コーヒーを美味しくする大切なステップ、「焙煎」を知ろう。【教えて、コーヒーアカデミー!】 | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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コーヒーを美味しくする大切なステップ、「焙煎」を知ろう。【教えて、コーヒーアカデミー!】

皆さん、「焙煎」について考えたこと、ありますか。普段からコーヒーが大好きという方も、「そこまではよく知らないな」「自分では無理そうだな」など、ちょっとしたハードルの高さを感じるのではないでしょうか。今日はそんな「焙煎」について、コーヒーアカデミーの早川講師の解説でご紹介します。

コーヒー豆に熱を加える「焙煎」。起源にはさまざまな説が。

焙煎前のコーヒー豆、見たことないという人も多いかもしれませんね。
早川講師曰く、

「コーヒー豆は最初から茶色いわけではないんですよ。薄緑色の生豆(なままめ)が、焙煎、つまり熱を加えられることで茶色くなり、コーヒーらしい香りと美味しさが引き出されるのです」

とのこと。なるほど。焙煎はいわば、生豆から個性を引き出す第1ステップとも言える作業なのですね。

コーヒーが焙煎されるようになったのは、いつごろからなのでしょう。

「はるか昔に発見された方法ですが、きっかけには諸説あるようです。たとえば、あるとき山火事でコーヒーの木が焼けてしまい、炭になった豆(種)が良い香りになったことから、焙煎することを思いついたという説。もしかすると、遊びで豆を焼いてみたらおいしくなったということもあるかもしれませんね。
また、コーヒーは早くからイスラム教徒たちの間で飲まれていましたが、生豆のままではコーヒーの木を栽培できてしまうため、キリスト教徒たちへの流出を防ぐために焙煎が広まったのではないかとも言われています」

焙煎することで、フレーバーが生まれ、抽出しやすくなる。

次に、焙煎の役割について聞いてみました。

「ひとつは、熱によって化学変化を起こし、多種多様なフレーバーを引き出すこと。もうひとつは挽いた時に成分を抽出しやすくすることです。
豆は焙煎によって膨張し、細かい穴がたくさんできていきます。それにより、水分を吸収しやすくなり、成分が抽出されやすくなるのです。穴のサイズは深く炒るほど大きくなり、豆そのもののサイズは最終的には生豆の2倍ほどになります」

一番左がまだ熱を加えていない生豆(なままめ)で、一番右が12分半ほど焙煎した豆

焙煎の方法はいろいろ

ひと口に焙煎と言っても、いろいろな方法があるのだとか。

「熱を伝導させる方法、熱を対流させて加える方法、輻射(ふくしゃ)による方法などがあります。伝導は火にかけて炒るようなイメージ、対流は熱風を当てるようなイメージ、輻射は赤外線を当てるようなイメージですね。
ただし伝導させる方法ではムラができやすいので、安定した焙煎をするには、熱を対流させる方法が一般的です」

※業務用焙煎機の写真

よく聞く、「炭火焙煎珈琲」とは?

「日本独特の方法で、輻射に属します。焙煎時の熱源が炭ということで、炭と直接接しているのではないのですが、食文化の中で炭火焼きに親しんでいる日本人には人気がありますよね」

焙煎が進むほど、薄い色から濃い色へ、酸味から苦味へ

コーヒー豆売り場に行くと、さまざまな色の豆が並んでいますね。

「これは焙煎度による違いです。生豆は薄緑色ですが、焙煎していくうちに変化していきます。まず色が、浅い茶色から、焦げ茶へと変わっていき、その度合いには名前がつけられています」

「また、フレーバーも変わっていきます。もともと生豆には、クエン酸やリンゴ酸のような心地よい酸味がありますが、渋みを感じるクロロゲン酸もたくさん含まれており、浅炒りの段階(ライトロースト、シナモンロースト)では、その渋みも強く感じます。
焙煎によって心地よい酸味のクエン酸やリンゴ酸も減少するので、スペシャルティコーヒーのような酸味を楽しみたいコーヒーには、中炒り(ミディアムロースト、ハイロースト)のものが多いです」

焙煎を進めていくと、酸味と渋みは消えていくのですね。

「そうです。かわりに苦味が出てきます。クロロゲン酸が分解されて苦味成分に変わっていくのです。中炒りくらいからコーヒーらしい苦味が生まれ、深炒りになるとエスプレッソの苦味を持つ成分が際立ってきます」

焙煎を止めるタイミング、見極めの鍵は、音、色、香り。

焙煎を止めるタイミング、見極めの鍵は?

音、色、そして香りです。最初は少し青臭い匂いからスタートするんです。そこからそら豆を茹でたような匂いになり、さらにシリアルや穀物を思わせる、乾いた豆の匂いに変わっていきます。
また、焙煎を始めてしばらくすると、パチパチと音が聞こえてきます。これは豆が膨張して割れる『爆ぜ(ハゼ)』と呼ばれる音です。最初のハゼあたりでは、酸味のある香りがします。このあたりから中炒りとなり、ミディアムロースト、その後ハイローストになります。1ハゼが終わったあたりから少しずつ、香ばしくスモーキーな香りに変わっていき、やがて再びチリチリという音がしてきます。これが2回目のハゼで、豆が十分に膨らんできた証拠。これが始まったころが深炒りの入り口、シティローストです。2ハゼからは一気に色が変わっていきますよ。香ばしい香りになり、酸味が落ちて苦味が出てきます」


焙煎士は、五感を使ってタイミングを見極めているのですね。

(温度は目安)

焙煎士は豆の個性やめざす味わいに応じて焙煎のレシピを変える

生豆の個性は、産地や精製方法、状態などによってもさまざまです。その個性を引き出し、めざす味わいを叶える焙煎レシピ(温度や時間など)を見つけるのはとても大変そう。

「まず豆の情報をできる限り集めます。そしていったんサンプル焙煎というベーシックな焙煎でテストをしてカッピングをし、そこからさらに適した焙煎度合いを探っていくんです。最終的なコーヒーの味はゴールが見つけにくい作業ですが、それだけに奥が深くて面白いですよ」

焙煎後、おいしくなるのは4日目以降

コーヒーは焙煎したてがおいしいかと思いきや、実はそうではないのだとか。

「焙煎直後は炭酸ガスが多くて抽出しにくいんです。それに香気量も焙煎後4日間は増え続けます。そのころには炭酸ガスも落ち着いてくるので、美味しいコーヒーを楽しむなら、焙煎後4日目以降がおすすめです」

焙煎を知って、コーヒーの楽しみを広げよう。おうち焙煎にトライも。

焙煎は、自宅でもできるのでしょうか。

「やろうと思えばできますよ!『安定的に』『おいしく』焙煎するのは難しいかもしれませんが、自分で焙煎した豆でコーヒーを淹れられたら嬉しいですよね」

ということで、生豆を購入して、家で試してみたいという方のために、手網を使った焙煎の方法をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

また、焙煎についてもっと深く知りたい、という方のためには、コーヒーアカデミーのスペシャリストコースで「焙煎」のセミナーもご用意しています。
セミナーの詳細はこちら

焙煎について知ることで、コーヒーの楽しみがまた広がります。これを機会にぜひ親しんでみてくださいね。

今回教えてくれたのは・・・

早川 契史  Hisashi Hayakawa
UCCコーヒーアカデミー講師
エスプレッソマシンからハンドドリップ、サイフォンなどお客様に合った機械、器具をご案内し、ワンランク上の美味しいコーヒーを楽しんでいただける様お手伝いいたします。
「UCCコーヒーアカデミー」で会いましょう!
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