365日安定したおいしさを作り続ける工場長の使命[COFFEE CREATOR’S FILE 23 池田潤] | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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365日安定したおいしさを作り続ける工場長の使命[COFFEE CREATOR’S FILE 23 池田潤]

「一杯のコーヒーができるまで」…そこにはUCCのコーヒークリエイターたちの「おいしい事実」があります。


UCCは全国に9つの工場がある。その中で、24時間稼働、“西日本の本拠地”とされる主力の六甲アイランド工場で工場長を務める池田潤。製造現場に長く携わり、いまではコーヒーのすべてを知るスペシャリスト。そんな池田が抱くコーヒーへの思いとは——。

西日本最大規模を誇る六甲アイランド工場

私がUCCに入社したのが1994年。阪神淡路大震災が起きたのはその翌年です。
当時、私は広島総合工場の配属だったのですが、六甲アイランド工場は震災翌年の96年から第二期工事を経て、ラインも拡大。今に至るまでUCCの主力工場として稼働しています。

まずは現在、私が働いている六甲アイランド工場の業務内容について簡単にご説明します。

製品の流れの第一段階としては、まず、世界中のコーヒー産地からサンプル用の生豆が届きます。その豆を品質検査室(原料輸入部)が品質チェックをし(詳しくは、FILE 10 山道理弘 もご覧ください)、厳しい基準を超えた豆だけが輸入されます。

第二段階では、工場で受け入れ検査をされ厳選されたそれぞれの生豆を焙煎、ブレンドし、「UCCゴールドスペシャル」などのさまざまな家庭用製品を製造したり、缶コーヒーなどを作る飲料工場向けのコーヒー原料の製造を行います。

六甲アイランド工場は特別な工場

この六甲アイランド工場は、UCCの9つある工場の中でもちょっと特別な工場です。

生産規模もさることながら、新製品を出す場合には、製品開発部門やマーケティング部門が提案する味覚をラボ機(10kg容量)で焙煎・再現しながら調整を繰り返し、最終的な味覚に辿り着くための道案内のような役割も果たしているからです。

たとえば、開発部門から「ここはできるだけじっくり焙煎したい」という要望があったとします。しかし、工場側としては生産効率等も十分考慮しなければならない。その時は「代わりにこういう方法を試してみましょうか」とか、求める味に近づくような別の提案をすることもあります。

また、社員だけではなく、UCCが取り引きしている企業のお客さまもご相談や視察にもいらっしゃいますし、まだ取引していない企業のご担当者にUCCの安全・安心のコーヒーづくりを見ていただき、今後の取引に結び付くような取り組みもしています。ある意味、本当に24時間気の抜けない工場かもしれません。

知れば知るほど奥が深い焙煎の世界

30年働いてきて、今ではさすがにコーヒーにも少しは詳しくなったと思います。でも、もともとは工場の製造オペレーターとして入社しましたので、若い頃は目の前の設備や機械・電気の知識を覚えるので精一杯でした。

入社直後に配属されたのは、広島総合工場の焙煎担当です。生豆を見るのも初めてでしたが、それを開袋して、焼いて、挽く。とにかく必死でした。

一人前に仕事ができるようになってくると、効率やロスのことを考えられるようになり、機械のことを勉強して、必要な資格を取るようにもなりました。

工場も広島から福岡、兵庫と数年おきにいろいろな工場を経験しました。
その後、入社から約15年が経ったころです、本社で「設備保全課」を立ち上げる際に声がかかったのは。

「設備保全課」はUCCの全工場の設備管理台帳、定期保全計画、消耗品リスト(消耗品管理)を保全の3本柱として据え、突発故障「0」の実現するための部署。設備の勉強に人一倍熱心だった池田は若手の一人として抜擢され、全国の工場を周り、さらに機械や工場運営の知識を深めていく。

その後、「生産部」や「品質保証室」も経験することになりました。

それまでは機械ひと筋だった池田だが、コーヒー豆と向き合うようになると、今度はがぜんコーヒー自体にも興味を持ち始めた。

現在、UCCには膨大なデータから作り上げたコーヒーの「プロファイル」があって、どの工場でもその「プロファイル」があれば再現することができます。

私が入社した頃はコーヒーの焙煎度はまだ「豆の焼き色」だけで判断をしていました。もちろん焼き色が基準の範囲かどうかは目視ではなく、機械が判断していたのですが、それでも各工場で微妙な味のブレはあったと思います。

