コーヒーオイルとは?豆の油脂分の役割とオイルを含むコーヒーの楽しみ方 | コーヒーと、暮らそう。 UCC COFFEE MAGAZINE

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コーヒーオイルとは?豆の油脂分の役割とオイルを含むコーヒーの楽しみ方

カップの中の液面に浮き出した油や、コーヒー豆の表面のテカリが気になったことはありませんか?

その正体は「コーヒーオイル」と呼ばれる、コーヒーの油脂分です。

今回は、コーヒーの楽しみ方をひとつ深める「コーヒーオイル」について解説します。

そもそも「コーヒーオイル」って?

コーヒー豆の表面のテカテカ油、カップの中の液面に浮かぶ油膜……
コーヒーを淹れたり飲んだりする時に気になったことがあるのではないでしょうか?

「飲んでも大丈夫なの?」と身体への影響を不安視する声を聞くこともありますが、この正体は、コーヒーの油脂分、つまり「コーヒーオイル」が浮き出たもの。

焙煎する前の「生豆(なままめ)」と呼ばれる状態のときは、およそ油っ気など感じられない見た目ですが、実はコーヒーはもともと油脂分を含んでおり、焙煎したコーヒー豆の約15%を占めると言われています。

コーヒー豆の油脂分が出てくる仕組み

コーヒーオイルが滲み出すメカニズムには、焙煎が大きく関わっています。

コーヒー豆を焙煎すると、熱が加わることで生豆に含まれている水分が蒸発します。すると、水蒸気の圧力が豆の組織を急激に破壊し、体積が約1.4~1.7倍ほどにふくらみます。

破壊されてもろくなった結果、コーヒー豆の表面に細かな亀裂が生じて内側に閉じ込められていた油脂分がにじみ出す……。

これが、コーヒー豆のテカリの正体です。

また、コーヒー豆は熱の加え方によって、浅炒りから深炒りまで焙煎度が進んでいきます。そして焙煎度が深くなるほど、コーヒー豆は膨張し、もろくなり、コーヒーオイルがより滲み出してきます。

「色の濃い=焙煎度の深い」コーヒーほど、表面がつやつやとしているのはそのためです。

 

コーヒーオイルがもつ役割とは?

コーヒーオイルは、コーヒーの風味を左右する要素のひとつです。

淹れ方にもよりますが、深炒りのコーヒー豆はコクのあるどっしりとした口当たり、焙煎が浅めのコーヒー豆はスッキリとした軽やかな口当たりになりますよね。

これは、深煎りのコーヒーは油がよく滲み出しているのでしっかりとしたコクを感じられ、反対に、浅煎りのコーヒーは深煎りよりも滲み出した油が少ないのですっきり感じるのです。

また、コーヒーオイルは香味成分が多く含まれているため「アロマオイル」と呼ばれることもあります。

「浮いていて良いの?」と訝しく思われてしまうことさえあるコーヒーオイルは、実はコーヒーの味わいや香りに大きな影響を与えている、重要なキーマンなのですね。

 

抽出方法によってコーヒーオイルの量が変わる

いつもコーヒーを飲んでいるけど、「油脂分が気になったことはないなぁ」という人と、「実は結構気になっていたんだよね」という人がいるのではないでしょうか。

それは、抽出方法が違うのかもしれません。

コーヒーを淹れる時に使う抽出器具によって、コーヒーへ入り込むコーヒーオイルの量は変わってきます。

たとえば、同じ「ハンドドリップ」で淹れていても、使用するフィルターの素材によってコーヒーオイルの量が異なります。

紙製のペーパーフィルターは、紙の細かな繊維が油脂分を吸着しフィルター内に留めることで、軽い味わいのコーヒーに仕上げてくれます。

一方で、金属製のフィルターを使用すると、油脂分は吸着されることなくコーヒーへ落ちてゆき、コーヒーオイルがダイレクトに感じられる深みのある味わいになります。

他に、家庭でもよく使われるカフェプレスは、フィルター部分が金属になっているものが多く、コーヒーオイルをより感じられる淹れ方のひとつです。

エスプレッソの美味しさを支えるコーヒーオイル

イタリア生まれのエスプレッソは、その濃厚な味わいが魅力です。そんなエスプレッソでも、コーヒーオイルが非常に重要な役割を果たしています。

口当たりがまろやかでおいしいエスプレッソには、表面に赤褐色のきめ細かな「クレマ」と呼ばれる泡の層があります。実は、そのクレマとは、コーヒーオイルが乳化した姿なのです。

