世界が舞台。コーヒーと人の輪をつなぎ、支える喜び[COFFEE CREATOR’S FILE 09 長瀬智子] | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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世界が舞台。コーヒーと人の輪をつなぎ、支える喜び[COFFEE CREATOR’S FILE 09 長瀬智子]

「一杯のコーヒーができるまで」…そこにはUCCのコーヒークリエイターたちの「おいしい事実」があります。

語学力を活かしてコーヒーを仕事にする

営業統括本部部長として現場を指揮する長瀬智子。2022年4月からはUCCの社内取締役に就任する一方、社外では、コーヒー生産に携わるすべての女性の地位向上を目的に立ち上げた、国際的なNPOの事務局長としても活躍中。
笑顔の裏にあるエネルギーの源とは。

私は入社以来、海外向けの事業部で約20年ほど働き、約10年前に現在の営業部に異動になりました。
コーヒーに興味を持った最初のきっかけは、学生時代に行ったブラジル旅行です。大学では「ポルトガル・ブラジル語学科」に在籍していたので、ブラジルの歴史や文化にも興味があって、そこでコーヒーに出合ったという感じです。もともと海外の人とコミュニケーションを取るのが好きですし、「コーヒーを仕事にすれば世界中の人といろんな話ができそうだ」と思ったんです。

外語大学出身の長瀬は、ポルトガル語だけでなく、スペイン語、英語、さらには中国語まで話せるマルチリンガル。日本語を合わせた5ヶ国語を駆使して、日々、文字通りワールドワイドな仕事をしています。

(海外事業部に所属していた頃。アメリカでの展示会出展時の写真。)

5ヶ国語といっても、中国語は海外事業部でアジアを担当したときから勉強をはじめたので、ペラペラというわけにはいきません。でも、いろいろなコトバを話せるというのは、コーヒーの仕事をする上ではとても役立っています。語学の勉強が好きな私としては“趣味と実益”を兼ねた感じですかね(笑)。
現在は、国内向けの営業の仕事で、大手外食企業さんの販売にかかわるBtoBの業務を担当していますが、実際に豆の生産者さんとのやりとりで使うのは英語やポルトガル語やスペイン語なので、言語は細かなコミュニケーションを取るにも重要なツールだと考えています。

黒子冥利に尽きる仕事

UCCのBtoB業務は、大手飲食店などが独自に販売するコーヒーの製品開発を“コーヒーのプロ”としてゼロからお手伝いするのが主な仕事です。他社様の製品になりますので、UCCの名前が表に出ることはありませんが、「UCCさんだからこそコーヒーづくりをお任せする」と信頼していただいているからできる仕事でもあります。原料調達から営業形態に合わせたレシピの提案に至るまで、いわゆる黒子として働くわけです。
でも、発売後の(売り上げの)数字が順調だったり、実際に消費者のみなさんが「ここのコーヒー、おいしくなったね」と言ってくださっている声を聞くとやっぱり嬉しくなります。黒子冥利に尽きる瞬間です。

コーヒー生産国の女性たちとともに

長瀬の社外での活動拠点のひとつに「IWCA(International Women’s Coffee Alliance)」という組織がある。コーヒー生産に携わる女性の生産技術と地位向上、持続可能な社会生活の実現を目的としたNPO団体だ。現在、長瀬は「IWCA日本支部」の事務局長として、団体の活動を支えている。

→ IWCA (womenincoffee.org)のサイト(英語)へ
→ IWCA JAPAN(日本支部のサイトへ)

IWCAという組織は2003年にコスタリカで設立されたNPOなんですが、2006年に生産国で農園主などをされている理事たちが「コーヒーの一大消費国である日本も視察したい」ということで団体で来日されたんです。そのときに皆さんをアテンドしたのが私で、彼女たちと交流するきっかけが生まれました。

(「ホンジュラス ウーマンコーヒーブレンド」の生産者でもあるIWCAホンジュラス支部のメンバーと(2017年撮影)。)

翌年、日本でWBC(ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ)の世界大会が東京で開かれまして、UCCからは宮前みゆきが出場した大会ですが、そのときもIWCAの関係者が大勢いらっしゃって、関係がより親密になりました。

IWCAの活動は、個人的には「とても価値のあることだ」と感じていましたが、周囲からはあまり多くの理解が得られなかったのも事実です。そんなときに、上島(達司)会長に「これからは絶対必要になる。どんどんやってみなさいよ」と背中を押していただいたり、コーヒー業界の重鎮である方にお力添えをいただいたりして、日本支部を立ち上げることができました。