コーヒーも料理と同じ

コーヒーにとって焙煎は命です。でも、なんでもかんでも「じっくり」「丁寧に」やればいいというものでもない。

ある意味、料理と一緒です。

たとえば、肉や野菜を焼いたとして、焦げ目の具合など見た目が一緒でも、一方は低めの温度で20分かけてじっくり加熱しているけれど、もう一方は高熱で短時間だったとします。見た目は一緒に見えたとしても、口に入れたら味はぜんぜん違うはずなんです。それはコーヒーも同じ。

同一種のコーヒー豆でも採れた畑が違えば味は違う、ということは珍しくありません。でも工場としては「豆の味が違うから、同じ味にならない」では済まない。

それを毎日、毎ロット、完璧に同じ味にするのが工場の現場の仕事です。工場の使命です。

もちろん現場の人間の経験則やセンスも大事になってきますが、知識も大切。一番大切なのは…「お客さまにいつものUCC製品をお届けする」という使命感ですかねぇ。

2023年からUCCの社内資格に加わった「焙煎士」。来年には第一号が誕生するはず。池田は「焙煎士」を育てる側として制度に関わっていく。

日本に1台の“アロマスター”で理想のコーヒーを

六甲アイランド工場には“AROMASTER(アロマスター)”という巨大で高性能なUCCオリジナルの焙煎機がある。独自の「プロファイルコントロールシステム」により、焙煎中のコーヒー豆の熱風の温度変化を監視するだけでなく、豆の温度を自動的にコントロールすることが可能な焙煎機だ。

アロマスターがすごいのは、「スチーム+熱風」を活用することで、豆の芯までムラなくふっくらと焙煎し、雑味をおさえたクリアな味覚を実現していること。先ほど「見た目だけじゃわからない」という話をしましたけれども、豆の中身まできっちりコントロールしてくれる。

また、焙煎直後の豆をマイナス2℃に急速冷却して、炒りたての芳醇な香りを逃がさない独自製法「アロマフリージング製法」などを組み合わせることで、香気量は一般的な熱風焙煎機に比べ約70%向上している。さらに発生する熱を再利用することで、環境負荷を大きく低減(エネルギーのトータル使用量75%減)。

いろいろな特許が詰まった焙煎機ですので、UCCの主力製品である「UCCゴールドスペシャル」などはこのアロマスターを中心に焙煎していますが、ほかの焙煎機と組み合わせることでさらに複雑な深みをもったコーヒーの味を作り出すこともできる。
UCCが理想とする味わいを追求するひとつの答えがこのアロマスターなのかもしれません。

工場長としていつも思っていること

コーヒーは毎日飲んでいます。一番落ち着くのは食後の一杯ですね。

コーヒーは人それぞれで好みが違う飲み物。嗜好品です。私はコクやちょっとクセがあるマンデリン系の味が好きですが、すっきり華やかな味が好きな人もいる。

工場長としていつも思っているのは、それぞれみなさんが好きだと思うコーヒーの味を毎日変わらず安定して作り続けたいということ。そのためには、日々の機械のメンテナンスには手を抜けませんし、機械のことだけでなく、工場で働く部下のことも考えながら、責任を持って製品をお届けすることです。

愛用のコーヒーグッズは

ノーブランドのマグカップとメリタのドリッパー、コーヒーマシンに付属でついていたメジャースプーン。普段は夕食後に「UCCゴールドスペシャル」を飲むことが多い。「マンデリンのちょっとクセの強い香りが好きなので、マンデリンが入ったブレンドも好きです」。

心に残る、最高のコーヒーは?

入社してはじめて「おいしいコーヒー」を考え自分でブレンドしたコーヒー。

商品化される「エリアブレンド」として考えたのですが、残念ながら採用はされませんでした(笑)。でも、ブレンドであんなに味が変わるのは驚きでしたし、がぜんコーヒーへの興味が増しました」。

SCM本部 六甲アイランド工場 工場長 
池田潤(いけだ じゅん)
1994年入社。広島総合工場、福岡工場、兵庫工場などに配属後、本社で「設備保全課」の立ち上げに参加し、UCC全工場の設備管理を任される。さらに「生産部」「品質保証室」に配属されコーヒー製造のエキスパートに。生産部の部長を経て、2023年1月から現職。 

(部署名・役職は取材当時の情報です)

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