実は「かす」と言っても「ごみ」にあらず。今回は、コーヒーかすの活用法として、家庭で実践できる実用的な使い方をいくつかご紹介します。
そのコーヒーかす、捨てていませんか?
コーヒー豆をドリップしたあとに残るコーヒーかす。「かす」だからといって、単なるゴミということではなく、使い方によっては有用です。
例えば「脱臭効果」「雑草の抑制」「植物の肥料」などの活用法は、UCCの研究機関でも科学的に実証されています。
とはいえ、一般家庭で実践するにはちょっとハードルが高いものも。今回は具体例を挙げながら活用法についてなるべくわかりやすく紹介していきます。
気になるニオイに!コーヒーかすで脱臭剤
色々な活用法のなかでも、比較的お手軽なのが「脱臭剤」としての使い方です。
コーヒーは、微細な穴が無数に空いた「多孔質」と呼ばれる構造をしており、におい成分を吸着する効果があります。まだ水分が残っている湿った状態ものと乾燥させたものとでは消臭効果などに違いがあるため、それぞれで使い分けてみましょう。
水分が残ったコーヒーかす脱臭剤の使い方
水分が残っているコーヒーかすの脱臭効果は、活性炭の約5倍。コーヒーかすに含まれている水分がアンモニアを溶解し、多孔質な構造によって吸着・中和します。
使い方はかんたんで、コーヒーを淹れたあと、コーヒーかすの水気をしっかり切り、平たい容器などに入れて、臭いの気になるところに置いておくだけ。乾かす必要がないため、非常にお手軽なうえ、コーヒーかすに含まれる水分がアンモニアを溶解してくれるため、トイレなどに置いても。ただし、水分が残っているコーヒーかすは、カビが生えやすいので換気の良くない空間では使わないようにしましょう。
また1~2日を目安に、新しいものと交換してください。特に気温が高くなる夏場は、よりカビが生えやすくなるため、普段よりこまめに取り換えることをおすすめします。とはいえ、毎日コーヒーを淹れる人ならば、片づける際にかすを容器に移して交換するだけなので、習慣化してしまえばいいかもしれませんね。
乾燥させたコーヒーかす脱臭剤の使い方
トイレほどアンモニア臭がない場所で使う場合や、脱臭剤を長持ちさせたい場合は、コーヒーかすを乾燥させてから使用すると良いでしょう。
乾燥させたコーヒーかすの脱臭効果は、活性炭の約2倍。水分によるアンモニアの溶解効果がなくなるため、水分を含んだものと比べると効果は薄れるものの、それでも活性炭以上の脱臭効果を期待できます。
こちらはコーヒーを淹れたあと、コーヒーかすを十分に乾かす作業から。
自然乾燥もできますが、かんたんなのはフライパンで煎る方法です。焦がさないように弱火で加熱してください。電子レンジで乾燥する場合は、深めの皿に平らに入れ、ときどきかき混ぜて様子を見ながら数分加熱してみてください。コーヒーかすが完全に乾いたら、目が細かく通気性のある袋に入れてできあがり。靴箱や冷蔵庫、キッチン周りなど、臭いの気になる場所に置いておきましょう。
また、生ゴミ用のゴミ箱の蓋などに貼り付けたりしても、嫌な臭いを軽減してくれます。使い捨て用の茶漉し袋(不織布などでできたお茶用パック)などに詰めて作ると、そのまま捨てられて便利ですね。
水分の残ったコーヒーかすに比べれば長く使用できますが、時間経過と共に脱臭効果は弱くなります。また、乾燥させたものであっても、あまり長く放置するとカビが生えることもありますので、時々様子を見て新しいものと交換しましょう。
コーヒーかすを雑草対策や植物の肥料に使う場合
コーヒーかすには、雑草が生えるのを抑制したり、植物の肥料として成長を促進したりできることも研究結果でわかっています。
コーヒーかすを使って雑草を生えにくくする
コーヒーかすを、何の手も加えずにそのまま土に撒くと雑草が生えにくくすることができます。コーヒーかすの成分には、植物の成長を阻害する働きがあるからです。
ただし、一度コーヒーかすを撒けば、その後ずっと植物が生えにくくなるのかというと、実はそうではありません。土に撒かれたコーヒーかすは、時間経過とともに植物の成長を阻害する成分が分解され、その効力を失っていきます。
UCCの研究によると、畑に1㎡あたり10kgのコーヒーかすを散布したところ、およそ1年間、植物の成長が抑制されたという実験結果が出ています。かなりの量のコーヒーかすが必要になりますが、その効果は実証されています。研究成果の詳細は、下記をご覧ください。
参照:コーヒー抽出残渣の施用による植物の生育、土壌改良の評価について報告
コーヒーかすを植物の肥料として使う
さきほど説明した通り、コーヒーかすはそのまま撒くと植物の成長を阻害します。つまり、手を加えていないコーヒーかすは、肥料として使うことはできないということです。うっかりガーデニングなどで使ってしまうと、本来育てたい植物の成長まで抑制されてしまいます。
そのため、ガーデニングや畑などで使いたい場合は、コーヒーかすを肥料にするための一手間かける必要があります。
コーヒーかすは、腐葉土やおからなどと混ぜて発酵させることで、堆肥化させることができます。コーヒーかすにたくさん空いた穴は、畑の肥料にかかせない微生物が繁殖するのに適した環境です。堆肥化したコーヒーかすは土壌改善の効果を発揮し、植物の成長を促進します。
ただし、コーヒーかすの堆肥化には準備や作業工程にそれなりの手間がかかるため、ご家庭で挑戦するには少々ハードルが高め。「コーヒーかすを使って本格的な肥料作りに挑戦したい」というような強いモチベーションがないと、肥料作りは負担が大きいかもしれません。
家庭で活用するならまずが脱臭剤から!
ここまで紹介したように、コーヒーかすはよく乾燥させれば脱臭剤としての効果を発揮します。一方、雑草対策や肥料として利用するには、量が必要だったり、手間がかかる面があることもわかりました。、コーヒーかすの再利用法としては、気軽に利用できる脱臭剤としての使い方がおすすめです。
雑草対策や肥料としての使用する場合、しっかりとした知識があり、管理さえできるのであれば問題ありませんが、初心者がトライするにはややハードルが高いかもしれません。
まずは、かんたんに試せる脱臭剤からチャレンジしてみては?効果を感じたら、ますますコーヒーを飲む量が増えてしまうかもしれませんね!!