よく知られる淹れ方の「ハンドドリップ」とは異なるため、なかなか慣れないものの、コツを掴めば自宅でも比較的簡単にコーヒーをおいしく楽しむことができるのです。
今回は、そんなエアロプレスの淹れ方を詳しく解説。さらに、味の特徴や必要な器具、メリット・デメリットをご紹介していきます。
INDEX
エアロプレスとはどんな器具?
「エアロプレス」とは、2000年代に入ってから作られた比較的新しい抽出器具です。
規定量のコーヒーの粉とお湯を入れ、撹拌して馴染ませてから、空気圧を利用して押し出すように抽出します。
一見、どう使ってよいのかわかりにくいかもしれませんが、手順を覚えれば、自宅で楽しめる抽出方法のひとつとして、きっと楽しめるはず。
では、エアロプレスの味や本体の特徴について説明していきましょう。
エアロプレスの特徴
一番の特徴は空気圧を使って抽出すること。
それゆえに、ペーパードリップやフレンチプレスなどの他の抽出方法と比べると、ある程度の力が必要になります。
個人差はありますが、女性の場合「かなり力が要る」と感じる人もいるかもしれません。
安定性を考慮すると、プレスの際は両手を添えるのが望ましく、「両手の重み+軽く体重を載せる程度の力」が必要、と想定しておくとイメージがつきやすいのではないでしょうか。
軽量でコンパクトな本体設計
エアロプレスは、ぱっと見は大きな注射器のような、どこか実験道具を思わせる形状。
もともと、アウトドアスポーツメーカー「AEROBIE社」が開発したものです。
すべてプラスチック製なので比較的軽量で、重ねてしまえば高さ「134mm×幅104mm」とコンパクト。
持ち運びがしやすい設計なのも、アウトドアメーカーならではですね。
短時間で抽出できる
短時間で抽出できる。というのが、エアロプレスの特徴の大きな特徴のひとつです。
コーヒーの粉を入れた後、お湯を注いで押すだけでコーヒーが完成!準備ができたあとはスピーディに抽出できる点が魅力です。
コーヒー豆の味わいをより感じることができる
エアロプレスはペーパードリップと比べると抽出の際にかかる圧力が強いため、コーヒーの成分をよりしっかりと出せます。
コーヒー豆が持つ味わいをより感じたい時は、エアロプレスがおすすめです。
エアロプレスとフレンチプレスの違いとは?
エアロプレスと似たようなコーヒーの抽出器具が「フレンチプレス」です。
日本だと紅茶を淹れる際に使われることもあるため、「紅茶の器具」というイメージが強いかもしれませんが、もともとはフランスでコーヒーを淹れるために開発されたものなのです。
「コーヒーを淹れるためにプレスする」という根本的な原理が同じエアロプレスとフレンチプレスですが、次のような細かな違いがあります。
- カップなどの上に乗せて使うエアロプレスと、器具内で抽出し後にカップなどに注ぐフレンチプレス
- エアロプレスは空気圧を利用するため、フレンチプレスに比べると抽出の際にある程度の力が必要
- エアロプレスはフレンチプレスに比べ、抽出時間が短い
フレンチプレスの詳細についても詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ!
フレンチプレスの美味しい淹れ方|分量・抽出時間・挽き方・使い方まとめ
エアロプレスの抽出に必要な道具
エアロプレスでコーヒーを淹れる際に必要な道具は、以下の通りです。
- エアロプレス本体
(チャンバー、プランジャー、パドル、フィルター) - コーヒーカップ
- ドリップポット
- 電子スケール
- ストップウォッチ
- コーヒーの粉(1杯分の目安量:12g)
エアロプレスの道具について解説
エアロプレスは、フィルターをセットしてコーヒーの粉とお湯を注ぎいれる「チャンバー(写真上・左から2番目)」と、押し出し用の「プランジャー(写真上・右から2番目)」の2つのパーツを使って抽出していきます。
攪拌用の「パドル(一番下)」は付属品として付いていますが、ない場合はスプーンでも代用できます。
エアロプレスで使用するフィルター
エアロプレスは、付属の丸いペーパーフィルターを使います。
もしくは、別売りの金属製のフィルターを使うこともできます。今回は、後処理のかんたんなペーパーフィルターを使って抽出方法の手順や、抽出の際のコツを説明します。
エアロプレスに適したコーヒーカップの選び方
エアロプレスでの抽出は、器具本体をコーヒーカップの上にセットして、上から強く押し出します。
そのため、コーヒーカップは、エアロプレスの口径に合ったサイズのもので、かつ上から押す力に耐えられる強度と安定性があるものを選びましょう。
薄手のカップは割れる可能性があるため、厚みのある丈夫なマグカップなどがおすすめです。
コーヒーの粉のおすすめ粒度とその他に用意しておきたいアイテム
コーヒーの粉はどんな粒度でも淹れられますが、迷ったら標準的な「中細挽き〜中挽き」がおすすめです。
エアロプレスを利用する際は、
- お湯を注ぐ際に必要なドリップポット
- コーヒーの粉の量や湯量を計るための電子スケール
- コーヒーとお湯を撹拌し、なじませるための時間を正確に計れるストップウォッチ
も用意しておくと、失敗せず美味しいコーヒーが淹れられます。
エアロプレスを使ったコーヒーの淹れ方
それでは、エアロプレスでコーヒーを抽出する方法を解説していきます。
1. 器具を温め、キャップをセットする
