シンプルで初心者にもおすすめのペーパードリップですが、未経験者の方にとっては「必要な器具ってなんだろう?基本的な淹れ方やコツはなんだろう?」と、たくさんの疑問があるかもしれませんね。
そこで今回は、ペーパードリップの基本的な淹れ方、必要な器具、おいしく淹れるちょっとしたコツをわかりやすくまとめました。
さらに、その他の抽出方法を数種類ご紹介していますので、ぜひご覧ください。
INDEX
ペーパードリップの特徴とは?
「ペーパードリップ」は、ペーパーフィルターにセットしたコーヒーにお湯を注ぎ、お湯の重みだけで成分を抜き出す抽出方法。フィルターが紙であることが大きな特徴です。
ペーパーフィルターはドリップのたびに新しいものを使うため、布製フィルターのネルドリップや、金属製フィルターを使うフレンチプレスのように、毎回フィルターを洗う必要がありません。
また、ペーパーフィルターの繊維質は細かく、コーヒーの雑味などを濾してくれますので、すっきりした味わいのコーヒーを淹れることができます。
ペーパードリップはシンプルな抽出方法ですが、ドリッパーの種類も豊富で、技術によって味の変化も楽しめる奥の深い抽出方法でもあります。
ペーパードリップに必要な道具
ペーパードリップに必要な道具は、基本的に以下の5つです。
- ドリッパー
- ペーパーフィルター
- ドリップポット
- コーヒーサーバー
- メジャースプーン、キッチンスケール
それぞれの使い方や、特徴などについてご紹介します。
ドリッパー
「ドリッパー」は、内側にコーヒーの粉を入れたペーパーフィルターをセットして、コーヒーを抽出するための道具です。
上からお湯を注ぐことで、フィルター内でコーヒーが抽出され、ドリッパーの底の穴からサーバーやカップに落ちる仕組みになっています。
形状や、底の穴のサイズや数、内側のリブ(溝)の形や数、素材などの違いでいろいろなバリエーションがあり、使用するドリッパーによって抽出するコーヒーのテイストを変化させることができます。
ペーパーフィルター
「ペーパーフィルター」は、お湯を注いだ際にコーヒーを濾してくれるもので、ドリッパーの内側にセットして使います。
ペーパーフィルターの形は、ドリッパーの形状に合わせて、台形用のもの、円錐形用のものがあります。
サイズも、1~2人用、4~6人などいくつかの種類があるので、使うドリッパーに対応したペーパーフィルターを選ぶようにしましょう。
紙質は、茶色い無漂白タイプと、白い漂白タイプから選ぶことができます。
紙製のほかにも、布製や金属製のコーヒーフィルターがありますが、ペーパーフィルターは使った後そのまま捨てられるので、お手入れが簡単な点が大きな特徴です。
ドリップポット
「ドリップポット」は、ハンドドリップをしやすいように作られたポットで、注ぎ口が細くなっているのが特徴です。
一般的なポットの場合、少量のお湯を注ごうとすると湯量が安定せず、お湯が出過ぎたり、途切れたりしてしまいます。
細口のドリップポットを使えば、少量のお湯を、途切れさせることなく一定の量で注ぎ続けることができます。
ハンドドリップにとって理想的な注ぎ方ができるので、コーヒーを淹れるのがさらに楽しくなりますよ。
直接お湯を沸かせるタイプものもありますが、注ぐためだけのドリップポットもあるため、購入時にはしっかり確認しておきましょう。
コーヒーサーバー
「コーヒーサーバー」は、ドリッパーから落ちてくるコーヒーを受け止めるための容器です。
ほとんどのサーバーには目盛りがついているため、抽出する際の目安になります。
1杯分しか淹れない場合はカップに直接ドリップする方法もありますが、一度に複数杯淹れたい場合には、サーバーを使いましょう。
メジャースプーン・キッチンスケール
「メジャースプーン」は、コーヒーの豆や粉をすくう際に大まかな分量を量るための道具です。
木製やステンレス製、銅製など、いろいろな素材のものがあります。
スプーン1杯の分量は実は決まっておらず、メーカーや種類によってさまざまです。
