「カフェラテ」や「カプチーノ」といったメニューも、すっかりお馴染みになりましたね。
そんなお店で、たまに『ドリップコーヒー』の表記を見かけることがあります。
「ん?コーヒーってそもそもドリップしているものだよね?なぜわざわざ『ドリップ』を掲げるのだろう?」と、不思議に思ったことはありませんか?
今回は、そんなドリップの奥深い世界について…少し掘り下げて解説していきます。
INDEX
そもそもドリップコーヒーとは?
英語のドリップ(Drip)には、「滴る(したたる)」という意味があります。滴り落ちるように抽出されるコーヒーだから、ドリップというのですね。
ドリップコーヒーは、主にハンドドリップやフィルターを使うコーヒーマシンなど、『コーヒーにお湯を注ぎ、お湯の重みだけで成分を抜き出す方法』で抽出したコーヒーのことを指します。
「エスプレッソ」と「ドリップコーヒー」を区別する理由は?
カフェでおなじみの「エスプレッソ」も、マシン内部ではコーヒーにお湯を注いで淹れています。
エスプレッソの特徴として、圧力をかけながら短時間で抽出するため、出来上がりはコーヒーの油分をしっかりと混ぜ込んだ濃厚な液体になります。
つまり、同じコーヒーでも、かなり違った味わいのものになるのですね。そのことをわかりやすく伝えるために、エスプレッソベースのメニューがメインのお店の場合、ハンドドリップなどで淹れたコーヒーメニューをあえて『ドリップコーヒー』と分けて書いているようです。
ハンドドリップはひと手間でもっとおいしくなる
お店で飲む、ハンドドリップのコーヒーはとってもおいしいですよね。
ハンドドリップで淹れるドリップコーヒーのおいしい淹れ方は、以下の記事で詳しくご紹介しています。試してみたい方は、ぜひ記事をご覧ください!
▼ハンドドリップのおいしい淹れ方についてはこちら
コーヒーの淹れ方は大きく「透過法」「浸漬法」の2種類
コーヒーの器具は形も使い方も様々なものが存在しますが、「コーヒーとお湯の接触方法」という切り口で見てみると、大きく2つのパターンに分けることができます。
2種類の淹れ方を、詳しく見ていきましょう。
①透過法(とうかほう)
まず一つ目の「透過法(とうかほう)」は、コーヒーの粉にお湯を注ぎ、お湯がその重みで通過する間に『ろ過』して成分を抜き出す淹れ方です。
短時間で抽出が完了するため、比較的スッキリした味わいになるのが特徴です。お湯が落ちていく限られた時間の中で、いかにコーヒーの持ち味を抜き出せるかが鍵になります。
■「透過法」で淹れるコーヒーの器具
- ペーパードリップ
- ネルドリップ など
②浸漬法(しんしほう)
「浸漬法(しんしほう)」では、コーヒーの粉をお湯の中に浸しながら少し時間を置くことで、成分をお湯の中に浸みださせて抽出します。
コーヒーの粉がお湯に完全に浸るため余すことなく成分を抜き取りやすい分、雑味も出やすくなりますが、しっかりしたコクのある味わいになります。
■「浸漬法」で淹れるコーヒーの器具
- サイフォン
- カフェプレス など
もちろん、工夫次第では、透過法でもボディ感のあるコーヒーにしたり、浸漬法で軽く飲みやすいコーヒーを淹れたりすることも可能です。
エスプレッソは透過法?パーコレーターは?
ちなみに、先ほど解説したエスプレッソは、このどちらにも当てはまらないように見えますが、お湯がホルダー内に詰めたコーヒーを通過しながら抽出する淹れ方なので「透過法」になります。
また、アウトドアなどで人気のパーコレーターは、コーヒーとお湯が接触したまま器具の中を循環するため、「浸漬法」にあたります。
「フィルター」で味わいが変わるドリップコーヒー
同じコーヒーを使ったとしても、使う器具の特徴によって、その味わいは驚くほど変わります。
例えば、透過法の中でも最もポピュラーといえる「ペーパードリップ」だけを見ても、味わいを変化させる要素がいくつも含まれています。だからこそ、コーヒーには、自分好みの味にチューンナップする楽しさがあるのです。
ここでは、ドリップコーヒーを淹れるときの、フィルターによる違いを簡単にご紹介していきます。
紙製(ペーパー)フィルター
ドリップコーヒーの中でも最も手軽でポピュラーな抽出方法は、紙製(ペーパー)フィルターによる淹れ方です。
ペーパーフィルターは手に入りやすく、使い捨てもできるので衛生的です。
ハンドドリップ初心者の方は、まずペーパーフィルターからスタートすることをおすすめします。
金属フィルター
コーヒーの成分がダイレクトに抽出されるため、コーヒー本来の味を味わうことができるのが、金属フィルターの特徴です。
ペーパーフィルターと比べると高価なものが多いですが、使い捨てではないため、しっかりメンテナンスすれば繰り返し使用できるというメリットがあります。
布(ネル)フィルター
フランネルという織物で作られた布製フィルターのことを、「ネルフィルター」といいます。
ドリッパーを使わず、布の自然なたわみを見極めながらお湯を注いでいきますが、おいしく淹れるにはかなりの技術を必要とする抽出方法です。喫茶店で熟練のマスターなどが使っているシーンが思い浮かぶ方も多いかもしれません。
起毛した布が微粉を濾しとるため、滑らかな舌触りのコーヒーに仕上がります。
寝るフィルターは、お手入れが少し大変ではあるものの、コーヒー愛好家からは「最高の抽出方法」として愛されています。
今なお増え続けているコーヒーの抽出方法
コーヒーは、古くからさまざまな器具が開発されている飲み物ですが、今なお新たな器具・淹れ方が開発され続けています。
固定概念に縛られないこの自由さも、人々を惹きつけている理由かもしれません。
ペーパードリップやエスプレッソマシン以外の抽出器具も、いくつかご紹介しましょう。
サイフォン
「サイフォン」の抽出方法は、フラスコの中で温まった空気がお湯を押し出すことでロートへ上がり、抽出された後、コーヒーがフラスコへ落ちていく構造になっています。
コーヒーが出来上がっていく様子をガラス製の道具越しに眺めることができるため、演出効果も抜群です!
