美味しいコーヒーを淹れたらカップを傍らにおき、ちょっとだけ考えてみませんか?女性の生き方ついて。
3月8日は『国際女性デー』
3月8日は『国際女性デー(International Women’s Day)』です。ジェンダー論が活発に交わされることも増えた昨今、この記念日を知っている人も増えたのでは?
その起源は、1904年にアメリカで女性が政治に参加する権利を求めて起こしたデモと言われています。1975年になり、国連によって正式に定められました。
日本では記念日ですが、正式な祝日としている国も多く、各国ごとに違いはありながらも、女性の権利などに想いを馳せるイベントが行われています。
またイタリアでは『ミモザの日=女性の日』とされ、女性同士などで感謝を込めてミモザを贈りあう習慣があるそうで、これが広がって『国際女性デー』は『ミモザの日』とも呼ばれるようになりました。木々を揺らす明るく柔らかなイエローは、女性の輝く笑顔を思わせますね。
女性の声を代弁したバッハの『コーヒーカンタータ』
コーヒーヒストリーから、女性にまつわるお話をひとつ。
1600年代に入って、イギリスに「コーヒーハウス」なるものが登場します。コーヒーを楽しめるカフェのような場所でありながら、政治的な意見交換や情報を得ることができるとして人気を博し、コーヒーハウスとコーヒー飲用習慣は、イギリス中に広がっていきました。しかし、「女性がコーヒーを飲むべきではない」と言われていた時代でもあり「コーヒーハウス」は女性禁制でした。やがて入りびたる夫たちに怒る妻たちは「コーヒーハウス反対運動」を起こします。
そしてドイツでも「女性はコーヒーを飲むべきではない」という風潮がありました。これに反発する女性たちのコーヒー騒動を風刺したのが、ドイツで活躍した音楽家・バッハの『コーヒー・カンタータ』です。
もともとは『おしゃべりをやめてお静かに』という、娘のコーヒー好きをなんとか止めさせようとする古風な父親の奮闘ぶりが詠われたコミカルな詞でしたが、それにバッハが曲をつけ、今日では「コーヒー・カンタータ」として有名になっています。
♪ああ コーヒーはおいしいわ
千のキスより素晴らしく
マスカット酒よりなお甘い
コーヒー コーヒーはやめられない♪
コーヒーを飲むことが許されなかった女性たちは、このカンタータを口ずさむことで、少しでも鬱憤を晴らせていたのでしょうか。
コーヒー農園で活躍する女性たち
コーヒー農園では多くの女性たちが働き、美味しいコーヒーの生産に尽力しています。しかし、必ずしも男女平等とは言いきれない労働格差があるのもまた事実です。
そんななか、2003年、コーヒー生産に携わる女性の生産技術と地位向上、持続可能な社会生活の実現を目的として、コスタリカでNPO法人「International Women’s Coffee Alliance(以下、IWCA)」が設立されました。
設立のきっかけは、アメリカとカナダのロースター(焙煎業者)の女性グループが、生産地ニカラグアを訪れた際、コーヒーの収穫、選別作業などの単なる労働集約的な仕事しか携われない生産国の女性たちに、労働格差の厳しさを目の当たりしたことでした。以来、「Woman Share/Help Woman ~女性が女性を支援する~」をキーワードに、女性たちにコーヒー生産技術や意識改革のトレーニングを実施したり、リーダー人材育成を行ったりしながら、生活向上を目指す活動をしています。
現在では、コーヒーの生産国の60%である24カ国がIWCAに加盟し、消費国ではアメリカに次いで2番目に、日本にも支部ができました。(詳しくはIWCA日本支部のサイトをご覧ください)
UCCでもその活動に賛同し、ホンジュラス西部で、女性生産者の手によって栽培されているコーヒー「ホンジュラス WOMEN’S COFFEE 2020(豆 200g)」を販売しています。こちらは売上の0.5%が、IWCAに寄付されます。あなたも美味しいコーヒーを飲むことで、活動を支援してみませんか。
→COFFEE STYLE UCCオンラインショップでの購入はこちら
IWCA認証コーヒーを使用したコーヒー
3月8日は、コーヒーを傍らに
数百年前、女性がコーヒーすら飲めなかった時代から、いまの女性たちの暮らしは、地位は、どのくらい変わったでしょうか。
男性と女性には「違い」はあります。でもそれが「差」になってはいけない。
2030年までに達成すべき17の目標して掲げられた「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」はご存知ですよね。17つのうちの「目標5」に「ジェンダー平等を実現しよう」があります。「目標5」がSDGsから外されること、ジェンダー論を交わす必要などなくなること…3月8日はそんな世界の実現を願いつつ、身近な人と、女性の生き方や人が幸せに生きていくために大切なことについて、語り合ってみてはいかがでしょうか。その時はぜひ、美味しいコーヒーも傍らに。