ネルドリップとは?おいしい淹れ方・味の違い・必要な器具などを解説 | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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ネルドリップは面倒?ペーパードリップとの違いやおいしい淹れ方を徹底解説!

ハンドドリップの中でも、手軽に楽しめるペーパードリップとは異なり、布フィルターを使う「ネルドリップ」はマスターまでに時間のかかる方法とイメージしている方も多いのではないでしょうか?
今回は、家淹れ初心者の方でもできるネルドリップの淹れ方をご紹介します。必要な道具や手入れ方法も解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ネルドリップ(布ドリップ)は面倒?

ネルドリップは布ドリップともいわれますが、コーヒーの抽出方法のひとつで、手触りが柔らかい起毛した織物「フランネル」で作られたフィルターを使ってコーヒーを抽出する方法のことです。

老舗の喫茶店のマスターなどが慣れた手つきでネルドリップをしているシーンなどを見たことのある方も多いと思いますが、どこかプロっぽさが漂う淹れ方でもありますね。

「ネルドリップは面倒か?」という質問に対しては、色々な考えがあるとは思いますが、「淹れ方そのものが面倒というよりも、ペーパーフィルターと比べて布フィルターの扱いに手間がかかる」という回答になるのではと思います。

とはいえ、ネルドリップにはそれを補って余りある良さがあるのも事実。淹れ方そのものは、普段ペーパードリップを実践している方なら、チャレンジしやすいと思いますよ。

まずは、その特徴をしっかりと理解してみましょう。

ネルフィルター(布フィルター)の特徴

フランネル」または「ネル」と呼ばれるこの生地の特徴は、手触りが柔らかいことと、片面もしくは両面が起毛していること。ネルフィルターとして使われるものは片面起毛のタイプが多いです。

また、織り方にも平織りと綾織り(あやおり)の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。

  • 平織り …縦糸・横糸が1本ずつ交差しており、伸び縮みしにくい特徴があるため、一度に大量のコーヒーを抽出する工業用の抽出マシンのフィルターに使われます。
  • 綾織り …縦糸・横糸が2本ずつ組み合わさって交差しており、伸縮性に富んでいます。起毛の度合いを変えやすいため、1~2杯用から20杯用など、さまざまなサイズに加工してもフィルターの性能が保たれることが利点です。

家庭用に販売されているネルフィルターは、「綾織り」のものです。

ネルフィルターに裏表はあるの?

片面が起毛しているフランネルを使用する場合、起毛面はフィルターの内側と外側、どちらにセットして使えばいいのでしょうか?

この答えは諸説ありますが、ろ過する能力だけで言えば、実は内側と外側、どちらを起毛面にしても大差はありません。

起毛面を内側にした場合、コーヒーの微粉を繊維(毛足)の先端で捉えられるので布目に詰まるのをさえぎり、より理想的なろ過ができることが利点です。
ただし欠点としては、起毛に付着した微粉が洗いにくいため、連続使用した場合、洗浄によって起毛が減り、フィルターの寿命がやや早まることです。

反対に、起毛面を外側にすると、洗浄しやすくなるものの、ネルフィルターの最大のメリットである微粉をキャッチするパワーは落ちてしまいます。
ただし、業務店などではご家庭より使用頻度が高いので、安定した使用感を優先させて外側にしている場合もあります。

ネルドリップの味わい

ネルドリップでコーヒーを抽出すると、コーヒー液の中の粒子がネルの起毛面にとどまって液体側に落ちるのを防ぐことで、「舌触りの滑らかなコーヒー」になります。

これは、ネルドリップでコーヒーを淹れる大きなメリットのひとつです。

また、ネルドリップには、ペーパードリップのような“ドリッパーという“壁がありません。これは、両者の決定的な違いです。

ネルフィルターの場合、お湯が落ちていくときの力によって「布の“たわみ方」が変わることで、お湯とコーヒーとの接触面も変わるため、出来上がりの味も変わります。

喫茶店で、マスターがポットを持つ手だけではなく、ネルフィルターを持つ側の手も動かしながらドリップをしているときがありますが、お湯の力で変わる布の形を巧みにコントロールしながらドリップしている、というわけです。まさに職人技!

とはいえ、「フィルターにお湯をかけない」「円を描きつつ数回に分けてお湯を注ぐ」など、基本的な抽出方法はペーパードリップと同じです。

ネルドリップ向きのコーヒーは?

