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ネルドリップのおいしい淹れ方|味の特徴、必要な器具、手入れ方法を解説

2019.04.02
熱く支持するコーヒー好きが多いコーヒーの抽出方法「ネルドリップ」。

一方で、比較的手軽なペーパーフィルターとは異なり、使いこなすのに難しそうなイメージを持たれているのも事実です。

今回は、家淹れ初心者の方でもわかる、「ネルドリップ」の淹れ方をご紹介します。必要な道具や手入れ方法も併せて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

ネルドリップとは?

「ネルドリップ」とは、コーヒーの抽出方法の1つで、手触りが柔らかく起毛している織物「フランネル」で作られたネルフィルターを使ってコーヒーを抽出します。「布ドリップ」ともいわれるネルドリップでは、フィルターに「ネル」を使用します。ネルとは、織物の種類の一つ「フランネル」のことを指しています。

 

コーヒーがなめらかに仕上がるのは「フランネル」のおかげ

フランネルの一番の特徴は、手触りが柔らかく、布の片面もしくは両面が起毛していること(ネルフィルターとして使われるのは、主に片面起毛のタイプ)。

 

また、織り方には平織りと綾(あや)織りの2種類があり、それぞれ、特徴が異なります。縦糸・横糸が1本ずつ交差している平織りは伸び縮みしにくいため、一度に大量のコーヒーを抽出する工業用の抽出マシンのフィルターに使われます。

一方、縦糸・横糸が2本ずつ組み合わさって交差している綾織りは伸縮性に富んでおり起毛の度合いを変えやすいため、1~2杯用から20杯用など、さまざまなサイズに加工してもフィルターの性能が保たれることが利点です。

ちなみに、家庭用に販売されているネルフィルターは綾織りです。

 

ペーパードリップとネルドリップの違い

抽出されたコーヒー液の中の粒子が、ネルの起毛面にとどまって液体側に落ちるのを防ぎ、より「舌触りの滑らかなコーヒー」になります。これは、ネルドリップでコーヒーを淹れる大きなメリットのひとつです。

また、ネルドリップにはペーパードリップのような“ドリッパー”という“壁”がありません。これは、両者の決定的な違いです。ネルフィルターの場合、お湯が落ちていくときの力によって「布の“たわみ”方」が変わり、お湯とコーヒーとの接触面も変わるため、出来上がりの味も変わります。

喫茶店で、マスターがポットを持つ手だけではなく、ネルフィルターを持つ側の手も動かしながらドリップをしているときがありますが、お湯の力で変わる布の形を巧みにコントロールしながらドリップしている、というわけです。まさに職人技!ですね。

とはいえ、フィルターにお湯をかけない、円を描きつつ数回に分けてお湯を注ぐなど、基本的な抽出方法はペーパードリップと同じです。挽き方も特にこだわりがなければ、ペーパーフィルター同様、中細挽き~中挽き程度で問題ありません。

 

起毛面はフィルターの内側と外側、どちらにセットするべき?

片面が起毛しているフランネルを使用する場合、起毛面はフィルターの内側と外側、どちらにセットしたらよいのでしょうか? この答えは諸説ありますが、ろ過する能力だけで言えば、実は内側も外側も大差はありません。

起毛面を内側にした場合の利点は、コーヒーの微粉を繊維(毛足)の先端で捉えられるので布目に詰まるのをさえぎり、より理想的なろ過ができることです。

欠点は、起毛に付着した微粉が洗いにくいため、連続使用した場合、洗浄によって起毛が減り、フィルターの寿命がやや早まることです。つまり、起毛面を外側にすると洗浄しやすくなるものの、ネルフィルターの最大のメリットである微粉をキャッチするパワーは落ちます(ただし、業務店などではご家庭より使用頻度が高いので、安定した使用感を優先させて外側にしている場合もあります)。

 

ネルドリップに合うコーヒーの挽き方や分量

ネルドリップコーヒーを作る際、特別なコーヒーを用意する必要はありません。「ネルドリップといえば粗挽き」というイメージを抱いている方もいますが、使うコーヒーや挽き方は、自分が実現したい味から考えてみましょう。

例えば、焙煎度の深いコーヒーであれば水分が抜けている分、粉の重量が軽いことや、コーヒーに含まれるガスが多く早く出てくることなどを考慮して、挽き方は粗挽き、量はペーパードリップの標準量よりやや多めにし(15g~18gほど)、ゆっくりと点滴のように湯を注ぐ……という方法もあります。

また、コーヒーの粉をさらにぜいたくに使いつつ、やや速めにお湯を注ぎ、おいしい部分だけをさっと抜き出すような抽出方法もあるでしょう。

焙煎度が浅いコーヒーは硬く、含まれるガス量も少ないので、コーヒーの組織にお湯が浸透するスピードも変わります。細めに挽いてコーヒーとお湯の接触面を増やすというのも、淹れ方の工夫の一つです。

 