目安として使うには便利ですが、正確に分量を計りたい場合は、キッチンスケール(電子はかり)を用意することをおすすめします。
■キッチンスケールでコーヒーの量をはかる方法
キッチンスケールでコーヒーの量をはかる手順をご紹介します。
1. ドリッパーにフィルターをセットする
2.ドリッパーをキッチンスケールに乗せる
3.キッチンスケールの電源を入れる
4.キッチンスケールのメモリを0(ゼロ)にセットする
5.フィルターにコーヒーの粉を入れる
これで、必要な量のコーヒーを正確にはかることができます
ペーパードリップの入れ方 | おいしく淹れる5つの手順
ペーパードリップする際の手順やコツ、気をつけたいポイントをご説明します。
1. お湯を沸かす
コーヒーを抽出する際、お湯の温度の目安は95℃前後です。
沸騰したら、そのまま注ぐのではなく、お湯が適温になるまで冷ましましょう。
■サーバーやカップを温めておくべき理由
おいしいコーヒーを淹れるには、ドリッパーやサーバー、カップなどにあらかじめお湯を入れて温めておくことが大事です。
できたてのコーヒーを注ぐサーバーや器を先に温めておかないと、コーヒーをドリップしているあいだに湯温が下がってしまいます。コーヒーを飲む際に理想的な温度よりも下がっていると、おいしさが半減してしまいます。
2. ペーパーフィルターをドリッパーにセットし、コーヒーの粉を入れる
ペーパーフィルターは接着部分を折り、ドリッパーとのあいだに隙間ができないようにセットします。その際に、2箇所の接着部分を互い違いに折ることがポイントです。
粉の量をスケール(電子はかり)などではかり、フィルターに入れます。
この時、お湯を注ぐ前に、ドリッパーを軽くゆすって粉の表面を平らにしておきましょう。
粉の表面が偏ったままだと、お湯が粉の少ないほうへ流れてしまい、全体に浸透しにくくなるからです。
コーヒーの成分をまんべんなく引き出すために、粉が平らになっているかを確認しましょう。
■コーヒーは「中細挽き」、粉の量は淹れる杯数に合わせて
コーヒーを豆から挽く時は、ペーパードリップに適した「中細挽き」がおすすめ。
ペーパーフィルターに入れるコーヒー粉の量は、1杯分でおよそ10~12gです。
【コーヒー粉の目安量】
- 1杯分:10〜12g
- 2杯分:20g
- 3杯分:25~30g
- 4杯分:35〜40g
3. お湯を少量注いでコーヒーの粉を蒸らす
1杯分のコーヒーを淹れるなら、まず、約20ccのお湯を目安にコーヒーの粉に均一に注ぎます。
その際、コーヒーの粉の表面を荒らさないよう、そっとお湯をのせるようなイメージで注ぎましょう。
お湯を注いだら、20秒ほどそのまま置いて蒸らします。
■コーヒーを蒸らすことで深い味わいになる
この「蒸らし」の工程は、コーヒーを淹れるうえでのとても重要なポイントです。
蒸らすことで、コーヒーの中に残るガスが追い出され、お湯とコーヒーの粉がよく馴染むようになります。
蒸らしの工程をしっかり行わないと、コーヒーの成分を十分に引き出すことができず、軽い味わいになってしまうこともあります。
ペーパードリップの際は、「蒸らし」の工程を必ず行うようにしましょう。
4. 3回に分けてお湯を注ぐ
コーヒーを淹れるときは、できればドリップポットを使い、中心から小さな「の」の字を書くように優しく注ぎましょう。
注ぐ際は、80cc→40cc→20ccを目安に3回に分けて注ぐと、ちょうどコーヒーカップ1杯分になります。
(蒸らしで注いだ20ccは粉に吸収されるため、出来上がりは約140ccになります)
注いだお湯が落ちきってしまう前に、次のお湯を注ぐのがコツです。
お湯を注ぐとき、直接フィルター側へ回しかけてしまうと、お湯がサーバーを伝って流れてしまいます。そうなるとコーヒーの成分をしっかり抜き出せなくなってしまうので、中心から注ぐようにしましょう。
5. 抽出したコーヒーを軽く混ぜて出来上がり
抽出したコーヒーを軽く混ぜ、全体を均一に整えて出来上がりです。
台形型ドリッパーと円錐型ドリッパーはどう違う?