ネルドリップコーヒーを作る際、特別なコーヒーを用意する必要はありません。コーヒー豆の挽き方も、特にお好みのものがなければ、ペーパーフィルター同様、中細挽き~中挽き程度で問題ありません。

「ネルドリップといえば粗挽き」というイメージを抱いている方もいますが、使うコーヒーや挽き方は、自分が実現したい味から考えてみましょう。

焙煎の深い豆の場合

例えば、焙煎度の深いコーヒーでネルドリップをする場合をイメージしてみましょう。

焙煎によって豆の水分が抜けている分、粉の重量が軽いことや、コーヒーに含まれるガスが多く早く出てくることなどを考慮して、挽き方は粗挽き、量はペーパードリップの標準量よりやや多めにし(15g18gほど)、ゆっくりと点滴のように湯を注ぐ……という方法もあります。

また、コーヒーの粉をさらにぜいたくに使いつつ、やや速めにお湯を注ぎ、おいしい部分だけをさっと抜き出すような抽出方法もあるでしょう。

焙煎の浅い豆の場合

焙煎度が浅いコーヒーは硬く、含まれるガス量も少ないので、コーヒーの組織にお湯が浸透するスピードも変わります。細めに挽いてコーヒーとお湯の接触面を増やすというのも、淹れ方の工夫のひとつです。

ネルドリップに必要な器具

最低限揃えたいのは、次の3つです。

  • ネルフィルター
  • やぐら、または専用コーヒーサーバーなど
  • 細口ドリップポット

次に、それぞれの器具について説明していきます。

ネルフィルター

両面または片面が起毛状の織物で作られた布製のコーヒフィルターです。
コーヒー専門店に行くと、柄付きのネルフィルターや、替え用のフィルターの束などが販売されています。

やぐら、または専用コーヒーサーバー

もしペーパードリップなどで使用しているサーバーがあれば、そちらでも代用可能ですが、ネルフィルターは柔らかく自立できないため、ネルドリップ専用のサーバーでない場合、ポットでお湯を注いでいるとき、ネルフィルターを常に持っていなければなりません。

そんな時にあると便利なのが、ネルドリップ専用の器具です。
専門用語で「やぐら」と呼ばれるものは。ネルフィルターをセットできる金属性の枠です。これがあればサーバーはペーパードリップ用と同じものでOKです。

また、ネルドリップを置けるような長い首が付いた専用のコーヒーサーバーも販売されています。柄付きのネルフィルターとセットになったものなどは、見た目にもおしゃれですね。

片手でネルフィルターの柄を持ち、抽出したコーヒー液にネルフィルターの先端が浸らない高さを保って抽出するのは少しコツが必要なので、これから挑戦する方は、ネルドリップ専用サーバーの利用を検討してみるといいかもしれません。

ドリップポット(細口ポット)

「ドリップポット」は、注ぎ口の細い、お湯を注ぐための道具で、細口ポットや細口ケトル、コーヒーケトル、ドリップケトル等と呼ばれることもあります。

ハンドドリップの際、コーヒー粉にお湯をしっかりと行き渡らせるために、湯のコントロールがしやすくなるので、持っていたい道具のひとつです。

ネルドリップコーヒーの淹れ方

ではネルドリップコーヒーの淹れ方をご紹介します。手順は大きくは5つに分けられます。

1. 下準備(新品のネルフィルターをおろす)

購入後、最初にネルフィルターを使用する場合は、軽く水洗いしてから、コーヒー液で20分程度煮ておきます。

おろしたてのフィルターには糊や汚れなどが付着していることがありますので、それを落とし、コーヒーとなじみやすくするためです。

こちらは、下記の「新品のネルフィルターをおろす時」でも詳しく解説します。

2. ネルフィルターをサーバーへセットする

下準備の済んだネルフィルターに一度熱湯を通します。
柄をもったら布をぐるぐるとできるだけ固く絞って水気を切ります。広げてしわを伸ばし、三角錐の形にしてサーバーへセットします。

この工程はネルフィルターが冷えないよう、なるべく素早く行うようにしてください。

こちらも詳しくは「しっかり水気を切るのがポイント」で解説します。

3. コーヒー粉を量って入れる

杯数分のコーヒー粉をネルフィルターへ入れます。
基本的に、コーヒー粉の量はペーパードリップと同様に1杯分:1012gで淹れましょう。

4. お湯を注ぎ、20秒ほどおいて蒸らす

まず少量のお湯を、コーヒーの粉全体にまんべんなく含ませるように静かに注ぎます。お湯を注いだら、20秒くらい置いて蒸らします。

この「蒸らし」もペーパードリップ同様、コーヒーに溜まったガスを追い出し、おいしい成分を抽出しやすくする大切な工程です。少々面倒かもしれませんが、必ず行いましょう。

5. 3回程度に分けてお湯を注ぐ

サーバーの目盛りを目安にしながら、あるいはデジタるスケールで注いでいる湯量を確認しながら、杯数分のお湯を注いでいきます。

お湯の注ぎ方は、ハンドドリップと同様、コーヒー粉の中心から「の」の字を描くように注いでいきます
全体量を3回程度に分けて注いでいきますが、この時、ネルフィルターに直接お湯をかけないように注意してください。お湯がコーヒーと接触する前に落ちてしまい、しっかりとコーヒー成分が抜き出せなくなってしまいます。

抽出されたコーヒー液がサーバーにすべて落ちきったら、ネルドリップコーヒーの完成です!