IWCAの活動を持続させるために

その後、2019年には、IWCAの理念を反映した「ホンジュラス ウーマンコーヒーブレンド」という製品を世に送り出すこともできました。この製品は、売り上げの0.5%がIWCAの活動費として寄付される仕組みになっていますが、味の設計には、農事室長の中平さんにも参加してもらい、深みのあるコーヒーに仕上がったと思います。

コーヒーをめぐる冒険を絵本に

また、日本の子どもたちにもコーヒーのことをもっと知ってもらいたいという思いから、クラウドファンディングで資金集めに挑戦して、「コフィー・キッド」という絵本を邦訳出版しました。もともとはブラジル生まれの絵本で、コフィーという少年がコーヒーをめぐる冒険をする物語です。私は、ありがたいことに校正にも関わらせていただき、思い出深い仕事のひとつになっています。

(コーヒーの歴史や文化について優しく書かれた絵本『コフィーの大冒険』(作:マリスマル・ボレム、イラスト:マティアス・タウンゼント、翻訳:山名理絵)。)

UCCの社内だけでなく、IWCAの活動など、社外でも積極的にコーヒーにまつわる仕事をしている長瀬ですが、絶対に叶えたい夢があるそうです。

抽出技術を競う世界大会をサポート

抽出の世界大会でUCCから世界チャンピオンを輩出することですね。2007年のWBCでは東京大会では宮前さんが4位。WBCと並ぶWBrC(ワールド ブリュワーズカップ)では、2019年に中井千香子さんが日本代表として出場したのですが、この時も4位だったんです。

(WBrCに出場した中井(左)を準備段階からサポートした長瀬(右)。)

中井さんのときは、私も味の設計や語学のサポートでお手伝いをさせてもらって、チームで一丸となって挑戦するという経験が本当に思い出深くて。つぎはぜひ世界チャンピオンを目指して、サポートできればと思っています。

コーヒーで世界を繋ぐ女性のひとりとして

私がUCCで働きはじめて90年代から現在に至る約30年間というのは、実はコーヒー業界が大きく変化した30年でもあります。いわゆる「サードウェーブ」と呼ばれるトレンドも生まれましたし、30年前には個人のロースターさんが日本から生産国に豆を買い付けに行くなんて昔では考えられませんでしたから。コーヒーの飲み方も、求められる味も、めまぐるしく変化してきたわけですが、私はそんな時代に働くことができてすごく幸せだなと感じています。

今後は、IWCAで扱うような女性労働者の問題や気候変動、コーヒー生産に携わるサプライチェーン全体でのCO2削減など、解決していかなきゃならない課題がたくさんあります。でも何一つ悲観することなく、ポジティブに向き合っていければいい。そう考えています。
そのために私ができることは本当に微々たるものだと思いますが、これまでの経験を生かして、コーヒーに関わるたくさんの人の輪を繋ぐの私の役割なのかなと。笑顔でがんばっていこうと思います。

愛用のコーヒーグッズは

世界を舞台に働く長瀬の愛用グッズは、いつも会社の机の上に置いている地球儀。「若い頃に買ったので、もうずいぶん色褪せちゃってるんですが、ぼーっと眺めているだけで癒されます。じつは鉛筆削りになっています(笑)」

心に残る、最高のコーヒーは?

世界大会で飲んだ、中井千香子さんとチームUCCの最高の一杯(パナマ・ゲイシャ ファアンダーズ 90+)。「自分はサポート役の黒子でしたが、世界大会に参加できた喜びとあの一杯のおいしさは忘れられません!」。

取締役
営業統括本部 特定営業部 部長
長瀬智子(ながせ ともこ)
1993年の入社以来、堪能な語学(ポルトガル語・スペイン語・英語・中国語)を活かし、貿易・海外事業部で活躍。主に海外市場向けの製品開発を手がけ、ブラジルの国家資格である「クラシフィカドール(コーヒー鑑定士)」や、「SCAA認定カッピングジャッジ」「CQI認定Qグレーダー」などの国際資格も取得。営業部に異動後はUCCのBtoB戦略の中枢を担い、2022年4月からは取締役に就任。また、NPO法人IWCA(国際コーヒー女性連盟)には2003年の設立当初から関わり、現在は日本支部事務局長を務める。

(部署名・役職は取材当時の情報です)

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