コーヒーの味はナッツの風味?味わい表現を知る『ハルのコーヒー』Vol.11 | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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コーヒーの味はナッツの風味?味わい表現を知る『ハルのコーヒー』Vol.11

実家を出てひとり暮らしをはじめたコーヒー初心者の「ハル」。おいしいコーヒーを淹れられるようになる!を目標に、回り道しながらも日々奮闘しています。コーヒーのスペシャリスト、「天の声」に見守られながら歩むハルのコーヒー道。はじまりはじまり。

前回のおさらい

みなさんこんにちは、ハルです!

前回は、自分にぴったりのポットを買いに行きました。やっぱりちゃんとドリップ専用のポットだとお湯を細く出せるし、教えていただいたとおりに淹れられているのが嬉しい。それにデザイン性の高いポットは置いておくだけでちょっとステップアップできた感じがして、眺めているとついにんまりしちゃう。うちにはドリップ専用ポットがあるんだから!って謎の自信につながっています(笑)。

さて、天の声さんからいただいた次なるミッションは「コーヒーの味わい表現を見てくる」でした。酸味の強いコーヒーのことを「フルーティ」って言っていたり、なんだか独特な言い方をしているなあと思っていたので、味わいの表現を知るいいチャンスです。早速スーパーへGO!

コーヒーなのにナッツ…ストロベリーにチョコレート?!

売り場でコーヒーのパッケージを手に取ってみると…ありました!味わいや風味について書かれています。「フルーティな酸味が楽しめる」って書いてあるものも。やっぱり「フルーティ」ってコーヒーの味を表現する時によく使う言葉なんですね。他にもないかな?と探してみると、こんな言葉も。

  • ミルクチョコレートのような香り
  • ドライフルーツのような余韻のある甘さ
  • ローストアーモンドを思わせる
  • 赤ワインのような芳醇な香り

ふむふむ。うーん、コーヒーなのにチョコレートやナッツなのね。コーヒーなのに赤ワインかぁ…なんとなくイメージできるような、できないような。どんな味なんだろう?って興味が湧いてきます。
チョコレートのような味って、コーヒーを飲んで本当にそんな味を感じられるのかな。

ハルさんこんにちは。
確かにコーヒーの味わい表現は、独特かもしれませんね。いろいろな言い方をするので、最初は戸惑うのはわかる気がします。

(ハル)天の声さんこんにちは!そうなんです。コーヒーの味がいろいろあるよ、というのは以前の経験でわかってはいたんですけど、チョコレートやナッツっていうイメージをしたことがなかったので、表現方法にちょっとびっくりしちゃいました。わたしもナッツ感とか感じられるのかしら。

(天)ふふふ、コーヒーの中にどんな味わいや香りが潜んでいるか、実際飲んで試してみますか?

(ハル)わ、チャレンジしてみたいですっ!

本格的!テイスティングチャレンジ

(天)それではこちらに。しっかりと違いを感じてもらうために、鑑定士も行っているテイスティング方法で味わってみましょうね。今回用意した豆はそれぞれ単一種類の豆で、6種類。

どれから飲んでも構わないのですが、傾向を整理しやすいのでエリア別にしてみましょうか。南米は「ブラジル」「コロンビア」、アフリカでタンザニアの「キリマンジァロ」、エチオピアの「モカ」、アジアのインドネシアから「マンデリン」と「ジャバロブスタ」です。

(天)テイスティンググラスには、つい先ほど挽いた「挽き立ての粉」を入れてあります。ハルさん、まず香りを嗅いでみてください。

(ハル)ドキドキ・・・あ!粉の状態ですでにひとつひとつ香りがだいぶ違うんですね。

(天)はい。気になった香りはありましたか? 「ドライ」と言われる粉の状態で香りの違いを感じることも大事なプロセスなんですよ。

(ハル)気になる香り…そうですね。モカがそれこそ「フルーティ」って感じの香りだったのと、キリマンジァロが、草みたいな感じ(笑)、ジャバロブスタはなんだか意外…な感じがしました。

(天)ハルさん、ちゃんと違いを感じられていていいですね!
それでは抽出もしてみましょう。
同量の粉を入れたカッピンググラスへ直接お湯を注いでいきます。少しおいてから、浮かんできたコーヒーの粉をスプーンですくい取ったらOKです。これは一日にたくさんの味をチェックする鑑定の時の抽出方法ですが、この方法なら、どのカップも同条件で抽出できるので品質の確認に都合が良いという意味もあります。