「乳化」とは、本来混ざり合うことのないもの同士が均一に混ざり合うことを指します。エスプレッソ専用のマシンを使い、高い圧力をかけながらコーヒーオイルと湯水の乳化を促すことで、クレマが生まれるのです。

コーヒーオイルをたくさん含んだ深煎り豆がエスプレッソに使われているのは、このクレマを生み出すためなのです。

注意したいのは、コーヒー豆に含まれる油の「酸化」

コーヒーに限ったことではありませんが、油脂分は空気に触れることで酸化し、食品の場合は味わいにも影響がでます。

コーヒーの場合も、密封されておらず保存状態が悪かったコーヒーは、コーヒーオイルが酸化してしまっている可能性もあります
一見わからなくとも、豆や粉から酸化臭がしたり、コーヒーの風味が著しく落ちていたりした場合、飲むのは控えた方が良いでしょう。

コーヒーは乾物のように扱いがちですが、油脂分が含まれることを知ると、生鮮のように扱わなければいけない理由も納得ですよね。

最後までおいしく味わうためにも、豆でも粉でも正しく適切に保管し、早めに飲みきるよう心がけましょう。

できるだけおいしさを保つコーヒーの保管方法は、こちらの記事で解説しています!
鮮度を保って最後の一杯までおいしさをキープしましょう。

鮮度を保つコーヒー豆の保存方法|粉の保管場所・期間・豆の選び方を解説

コーヒーオイルを活かした楽しみ方

コーヒーの持つ油脂分、コーヒーオイルのこと、なんとなくわかってきましたか?
では、家淹れでより美味しく味わうための工夫も紹介しましょう。

コーヒーオイルたっぷり、ワンランク上の「カフェオレ」へ

コーヒーオイルは、乳脂肪分と相性抜群!

前述したエスプレッソにミルクを組み合わせて、カプチーノマキアートにすると、おいしさの幅が何倍にも広がります。クレマのまろやかなコクがミルク感をしっかりと受けとめてくれるのです。

ただ、家淹れでエスプレッソやスチーム(蒸気)で泡立てた牛乳を作るには、専用器具が必要です。

そこで、自宅でも手軽に楽しむなら、温めた牛乳を合わせるカフェオレをおすすめします。

おいしいカフェオレを作るコツは、ミルクに負けない濃厚なコーヒーを使うこと
コーヒーを抽出する時に、コーヒーオイルをしっかりと引き出すことも意識してみてください。

例えば、フレンチプレスを使ってフレンチロースト以上の焙煎深めのコーヒー豆を選んでみると、しっかりとしたコクや味わいのコーヒーが出来上がるでしょう。

おうちで作れる本格カフェオレの作り方は、こちらでも詳しく紹介しています。

おうちでできる本格カフェオレの作り方|ホットカフェオレやアレンジレシピも

コーヒーオイルと濃厚なお菓子は、抜群のペアリング

また、コーヒーそのものの工夫だけではなく、相性の良い食べものと合わせて、フードペアリングを楽しんでみましょう。

フードペアリングとは、相性の良い組み合わせを考え、それぞれの良さを引き出す楽しみ方です。ワインでも食事とワインの相性の良さを結婚に例えて、「マリアージュ」と言いますよね。

コーヒーオイルを多く含むしっかりとした味わいのコーヒーには、同じくしっかりめの食べものが合います。

例えば、

  • バターやクリームを使ったスイーツ
  • チョコレートのコク深さやほろ苦さを味わえるチョコレートケーキ
  • クリームチーズをたっぷり使ったベイクドチーズケーキ

こういったコクのあるスイーツとコーヒオイルは、特に相性抜群です。

ちなみに、グァテマラ産の深炒り豆をフレンチプレスで淹れて、ガトーショコラと組み合わせて食べるのが、MAGAZINEスタッフの今のお気に入りです。

ぜひ「濃厚感」をキーワードに、自分にとってのベストな組み合わせを見つけてみてください。

 

コーヒーオイルを意識して、コーヒーの楽しみ方をもっと広げよう!

コーヒーに含まれる天然成分、コーヒーオイル。実は、コーヒーの風味やアレンジに重要な役割を果たしているんですね!

コーヒーオイルを意識して、焙煎度や抽出方法を選べば、もっと奥の深いコーヒーの世界が広がるでしょう。

これまで気にかけていなかったという方も、コーヒーオイルについて少し理解を深めてもらえたでしょうか?
今後のコーヒー豆の選び方や楽しみ方の参考になることを願っています。


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