前述のとおり、ドリッパーには大きく分けて「台形型」と「円錐形」の2つがあり、ペーパーフィルターの形状もそれによって変わってきます。では、その2つは一体何が違うのでしょうか。それぞれの特徴は以下の通りです。
台形型ドリッパー(写真右)
台形型のドリッパーは、ドリップしたお湯が一度底のほうに溜まってから落ちる仕組みになっています。
お湯の注ぐ速度で味が左右されにくいため、円錐型よりは、初心者向けと言えます。
また、ポピュラーな台形型のペーパーフィルターはスーパーなどでも手に入りやすいのもメリットです。
代表的なコーヒー器具メーカーである「カリタ(カリタ式)」「メリタ(メリタ式)」などの代表的な商品はこの形です。
円錐型ドリッパー(写真左)
円錐型のドリッパーは、台形型と比較すると、コーヒーの層が縦に厚くなる形状で、底の穴も大きいものが多いのが特徴です。
そのためお湯が底に溜まることなく落ちるため、注ぎ方によって味わいが変わってきます。
好みの味にするためにはお湯の量や速さをコントロールする必要があるため、中級者以上向きと言えるかもしれません。
「ハリオ(ハリオ式)」や「コーノ(コーノ式)」といったメーカーの代表的な商品はこの形です。
ペーパードリップとその他の抽出方法の違い
家でコーヒーを淹れる方法には、ペーパードリップ以外にも、ネルドリップやフレンチプレスといったいくつかの種類があります。
それぞれ、使う道具や抽出方法に特徴があり、味も淹れ方の種類によって異なります。
ネルドリップ
「ネルドリップ」は”フランネル”という織物で作られたフィルター(ネルフィルター)を使って、コーヒーを抽出する方法です。
ネルフィルターは、抽出されたコーヒー液の中の粒子がネルの起毛面にとどまり、液体側に落ちるのを防ぐため、より「舌触りの滑らかなコーヒー」を淹れることができます。
1回ずつ使い捨てるペーパーフィルターと違い、ネルフィルターは使うたびにしっかりと洗浄し、布の中に残った油脂分が酸化しないように水に浸して保存するなど手間がかかります。
しかし、ネルドリップを「最高の抽出方法」と言うコーヒー愛好家も少なくありません。
ネルドリップについては、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
ネルドリップとは?おいしい淹れ方・味の違い・必要な器具などを解説
フレンチプレス
「フレンチプレス」は、挽いたコーヒー豆とお湯を注いで数分置いた後、金属フィルターでコーヒーの粉を押さえて注ぐだけで、コーヒーを淹れることができます。
ドリップの際、ある程度の技術を必要とするペーパードリップやネルドリップと違い、湯量や粉の量、蒸らし時間など、手順を守って作りさえすれば、誰でも簡単においしいコーヒーを淹れることができるのが、フレンチプレスのいいところです。
ペーパードリップの場合、ペーパーフィルターがコーヒーの油分も濾すため、すっきりとした味わいになりやすいですが、フレンチプレスの場合は、金属フィルターが油分を通すため、コーヒーオイルを含んだコクのあるコーヒーに仕上がります。
フレンチプレスでコーヒーをおいしく淹れる方法については、こちらでご紹介しています。
フレンチプレスでコーヒーを美味しく淹れる|分量・抽出時間・豆選び・使い方まとめ
シンプルだけど、奥深い。ペーパードリップに挑戦しよう!
家淹れに挑戦する際、ペーパードリップは最初にチャレンジしてほしい、最も身近な抽出方法のひとつです。
道具も揃えやすく、複雑なことをする必要もありませんが、淹れ方はシンプルであっても、こだわり方によってコーヒーの味わいがまったく変わってくる、奥の深い抽出方法でもあります。
ドリップが上達する楽しみや、お気に入りの豆を選ぶ楽しみ、おしゃれなデザインの道具を揃える楽しみ、もちろんおいしいコーヒーを飲む楽しみなど、たくさんの魅力が詰まったペーパードリップ。
興味がある方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
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