まず、器具をお湯にくぐらせて温めます。
キャップにペーパーフィルターをセットしたら、フィルターにお湯をかけてしっかりとセットしましょう。
今回はマグカップの上にキャップをのせ、マグカップの温めも兼ねてお湯を注いでみました。
2. プランジャーとチャンバーをセットする
続いて、プランジャーの上にチャンバーをセットします。
写真の上がチャンバー、下がプランジャーです。
プランジャーの先端の黒い部分は、空気を押すためのゴムパッキンが付いています。
プレス時には、フィルターをセットした網状のキャップを着け、上下をひっくり返しますが、撹拌までの工程はこの状態で行います。
■初心者におすすめな「インヴァート方式」
ちなみに、これは「インヴァート方式」というセットの仕方です。
プランジャーとチャンバーの向きが、本来の手順とは逆になりますが、コーヒーとお湯を入れて蓋をするように上にフィルターを取り付けるため、液漏れが防げる方法です。
初めてエアロプレスを使う方には、この「インヴァート方式」をおすすめします。
3. コーヒーとお湯をチャンバーに入れる
コーヒーを1杯分(約12g)量って、チャンバーに入れます。
さらに、お湯160ccを注ぎます。
このとき、一気にお湯を注ぐと粉が浮き上がってしまうので、30秒ほどかけてゆっくりと注ぎ、お湯と粉が馴染むようにすることが大切です。
4. コーヒーを攪拌する
パドルを使って、静かに5秒ほど混ぜて撹拌します。撹拌後は、お湯の表面に泡の層ができます。
フィルターをセットしておいたキャップをはめて、約1分そのままで待ちます。
4. 真上からゆっくりと、コーヒーを一定の速度でプレスする
いよいよ抽出です。キャップ部分をカップの上に乗せるように、本体を逆さにしたらプレスしていきます。
コツは「真上から・両手で・一定の速度でゆっくりと」。
実際にやってみるとわかると思いますが、想像以上に力が要ります。
とはいえ、力任せに押してしまうとひっくり返してしまったり、カップが破損してしまったりするので注意しましょう。最後まで押し切ってしまうとエグみが出やすいため、押し切る直前で止めるのがおすすめです。
エアロプレスのメリットとデメリット
「普段はペーパードリップだけれど、この淹れ方も気になっていた」
「初心者でもかんたんにトライできそう」
と、エアロプレスの購入を検討している人もいらっしゃるかもしれませんね。
エアロプレスのメリットとデメリットをまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
エアロプレスのメリット
1. 短時間で抽出できる
粉を入れ、規定量のお湯を注げば、あとは押すだけ。多少の力が必要ですが、手順に慣れてしまえばスピーディーにコーヒーを淹れることができます。
2. コーヒー豆の個性を感じやすい
抽出時に粉にかかる圧力がペーパードリップよりも強いため、成分がよりしっかり抽出でき、コーヒー豆が持つ個性を感じやすい味わいに仕上がります。
3. 決まった手順を覚えてしまえば味がブレにくい
「粉とお湯を入れて押し出すだけ」という単純な手順なので、ペーパードリップほどテクニックは必要なく、初心者でも味が安定しやすいのもエアロプレスの特徴です。
4. コーヒーかすの後片付けがかんたん
洗うパーツは多いものの、キャップを取り外せばコーヒーかすが固まって出てくるので、使用後のお手入れがしやすい
5. 軽量で持ち運びしやすい
アウトドア用に開発されたコンパクトなボディと、プラスチック製の軽さ。持ち運びやすいことも魅力のひとつです。
エアロプレスのデメリット
1. 雑味やえぐみを感じることもある
最後まで押し込み切ってしまうと、コーヒーの粉を絞ることになり、クリアな味わいにならないこともあります。
押し切る直前で止めるのが、クリアに仕上げるポイント!
2. 抽出に力が必要
一定の速度で圧をかけながら抽出しなければならず、ある程度の力が必要です。
エアロプレスはこんな人におすすめ
エアロプレスは手順さえ守れば安定した味のコーヒーをスピーディーに淹れられます。
また、コーヒー豆の成分をしっかり抽出できるため、豆の個性を感じやすいこともメリットです。
「ハンドドリップはある程度マスターした」
「別の淹れ方も試したい」
という方は、ぜひエアロプレスを試してみてはいかがでしょうか?
ただし、エアロプレスは
- 家族でわいわい飲むことが多い場合
- すっきりした味わいを好む方
- 力作業が苦手という方
こういった方にはあまり向かないかもしれません。
短時間で本格的な味を楽しめるエアロプレスにトライしてみよう
普段はペーパードリップでコーヒーを淹れることが多い方なら、エアロプレスの抽出は化学の実験をしているような感覚が味わえて、新鮮な気持ちで楽しめるでしょう。
エアロプレスで抽出したコーヒーは、同じ豆を利用してペーパードリップで淹れた時よりもより深みのある味わいが満喫できます。どちらの方法でコーヒーを淹れるのか、その日の気分で決めながら自分好みの味を探すのも楽しみ方の一つです。
アウトドアも似合うエアロプレス。ペーパードリップをマスターして、そろそろ次のステップを……という方は、ぜひエアロプレスにチャレンジしてみてください!
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