コーヒー豆の焙煎(ロースト)を知る|焙煎度による違いや自宅でできる焙煎方法 | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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コーヒー豆の焙煎ガイド|焙煎度の違いや自宅でできる焙煎方法

コーヒーの味を決定づける要素の一つとして「焙煎」というものがあります。

「浅炒り」「深炒り」といった言葉を聞いたことがある方は多いかもしれませんが、その言葉の意味や、焙煎度合いによってコーヒーの味や風味が変わることはご存知でしょうか?

焙煎についての理解が深まると、自分の好み・飲み方にぴったりなコーヒー豆を選ぶことができるようになります。

ぜひ、コーヒーの焙煎度合いによる味わいの違いや特徴、自宅で煎る方法を知っておきましょう。

そもそも、コーヒー豆の「焙煎」とは?

「焙煎(ロースト)」とは、コーヒーの生豆を炒る加熱作業のことです。

焙煎前の生豆は淡緑色で、コーヒーらしい味も香りもなく、そのままでは飲むことができません。生豆を焙煎することで、いつも見ているような茶色っぽい豆となります。

また、コーヒー独特の風味は、豆に含まれる成分が加熱されて化学変化を起こすことで生まれます。
元は青臭い生豆も、焙煎することで香ばしさや苦味・酸味が生成され、コーヒーらしい風味となるのです。

さらに、加熱時間や熱の加え方によって引き出される風味が変わるため、コーヒーの美味しさは焙煎に大きく左右されます。もちろん淹れ方なども大切ですが、焙煎は生豆の選び方に次いでコーヒーの味を決める重要な工程といえるでしょう。

コーヒー文化の大きなうねりとなったサードウェーブ以降、焙煎は注目を集めている分野です。

焙煎士の技術を競うロースティングの大会が世界的に開催されていたり、コーヒーを焙煎して販売するロースター(焙煎所)が増えていたりと、「いかにコーヒー豆の良さを引き出すか」という焙煎そのものに高い関心が寄せられています。

■ 補足:コーヒー豆の挽き方について

実は、焙煎方法と同じくらいコーヒー豆の挽き方はコーヒーを楽しむ大事な要素となります。
コーヒー豆の挽き具合を知ることでより楽しく、より美味しいコーヒーを楽しむことができます。

焙煎度合いによる特徴の違いとは?

コーヒー豆の焙煎度合いは、全部で浅炒りから深炒りまで8段階に分かれています。好みはもちろん、豆の品種や淹れ方、飲み方によって適切な焙煎度合いが違うので、それぞれの特徴を知っておくとよいでしょう。

1. ライトロースト
最も焙煎が浅く、コーヒー豆にうっすらと焦げ目がついている状態。

2. シナモンロースト
シナモン色になる程度まで焙煎したもの。

3. ミディアムロースト
ここから中炒りとなります。茶褐色で酸味が強く、苦味は弱いのが特徴。アメリカン・タイプの軽い味わいになります。

4. ハイロースト
ミディアムよりやや深い炒り方。酸味とともに、やわらかい苦味や甘味が感じられるコーヒーとなります。家庭や喫茶店で飲まれることの多い焙煎度合いです。

5. シティロースト
シティロースト以降は「深炒り」となります。コーヒー豆の色は鮮やかなコーヒーブラウンで、バランスのとれた酸味と苦味が特徴。
最も標準的な焙煎度合いで、ハイローストと並んで多くの家庭や喫茶店で親しまれています。

6. フルシティロースト
色はダークブラウンで、コーヒー豆の表面に油がにじんできます。酸味よりも香ばしさや苦味が強く感じられます。

7. フレンチロースト
濃い焦げ茶色となり、強い苦味とコク、独特の香りが楽しめます。

8. イタリアンロースト
最も焙煎が深く、豆の色は黒に近い状態。強い苦味と濃厚な味わいが特徴的です。

自宅でもできるコーヒー豆の焙煎方法

コーヒー愛好者のなかには、自宅焙煎に挑戦してみたいという方も多いのではないでしょうか。ここでは、手網やドライヤーなどを駆使し、専用器具を使わない焙煎方法をご紹介します。

