お正月の食卓ではお馴染みのアイテムですが、お屠蘇がどんな意味を持つのかご存知でしょうか。
今年はちょっと変わった、コーヒーと清酒を使ったアレンジレシピの「珈琲お屠蘇」で、新たな年のはじまりをお祝いしてみませんか?
そもそも「お屠蘇(おとそ)」とは?
お屠蘇(おとそ)とは、お正月の薬用酒のことです。
清酒に白朮(びゃくじゅつ)、山椒、桔梗根、肉桂皮、防風根といったものを加えて作ります。
お屠蘇の言葉の意味と歴史
「蘇(そ)」は鬼を意味し、その鬼を屠る(ほふる=打ち負かす)と信じられ、古くから無病息災長寿を願って、元旦の祝酒として飲まれていました。
もともとは中国の風習で、唐の時代(618年から907年)からお屠蘇を飲む習慣が確認されています。
日本では平安時代に宮中へ伝えられ、その後、武家や上流階級に広がっていったそうです。
やがて、この屠蘇の習慣は庶民の間にも伝わり、医者が薬代の返礼として屠蘇散(いくつかの薬草を組み合わせたもの)を配るようになりました。
現代において薬店が年末の景品として「屠蘇散」を配る習慣は、その名残といえるでしょう。
コーヒーも昔は「薬」だった?!
薬用酒と言えば、実はコーヒーも、遠い遠い昔、薬として飲まれていました。
900年頃から飲まれていたコーヒー
900年頃のアラビア人の医師・ラーゼスは、コーヒーの薬理効果を認めていて、野生のコーヒーの種子(バン)の黄褐色の煮出し汁(カム)を「バンカム」と名付け、患者に飲ませていたそうです。
彼の記した文献には「コーヒーには消化や強心、利尿の効果がある」という詳細な臨床結果が残されており、これはコーヒーに関する最も貴重な初期の文献といわれています。
医学的な効能にも着目されたコーヒー
また、このラーゼスの後、イスラム教徒の医師・アヴィセンナによっても、
「熱さ口当たりよさ第一級なり。人によりてはその興ざましなること第一級。身体各部を強化し、皮膚を清めて湿りを取り去り、香りを生む」
と、コーヒーの医学的な効能が記された文献が残っています。
医師たちの手によって残されてきたこともあり、後世においても、コーヒーは単なる飲み物にとどまらず、薬としても考えられるようになったのです。
「珈琲お屠蘇」を作ってみましょう
一般的に、お屠蘇を仕込む時には数種類の薬草を配合した「屠蘇散(とそさん)」を使います。
そこで、薬理効果を求めて飲まれてきた歴史を持つコーヒーならば、じゅうぶん屠蘇散の替わりになるのでは?!
……との発想から作ってみたのが「珈琲お屠蘇」です。
『珈琲お屠蘇』の作り方
■ 材料
- 清酒 200ml
- コーヒー豆 20g
■ 作り方
珈琲お屠蘇は、清酒にコーヒーを豆のまま8時間ほど浸した後、コーヒー豆を取り出してできあがりです。
ほんのりとコーヒーの香り漂う祝酒をお楽しみいただけます。
作るときのコツは、浸し過ぎないこと。
長時間そのままにしてしまうと、お酒が黒々と色づいてしまい、えぐみも出てきてしまいます。
せっかくの新年のお酒ですから、お節料理にも合うように「ほんのりと上品な味」のお屠蘇を目指してみてはいかがでしょうか?
珈琲お屠蘇におすすめのコーヒーの種類は?
「清酒にコーヒー豆を浸してしばらく置くだけ」と、実に簡単ではありますが、使うお酒やコーヒーの種類によって「珈琲お屠蘇」の味わいは変わってきます。
MAGAZINEスタッフのおすすめは、色味と香りとコクをほのかに添えてくれる「ブルーマウンテン」。
もちろん他の産地のコーヒーを使ってもいいし、ブレンドでもOKです。
自分の味覚に合ったコーヒーを見つけるには?
今年は、My COFFEE お届け便で届いた豆を使ってみました。
コーヒーそのものの特徴を活かしたお屠蘇ができると思いますので、ぜひ色々試してみてください。
2020年、珈琲お屠蘇で一年の健康を願って
お正月には、ふだんなかなか揃わない家族・親類が勢ぞろいしたり、たくさんのお客さまが遊びに来られたりする機会も多いですね。
そんな縁あるすべての方の健康を願うために、コーヒーの香り漂う「珈琲お屠蘇」がぴったり。
「え?コーヒーのお屠蘇なの?!」と、話も弾むかもしれません。
おいしいコーヒーとの出会いに恵まれるよう、そして皆さまがまた一年、楽しいコーヒーライフを過ごされることを祈念して、編集部スタッフも珈琲お屠蘇で乾杯します。
珈琲お屠蘇以外のコーヒーアレンジレシピもチェック!
ひと手間加えるだけでいつもと一味違うコーヒーが楽しめる、色々なおいしいアレンジレシピをご紹介しています。
珈琲お屠蘇以外のアレンジレシピも楽しんで、コーヒーのある暮らしをより満喫してみませんか?