(天)少しずつ専用のスプーンですくって、味わってみましょう。鑑定士はズズズっと霧状に吸い込み口の中全体で感じられるような飲み方をしますが、それは真似しなくてもいいですよ。

(ハル)…ズズズっと・・あ、確かに難しいですね。けど楽しい(笑)。

ブラジル

(ハル)それではひとつずつ感じたことを。まずは「ブラジル」ですね。
ええと、ドライの時に感じた香り…なんだろう、酸味の強い感じではないな、っていう香り?うまく表現できなくてすみません。

(天)いえいえ、大丈夫。「ブラジル」は最初にベンチマークになるものとして味わってみましょうか。確かに、あまり酸味のある香りではないと思います。

(ハル)飲んでみて思ったのは…味もやっぱり酸味は感じないですね。

(天)「ブラジル」は、よく「ナッティ」、つまりナッツっぽいと表現されたりしますね。ハルさん、ナッツと言われると何を思い浮かべますか?

(ハル)えっと、ナッツといえば、アーモンド、ピスタチオとかです。

(天)ブラジルの「ナッツ感」はナッツの中でも「アーモンド」に例えられることが多いんです。茶色い皮がついたままローストされた香ばしいナッツです。

(ハル)ああ、言われてみれば!なんとなく感じられる気がします!

コロンビア

(ハル)「コロンビア」の粉の香りは、「ブラジル」と比べると「ブラジル」の方が甘さがある気がしました。言い方合ってるかわからないけれど、なんか「コロンビア」の方が浅い?感じのような…。

(天)感じ方は人それぞれなので、合ってる合ってないはありません。気にしないでどんどん感じたままを言葉にしてみましょう!
実は「ブラジル」と「コロンビアは、精製方法が違うんです。「コロンビア」は水を使って実からコーヒーの種(豆)を取り出す方法で精製しているので、「ブラジル」よりすっきりとしている、それで浅いという印象を持ったのかもしれませんね。

(ハル)なるほど!
味は…酸味で言うと「コロンビア」の方が「ブラジル」よりも酸味がある気がします。

(天)そうですね。この後に試す「キリマンジァロ」や「モカ」も特徴的な酸味がありますが、「コロンビア」の酸味は乳製品の酸のような、ちょっと重ための酸味。ヨーグルトのような舌に乗ってくる味わいと言ってもいいかもしれません。

(ハル)これがヨーグルトのような酸味ってやつですね!わかる!

キリマンジァロ

(ハル)次はアフリカの豆、「キリマンジァロ」ですね。
香りは…「ブラジル」などの南米のものよりも浅い感じがしました。なんか草っぽいというか、地面と一体化してるかんじというか。

(天)草はグリーングラスかしら、それとも干草のようなかんじですか?

(ハル)どっちだろう…わからなくなってきた。でも抽出して味わってみると粉の時に感じた土っぽさは感じられないみたいです。ちょっと酸っぱいかな。

(天)「キリマンジァロ」の酸味は、グレープフルーツような明るい酸味と言われることもあります。軽やかな酸味ですね。味わいもちょっとライトな感じだと思います。

モカ

(ハル)次は「モカ」。「モカ」の香りは、今までの中で一番フルーティな感じでした!

(天)フルーティといってもフルーツって色々ですよね?例えばどんなフルーツですか?

(ハル)ええっ、えーっと…赤いフルーツでフレッシュな感じで、あ、プラムとかモモ科な感じの香りがします。

(天)モモ、いいですね〜

(ハル)それで味は、香りで感じたフルーティなものがわかりやすく出てきた感じの味わいだと思います。

(天)「モカ」は酸味がとても特徴的です。オレンジのような酸味で、「キリマンジァロ」と比べると「モカ」の方が華やかな感じではないかなと。「ブラジル」と同じ天日干しをする精製方法で作ったものです。味の余韻が長く感じられる気がしませんか。

マンデリン

(ハル)「マンデリン」の香りはちょっと水で薄めたような香り?というか… なんだろう、金属?えんぴつ削った時の匂いというか、木の匂い?ちがうかな、むつかしい〜何かを感じました。でも、いろいろ嗅ぎすぎて鼻がもうよくわからなくなってるかも(涙)

(天)いろいろ嗅いで香りがわからなくなってきたときは、一度自分の匂いを嗅ぐといいんですよ。鼻がリセットされますよ。
味はどうでしたか?

