INDEX
国としての基本情報
中央アメリカ北部に位置するグアテマラ共和国(以後グアテマラ)は、西にメキシコ合衆国、北東にベリーズ、東にホンジュラス共和国、エルサルバドル共和国と接しており、国の東側にカリブ海が、西南側に太平洋が広がっています。首都はグアテマラシティーです。
国土面積は北海道と四国を合わせたより少し広い、日本の3分の1程度。
古代マヤ文明が栄えたマヤ地域にあたり、約1,700万人の人口の約半数がマヤにルーツを持つ先住民です。
主要産業はコーヒーを含む農業と繊維産業です。
カトリック信仰国グアテマラ
熱心なカトリック信仰国であるグアテマラでは、かつてスペイン侵攻により総督府が置かれた古都「アンティグア」で開催される、キリスト教のお祭り「四旬節(しじゅんせつ)」がよく知られています。四旬節とは、キリスト教の始祖、イエス・キリストの復活を祝う復活祭(イースター)の準備期間を指します。毎年3月になると、キリストの受難を表した山車を曳く多くの市民の姿を街中で目にします。
「グアテマラレインボー」と呼ばれる、特徴的な模様をカラフルな糸で紡いだ伝統の織物も有名で、街中で国民が身にまとう姿を見かけます。
またグアテマラ版ホットドッグ「シュコ」はポピュラーな屋台食です。
グアテマラでは、どの家庭でも朝食やおやつ、談笑時にコーヒーを楽しんでいます。「チャンプラーダ」と呼ばれる固めのクッキーをコーヒーに浸して食べるのがグアテマラスタイル。子どもから年配者まで、皆のDNAに刻まれた習慣とも言えます。
農園では休憩時の飲み物としてコーヒーが用意されたり、水筒に持参している姿をよく目にしたりするほど、コーヒー好きな国民性とも言えます。近年では自国で生産されている美味しいコーヒーを自国民が飲めるようにと、農園自らカフェやロースターを展開し、美味しさの多様性が見られるようになってきました。
グアテマラのコーヒーの歴史
18世紀の中ごろ、グアテマラにコーヒーが持ち込まれました。
1832年には、政府がコーヒー生産に対して税金の免除や生産割当への賞金などインセンティブを与えたことにより、生産量が増加。1850年以降に初めてコーヒーが輸出産品に。
1860年頃には、イギリスで発明された人工染料により、グアテマラの輸出産品だった天然染料の輸出量が急速に減少。その代わりとなったのがコーヒーでした。
1871年から1900年にかけてはコーヒー栽培が急速に拡大し、1900年以降はグアテマラのコーヒーの品質がアメリカやヨーロッパで高く評価されるようになりました。
しかし1952年に成立した「農地改革法」が、国内のコーヒー産業に大きな打撃を与えます。この法律により土地を持たない先住民を中心に農民たちに土地が分配されたことが火種になったともいわれる「グアテマラ内戦」が勃発。1960年から1996年まで続いたのです。
内戦終結後、政府は深刻な被害を受けたコーヒー生産を回復させ、経済の立て直しを図りました。特に21世紀からは、良質で高く売れるコーヒーを栽培できる土地柄により、マカダミアナッツやアボカドの農園がコーヒーに転作するようになりました。
現在、コーヒーはグアテマラの農産物輸出額の40%を占めるほどの一大産業にまで成長し、22の県のうち20県で広く栽培され、人口の約1/4がコーヒー産業にかかわっているとされています。
Anacafeの創設
また、1969年には生産者の共同出資により、品質管理やプロモーションの拠点となる民間の機関「The Guatemalan National Coffee Association(グアテマラ全国コーヒー協会」、通称「Anacafé(アナカフェ))」が創設されました。UCCの農事調査室はAnacaféと親交を深め、2020年から共同でカッピングコンテストを開催しています。
採れるコーヒーの特徴
複雑な地形がもたらす個性豊かな8種のコーヒー
30の火山によって形成された高い標高、安定した降雨量、ミネラル豊富な土壌により、コーヒー栽培にとって理想的な環境が整っています。その一方で、活動が活発な活火山を多く抱えており、噴火や地震が頻発するため、コーヒー栽培にマイナスの影響を与える面も。
産地ブランドとしては、
・アティトラン
・アンティグア
・オリエンテ
・コバン
・フライハネス
・ウエウエテナンゴ
・サンマルコス
・アカテナンゴ
の8つの地域がAnacafeによって登録されています。なかでも比較的有名で、日本でも名前を目にすることが多い産地といえば「アンティグア」「ウエウエテナンゴ」でしょうか。
山が多く複雑な地形をしているので、8つにわかれる主要産地それぞれでテロワールが異なり、同じ国でありながら、ニュアンスの異なるコーヒーを収穫することができるのです。