さらに、器具の中心にセットされているのはネル(布)フィルターなので、舌触りが滑らかでクリアな味わいになるという特徴があります。
フレンチプレス
「フレンチプレス」は、ガラスポットの中にコーヒーとお湯を入れ、少し時間を置くことで抽出します。
時間が経ったら、フィルター部分を押し沈めて粉が浮いてこないように押さえながら、カップに注いで出来上がりです。
フィルター部分が金属のメッシュフィルターになっているので、コーヒーの持つ油分が濾されずに液体側とうまく合流し、ミルクなどと相性の良いコーヒーに仕上がるという特徴があります。
テクニックもほぼ必要ないので、家淹れ初心者にもおすすめです。
▼フレンチプレスのおいしい淹れ方についてはこちら
エアロプレス
「エアロプレス」という名前の通り、空気の圧力を利用してギュッと成分を押し出すように、短時間でコーヒーを抽出する淹れ方です。2000年代に入ってから発明された新しい抽出方法です。
基本的には紙のフィルターを使いますが、専用の金属フィルターもあり、工夫次第で自分好みの一杯を追求することができます。近年、エアロプレスのみで競うコーヒーの抽出大会も開催されている、注目の抽出方法です。
▼エアロプレスのおいしい淹れ方についてはこちら
ウォータードリップ(水出し)
「ウォータードリップ(水出し)」には、専用の器具を使って水を点滴状に落としながら時間をかけて淹れる方法と、コーヒーを水の中に長時間漬け込んだ後に濾す淹れ方があります。(前者は透過法、後者は浸漬法にあてはまります)
温度変化がない分、コーヒーそのものの特徴が素直に引き出されるのが、ウォータードリップの特徴です。
▼ウォータードリップのおいしい淹れ方についてはこちら
パーコレーター
「パーコレーター」は、直火にかけられる専用の道具を使ってコーヒーを抽出する方法です。
火にかけられたお湯がポットの中を循環し、コーヒーと何度も接触しながら抽出されるため、強い味わいのコーヒーに仕上がります。山や川などのアウトドアでコーヒーを味わいたい方におすすめです。
▼パーコレーターのおいしい淹れ方についてはこちら
クレバーコーヒードリッパー
『クレバー コーヒードリッパー』という器具を使った、コーヒーの淹れ方もあります。
まず、クレバーコーヒードリッパーに、ペーパーフィルターとコーヒーを入れます。その後、適量のお湯を注いで蓋をしたら、少し時間を置きます。
そして、最後にドリッパーの底に付いている弁を開けて、抽出したコーヒーをサーバーへ一気にを落とす…という、ちょっと変わった抽出方法です。
一見、よくあるドリッパーのようですが、カフェプレス同様にコーヒー粉をお湯に漬け込んでから抽出するため、どちらかと言えば「浸漬法」に分類されます。
ペーパードリップとカフェプレスの良いとこ取りの味わいが出せるか……試行錯誤してみるのもまた一興です。
▼クレバーのおいしい淹れ方についてはこちら
淹れ方と器具を自分なりに組み合わせて、自分好みの一杯を
ドリップコーヒーの2つの抽出方法、淹れ方によるおいしさの違いなどをご紹介しました。
淹れ方によっておいしさが変わる奥深いドリップコーヒーの世界、いかがでしたでしょうか?
コーヒーにはさまざまな抽出方法があり、それによって、見た目も味わいも大きく変わります。
最近はコーヒーだけではなく、抽出方法を選べるお店や、こだわりの器具で淹れたコーヒーを提供しているお店もずいぶん増えてきました。
ときにはちょっと気分を変えて、いつもと違うオーダーにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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