ネルドリップに必要な器具

ネルドリップに必要な器具を見てみましょう。最低限揃えたいのは3つです。

  • ネルフィルター
  • 専用コーヒーサーバー(ネルドリップ専用サーバーだと◎)
  • 細口ドリップポット

ネルドリップを置けるような長い首が付いた専用サーバーも販売されていますが、ペーパードリップなどで使用しているサーバーがあれば、それでもかまいません。

その場合、片手でネルフィルターの柄を持ち、抽出した液に先端が浸らない高さを保って抽出しましょう。

ネルフィルターは布部分が柔らかく自立できません。なので、ポットでお湯を注いでいるとき、ネルフィルターを常に持っていなければならないんです。その工程が面倒だと感じる方は専用サーバーの利用を検討してみるといいかもしれません。

 

ネルドリップコーヒーを作ってみよう

では、ここからは実際にネルドリップコーヒーを作成する方法を説明します。手順は大きくは5つに分けられます。

1. おろしたてのネルフィルターは水洗い&コーヒー液で煮る

おろしたてのネルフィルターは使用する前に軽く水洗いし、コーヒー液で20分程度煮ておきましょう。付着している糊や汚れなどが落ちてコーヒーとなじみやすくなります。

2. ネルフィルターは冷めないうちにセットする

煮たあとは一度お湯に通してからできるだけ固く絞って水気を切り、しわを伸ばしてセットします。ネルフィルターが冷えないうちに、なるべく素早く行うようにしましょう。

3. コーヒーの粉を入れる

杯数分のコーヒー粉をネルフィルターへ入れます。

4. お湯を注ぎ、20秒ほどおいて蒸らす

まず少量のお湯を、コーヒーの粉全体にまんべんなく含ませるように静かに注ぎます。そこから20秒くらい置いて蒸らしましょう。この「蒸らし」は、コーヒー粉にお湯をなじませ、コーヒーのおいしい成分を抽出しやすくする大切な工程です。面倒かもしれませんが、必ず行いましょう。

5. 3回程度に分けてお湯を注ぎ、抽出できたら完成

サーバーの目盛りを目安にしながら杯数分のお湯を、ハンドドリップと同様に中心から「の」の字を描くように注いでいきます。

3回くらいに分けて注いでいきますが、表面にできた泡の山が沈んでしまわないうちに次のお湯を注ぐようにします。この時、ネルフィルターに直接お湯をかけないように注意しながら注ぎましょう。抽出液がサーバーに落ちきったら抽出完了です。

 

ネルフィルターの正しい手入れ方法

ネルフィルターはペーパーフィルターと違い、一度使って終わりではありません。ネルドリップは状態を見極めながらネルを繰り返し使うので、おいしいコーヒーを淹れるためにも、ネルの手入れはとても重要です。

新品のネルを下ろすとき、使ったあとのネルを保管するとき。2つのシチュエーションにおけるネルの取り扱い方を解説します。

新品のネルを下ろすとき

布に付着しているのりや布独特の臭いを取るために、コーヒー液で10~15分程度煮沸(しゃふつ)し、あらかじめコーヒーをなじませます。のりの成分やネルそのものの臭いをしっかりと取り除くことがポイントです。

 

使ったあとのネルを保管するとき

ドリップした後は、コーヒーかすを取り除いてからお湯で煮沸します(お湯を入れ替えながら数回)。コーヒーの微粉を完全に取り除くように丁寧に洗い、新鮮な水を張ったタッパーなどに浸して、冷蔵庫で保存しましょう。

なお、ネルを使用しなくても、水は毎日取り替えてください。絶対にやってはいけないことは、天日で乾かすこと。フィルターに残ったコーヒーの油分が酸化して、コーヒーの味に悪影響を及ぼします。

 

ネルフィルターを使うときは、しっかり水気を切るのがポイント

保管していたネルフィルターを使う際は、熱湯をかけて熱々のまま一度絞ります。このとき、やけどしないように注意してください。

その後、ネルフィルターを清潔なタオルなどで包み、“パンパン”と強く叩いてよく水気を取ってから、しわを伸ばすように形を整えます。

この一連の作業を手早く行えば、ネルフィルターから水気がなくなり、かつ“ほかほか”の温かい状態——コーヒーを淹れるのに最適の状態になっているはずです。

もし、水気が残った冷たい状態になっていると、コーヒーの粉が冷えた水分に触れてしまい、抽出の大切なポイント“十分な蒸らし”ができなくなります。

さらに、抽出時のコーヒー液の温度も下がってしまうため、求めている飲み頃の温度や濃度にならない可能性もでてきますので気を付けましょう。

 

ネルフィルターの使用目安は20〜30回ほど

大体、20~30回の使用を目安に新品と交換するようにしましょう。ネルは洗うたびに起毛の繊維が減っていくため、コーヒーの微粉が布目に詰まりやすくなります。

見極めは難しいかもしれませんが、コーヒー液がスムーズに抽出されにくく(抽出速度が遅く)なっていると思ったら、換え時です。

 

ネルドリップで、いつもとひと味違うコーヒーを

ネルドリップは比較的、手間がかかります。慣れも必要かもしれません。

しかし、豆の種類、焙煎度、挽き方、お湯の温度など、抽出工程でさまざまな選択肢を試行錯誤しながら「自分なりの注湯テクニック」が磨かけることはネルドリップの大きな魅力であるとともに、コーヒーの世界をより深く知ることができるきっかけにもなるはずです。

「最高の抽出方法」で、一味違ったコーヒーの日常を楽しんでみてください。

 

 

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