたら、本当にうれしいです。

心に残る、最高のコーヒーは?

やっぱり学生のときのエチオピアコーヒー(モカ)が一番最初に浮かびますね。名前に惹かれて飲んでいただけなんですけど、気がついたら、コーヒーとずっと一緒の人生になっていました。

愛用のコーヒーグッズは

「COFFEE CREATION」のノベルティで、3年前に作ったガラスのマグカップ。持ちやすくて、口当たりもいいので、気づいたら毎日使っています(笑)

サステナビリティ経営推進本部
UCCコーヒー博物館館長
栄 秀文(さかえ ひでふみ)
1985年、UCC上島珈琲株式会社入社。名古屋での業務用営業からキャリアを始め、横浜支店長、マーケティング本部業務用企画部長として「FOB フレッシュロースターブレンド」の企画など、現場の声を生かした施策に携わる。さらにUCCコーヒーアカデミー学長を務め、現在はUCCコーヒー博物館館長。「コーヒーの知の集積地」としてのUCC神戸コーヒービレッジの構想をけん引している。

(部署名・役職は取材当時の情報です)

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