焙煎するコーヒーの生豆は100~150g程度用意しましょう。小粒で揃っているものや、肉薄な種類のほうが焙煎しやすくおすすめです。

■ ご自宅での焙煎に必要な器具

  • 焙煎用の手網(銀杏や大豆を炒るものでOK)
  • ドライヤー(うちわでも代用可)
  • 軍手
  • ガスコンロ
  • ザル

ステップ1:生豆を手網にいれる 

手網に生豆を入れます。手網から豆が飛び出さないよう、ふたの左右をクリップなどを使ってしっかりととめます。

ステップ2:手網を中火にかけて揺する

軍手を装着し、手網に入れたコーヒー豆を中火にかけていきます。
高さ10~15センチくらいのところで、水平に保ちながら網を振りましょう。焼きムラができないように、しっかりと振り続けるのがポイントです。
3分ほど経つと水分が抜けていき、豆の色に変化が現れ始めます。そのまま炒り続けると、薄皮が取れて薄茶色に変化してきます。

ステップ3:「1爆ぜ(ハゼ)」させる

さらに10分くらい炒り続けると、パチパチとはじける「爆ぜ(ハゼ)」の音が聞こえてきます。
「ハゼ」とは、焙煎中のコーヒー豆に起こる現象のことで、焙煎時の化学反応で豆内部に発生した、二酸化炭素などのガスの圧力に耐えられなくなった豆が裂けることを言います。
1ハゼが終わった時が「中炒り」くらいになります。

ステップ4:「2爆ぜ(ハゼ)」させる

焙煎開始から15分くらい経つと、再び「チリチリ」という音がしてきます。これが「2ハゼ」と呼ばれるもので、コーヒー豆が十分に膨らんできた証拠です。
2ハゼまで炒ると、煙が出てコーヒーらしい香ばしい香りがし、「中深炒り」程度になっています。ここからは焙煎の進行も早いので、好みの炒り加減を見極めて火から下ろしてください。

ステップ5:焙煎後は素早く冷ましてできあがり

火から下ろしたらザルにあげます。
豆にこもっている熱でも焙煎が進んでしまうので、うちわやドライヤーの冷風などで素早く冷ましましょう。
粗熱が取れたら、そのまま置いて完全に冷めればできあがりです。

▼焙煎の手順を動画でチェック

家庭用の焙煎器具は「手回し式」と「電動式」の2タイプがあります

今回は手網で焙煎する方法を紹介しましたが、自宅用の焙煎器具もあります。

筒状の部分に生豆を入れ、アルコールランプの火にかざしながら焙煎する「手回しタイプ」と、熱風を使用し、焙煎を行う「電動式タイプ」の2種類がメジャーでしょう。自宅で本格焙煎を行いたい方は、家庭用焙煎器具の導入も検討してみましょう。

焙煎で起こるコーヒー豆の変化

▲生豆(左)と焙煎後の豆(右)

コーヒー豆の焙煎は、大きく「浅炒り」「中炒り」「深炒り」の3つに分けられ、どれだけ火を通すかによってそれぞれ変わっていきます。

豆の色も徐々に薄い茶色から黒色に変わっていきますが、焙煎による風味や色の変化には、主に「メイラード反応」「カラメル化」「分解」という化学反応が大きく関わっています。

メイラード反応

「糖」と「タンパク質(アミノ酸)」があるときに起こる反応のことをいいます。

物質によって多少の誤差はありますが、155℃前後で最も活発に反応があらわれると言われており、「メラノイジン」という茶色い物質や旨み・香ばしさの元となる物質が生まれます。

