しかし、ペーパードリップと一口に言っても、必要な器具はさまざまです。
特に「コーヒードリッパー」は必需品ですが、さまざまな種類があるため、なかなか選べないなんてことも。
今回は、自分に合ったコーヒードリッパーを見つけるために、ドリッパーの種類や特徴を踏まえた選び方のポイントをご紹介します。
様々な形状の種類やメーカーの特徴を比較しながら、ぜひご自身に合うコーヒードリッパーを見つけてみてください。
INDEX
「コーヒードリッパー」とは?
「コーヒードリッパー」とは、コーヒーの粉を入れたフィルターをセットして固定するための器具です。
コーヒーの粉にお湯を注ぎ、フィルター内で抽出されたコーヒーが、ドリッパーの底にあいている穴から、サーバーやカップへ落ちる構造になっています。
全体の形状や、底の穴の大きさや数、内側のリブ(溝)の形や数、素材などの違いで色々なバリエーションがあり、選ぶドリッパーによって抽出するコーヒーのテイストを変化させることができます。
自分の好みに合ったドリッパーを見つけることができれば、よりコーヒーを楽しむことができるアイテムです。
まずはコーヒードリッパーの大まかな分類と、それぞれの特徴を見ていきましょう。
コーヒードリッパーの種類と違い
コーヒードリッパーには形状など様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。
まずは、ドリッパーの形状や代表的な種類についてご紹介していきます。
メーカーによっても特徴がさまざまなので、どのタイプがお好みにぴったりなのか比較してみてください。
ドリッパーの形状は大きく分けて「円錐型」と「台形型」の2種類
▲左が円錐型、右が台形型
1. 「円錐(えんすい)型」のコーヒドリッパー
円錐型は台形型に比べると穴が大きく、中心に集まったお湯がそのまま下に落ちます。そのため、お湯の注ぎ方で味わいも変わります。
自分好みの味に仕上げるためには、注ぐお湯の量や速さをコントロールする必要があるので、円錐型のコーヒードリッパーはどちらかと言えば「中級者以上向け」かもしれません。
2. 「台形型」のコーヒドリッパー
台形型の中でも、穴の数や大きさは多種ありますが、円錐型に比べると比較的穴が小さく、コーヒー液がドリッパーの底の方に溜まってから落ちる構造になっています。
つまり、台形型のドリッパーは、お湯の注ぐ速度にコーヒーの味が左右されにくい、というメリットがあります。
その点で台形型は、円錐型と比べて「初心者向き」と言えるかもしれません。
「リブ(溝)」の形状による違い
▲リブの違い:先程のドリッパーを真上からみたところ
ドリッパーの内側には「リブ」と呼ばれる溝があります。
このリブがあることで、ペーパーフィルターがドリッパーに密着するのを防ぎ、コーヒーに含まれるガスの抜け道にもなります。
リブは直線のもの、螺旋状のものなど、メーカーによってさまざまな種類があります。
リブの形状によって、お湯の流れが変わり、コーヒーの味にも変化が生まれます。
代表的なドリッパー「メリタ式」「カリタ式」「ハリオ式」の違い
「メリタ」「カリタ」「ハリオ」の名前を聞いたことはありますか?
それぞれ、コーヒー器具を開発・販売している定番メーカーの名前です。
ちなみに「Melitta(メリタ)」社は、ペーパードリップシステムを世界で初めて考案したドイツの会社で、「Kalita(カリタ)」「HARIO(ハリオ)」は日本の企業です。
ドリッパーを製造・販売しているメーカーはたくさんありますが、この3社のコーヒードリッパーは、それぞれが特徴的な形をしているため、「メリタ式」「カリタ式」「ハリオ式」と呼ばれます。
その形状の違いから、抽出したコーヒーの味にも特徴があると言われています。
メリタ式
「メリタ式」は台形型のドリッパーで、底に小さな穴が一つあいているタイプです。
コーヒー液の出口が小さいことで抽出速度が一定になり、味がブレにくいのが大きな特徴です。
抽出にかかる時間が長くなるため、味わいの傾向としては、比較的濃厚感の強いコーヒーになります。
カリタ式
「カリタ式」は台形型で、底の穴が三つあいているタイプのコーヒードリッパーです。
一つ穴のメリタ式と比較すると、抽出速度が速くなるため、お湯のコントロール次第で味にも変化が出ますが、バランスのとれた味わいのコーヒーになります。
ちなみに、カリタには「ウェーブ式ドリッパー」と呼ばれるドリッパーもあります。台形でも円錐でもない独自の形状をした波型フィルター用専用のドリッパーで、それらも「カリタ式」として人気です。
ハリオ式
「ハリオ式」は円錐型のドリッパーで、底に大きな穴が一つだけ開いた形状です。
お湯の注ぎ方次第で抽出される速度も変わるので、ある程度慣れは必要ですが、お湯がコントロールできるようになれば、様々な味わいを楽しむこともできます。
味わいの傾向としては、お湯の落ちる速度が比較的早いため、雑味の少ないすっきりとしたコーヒーになります。
定番メーカーのおすすめ人気コーヒードリッパー3選
「具体的にどんなドリッパーがあるの?」という方のために、各メーカーの代表的な定番のコーヒードリッパーと、その特徴をご紹介します。
