世界第2位の生産量を誇るコーヒー大国「ベトナム」その高い品質を支えるコーヒーづくり

コーヒー生産量が世界第2位を誇るベトナム。
「え？ベトナムってコーヒーを作っているの…？」と思った方もいるかもしれません。なぜコーヒー大国？どんなコーヒー豆が作られているの？そんなベトナムのコーヒー事情に迫ります。

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生産量世界第2位を誇るコーヒー大国「ベトナム」

東南アジアに属する「ベトナム社会主義共和国」。旅行先としても人気が高く、日本国内にベトナム料理店も多いので、生春巻きや、フォー、ベトナムのサンドイッチ「バインミー」などはすでにエスニックフードが好きな方ならおなじみですね。

そんな、豊かな食文化を持つベトナムが、コーヒーの生産国として欠かせない存在になっていることをご存じでしょうか。

ベトナムの国土は南北に長く、北部は中国、西部はカンボジアに接しています。気象などの特徴は北部、中部、南部に大きく分かれ、中でも200mの低地から2,500ｍほどの高原・高地を含む中部は、厳しい自然環境で知られています。

ベトナムのコーヒーの8割は中部の高原地帯で栽培されています。ここは低地で育つ丈夫なカネフォラ種ロブスタ（以下、ロブスタ）と、高地を好み栽培環境を選ぶアラビカ種の両方を栽培することができる、数少ない産地でもあります。

産地別に販売されているコーヒーの中に「ベトナム」の名前を見る機会が少ないため、コーヒー生産国としての印象はほとんどないかもしれませんが、実はベトナムのコーヒー生産量は年間約188万千トンと、いまや、約356万トンを生産するブラジルに次ぐ世界第2位を誇っているのです（※）。

※生産量データ出所：米国農務省 June2020年より／1袋60kgで換算

ベトナムコーヒーの歴史はロブスタの栽培で大きく躍進

ベトナムのコーヒー栽培は、フランスによって1850年ごろから北部でスタート。当時はアラビカ種を栽培していたものの、生産量は思うように伸びませんでした。

その後、1980年代にベトナム政府主導のコーヒー栽培が開始されました。栽培計画に選ばれたのは、病害虫に強いロブスタ。力強いコクと苦みが特徴で、単品で味わうには少し個性が強すぎるものの、ブレンドなどに使われると良いアクセントになる品種です。

栽培地に指定された中部の高原地帯は、天候や生育条件が適していたことからロブスタの生産量は年々増加。大規模なプランテーションが開始され、約20年でベトナムのコーヒー生産量は世界第2位になるまでに成長したのです。

近年ではアラビカ種を楽しむ文化も

生産量のうち9割以上をロブスタが占めるベトナムですが、近年ではアラビカ種の生産にも力を入れています。ホーチミンから北東に300㎞ほど離れたところにある標高1,500mの高原の街ダラット（ラムドン省ダラット市）は、アラビカ種の主要生産地になっています。

ベトナムのコーヒーと言えば、コンデンスミルクを入れて飲む「ベトナム式コーヒー」が有名ですね。ですが、こうしたアラビカ種のコーヒー栽培の広がりによって、欧米や日本のようにストレートで飲むスタイルがベトナムでも注目され始め、ダラットをはじめ、ハノイやホーチミンでも、アラビカ種の高品質な味わいを楽しむニューウェーブカフェが続々オープンするなど、進化したベトナムコーヒーは若者を中心に人気を集めています。

UCC主催の品質コンテスト
高品質なおいしさを追い求めて

UCCグループでは、2011年からベトナムの生豆品質鑑定業務を行ってきました。 2017年にはホーチミン市内にUCCのコンセプトショップ「UCC COFFEE ROASTERY」をオープンし、ベトナム国内のコーヒー市場を広げることにも尽力しています。

そして2018年1月には、ベトナムでのブランド力強化と、ベトナムコーヒーの品質向上を目指すために現地法人を設立。すべてのベトナム産コーヒー豆の船積み前の品質検査をし、独自の品質基準「UCCクオリティ」を満たした、良質なコーヒー生豆のみを厳選して、日本へと輸出できるようになりました。

またUCCでは、ベトナムコーヒーの品質向上や、生産者の意欲促進を目的に2015年から毎年ベトナム産のアラビカ種を対象に品質コンテストを行っています。

品質コンテストでは、まず各農家から提供されたサンプル豆で、品質検査を3度行います。その後、順位を決定し、応募のあった農家を集めて表彰式を開催します。このように高品質なコーヒー豆を栽培した農家を評価、表彰することが、栽培農家のモチベーションとなっています。なお受賞したコーヒー豆は、産地からホーチミン市を経て日本へと輸出されます。