使用後のネルフィルターのお手入れ方法

ネルフィルターはペーパーフィルターと違い、一度使って終わりではありません。これが「面倒」と思われる所以かもしれませんが、ネルの状態を見極めながら繰り返し使うので、おいしいコーヒーを淹れるためにも、フィルターの手入れはとても重要です。

新品のネルフィルターをおろすとき、使ったあとに保管するとき。
2つの工程におけるネルフィルターの取り扱い方法を解説します。

新品のネルフィルターをおろすとき

布に付着している糊やほこり、布独特の臭いを取るために、コーヒー液で20分程度煮だして、あらかじめコーヒーをなじませます。

煮る時に使うコーヒー液は、普通に淹れたコーヒーを使っても良いですし、コーヒーかすなどを煮出したものでも構いません。いずれの場合も、煮出した後、付着したコーヒーの粉をしっかりと洗い流してから使います。

使用後のネルフィルターの保管方法

ドリップした後のネルフィルターは、水洗いでコーヒーかすを取り除いてからお湯で煮沸します。煮沸が終わったら、もう一度コーヒーの微粉を完全に取り除くように丁寧に洗い、新鮮な水を張ったタッパーなどに浸して、冷蔵庫で保存しましょう。

ネルフィルターを使用しなくても、水は毎日取り替えてください。長期間使用しない場合は、水に張ったまま冷凍保存しても大丈夫です。

ネルフィルターのお手入れで絶対にNGなのは、天日で乾かすことです。
フィルターに残ったコーヒーの油分が酸化して、コーヒーの味に悪影響を及ぼしてしまうので、必ず保管方法を守りましょう。

ネルフィルターはしっかり水気を切るのがポイント

保管していたネルフィルターを使う際は、熱湯をかけて熱々のまま一度絞ります。このとき、やけどしないように注意してください。

その後、ネルフィルターを清潔なタオルなどで包み、“パンパンと強く叩いてよく水気を取ってから、しわを伸ばすように形を整えます。

この一連の作業を手早く行えば、ネルフィルターから水気がなくなり、かつ“ほかほかの温かい状態になり、コーヒーを淹れるのに最適の状態になっているはずです。

もし、フィルターに水気が残って冷たい状態になっていると、コーヒーの粉が冷えた水分に触れてしまうため、抽出の大切なポイントである「十分な蒸らし」ができなくなります。

さらに、抽出時のコーヒー液の温度も下がってしまうため、求めている飲み頃の温度や濃度にならない可能性もでてきますので、ネルフィルターの温度に気を付けましょう。

ネルフィルターの交換タイミングは?

ネルフィルターは、使い捨てではありませんが、洗うたびに起毛の繊維が減っていくため、使っていくうちにコーヒーの微粉がフィルターの布目に詰まりやすくなります。

コーヒー液がスムーズに抽出されにくかったり、抽出速度が遅くなっていると思ったら、ネルフィルターの交換時期です。

見極めが難しい時は、約20~30回の使用を目安に新品と交換する、と覚えておくといでしょう。毎日1回淹れる場合は、一ケ月に1回ですね。

ネルドリップで、いつもとひと味違うコーヒーを

ネルドリップは、ペーパードリップと比べて、お手入れなどの手間が少しかかります。淹れ方にもコツがいるので、慣れも必要かもしれません。

しかし、それらも含めて愛着の沸く淹れ方でもあります。
また豆の種類、焙煎度、挽き方、お湯の温度など、抽出工程でさまざまな選択肢を試行錯誤しながら「自分なりの注湯テクニック」を磨けることはネルドリップの大きな魅力であるとともに、コーヒーの世界をより深く知ることができるきっかけにもなるはずです。

「最高の抽出方法」で、一味違ったコーヒーの日常を楽しんでみてください。

ネル以外のコーヒーフィルターの特徴や、コーヒー豆の挽き方、少し変わったコーヒーのアレンジレシピを以下の記事でご紹介しています。
ぜひ色々と試して、お気に入りのコーヒーの味を見つけてくださいね!

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