1. Melitta(メリタ)「アロマフィルターAF-M 1×1」
メリタの「アロマフィルター」は、穴の位置が底よりも少し高いところにあり、お湯が底に溜まる構造です。
そのため、抽出時間が長くなり、コーヒーの香りを引き出しやすくなっています。
【特徴】
- 一つ穴で、穴自体も小さいため、お湯が底に溜まることで抽出速度を一定に保てる
- ドリップの技術に大きく左右されることなく、一定の味わいのコーヒーが淹れられるが、味に変化はつけにくい
- 細口ポットで注ぐ必要がないため、ヤカンなどでもドリップできる
商品ページ:メリタ「アロマフィルターAF-M 1×1」
2. Kalita(カリタ)「101-D」
カリタの「101-D」は、台形型で三つ穴が開いている、最もポピュラーなタイプのドリッパーです。
道具が手に入りやすく、味のブレもそれほど大きくならないことが特徴です。
【特徴】
- 三つ穴で、リブが上部までついているため、コーヒーの抽出速度は速め
- 販売店が多く値段も安いため、比較的手に入りやすい
- コーヒーの味に、ある程度の変化はつけることができる
商品ページ:カリタ「101-D」
3. HARIO(ハリオ)「V60透過ドリッパー01クリア」
ハリオの「V60透過ドリッパー01クリア」は、ネルドリップのようなコーヒーのなめらかな美味しさと、ペーパードリップのような手軽さの両立を目指して作られたコーヒードリッパーです。
【特徴】
- カリタ式やメリタ式に比べ底の穴が大きいため、お湯が底に溜まらない
- お湯を注ぐ速度によって、味の変化が大きい
- 味をコントロールするためには、ある程度の技術が必要
商品ページ:ハリオ「V60透過ドリッパー01クリア」
自分に合ったコーヒードリッパーを選ぶコツ
コーヒードリッパーを選ぶ時は「どのような使い方をしたいか」を考えてみましょう。
ドリッパーごとの特徴や、メリット・デメリットを踏まえて、自分に合うドリッパーを探してみてください。
ここでは、使い方やタイプごとにオススメのドリッパーをご紹介します。
「淹れ方を工夫して、コーヒーの味の違いを楽しみたい方」にオススメのドリッパー
「せっかくハンドドリップに挑戦するなら、自分なりに淹れ方を工夫して味の違いを楽しみたい」という方には、注ぐお湯をコントロールして味に変化をつけられるドリッパーが良いでしょう。
代表的な種類だと、「カリタ式」や「ハリオ式」のドリッパーがオススメです。
特に、ハリオ式のドリッパーの場合、お湯を落とす速度をコントロールできれば、さっぱりした味からコクのある味まで幅広く楽しむこともできます。
慣れないうちは苦戦するかもしれませんが、上達する喜びを味わえるのもハンドドリップの醍醐味です。
「機能性とおしゃれなデザイン、両方こだわりたい方」にオススメのドリッパー
代表的なメーカー以外にも、さまざまな器具メーカーからコーヒードリッパーが販売されています。
「TORCH(トーチ)」から出ている「マウンテンドリッパー」や「ドーナツドリッパー」は、丸みを帯びた可愛らしいデザインが魅力的なアイテムです。
アメリカの「CHEMEX(ケメックス)」のドリッパー&サーバーがひと続きになった個性的なデザインは、まるで芸術品のような存在感で愛好家も多い逸品です。
折り紙を折って作ったような一風変わったデザインが魅力的な「ORIGAMI(オリガミ)」や、豊富なカラーリングでポットなどとシリーズでコーディネートを楽しめる「ZERO JAPAN(ゼロジャパン)」など、様々なメーカーから個性豊かなコーヒードリッパーが販売されています。
ユニークな形のものや、おしゃれな見た目のものも続々登場しているので、機能面はもちろんのこと、デザインを重視して選んでみるのも面白いですね!
「手軽に美味しいコーヒーを淹れたい方」にオススメのドリッパー
「テクニックはないけれど、美味しいコーヒーをすぐに淹れてみたい」という方は、ぜひ「メリタ式」のドリッパーを使ってみてください。
「アロマフィルター」をはじめとするメリタ式のドリッパーは、お湯の注ぎ方に抽出速度が影響しにくいため、味がブレにくく安定した味わいのコーヒーが淹れられます。
コーヒードリッパーによる味わいの変化で、ハンドドリップをさらに楽しもう
「コーヒードリッパー」はシンプルな器具ですが、実はコーヒーの味を左右する、かなり奥深いアイテムです。
ドリッパーの種類や形状ごとの特徴を把握し、自分の目的に合ったものを選ぶことで、家淹れをより魅力的なものへと変えてくれるはずです。
ひとつのアイテムに慣れてきたら、次は異なるタイプのドリッパーを手に入れて、使い勝手やコーヒーの味の違いを楽しんでみるのも良いかもしれません。
ぜひ、お気に入りのドリッパーを見つけて、家淹れを楽しんでください。
関連記事
こちらの記事では、コーヒーフィルターについてご紹介しています。
フィルターの素材によって味わいにも変化があるので、参考にしてみてください。
お気に入りの器具を揃えたら、ハンドドリップの美味しい淹れ方もマスターしてくださいね!