パンを焼いたときや肉を焼いた時、「いい香りがする」「香ばしくておいしい」と感じるのは、この反応を利用して起きるものなのです

カラメル化

カラメル化は、タンパク質は使わず「糖」のみを利用して起こる反応のことです。

180℃程度まで加熱すると反応が起こると言われており、茶色い物質や甘い香り・独特の苦味を持つ物質が生まれます

プリンのカラメルソースやキャラメル、べっこう飴などが、カラメル化を利用している商品の代表例となっており、反応が進みすぎると焦げてしまい苦味が増すのが特徴です。

分解

生豆に含まれる「クロロゲン酸」や「ショ糖」という成分は、加熱されると酸味のある物質に分解されていきます。

  • クロロゲン酸は、熱エネルギーによって「キナ酸」と「カフェ酸」に分解され、さらに焙煎が進むことで、これらの成分からコーヒーの苦味や香りを呈する物質が作られます
  • ショ糖は、熱エネルギーによって分解され、熱エネルギーの影響をあまり受けていない焙煎の初期から分解され、「酢酸」や「ギ酸」などの有機酸が生成します。これらが浅炒りのコーヒーの酸味をつくり出しています。

浅い焙煎では熱分解によって生み出された酸味が目立ちますが、徐々にメイラード反応やカラメル化による香ばしさ・苦味が増加していきます。
さらに深く焙煎することで豆の色は黒さを増していき、コーヒーらしい濃厚な味わいとともに強い苦味が出てくるというわけです。

実際は焙煎時の温度や物質の状態・時間などにより化学反応の進み具合は異なっていきます。
これによって、酸味・苦味だけでは表すことのできない様々なコーヒーの風味を引き出すことができるのです。

自分の好みに合ったコーヒー豆を選ぶために

焙煎度合いはコーヒーの風味に深く関わるため、できれば好みや淹れ方、飲み方に適したものを選びたいところです。

では、どうすれば求める焙煎度合いのコーヒー豆を手に入れられるのでしょうか?

まず「豆の焙煎度合い」を意識してみる

液体になってしまうとわかりにくいのですが、まずは豆の焙煎度合いを意識しながらコーヒーを飲んでみることが大切です。

喫茶店で好みの味に出会ったら店主に焙煎度合いを聞いてみたり、焙煎度合いが明記されているお店を利用しても良いですね。
焙煎度合いに注目してみると、一般的な販売店でもいくつかの焙煎度合いの豆が売られていることに気がつくはずです。

実際に飲み比べながら、自分好みの焙煎度合いを探してみてください。

焙煎所でこだわりの豆を見つける

よりさまざまな焙煎度合いを試したい、こだわりの豆を入手したいという方は、ロースター(焙煎所)でコーヒー豆を選ぶのもおすすめです。

サードウェーブコーヒー以降のムーブメントを受けて、街に増えているロースターでは、一般的な販売店よりも幅広い焙煎度合いのコーヒー豆を扱っています。中には、オーダーを受けてから焙煎をしてくれるお店もあります。
ロースターにはプロの焙煎士がいますので、自分に合った豆について相談するのもよいでしょう。

喫茶店を併設したロースターであれば、実際にコーヒーを味見しながらお気に入りの豆を探すことができます。
コーヒー豆は焙煎から時間が経つと味が落ちてきてしまいますが、ロースターで購入すれば、焙煎したばかりの豆を入手できるというのもメリットです。

また、最近ではロースターが焙煎した豆をネット通販で販売している場合もあります。お近くにロースターがなければ、そういったものを利用するのもよいかもしれません。

知れば知るほど奥が深い「焙煎」の世界

私たちは普段「焙煎されたコーヒー豆」を見る機会が多く、「焙煎」自体がコーヒーの味に大きな影響を与えていることを忘れがちです。

豆の品種・淹れ方はもちろんですが、焙煎度合いにこだわるのは、コーヒーの奥深い世界を知る良い機会になります。
近頃は焙煎機を備えたカフェなども増えてきており、焙煎は決して工場だけで行われるものではない、身近な存在となりました。

これまで特に焙煎について意識していなかった方も、自分好みのコーヒーの味を探すために、淹れ方や豆の種類などと合わせて、焙煎についても少し興味を持って、ぜひ自分好みの味を探すヒントにしてみてください。

■ 補足:コーヒーの美味しさを保つ方法を知ろう

実は、コーヒー豆はデリケートな食品です。せっかく焙煎したコーヒー豆も保存環境の影響で味が劣化すると少し残念ですよね。

味を保つ保存方法としては「鮮度を保つこと」がポイントとなります。そのために気を付けたいポイントを下記の記事で解説しております。

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