コーヒーでプロポーズ!?エチオピアのコーヒー文化

東アフリカに位置するエチオピアは、コーヒーの発祥の地とも言われており、昔からコーヒー豆の栽培が盛んに行われてきた国です。

また、エチオピア国内では、家族や仲間と一緒にコーヒーを味わうことやコーヒーがお祝いの席に欠かせないなど、豊かなコーヒーカルチャーも根付いています。

今回は、エチオピアで長年受け継がれてきた独自のコーヒー文化について、いくつかご紹介します。

「モカ」とは、いわゆるエチオピアコーヒーのこと

エチオピアのコーヒーを飲んだことはありますか?

エチオピアコーヒーと言われるとあまりピンとこないかもしれませんが、「モカ」という名称ならば、聞いたことがあるという方も多いことでしょう。

実は、この「モカ」という名称は、エチオピアの対岸国である、イエメンの「モカ港」が由来となっているのです。

かつてはコーヒーを輸出する際にモカ港で船積みが行われていたことから、その港の名前を取って「モカ」と呼ばれるようになりました。
ただ、最近では、「モカ」ではなく、生産国名である「エチオピア」の名称で店頭に並んでいるケースもあります。

少し古い歌ですが、『コーヒールンバ』の歌詞に登場する「モカ・マタリ」は、実はイエメン産のコーヒーなのです。
イエメンの中部山岳地で栽培されている「モカ・マタリ」は、コクが強くて、爽やかな後味が特徴となっています。

この「モカ」のように、2ヶ国の間で同じコーヒーの名称を用いているというのは、そのほかの生産国ではほとんど見かけません。

「エチオピアコーヒー(モカ)」の特徴

エチオピアコーヒー(モカ)は、フルーティーな甘い香りが特徴です。
味に関しても、フルーツを食べているような酸味があり、苦味やコクは控えめとなっています。

香りがとても良いコーヒーなので、ワインを飲んでいるようだと評価されることもあります。

 

仲間と一緒にコーヒーを楽しむのがエチオピアスタイル


エチオピアでは、コーヒーは一人で飲むというよりも、仲間と一緒に楽しむものと認識されています。

エチオピアの伝統的なコーヒーセレモニーである「カリオモン(Kariomon)」

“コーヒーの葉”を意味する「カリ(Kari)」、“一緒に”を意味する「オモン(Omon)」の2つの単語から構成されており、両者を組み合わせて「コーヒーを一緒に飲む仲間」という意味になります。

また、100にも及ぶ言語があるエチオピアでは、コーヒーは「ティカ (tika)」「ジア (gia)」など、地域や部族によって幾通りもの呼び名があります。
そのようなローカルな愛され方からも伺えるように、エチオピアでは、昔からコーヒーが人々や文化と深く結びついている国なのです。

 

人生の節目にも欠かせない!エチオピアではコーヒーでプロポーズ

エチオピアでは、冠婚葬祭をはじめ、人生の節目ごとにコーヒーが必ず登場します。

エチオピア西南部のある部族たちの間では、なんと、コーヒーを使ってプロポーズをする文化があるのです。

世界でも珍しいコーヒーでのエチオピア式プロポーズとは?

エチオピアでは、若い二人を結びつけようとする青年の父親が、夜のうちに相手の母親宅へコーヒー生豆(なままめ)を黙って置いてくることが「プロポーズの証」とされています。

翌朝、母親が「これは誰が持ってきたコーヒーか」と尋ねると、その問いを持ちわびた若者が「私です」と現れて、結婚の交渉が始まります。

■ コーヒーに塩を入れる

まずは、娘の母親がその豆でコーヒーを淹れ、家族みんなで味わいます。

ちなみにエチオピアでは、古くからの一般的な飲み方として、コーヒーに “塩”を入れて飲む習慣があります。
エチオピアコーヒーは酸味があることから、塩を少し加えることで中和されてバランスの良い味になるのだそうです。

■ 人柄や財力チェック

次に、娘の父親が、結婚相手となる青年の人柄や財力を確かめます。
もしも、青年が部族の財産であるウシを十分に持っていないと判断した場合には、「さっき飲んだコーヒーは水だった」という断り文句を伝えて、求婚は破談になってしまいます。

エチオピアでは、ウシをたくさん持っていることが結婚の重要な条件とされているのです。

■ コーヒーだと認められたらプロポーズ成立!

娘の父親から、コーヒーだと認められることは、無事に結婚が認められたということになります。
そして、コーヒーはたちまちおめでたい祝いの一杯になるのです。

プロポーズ成立後は、みんなでコーヒーを飲みながらお祝いするのが、エチオピアの慣習です。

■ 「喫茶」という言葉には結納の意味がある

エチオピアで、プロポーズの際にコーヒーが登場する理由は、大地に根を張るコーヒーの木のように、ずっと添い遂げるという意味があるからです。

ちなみに「喫茶」という言葉には“お茶を飲む”という意味のほかに、縁組みをとりきめる“結納”という意味があると漢和辞典に記されています。
お茶の木は一度植えると移植ができないことから、婚約を交わした者同士が一生添い遂げるようにとの願いが込められているのだそうです。

 

コーヒーの文化や考え方が違うからこそ面白い

コーヒーの生豆をプロポーズに用いることは、現在のエチオピア全土の慣習ではありません。
ご紹介したコーヒーのプロポーズは、エチオピアの一部の部族間でのみで行われてきた習慣です。

ですが、今でもエチオピアの人たちは、豊かな自然環境、独自の信仰による複雑なコーヒー文化を大切にしており、時代の変化に合わせながら暮らしています。
プロポーズに限らず、人生のあらゆる場面においていつもコーヒーが身近にあるのがエチオピア流の人々の暮らし方なのです。

ところ変われば、コーヒーの飲み方だけでなく、考え方が異なるのは当然でしょう。
でも、コーヒーを飲めば、そんな違いも楽しみながら受け入れやすくなるかもしれません。

エチオピアコーヒーを味わいながら、コーヒーを育む大地に生きる国の人たちと私たち日本人の距離感をほんの少しだけ縮めてみませんか?

コーヒーが生まれた国の文化のことを知れば、今まで感じたことのない新たなおいしさが発見できるかもしれません。

コーヒー豆の種類や特徴については、こちらの記事で詳しく解説しています。

コーヒー豆の種類と特徴|産地で変わる味の違いや豆の選び方

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