長らく栽培されている品種は、アラビカ種の「ティピカ」や「ブルボン」です。
生産される98%がアラビカ種ですが、最近では高品質なカネフォラ種の栽培にも力を入れ始めています。2022年に開催されたアジア最大のコーヒー国際見本市「SCAJ展示会」では、Anacaféがグアテマラ産ロブスタの試飲を通じてPRしている様子も。
グアテマラのコーヒー生産量は世界第11位(※)。日本の国別生豆輸入量で、グアテマラはブラジル・ベトナム・コロンビアに次いで4番目です。上位3カ国と比べて生産量自体が少ないにも関わらず、グアテマラからコーヒーを比較的沢山買っていることから、日本とグアテマラの結びつきは強いと言えます。
※出所:米国農務省(2020/21見込)より
主に先住民の庭先で栽培されていますが、全ての実は自然になったものです。マヤ文明の教えからか、切るという行為が生命を奪うと考えられており、木を剪定したり植え付け量を増やしたりすることが敬遠される傾向にあります。その影響で、「アンティグア」など、樹齢100年の木が現役で実をつけ続けている地域もあります。
味わい・等級
グアテマラのコーヒーは豊かな甘みとボディに定評がありますが、産地特性により味わいが異なります。「ウエウエテナンゴ」や「サンマルコス」はコクのある甘さがボディを下支えし、メリハリのある風味(アシディティ)が輪郭を際立たせています。「アンティグア」「オリエンテ」「フライハネス」は口当たりが柔らかく、穏やかな甘さが特徴です。
また、UCCでは特定の産地におけるコーヒー生産者らを対象にした、コーヒーの品質に関するコンペティション「UCC品質コンテスト」を開催しています。
2001年にブラジルのエスピリットサント州で初めて開催して以来、開催国を徐々に増やし、これまでに世界7カ国で開催実績があり、グアテマラでも定期的に開催しています。直近で開催されたコンテストでは「サンマルコス」のコーヒーが1位を獲りました。
詳しくはこちらもご覧ください。
UCCのサステナビリティ :UCC品質コンテスト
等級について
栽培される標高によって等級を決め、サイズ分類はされないため、豆の大きさにはばらつきがあります。最高等級は標高1,350m以上で栽培されたコーヒーで、「SHB(ストリクトリーハードビーン)」と呼ばれます。ほか標高に応じて「HB(ハードビーン)」、「EPW(エクストラプライムウォッシュド)」などに分類されます。
農事調査室から
「グアテマラの“ゲイシャ”を日本の皆様に味わっていただきたい」
UCCは、Anacaféが登録する8大産地のひとつ、「アカテナンゴ」にあるサンタ・クララ農園と2016年に契約を結び、ゲイシャという品種を栽培する区画を作っていただいています。
この農園は、アカテナンゴ山とフエゴ山という2つの火山の西側斜面に位置し、標高は1,800mとグアテマラの中でも標高の高いエリアです。
冷涼な気候とミネラル豊富で水はけのよい火山灰土壌のもとで栽培されたゲイシャは、独自の風味がしっかりと感じられる、上質なコーヒーに仕上がっています。
ゲイシャと言えば、2004年の品評会「ベストオブパナマ」で当時の史上最高値で落札されたことがきっかけで、世界的に知られることとなった品種です。日本の皆さまに、このゲイシャを味わっていただく機会を広く提供できるように、これからも契約農園としっかりと連携していきます!
UCC 農事調査室 主要原産地に出向き、コーヒーの栽培状況などを調査・研究しています。 担当 日比 真仁、中平 尚己、井上 隆裕
生産地ごとのコーヒーを味わってみたくなった方へ
「UCCカフェメルカード」のご紹介
「UCCカフェメルカード」は、全国で22店舗(2023年1月現在)を展開しているUCCのコーヒー専門店です。お店のテーマは「MEET YOUR BEANS 私好みのコーヒーに出会う場所」。
UCC直営農園産のコーヒーや、コンテスト入賞ロット、産地・農園指定のコーヒー、UCCの知恵と技術を駆使して創作するブレンドコーヒーなど、良質で個性豊かなコーヒーを幅広く取り揃えています。
年間通して、世界各国のコーヒーをお求めいただける店舗ですので、こちらの記事を読んで産地ごとの違いを味わってみたくなった方は、ぜひ店頭にも足を運んでみてください。コーヒー選びに迷っても、知識豊富なスタッフが丁寧にアドバイスしますよ!
→ 店舗検索
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→ UCC公式オンラインストア「UCCカフェメルカード」商品一覧
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