(ハル)なんて言っていいかわからないけれど、味もちょっと癖がある感じです。そして「モカ」の酸味とはまた違った酸味を感じます。

(天)「マンデリン」は薬草のようなスパイス系の味わいがありますね。そしてごぼうとか根っこ系の植物を思わせる、大地を感じるアーシーな味わい。ちょっと高級ななめし革の香りも感じられるかもしれません。

ジャバロブスタ

(ハル)この粉の香りは意外感があって…特徴的でした。でも知ってる香りって感じがします…言葉が悪いかもしれないけれど…ゴム?いや窓のパッキンの香り?

(天)窓のパッキン!?その表現初めて聞きました(笑)
「ジャバロブスタ」は、単品で飲むことはほとんどなく、ブレンドに使われることが多い豆です。パンチの聞いたブレンドにしたいときに使われますね。味もけっこう特徴があると思いますよ。

(ハル)ほ、本当ですね。これは…麦茶です!麦茶みたいです。

(天)日本人だと麦茶のような香ばしさに感じますよね。あるいはほうじ茶とか、韓国のコーン茶とか。「ブラジル」も香ばしい感じがしますがあれは、アーモンドでした。こちらは麦とか穀物の香ばしさや「トーストが焦げたような」という表現をしたりします。

味のかくれんぼ。どういう味が隠れているか探しながら飲んでみよう

(ハル)全部のコーヒーを味わって比較してみてから、また最初の方に戻って飲んでみると、さっきは気づかなかった新しい味を発見したりして、感じられる匂いや味の種類が増えた気がします。

(天)まさにその通りです。テイスティングをしているとだんだんと感覚が研ぎ澄まされていきますよね。単体だと見過ごしてしまう味わいが、飲み比べることによって個性が強調されて。冷めてくるとまた違った味を感じたりもします。
人は体験したことのない味や記憶していない味は自分の中に蓄積していかないので、いろいろなコーヒーにチャレンジして、知識とともに経験を積むといいですよ。

(ハル)確かに、今回も天の声さんの説明を聞いてからその味を感じようとしてみると、ああ、そうかも!って気付かされたりもしました。
お店で書かれている説明を読みながら、その味を探すように飲むのも楽しそう!

(天)味のかくれんぼですね。
ハルさん、飲んでみてどれが一番好きでしたか?

(ハル)う〜ん、悩んじゃいますが、何度か飲んでいるうちに華やかな味わいの「モカ」が気になって…うん、これが好きです!

次回のハルのコーヒーは

(天)さて、次回なのですが…先日のアカデミー体験でも少し触れていたと思いますが、「フードペアリング」はどうでしょう。今日感じてもらったコーヒーの味の違いが、どんなふうに食べ物と合うのか気になりませんか?

(ハル)わ、それむっちゃ興味あります!
今日6つのコーヒーの違いを知って、あらためて同じコーヒーでもこんなに味がいろいろあるんだってびっくりしていたところでした。こんなに違えば、合う食べ物も違いそうですよね。

(天)ではハルさん、次回までにコーヒーと合いそうな食べ物を探してきてもらえますか?その食べ物にぴったりのコーヒーを一緒に探してみましょう。

(ハル)このミッション、テンション上がります(笑)
あ、そうだ。梅ちゃんもちょっと誘ってみようかな…
とメッセージを送ったらすぐに返事が来ました。

(梅)おいしいもの食べられるの!?コーヒーと一緒に?もちろん行くよ。

(天)あら、楽しみですね。3人でお茶会をしながらフードペアリングを楽しみましょう〜


次回のハルのコーヒーは「フードペアリングで味のドラマ化を感じよう」。ハルと梅ちゃんが持ってきた食べ物に合うコーヒーを、天の声さんが提案してくれます。
秋らしい、あの食べ物に合うコーヒーはどんなコーヒー?
次回もどうぞお楽しみに。

今回の天の声

UCCコーヒー博物館 学芸員
コーヒー鑑定士
香月麻里

96年にUCCコーヒー博物館・学芸員職に就く。98年日本人女性3人目のコーヒー鑑定士(クラシフィカドール)となる。2007年からUCCコーヒーアカデミー専任講師としてコーヒー作法~フードペアリングの授業を担当。


▼前回の『ハルのコーヒー』はこちら!


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